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 風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

映画『スター・ウォーズ シスの復讐』 2005

2016-01-12 15:55:59 | スター・ウォーズ









アナキン・スカイウォーカーはいかにしてダーク・サイドに堕ちたかを語る物語最終話。この三部作の中では一番出来がいいです。


ここまでの展開をおさらいしますと



若きジェダイ候補、アナキン・スカイウォーカー(ヘイデン・クリステンセン)は、才能あふれる青年でしたが、若さゆえの自信過剰から、自分に厳しく当たる師のオビ=ワン(ユアン・マクレガー)はじめ、ジェダイ評議会に対し、自分を評価してくれない不満を持っていました。それでも自分は修行中だからと、無理して自分を納得させる毎日でした。

そんな中、銀河共和国最高議長のパルパティーン(イアン・マクダーミド)だけは、アナキンを認め、「お前は最強のジェダイになる」と誉めそやします。アナキンは、自分を認めてくれるパルパティーンを信頼するようになっていきます。

それが罠とも知らずに……。



アナキンは子供のころに出会った、惑星ナブーの若き元女王、パドメ・アミダラ(ナタリー・ポートマン)と再会、二人は激しい恋に落ちます。

ジェダイの掟では恋愛はご法度でした。恋愛は強い執着を生み、執着はダーク・サイドを呼ぶ扉と成りかねないからです。

しかし、一度ついた恋の炎は、簡単に消せるものではありませんでした。


そんな折、アナキンは故郷に残してきた母が苦しんでいる夢を見、母の危機を察知し故郷タトゥイーンに帰ります。そして母が盗賊タスケン・レイダースに捕らわれたことを知り、彼らの村に潜入、母を救出しようとします。しかし一歩遅く、母はアナキンの腕の中で息を引き取ります。

深い悲しみと激しい怒りは、強い憎しみを呼び、アナキンは村人全員を惨殺してしまう。私怨によって殺戮を行うなど、ジェダイに限らす許されることではありません。

徐々に、そして確実に、道を外れていくアナキン。


母を救えなかった無念から、アナキンはより強い「力」を得ることを希求するようになっていく。

力さえあれば……。それは大変危険な兆候でした。


そして、アナキンとパドメは、だれにも知らせることなく密かに結婚します。

二人は深く愛し合います。しかしこの「愛」がさらなる悲劇を呼ぶ扉となるのです……。









ep3の冒頭、アナキンは一度敗れたドゥークー伯爵(クリストファー・リー)と再度対戦、今度は打ち負かします。

すでに勝負は決し、相手は丸腰、この状況なら、ジェダイの道としてはドゥークー伯爵を逮捕し、裁判にかけるのが常道です。しかし現場に居合わせたパルパティーンは、アナキンにドゥークーを殺すよう促します。

戸惑うアナキン、しかし最後には促されるままにドゥークーを殺してしまう。

アナキンの中に、力を行使することの「快感」が芽生えていました。己の力を行使することで、「正義」が守られるのだ、「道」が正されるのだ。

「平和」が守られるのだ!


独りよがりの正義感。ジェダイの正義とは公のためのもの。しかしアナキンの正義とは「己」のためのもの。

「正義」の意味がすり替わっていることに、アナキンは気が付いていない。


安易な道に転がり落ちていくアナキンを、もはや誰も止めることはできませんでした。







共和国と分離主義派の対立はついに戦争へと発展します。

しかしその戦争を陰で操っているのは、パルパティーン=ダース・シディアスでした。

パルパティーンは戦争事態を利用して、共和国の権力が自分一人に集中するように、議会を操っていきます。

パルパティーンはジェダイ評議会に、アナキンをジェダイに昇進させるよう働きかけますが、ジェダイ評議会はまだ早いと判断、評議員には加えるがジェダイには昇進させないと結論づけます。


納得がいかないアナキン、やはりジェダイ評議会も師オビ=ワンも、自分を信頼してはいないのだ!




ジェダイ評議会はパルパティーンに疑念を抱き、アナキンにパルパティーンをスパイするよう指示します。

我が敬愛する議長を監視するというのか!?反発を抱きつつも、評議会の決定には逆らえないアナキン。


しかしパルパティーンはすべてお見通しであり、アナキンに「ジェダイ評議会は、共和国元老院の乗っ取りを企んでいる」と告げるのです。


そのころアナキンは、妊娠した妻パドメが、お産のときに死亡する夢を見ます。母親のこともあり、不安におびえるアナキン。

母だけでなく、愛する妻までも失ってしまうのか……。


アナキンは詳細を告げずに、ヨーダに相談します。ヨーダは「死は終わりではない。生きるかたちが変わるだけだ。フォースに帰っていくことを祝福すればよい。失うことを恐れるな。それは執着だ。執着は嫉妬と怒り、憎しみを呼び、ダーク・サイドを引き寄せる」と警告します。

しかし今のアナキンに、パドメを失う恐怖を失くすことはできませんでした。


一方パルパティーンは、アナキンの中にある恐怖を見抜き、アナキンに「死をも克服する方法がある」と告げます。

藁をもすがる気持ちのアナキンは、それは私にも学べますか?と尋ねます。


「私のいうとおりにすればよい」パルパティーンはダーク・サイドのパワーを手に入れれば、死をも超え、銀河全体を支配することができると語ります。そして、我こそが

シスの暗黒卿ダース・シディアスであることを明かすのです。


議長がシス!?宿敵が目の前にいる!ライト・セイバーを抜くアナキン。しかし斬ることができない。

「私だけが、パドメを救う方法を知っているのだぞ」と静かに語りかけるパルパティーン。それでもアナキンは、これをジェダイ評議会に報告すると告げ、その場を去ります。

アナキンの最後の理性、でしょうか。



アナキンの報告を受け、メイス・ウインドゥ(サミュエル・L・ジャクソン)ら数人のジェダイが、パルパティーン逮捕に向かいます。アナキンは急に不安になります。

「私だけが、パドメを救う方法を知っているのだ」パルパティーンの言葉が、アナキンの耳から離れない。

アナキンはついに、パルパティーンの元へ向かいます。

折しも、マスター・ウインドゥがパルパティーンを斬らんとしているところへ、アナキンは飛び込み

「待ってください!ここで殺さずに裁判にかけるべきです!ジェダイの道に外れますよ!」とウインドゥに向かって叫びますが、状況が状況故、そんな悠長なことは言っていられない。ウインドゥは今にもパルパティーンをを殺そうとします。

パルパティーンはアナキンに向かって、いかにも憐れそうに「助けてくれ……」と乞うてくる。今パルパティーンを殺されては、パドメを救えない!

失う恐怖が、執着が、アナキンの理性を吹き飛ばし、アナキンはライト・セイバーを抜きざまにウインドゥの腕を切り落とします。

ここぞとばかりに電撃攻撃をかけるパルパティーン。パルパティーンの電撃により、遥か彼方へ飛ばされるウインドゥ。

ついにアナキンは、ダース・シディアスの手に堕ちたのです。


満足げなシディアス。シディアスはアナキンに、共和国乗っ取りを図るジェダイを全滅させるよう命じます。


「お前は今日からこう名乗るがよい。ダース・ヴェイダーと」




共和国議会はついに、パルパティーン一人に権力を集中させることを「民主的」に承認。ここに共和国は滅亡し、銀河帝国が誕生します。



銀河暗黒時代の到来です。






アナキンがダーク・サイドに堕ちたことを知ったオビ=ワンは、パドメとともにアナキンの元へ向かいます。再会するパドメとアナキン。


アナキンは、ジェダイが共和国を乗っ取ろうしたのだ!悪いのはジェダイだ!自分は戦争を終わらせ、銀河に平和を齎したのだ!と自己を正当化します。


自分は正義を行った。そして愛するパドメを救おうとしたのだ。それを邪魔するやつらは、

全部始末してやる。



力さえあればなんでもできる。




それは正義などではない。





ただの独裁。








もはやアナキンは完全にダーク・サイドに堕ちた。救う術はない。

ライト・セイバーを抜くオビ=ワン。溶岩が激しく流れる星の上、師であり友である二人の、悲しくも凄まじい戦いが繰り広げられます。



死闘の末、アナキンは両足を切断され、溶岩に焼かれます。

「お前が憎い!」とオビ=ワンに向かって叫ぶアナキン。

「お前は自分で堕ちたのだ!」悔し気に叫ぶオビ=ワン。オビ=ワンは弟子であり友であったアナキンが、地獄の業火に焼かれていくのを見るに耐えず、とどめを刺さずにその場を立ち去ります。


そこへやってくる、帝国皇帝パルパティーン。

パルパティーンは焼けただれても未だ息のあるアナキンを、いずこかへ連れていきます。







アナキンがダーク・サイドに堕ちたことを知ったパドメは、生きる気力を失くし、男女の双子を出産すると、それぞれ「ルーク」と「レイア」名づけ、その生涯を閉じます。



同じころ、アナキンはサイボーグ手術を施され、その身その顔を黒い甲冑に包まれた「ダース・ヴェイダー」となって生まれ変わります。


それはまるで、永遠の苦しみの中に閉じ込められた、アナキンの姿の象徴のようです。


ヨーダとオビ=ワンは、産み落とされた双子を帝国に気づかれぬよう、別々のところへ預け、自分たちは身を隠すことにします。


レイアは惑星オルデラーンの王族オーガナ家の養女となり、ルークは惑星タトゥイーンの身内、ラーズ夫妻の元へ預けられました。

ヨーダは沼の惑星ダコバに隠棲。

オビ=ワンはベンと名を変え、人知れずルークの成長を見守ることになりました。


ルークとレイア。それは暗黒に包まれた銀河における、

唯一の、そして



「新たなる希望」でした……。




フォースに均衡を齎す者……。












アナキン・スカイウォーカーはいかにしてダーク・サイドに堕ちたかを語る物語。


これにておしまい。





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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (Sarasz)
2016-12-25 07:32:32
どうしてルーカスは、主人公がダークサイドに堕ちてしまう映画を作りたかったんでしょう…。
ふつうは自分の経験からくる「言い訳」的なものか、自分の身近にいる人がダークサイドに墜ちてしまった経緯を自分なりに分析して、心理的に受け入れるためだと思うのですが…。
ルーカスってさ、スター・ウォーズグッズの版権で莫大な富を得るという「陽」によって、映画監督として映画を創造しなくなるという「陰」を背負ったのかなぁ…。
それとも元々実質的な映画監督より、製作の方がよかったのかしら…?
反対に映画を撮り続けたスピルバーグをどう思っているだろう?
ダースベイダーって何の比喩なんでしょいね?
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Unknown (薫風亭奥大道)
2016-12-25 10:47:12
Saraさん、う~ん、なんでだろうね。まあ、スターウォーズは「神話」ですから、ダース・ベイダーに人間の普遍的な愚かさだとか悲しさを象徴させたかったのかも知れない、とは思いますね。
アメリカの映画業界ではプロデューサーの権威がダントツに高い、日本とはそのあたりのシステムが違うんです。監督はプロデューサーの構想を画にする「現場監督」的な位置づけなんです。だからスピルバーグやコッポラのようなお金のある監督はみんな自分でプロデューサーも兼任する。でもルーカスはプロデューサーにほぼ専任した。そこらへんは謎といえば謎かもしれない。
ルーカスにとって、映画ってなんだったんでしょうね。
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