スター・ウォーズの世界観をしっかりと踏襲しながら、そこにまったく違った色合いを取り込み、本シリーズとは異なる、しかし見ごたえある作品に仕上がっている、という印象でしたね。
監督は2014年公開のハリウッド版『GODZILLA』のを撮ったギャレス・エドワーズ。一言でいえば、「腕の良いオタク監督」といったところか(笑)。EP7を撮ったJJ・エイブラムスもそうですが、まず元のシリーズに対するしっかりとしたリスペクトを、作品の中で表明している点が、古くからのファンにとってはとっても高い好感度を持てるわけです。
やはりね、リスペクトの無い人にこのての歴史ある作品を撮らせちゃいけないんですよ。
物語はEP4つまり劇場版第1作の前史的な話。EP4のクライマックスは、デス・スターの攻防戦ですが、このデス・スターを破壊するために必要な設計図を帝国から盗み出すために命を散らした、名もなき戦士たちの物語。
スター・ウォーズですから基本はファンタジーなわけですけど、それと同時にこの作品は、非常にシビアな「戦争映画」でもあります。まあ、はじめから分かっていたこととはいえ、主人公をはじめローグ・ワンのメンバー全員が命を散らしていく。
フォースを使いこなせる者は一人もいません。皆普通の一般兵士に過ぎない。だから己の知力と体力を駆使して戦うしかない。そうして最後には全員が死んでいくわけです。
デス・スターの設計図一つを盗み出す、それだけのために何故命を捨てるのか、それはそこに
未来への「希望」があるから。
もうねえ、私、泣いてしまいましたよ。スター・ウォーズで泣かされたのはこれが初めてです。
それは単に私が年を取って、涙腺が緩くなっただけではないと、思いたいですねえ(笑)
ラストシーン、設計図は反乱軍兵士たちの命を捨てたリレーの末、ついにレイア姫(CGIで19歳のキャリー・フィッシャーを再現したもの)の手に渡ります。姫を乗せた船が脱出、それを見つめるダース・ベイダー。
兵士が姫に尋ねまず「目的地はどこへ」
姫が答えます「希望へ」
こうして物語は、『EP4/新たなる希望』へと繋がっていくわけです。
もう大拍手ものです。堪能させていただきました。良かった!
CGIによるレイア姫にも驚きましたが、もっとすごかったのは、やはりCGIで「復活」した、故ピーター・カッシング演じるモフ・ターキン長官ですねえ。
1977年公開のEP4に登場したデス・スターの長官モフ・ターキン。演じた名優ピーター・カッシングは94年に他界しており、ご本人の出演は叶わない。しかし物語上どうしても必要なキャラクターでした。
そこで選択されたのが、CGIによる「復活」でした。
とはいっても、何から何まですべてCGで作ったわけではなく、ピーター・カッシングに似た容姿の俳優さんを代役に立てて演じてもらい、首から上の部分だけを差し替えるという方法で復活させたわけです。
にしても、あまりにリアルな出来栄えで少々恐ろしくもなりましたね。映像技術の目覚ましい発達は、何が本当で何が嘘かを分からなくさせていく。使い方次第では、実になんとも……。
いやはや、怖いですねえ。
そんなこんなで色々感じるところもありつつ、映画としては大満足な出来栄え。ハラハラドキドキさせて、笑って泣いて、戦争の残酷さとその裏側にある、人間同士の「絆」というものと、色々なことを感じさせてくれた映画でした。
往年のスター・ウォーズ・ファンはもちろん、そうでない方でも楽しめるのではないかな。
これ、良いです。
ターキン長官(ピーター・カッシング)とダース・ベイダー。『スター・ウォーズEP4/新たなる希望』より。
ぜひ機会を作って、観に行ってみますね!^ ^
30年以上ぶりだなぁ〜笑。