アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

爺さんの靴下を洗う美女

2020年11月06日 | Weblog
 レジ袋が有料になっちゃって、たかが3円とか5円とかなのに買うのに抵抗があります。なぬ?「貧乏人はしょうがないなあ」って?まあ、トランプさんよりは貧乏。何とも、3円、5円がもったいない。親に言われたものです、「1円を笑う者は、1円に泣く」。1円足りなけりゃ、電車に乗れない。
 清水の舞台から飛び降りる決意で、3円の袋を買っても、商品は自分で袋へ入れなければならない。3円出した人へのサービスってものがない。
 米国の場合(現在はどうなっているか分かりませんが)、「バッガー」という職業がありまして、どんな職業かといいますと、「スーパーのレジで袋詰めをする専門職」です。
 お客は、ショッピングカートの商品をレジへ持っていきます。レジを打った商品は、レジ係の横にいるバッガーが、商品を袋へ入れてくれる…!袋はもちろんスーパーの袋、多くは紙袋。買い物客は、袋に入れられた商品を持ち帰ればよい。
 入院を何度も繰り返して思うのは、「親身になってお世話してくださる看護師」と、「通り一遍のお世話をしてくださる看護師」がいるということ。
 ある看護師さんなど、私の靴下の替えが無いと知り、「私、洗ってきます」と、洗ってきてくれたのですから!爺さん(私なんですけどね)の靴下など洗わなくてもいいのに…。また、そういう人って、すこぶる美人なのです(気のせいじゃないかって?マジマジ!)。「その美しい手で、私のよれよれの、臭うような靴下を洗ってくれたのかい…」と、涙が出てしまいます。
 靴下の替えがないと知っても、何の反応も示さない看護師が多いのに…。
 で、米国に、「ダブルバッガー」という言葉があります。なぬ?「マックの新商品か」って?全く違います。「バーガーじゃなくて、バッガー!」。ダブルはそのまんま、二重という意味の「ダブル」。「バッガー」は、スーパーで、商品を袋へ入れてくれる人。
 「ダブルバッガー」は、気配りの素晴らしいバッガー(人物一般にも使う)という意味です。「ビン類など重い商品が多いとき(紙袋の)底が抜けないように袋を二重にする」という気配り。仕事への積極性、気配り、工夫の象徴。いいねえ!こういう人を、「ダブルバッガー」と、呼びます。
 シングルバッガーは…時計を見ながら時間内だけ仕事をして時給以上のことはやらない。問題解決への意欲?ないない。口から出る言葉は、不平や弁解。 靴下を洗ってくれた看護師さんは、もちろんダブルバッガーです。
 あとぉ…入院が長かった(4週間!)ので、病院関係になりますが…
 食事の配膳係の人なのですがね。私の手が不自由なことを察知し、「パンの袋、ジャムの袋、牛乳のストローをパックに差し込む、ドレッシングの袋を開けてサラダにかけてくれる…」そういうことをしてくれる配膳係の人がおりました。配膳だけで自分の職務は済んでいるのに。ダブルバッガーですよね。
 看護助手さんが、私を車いすに乗せて整形外科の受診に連れて行ってくれました。その帰り道、外来の患者さんが、私の車いすを押してくれている看護助手さんに、「心電図室はどこですか?」と、尋ねました。助手さんは、「このラインに沿っていって、あれ、あそこを右にぃ・・・ご案内します」と、私の病室とは違う方向へ進みました。心電図室まで患者さんを送り届けたあと助手さんは、「アンティークマンさん、遠回りしちゃってゴメンナサイ」と、謝りました。
 私は、「いえいえ、私はこういうの大好きですから!」と。
 車いすを押してくれているので顔は見えませんでしたが、助手さんは私の言葉が意外だったらしく「うっ!」と、詰まって泣きそうになっていたと思います。
 この助手さん、「ダブルバッガー」ですよね。
 どんな職業でも、「ダブルバッガー」がいいですね。