アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

「日本は東洋のスイスたれ!」

2012年01月03日 | Weblog
「日本は東洋のスイスたれ!」…何それ?という言葉が聞こえてきそう。あったんですよ、そういうスローガンが!いつかって?戦後です…1945年~1950年ごろまで。どうして、たった5年で「スイスたれ」が言われなくなったか?
朝鮮戦争が始まり(1950年)、日本に警察予備隊が出来た。それが、保安隊となり、自衛隊となった。いくら、「自衛」でも、武装した集団を保有することになったわけで、「スイスたれ」は、言いづらくなった…。

 スイスは永世中立国。敗戦国日本としては、「平和を愛し、戦争は永久に行わない」…東洋のスイスになろうというわけです。スイスといえば時計、カメラ…日本も、時計、カメラなど精密機械産業を振興させようという意味もありました。
 スローガンに触発されたことももちろんあると思いますが、長野県の諏訪地域は、戦後、精密機械工業が発展しました。豊富な水と澄んだ空気は精密機械に適しており、「東洋のスイス」と呼ばれました。現在も、岡谷市、諏訪市、茅野市など全域に電気機械、一般機械などの先端技術による産業が集積しています。

 「東洋のスイスたれ」が記憶に強烈に残っておりましたので、スイス旅行には大いに期待しておりました。行ってみて、あまりの物価高に、早々にオーストリアへ脱出しました。スイスの物価高って、一体何なんでしょうか?記憶が薄れましたが、プレーンオムレツを1人分注文して、家族4人で食べました。一杯のかけそば…とはちょっと違うか?
 私は父親なので、「今、お腹いっぱいで食べられない」とか言って子供達に多く食べさせましたけどね…。そういう意味では、日本は、「東洋のスイス」にならなくて良かったです。しかし、今でも、外国人観光客は日本の物価高に参っているようで…スイス並の印象でしょうかねえ?
 日本を旅している外国人の若者に、「日本の食べ物で何が好き?」と尋ねたら、「スキヤ」と答えました。「スキヤキじゃないの?」と言うと、また「スキヤ!」。実は、食べ物の名前ではなく、牛丼チェーンの「すき屋」でした。大盛りの牛丼でも、380円。これは、貧乏旅行の外国人の若者にウケるはず。

 閑話休題。コロコロと首相が替わり、適材適所の大臣も、「敵在適処」状態(←ウマイッ!ウマイナアー!自分でほめるなってがぁ?)。物価高はさておいて、政治こそ、「東洋のスイスたれ」でなければならないのではないか?スイスの政治ってそれほど安定しているのかって?安定してます!
 なにしろ、スイスは直接民主制。年に3~4回、国民投票や州民投票がある。これはちょっと多いような気もしますが。スイスの政治は合議制ですから、非常に安定しています。国民も、大事な選挙では、投票率70%超です。
 1か月ほど前、スイスの大統領選挙がありました。新大統領も女性(ミシュリン・カルミ・レ前外相)。これでスイスは、3期連続女性大統領です。これはどうでもいいことかも知れませんが、スイスの公用語はドイツ語(スイスドイツ語)、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4言語。新大統領は、「最少数派言語圏出身」とのこと。つまり、ロマンシュ語圏の御出身のよう。スイス南部イタリアとの国境あたりの山の中。スイスでロマンシュ語を話す人は、わずか35,000人。私が住む田舎の市の人口(44,000人)より少ない。

 「日本は東洋のスイスたれ!」が耳の底から響いてくるんです。
 美しい風景、澄みきった空、深呼吸ができる空気、(硬水だけど)安心して飲める水…。自然については、日本だって負けてはいない。
 問題は、政治ですね。日本も直接民主制にしようやというのではありません。女性の首相にしようやということでもない。
 3期続けて女性大統領を選出する…。山奥出身だろうが、チューリッヒ出身だろうが何も関係ない。安定した政治をしてくれさえすれば…。
 ここのところを、スイスたれと思うのですが…今年、何かが変わるかな?