「………………っ?」
眩しさに眼が眩み何も見えない。
一瞬、実は死後の世界に来てしまったなどと思いもしたが、
こうして意識し知覚し、感じているのは変わらぬ公園の空気の香りである。
「馬鹿な……そんな、コトは、
まさかこの小娘は――-―を潜り抜けて、あまつさえ……馬鹿な、他にもいるだと」
視界が元に戻った時は先ほどの変わらぬ光景があった。
そこにはただ唖然とするロアが佇み、独り言をつぶやいていた。
ロアにとって何か予想外の事態があったのだろう、しかし俺にとっては好都合だ。
特に魔術の拘束が解けたのは、好機だ。
「ロアァ!!」
駆ける。
距離を詰めると腕を伸ばし、
すばやく直死の魔眼が見せるロアの生命を象徴する『点』にナイフを突き出した。
「ちぃ!?」
が、寸前でロアは背をのけぞり避ける。
当然俺はすべての現況であるロアをここで終わらせるべく一歩前に出る。
ロアはなぎ払うように腕を振るう。
大雑把な動きだが吸血鬼の力で振るっているため空気が震う。
最小限の動きで避けたはずだが、頬が剃刀で切られたかのように薄っすらと横一条のかすり傷ができる。
大した力だ。
だけど、腕を振るった後は胸元がガラ空きである。
次の動作を行うには俺が胸元にナイフを突きつけるよりも一拍ほど足りない。
そう、今のロアは無防備。
ここでロアを殺し、全てを終わらせることができる!
そして、ナイフを胸元に突き刺そうとし
――――魔眼がロアの生命を象徴する『点』と弓塚のそれとほぼ重なっているのを捉えた。
「くそっ!!」
このまま刺すと弓塚ごと殺してしまう。その点に気づいた俺は悪態を口にする。
さらに直後にやってきたロアの攻撃から避けるため距離をとった。
「………………」
「………………」
しばしの睨み合い。
お互いジリジリと円陣を描くように、ゆったりと動く。
ロアは両手を上着のポケットに入れていかにも隙がありそうな姿であるが眼光は鋭く、油断も隙間もない。
何時もなら魔術攻撃なら魔術ごと切り裂き、相手を殺すことができるが相手のその姿形は弓塚である。
下手にやると弓塚ごと殺してしまうのは、先程のように明白で非常に腹立たしい。
それでも、またロアの元に飛び込めるように構えをとりいっそこちらから動くべきかと考えた時点でロアが口を開いた。
「……さっきのは私も驚いたよ。
この小娘が規格外であることは承知していたが、まさか『』を通り抜けた異世界人だとはな。
挙句に――――の存在の支援を受けて似たような例がこの国にはいるらしい。そして貴様は姫と共に今後の世界を左右する存在であるようだ
は、はは、永いこと生きた私さえもこのような事案は初めてだ…………姫の言うとおり、世界とは広いものであるかもしれない。」
「……?」
よくわからないことを言っている。
弓塚が異世界人だとか聞いているだけなら電波でしかないが、
この男が態々虚構を述べることはないので、何か重要な事実を言っているのだろう。
ただ俺にわかったのは、最後の部分だけは自らを自虐していたのは確かである。
「昔なら、純粋であった昔の私なら、その謎と原因について探求していただろう。
だが、今の私にはどうでもいいことだ――――ハ、ハハ!!志貴!果たして私と小娘を見分けることができるのか?
仮にできたとしても、いかに人を殺すことを極めた貴様でも肉体ごと殺さず、私の魂だけを殺すのは困難なはずだ!!」
「……ちっ!」
図星だ。
俺は物の『死』すら見分ける事ができるが、
一つの肉体に二つの生命を抱えている弓塚を肉体を壊さず、
かつロアの生命だけを選んで殺すとなると、標的の『点』が元から小さいこともさることながら、
お互いが半ば重なっていると来た、隙がなければとても狙って突くのは先ほどのように奇襲を除けば難しい。
「ああ、あるいは。堕落した姫を道ずれにすることはできないが――――この小娘ごと死ぬのも悪くない」
「……ってめぇ!!」
ロアは自ら胸もとの『点』にピタリと、
よく磨げた突剣のように爪を伸ばした手を当てる。
ロアはアルクェイドと俺を巻き込んで死ぬことができないならば弓塚を巻き添えにしようと考えていた。










眩しさに眼が眩み何も見えない。
一瞬、実は死後の世界に来てしまったなどと思いもしたが、
こうして意識し知覚し、感じているのは変わらぬ公園の空気の香りである。
「馬鹿な……そんな、コトは、
まさかこの小娘は――-―を潜り抜けて、あまつさえ……馬鹿な、他にもいるだと」
視界が元に戻った時は先ほどの変わらぬ光景があった。
そこにはただ唖然とするロアが佇み、独り言をつぶやいていた。
ロアにとって何か予想外の事態があったのだろう、しかし俺にとっては好都合だ。
特に魔術の拘束が解けたのは、好機だ。
「ロアァ!!」
駆ける。
距離を詰めると腕を伸ばし、
すばやく直死の魔眼が見せるロアの生命を象徴する『点』にナイフを突き出した。
「ちぃ!?」
が、寸前でロアは背をのけぞり避ける。
当然俺はすべての現況であるロアをここで終わらせるべく一歩前に出る。
ロアはなぎ払うように腕を振るう。
大雑把な動きだが吸血鬼の力で振るっているため空気が震う。
最小限の動きで避けたはずだが、頬が剃刀で切られたかのように薄っすらと横一条のかすり傷ができる。
大した力だ。
だけど、腕を振るった後は胸元がガラ空きである。
次の動作を行うには俺が胸元にナイフを突きつけるよりも一拍ほど足りない。
そう、今のロアは無防備。
ここでロアを殺し、全てを終わらせることができる!
そして、ナイフを胸元に突き刺そうとし
――――魔眼がロアの生命を象徴する『点』と弓塚のそれとほぼ重なっているのを捉えた。
「くそっ!!」
このまま刺すと弓塚ごと殺してしまう。その点に気づいた俺は悪態を口にする。
さらに直後にやってきたロアの攻撃から避けるため距離をとった。
「………………」
「………………」
しばしの睨み合い。
お互いジリジリと円陣を描くように、ゆったりと動く。
ロアは両手を上着のポケットに入れていかにも隙がありそうな姿であるが眼光は鋭く、油断も隙間もない。
何時もなら魔術攻撃なら魔術ごと切り裂き、相手を殺すことができるが相手のその姿形は弓塚である。
下手にやると弓塚ごと殺してしまうのは、先程のように明白で非常に腹立たしい。
それでも、またロアの元に飛び込めるように構えをとりいっそこちらから動くべきかと考えた時点でロアが口を開いた。
「……さっきのは私も驚いたよ。
この小娘が規格外であることは承知していたが、まさか『』を通り抜けた異世界人だとはな。
挙句に――――の存在の支援を受けて似たような例がこの国にはいるらしい。そして貴様は姫と共に今後の世界を左右する存在であるようだ
は、はは、永いこと生きた私さえもこのような事案は初めてだ…………姫の言うとおり、世界とは広いものであるかもしれない。」
「……?」
よくわからないことを言っている。
弓塚が異世界人だとか聞いているだけなら電波でしかないが、
この男が態々虚構を述べることはないので、何か重要な事実を言っているのだろう。
ただ俺にわかったのは、最後の部分だけは自らを自虐していたのは確かである。
「昔なら、純粋であった昔の私なら、その謎と原因について探求していただろう。
だが、今の私にはどうでもいいことだ――――ハ、ハハ!!志貴!果たして私と小娘を見分けることができるのか?
仮にできたとしても、いかに人を殺すことを極めた貴様でも肉体ごと殺さず、私の魂だけを殺すのは困難なはずだ!!」
「……ちっ!」
図星だ。
俺は物の『死』すら見分ける事ができるが、
一つの肉体に二つの生命を抱えている弓塚を肉体を壊さず、
かつロアの生命だけを選んで殺すとなると、標的の『点』が元から小さいこともさることながら、
お互いが半ば重なっていると来た、隙がなければとても狙って突くのは先ほどのように奇襲を除けば難しい。
「ああ、あるいは。堕落した姫を道ずれにすることはできないが――――この小娘ごと死ぬのも悪くない」
「……ってめぇ!!」
ロアは自ら胸もとの『点』にピタリと、
よく磨げた突剣のように爪を伸ばした手を当てる。
ロアはアルクェイドと俺を巻き込んで死ぬことができないならば弓塚を巻き添えにしようと考えていた。
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