おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「タルト・タタンの夢」 近藤史恵

2008年05月03日 | か行の作家
「タルト・タタンの夢」 近藤史恵著 東京創元社 (08/05/03読了)
 
 表紙の折り返し部分に「絶品料理の数々と極上のミステリーをどうぞ!」と書いてありました。舞台となる「ビストロ・パ・マル」では贅沢なワインを飲まなければ一人5000円ぐらいでディナーが楽しめます。リーズナブルなのに、素材にこだわって本格的な料理を出しているようです。体調を崩したお客さんには、バターなどの脂肪分は控えめにしたお腹に優しい料理を出してくれる心遣いもなかなか。こんなビストロが私の生活圏にもあったらいいのに-と思ってしまいます。直火であぶって焦げ目をつけたバゲットを添えたフォアグラのパテなんて、ホント、おいしそうです!しかし、残念ながら、ミステリーとしては極上とは言い難いですねぇ。

近藤史恵さんの作品を読むのは、これが3作目。「二人道成寺」「ねむりねずみ」と2冊続けて歌舞伎ミステリーを読みました。「ねむりねずみ」の仕掛けが、あまりにこじつけというか、さすがにこれはありえないでしょう-という白々しさで、ちょっと気分的に引いてしまっていました。「タルトタタン…」は、極上ではないけれど、一応、妥協の範囲ではあります。「もう時間ないし、今日のランチは、あそこの定食屋でいいんじゃない」ってノリ。ひねりもなく、安っぽいけど、でも、多分、来週も1回ぐらいは行っちゃうかな-という感じ。ちょっとした気分転換に、ビストロの描写を楽しみつつ、お気楽なライトミステリーと思って読めば、とりあえずの空腹は満たされます。

ところで、近藤さんの「サクリファイス」が今年の本屋大賞の2位。ちょっとだけ気になってきました。「ねむりねずみ」を読み終わった時点で、私の中では「近藤史恵=圏外」分類していたのですが…今は、アンテナ1本、立ったり、消えたり。今のところ、自腹で購入するほどには気分は盛り上がってきませんが、誰かが貸してくれたら読みたいなぁと思います。