「誇」-URAWA REDS-
共に…
 



唯々、そこから立ち去りたかった。
仲間を気にする余裕なんてなかった。
坪井、闘莉王、啓太・・・。
戦いを終えた選手が近づいてくる。
拍手?ブーイング?
どちらでもない。
いや、それをする余力はなかった。
「追い付ける」「追い越せる」
信じていたから。

力なく頭を垂れる選手たち。
“帰ろう・・・”
気付くと相方が僕の荷物を持って階段を登り始めていた。
足早に駐車場に向かう。
仲間も無言のまま歩いていた。

悔しくて、情けなくて。
どうしてそうなったのか、理解できなかった。

“ねぇ、赤城高原SAまでノンストップでいい?”
“いいよ”
新潟にはこれ以上、何も落としたくなかった。
長いトンネルを抜ける。
深々と降る雨。
“上里SAまで行こうか”
“そうだね”
“埼玉県だよ、ほっとするね”
“ここまで来たら一気に走れるけど”
所沢IC、ウラトコ、下大久保交差点、六間通り、ロイヤルパインズ。
次第に安息を取り戻す。
大きく空いた穴を、少しずつ埋めるように。

一夜明け。
まだ試合を振り返るほど、余裕はない。
「どうして? 何で?」
新聞も読む気がしない。
何もする気がしない。

立て直さなきゃ。




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