あけぼの

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郷愁のベトナム:お母ちゃんは一生懸命!

2008-07-30 07:58:16 | アート・文化

  ベトナム社会主義共和国は1986年に解放路線に踏み出した若い国だ。ベトナム人の一般的性格は勤勉実直、一生懸命、素直、平和愛好、助け合い、家族の絆が強い、等、日本人とよく似ている。これらの性格、特に「一生懸命」を如実に示すあるおかあちゃんを紹介しよう。郷愁の街ホイアンで自転車観光に心地よく疲れ、夕食をとろうと外にでた。ホテル近くの小さな料理店を通り過ぎると、その隣の婦人服店の前で若い女の子が「どこへ行くの?」と声をかけてきた。「夕食へ」と返事すると「隣のベトナム料理店は美味しいと評判よ」という。「じゃあ」と後戻りして椅子に座ると、彼女は奥へ「お客さん!」と声をかけた。彼女は自分の店番をしつつ父の店へ客を拾う孝行娘だった。お母ちゃんが料理を運んできた。食事が終わると今度は彼女が「隣(娘の店)でアオザイを作りませんか。とても安いですよ。二〇㌦で身体にぴったりの注文服が出来ます!」と。心が動いた。

 ベトナム航空搭乗員の優雅なアオザイ姿を見た瞬間からきれいな色のアオザイを娘に買って帰ろうと決めていた。だがホイアンの観光はもう終り、翌朝のバスでフエに向かう計画だった。「明朝のバスでここを発つので無理でしょう」と私。「一晩で準備しますよ」と店の娘。心が踊った。「では作りましょう」と隣の店へ。「明朝きっかり7時半に持ってきていただかないと長距離バスは7時45分にホテル前を出ます」と私。「大丈夫、一晩で縫わせます。その代わり今全額払ってください」とお母ちゃん。全額支払った私。娘のために客を見つけた母の熱意にほだされた私も、難病にとりつかれた娘のためにきれいな服を買いたい母だった。(彩の渦輪)