宮水神社の御神体は山の奥に鎮座されております。
巨大なクレーターのような形をした窪みの真ん中に、巨大な石があり、この石が御神体とされているのです。
この石はどうやら、太古の昔にこの地に落下した隕石らしい。宮水の家は代々この隕石を守り、祀ってきた家系なのです。
隕石に乗って地球にやってきたウイルスから、生命が誕生したという説があります。あるいはこの隕石には、地球生命誕生の秘密が隠されているのかも知れません。
また宮水の家の女たちは代々、組紐を編むことを生業としており、三葉の祖母一葉は、「組紐と時の流れは同じ」だと三葉に教えています。
命を生むこと、時の流れ。これはいずれも「ムスビ」と言い習わします。およそこの世の神羅万象はすべて「ムスビ」の中にある。
どうやら、この隕石に鎮座される神は、「ムスビ」の神のようです。
宮水の女の行う神事の一つに、「口噛み酒」があります。
米を口の中で嚙み、唾液と混ぜて吐き出す。これが発酵して酒になったものを「口嚙み酒」といい、これを御神体内の祠に捧げる神事です。
祖母一葉は言います。「この酒は三葉の半分」であると。
つまり、この酒には三葉の「分霊」が入っている、ということでしょう。
実はこの口嚙み酒を御神体に運ぶ時、三葉の中身は瀧と入れ替わっており、瀧はそのことを憶えていました。
「入れ替わり」が途絶えて後、瀧は三葉が住んでいた、消滅した村に辿り着き、この御神体石の事を思い出します。
瀧は御神体石の中へと入り、三葉が捧げた口嚙み酒の入った丙子を手に取り、中身の酒を一口飲み干します。
忽ち瀧の頭の中に現れる、飛び交う彗星と、なにか受精卵のようなものが成長していくイメージ。
三葉の歩んだ人生が頭に浮かび、そうして遂に、瀧は再び「入れ替わり」を体験するのです。
三葉の分霊がはいった口嚙み酒を飲むことで、瀧は三葉と一体になった、だから入れ替わりができるようになったわけです。つまり、
この物語のすべての起点は、「ここ」から、口噛み酒を飲んだところから始まっている、ということです。
過去は過ぎ去っていくものではなく、常に「今」と並行して存在している。だから、瀧が御神体石の中で口嚙み酒を吞んだことによって、そう言う状況を生むむような方向へ向かって行くように過去が変化した、と考えればいいのです。
時間というものを、過去から未来へ一直線に進むものだと思っているから分からなくなる。過去現在未来はすべて並行して今ここにある、と考えれば、時間軸のどこを切っても「今」になる。
そういうことです。何の問題もない。
瀧や三葉の記憶がすぐに薄れていくというのも、この並行した時間ということで理解できます。つまり、時間軸の中の事象が変化したわけですから、変化する前の、消えてしまった事象が、抑々記憶にあるはずがないことになります。だってその時間軸中では「起きなかった」出来事になったわけですから、起きなかったことが記憶にあるはずがない。
だから、記憶から消えていくのです。
筋が通ってます。よくできた話です。
こうして見ていくと、この物語は「ムスビ」の神が氏子たちに与えた、ただ一度の「恩寵」であったのかも、
知れませんねえ。
まだつづく、で
ありやす。
レプロに干されても、自力でTVCMを勝ち取ってしまったぁ^0^
のんちゃんすごいね^0^
で、えっと、ネタバレがヤなので、本文は読んでナイたま♪なのでした~^0^
おおかみこどもの再放送で、ラインのCMやってたのです。
ちなみに、最近、私も世間の流れに負けて(?)ライン始めちゃいました。って言っても、今のトコ夫様とだけですけど。
ではではお休みなさーい^0^
頑張れ~、のんちゃん!