「誇」-URAWA REDS-
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照り返しの厳しい待機列。
高く青い空と心地良い風。
確実に秋が訪れようとしているスタジアム。
残り9試合。
真のチャンピオンを決することの出来る猶予期間は、
今年を入れてたった2年。
偽物の冠号はいらない。
本物を獲れる可能性があるなら、狙わなければ。

GK山岸
DF森脇・暢久・槙野
MF平川・阿部勇樹・那須・柏木・原口・宇賀神
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田充・啓太・梅崎・関口・矢島
「シュートストップとクロス対策だよね」
「でも、そこだけが問題じゃないと思うんだよ」
「そこしか変えられないところが、限界なのかな」
順大からギシくんに交代。
前節の失点は、GKが悪い訳じゃない。
小手先だけで交わせるほど、Jは甘くないと思うんだ。
「阪野も前節の出来だと、って意味かな」
阪野に代わって矢島がベンチ入り。

「505ってヤツ?」
暢久の両脇に阿部勇樹と那須。
サイドに張る森脇と槙野。
真ん中をぽっかりと空けたシステム。
「イマイチよく分かんないんだよね」
啓太が捌くサッカーに慣れた目には、違和感が残る。

左からのクロス、興梠が落とす。
副審の旗が上がる。
「オフサイドか…」
柏木のシュートがネットを揺らす。
「先に取っちゃえばね」
引いて守る相手、先制点がカギになりそう。
「アイツがいいんでしょ?」
甲府FWがターゲットになる。
「全然勝てないじゃん」
暢久がマンマーク、仕事をさせない。
「ポストは得意じゃないのかな」
相手が強ければ強いほど力を発揮する。
暢久らしい。

宇賀神が走る、タッチ際からクロスを上げる。
「打て!」
興梠が狙う。
「チクショウ…」
叩き付けたシュートはGKに弾かれる。
「悪くない、いい感じだ」
広島、鹿島を破った甲府に隙を与えない。

22分、那須に警告。
「4枚目だよね?」
「次どことだっけ?」
湘南戦は出場停止。
「まあ、ここで良かったって思うしかないよね」
累積にも注意を払わないといけない時期に差し掛かって来た。

「さすがギシくん!」
零れ球に飛び出す、至近距離は相変わらず強い。
「競り負けるな!」
甲府CK、頭で合わされる。
「しっかりしろよ!」
改善するには時間が掛かるのか。
「原口が消えてるんだよね」
「陽介が降りた方がいいんじゃないかな」
チャンスがない訳じゃない。
慣れないシステムに僕が戸惑っているだけかも知れない。
「ファールだろ!?」
暢久が引っ張られる、笛は鳴らない。
「何でだよ!」
シュートは山岸がブロック。
「ギシくんで良かったよ…」
主審は村上氏。

「来た!」
左サイドを駆ける原口。
「行け、行っていいんだ!」
PA内に入る、シュートを放つ。
「乗れてないのかな…」

前半終了、浦和0-0甲府。

HT暢久out啓太in。
「那須かと思ってたよ」
「あんまり良くないし、1枚貰ってるし」
これは監督の迷いなのだろうか、確信なのだろうか。

「ファール!!」
「吹くよね、当たり前だよね」
主審の笛には疑心暗鬼のまま。
PAライン付近からのFK。
「阿部勇樹か槙野、か」
槙野が蹴る、壁に当たる。
「ハンド!!」
主審がPAスポットを指す。
「阿部勇樹なんだよね…」
この場所で失敗した記憶が抜けない。
「頼むぞ…」
左隅に転がるボール、ネットが揺れる。
51分、浦和先制1-0。

「やっぱり啓太がいると違うね」
大きなサイドチェンジ、危機察知能力。
啓太がいるだけで安心できる。
「もう1点取れればいいんだけど」
引いて守ってカウンター、スタイルを崩さない甲府。
「相手に付き合ってちゃ…」
59分、森脇に警告。
「まだ停止じゃないよね?」
原口が左からカットイン。
「行け、行ける!」
「正面か…」
個の力でねじ伏せる強さが欲しい。

「良くないな…」
カウンターを浴びる、ラインが下がる。
「堪えて、落ち着いて」
混乱するDF、崩されている。
「ギシ!!」
躍動する山岸がチームを救う。
84分、柏木out梅崎in。
「守るの?攻めるの?」
監督のジェスチャーは“攻めろ”。
「あっ…」
打点の高いヘディング、競り負けるDF。
「助かった…」
山岸のファインセーブ。
「ギシくんだからね」
89分、宇賀神out永田充in。
「どういうこと?」
サイドを代えDFを投入。
「こういうのって混乱しないのかな」

アディショナルタイム5分。
「長いよ…」
プレーが中断することはなかったはず。
「嫌われてるな、村上に」
ボールをキープする、時間を稼ぐ。
時計が消えてから5分が経つ。
「終わりだろ?」
主審が時計に目を落とす。
「もうワンプレーか?」
放り込まれたボール、永田がクリアする。
「出せ!外に出せ!」
再び時計に目を落とす主審。
「終わりだって!」
「危ない!!」
「マジかよ…」
正面を崩される。
90+6分、甲府同点1-1。
「まだだ、あとワンプレー!」

笛が鳴る。
「早いだろ!?」

試合終了、浦和1-1甲府。

勝ち点2を落とす。
肝心な所で粘れない。
勝者のメンタリティーは、どこに消えてしまったのだろう。






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