あけぼの

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交差点で生きる人々(完)~メキシコ~

2008-02-01 02:06:41 | ブログ

 ところでメキシコは中南米では2、3を争う経済大国に成長、国益優先の政策を実施しているが、大統領が変わるごとに新法が発布され、従来とは反対の政策に急変したりして国民の信頼を失う政府も多い。金持ちは海外に資産を移し、役人はどんどん法規を作って利権を駆使、私腹を肥やすことに情熱をかける。侵略された過去の歴史において、鉱物資源は根こそぎに、国土は弱みにつけ込まれて失っているので、金のある先進国からの借金など借りたとは思っていないかもしれない。金が残ったら返済すればよいぐらいにしか考えていないかもしれない。政府がそうだから国民の上層部は要領よく仕事をやることに徹しているようだ。昼食は2時から時間をかけてゆっくりとる。夜は9時から深夜まで会食を楽しむ。かつて宗主国の人間がやったことを自分たちもやっている。それで何ごとも回転するから不思議なお国柄である。

 一方底辺の人々は賃金労働者か農業主体の生活、畑一杯に広がるトウモロコシがトルティージャとなる。同じトウモロコシもアメリカでは主用途が家畜の飼料だが、この相違が国の経済力に現われているのか。トウモロコシが燃料としてアルコールに転用されるようになった今、政府の力量と主体性が問われる。気の毒なのは金もなく学問も受けることが出来ない庶民たちだ。トルティージャにコショウをすり込ませた野菜だけの食事で働いている人たちの家には風呂もない。都会には多くの物乞いが群をなしている。こんな環境だからこそ上述のようなしたたかさが生まれ育つのであろう。職権を利用して悪事を働く警察官が多いが、自らの精一杯の知恵と力で生き抜こうとする庶民には胸が熱くなる。(自悠人)


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