ウィッチーズから見て死角である後方、距離はキロにして5キロも離れた場所にそれはいる。
海面ギリギリに浮かぶそれはウィッチーズの感覚では、魔導針持ちのサーニャ以外探知しえないだろう。
もっとも、超低空ゆえにレーダーに引っかからない可能性があるが。
―――任務完了。
その『人間らしき』者から音声が発生で来たらそう言っていただろう。
全身は黒く、金属質に近く青い空の中で異彩を放っており、瞳はガラス玉のようで。
顔は表情もなく無機質極まりないが、その人間らしき者はじっとストライクウィッチーズを見ていた。
姿かたちは<原作>の人型ネウロイに近い。
唯一の違いは『無機質な顔がある』ということ。変わらないのは同じネウロイである点。
ネウロイは常に学習する。
1939年、新しい人類の切り札、宮藤理論を備えた空飛ぶ魔女の出現に合わせてネウロイはそれらを模した。
出現場所はスオムス、その時は情報収集も兼ねたものも合わせてウィッチに対抗。結果は失敗。
最終的には人類側に露見した上に一部の領土を奪還されてしまう。
が、ネウロイは問題視しなかった。
簡単だ、人類側の名称でカールスラント、ガリア、オラーシャ西部を40年までに制圧したからだ。
彼らの計算では少々の誤差で済み、残りはブリタニアという名の島国を半年以内に消耗戦ですり潰し、対処不能の所で一挙に上陸。
人類基準の日付で3か月以内に完全制圧可能とみていた。
しかし、失敗する。
人類の奮闘、幾多の幸運は赤いコアから導き出された計算式には存在していなかった。
気がつけば、バルト海から追い出した人類が逆襲し、西のオラーシャからも攻勢を仕掛けてきた。
そしていつの間にか自身が狩られる側に陥ったことに気付いた。
―――どうするべきか?
ネウロイは常に思考する。
最適な手段で最終目標である―――――をたっせいするために。
妙なヒトを捕獲した。
あくる日ネウロイはあるウィッチを捕獲した。
その事実だけは別段珍しくもなんともなく、そのウィッチの情報細胞に割り込む。
1944年 転生
ストライクウィッチーズ ブリタニア
EMT 21世紀 原作知識 オレ
記憶回路に保存された情報の異質さ、当初は理解不能であった。
情報についてはいくつかの仮説を並列思考を展開解析を試みて、加えてサンプルには肉体的な刺激を与えるなどで観察を続行。
途中、煩わしい絶叫を挙げて生命活動を完全停止したが結果は得られた。
それは――――。
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