「誇」-URAWA REDS-
共に…
 



「暑い!」
待機列、照り返す光が眩しい。
青い空と降り注ぐ太陽。
「寒いよりはいいけどね」
観る側の都合と、選手たちのコンディション。
Jリーグが抱える問題の妥協点は、なかなか見つからないかもな。

GK加藤
DF森脇・那須・槙野
MF平川・阿部勇樹・啓太・柏木・原口・宇賀神
FW興梠
リザーブ山岸・坪井・暢久・マルシオ・関口・直輝・阪野
啓太が復帰。
前節負傷退場した梅崎は欠場、スタメン出場していた永田充がベンチ外。
勝てば首位との差が勝ち点2になり、負ければ8差に広がる。
ACLを捨てた広島と、懸命に縋った浦和との対戦。
「そういうクラブには、負けたくない」
中2日、激しい戦い。
ビジュアルを掲げる、気合を入れる。
「さあ、やるか」

静かな立ち上がり。
「似てるからね、お互い」
ヒサトと興梠、陽介と高萩。
「槙野と森脇のところがちょっと違うかな」
両DFが攻め上がる浦和と、自重する広島。
「ウチは先に点取らないと厳しいかも」
柏木のFK。
「ラッキー!」
興梠のヘッドがネットに吸い込まれる。
5分、浦和先制1-0。
「巧いよね、難しいの決めるの」
試合を握るため、どうしても欲しかった先制点。
「これで落ち着いて戦える」
真夏の消耗戦、優位に立つ。

「回されてるなぁ」
ボールを支配する広島。
「啓太がいて良かったよ」
局面でボールを導き出す、素晴らしい動き。
「これがなかったんだよな」
啓太不在で苦戦した3試合と比較してしまう。
「オフサイド、だよね」
長いボールに反応した興梠、副審の旗が上がる。
無理なチャレンジはせず、機会を伺う浦和。
「侮れないからな、向こうも」
DFの裏を狙うヒサトが怖い。
「打て!」
陽介から興梠にボールが渡る。
「まだだ、打て、打て!」
「入った!!!」
28分、浦和追加点2-0。
オーロラビジョンに映し出される得点シーン。
「股抜きだよ、原口」
首位・広島を突き放す理想的な展開。
「いいね、いい感じだね」
心が躍る。
「しっかり、集中して行こう」
2点差は安全圏じゃない。

「しまった!」
左からのクロス、真ん中にボールが収まる。
「ノブヒロっ!」
決定機を防ぐ。
「あれ?傷んでる!?」
32分広島、山岸out清水in。
森脇が苦しまされていた相手左サイドにアクシデント。
「ウチは楽になったね」
縦パスから原口、森脇が進出する。
「うわっ…」
もたつく間にボールを失う。
「どん臭いな、森脇」
ボールを回す広島、網を張る浦和。
「ポゼッションは向こうが上だな」

前半終了、浦和2-0広島。

「見えないじゃん」
オーロラビジョンに隠される花火。
勝っているから余裕で笑える。
負けてたら振り返りもしないんだろうな。

「陽介もいいよね」
良く動く、攻める守備、安定したパスワーク。
いい頃の“太陽”に戻っている。
「啓太、90分やらない気だよね」
相手の最終ラインまでチェイシング。
「本当にいい選手だよ、啓太は」
リズムを掴もうとする広島に、その隙を与えない。
「行ける!」
平川が右サイドを駆ける。
「ニアだ!」
クロスに興梠が反応。
「いいゴールだ!」
55分、浦和3点目。
久しぶりに赤が目立つスタンド。
「4万は超えてるね」
いい試合を観せること、いい雰囲気を作ること。
何よりも大事なことは、勝たなければ生み出せない。
「さあ、頑張ろう」

「来たか!?」
原口がカットイン。
「狙ったんだけどな…」
GKに阻まれる。
63分、啓太out暢久in。
「まだ完全じゃないんだろうね、啓太」
「暢久かぁ」
嬉しい、暢久がピッチにいる浦和は楽しい。
「ウガ、頑張れ!」
磐田戦で散々だった宇賀神、ミドルシュートは枠の外。
69分、興梠out阪野in。
「なるほど、点差あるしな」
「阪野に点取らせてやりたいね」
相変わらずポゼッションを保つ広島。
「でもミキッチだけでしょ?」
3点差が奏でる精神的な余裕が、ポジティブな気持ちにさせる。
「落ち着いてるな、大丈夫だ」

原口が抜け出す。
「取らせたいのか?」
阪野にボールが出る。
「決まれ!!」
GKに弾かれる。
「西川じゃなかったら入ってたかも…」
右サイドから原口のクロス、柏木追い付けず。
「速いよ、ボールが」
集中が切れたような表情を見せる原口。
「ここまでか?」
カツン、と音がする。
「あれ、暗くなった!?」
照明が消えるオーロラビジョン、試合が止まる。
「再開するの?時計分かんないけど…」

俄かに落ち着かなくなる。
「時間、どうなってるんだろう?」
85分、原口outマルシオin。
「戻ってるね、後ろは」
北側オーロラビジョンに示される時計。
アディショナルタイム4分。
「無失点で行こう」
混戦が続くJ、得失点差も稼ぎたい。
「あ…、勿体ない…」
93分失点、3-1。
「セットプレーだもんな…」
「もう少しだから、しっかり」
もう残り時間はないはず。

笛が鳴る。
試合終了、浦和3-1広島。
「いいゲームだ、良く頑張った」
厳しい日程、連勝。
虎視眈々と、狙うには丁度いいポジション。
「最後に頂点に立てばいいんだよ」

模倣した浦和が、広島相手に勝利。
嬉しくない訳がないじゃない。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 「パパやるよ... 消耗戦、持久... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。