夫婦の旅道中、夫がトイレにウェイスト・バッグ(Waist Bag。以後W. Bag)を置き忘れ、気付くのが遅く飛行機に乗り遅れそうになったり、空港のセキュリティー・チェック後、夫がW. Bagを腰に取り付けることを忘れ、次に乗る電車まで親切な係官が追っかけてきてくれたり、と、夫のW. Bag事件に振り回されることが結構あったが、筆者もそうなるのは時間の問題だろう。お金や切符は勿論のこと重要書類を入れたW. Bagは旅道中の金庫替わり、失ったらお手上げだ。W. Bagドタバタ物語をいくつかご紹介しよう。
(1)チェコのプラハからポーランドのクラクフへの夜行列車で盗難にあった!
寝台列車がなく個室の4人掛けに1人ずつ、夫は隣の個室だった。深夜を過ぎて、車掌の最終検札とパスポートチェックが終わり、やれやれと仮眠した夫の受難事故。夫はW. Bagを後ろ側に回して寝ていた、という。寝ぼけていたが、自分のW. Bagが開けられており、2人連れの男がドアを開けて出るところに気付いた。咄嗟に飛び起きて「泥棒!」と叫びドアの外へ追っかけた。洗面所の前に来ると床に落ちている自分の赤いパスポートが目についた。それを拾い2両目まで追っかけたがもう彼らの姿はなく、諦めた。W. Bagを確かめたら現金を$400抜き取られていた。財布はズボンのポケットだったので助かった、と。 隣の部屋の筆者にこの事件を知らせに来たので調べたら筆者もアクセサリーを取られていたが、財布は無事だった。終点のクラクフでプラットホームにいた警察官に伝えたら、その足で警察署に案内してくれた。だが、大きな警察署なのに英語で読み書きできる人がいない。「夕方でないと大学の先生が来られないから待て」という。それからが大変。仕方がないので待つことにしたが、筆者を待つ係りにし、夫は宿を探しに街へ出るという。銀行で換金も必要だったが、現地マネーへの換金指定銀行でないとドルからの換金はできない。銀行を探すのが大変で午前中はかかった。昼ごろ筆者の待つ警察署に夫が戻ってきたが、盗難届の書類が出来上がったのは午後7時を過ぎていた。とんだ災難で疲れ果て、翌日はアウシュビッツのユダヤ人収容所へ行くのが精一杯だった。暫く前の話だ。(彩の渦輪)
写真:擦り切れたW. Bag&ミャンマーの一風景