長篠落武者日記

長篠の落武者となった城オタクによるブログです。

東寺

2014年03月05日 | 日本史
とうとうとうじへ行ってきました。
とうとう東寺。

その昔、小学館の「少年少女漫画日本の歴史」の人物編で「空海」を読んだ際、曼荼羅を3Dで表したくて立体曼荼羅を作る話がありました。その画の立体曼荼羅が子供心に、なんとも迫力があったのです。

ただ、なんとなくこの歳まで行く機会も無かったのですが、ふと、道中のついでに少しだけ時間が余ったとき、突然頭の中に、
「そうだ、東寺行こう。」
と閃く。

昨年の秋に京都へ旅したとき、城仲間の団にょが東寺はすごく良い、と、言っていたことがずっと気に掛かっていたこともあるかもしれません。

京都駅を降り立つと既に午後3時15分。
拝観系は4時くらいが冬場の開館時間の相場なので効率よく行かねばならない。
のに、うっかり東本願寺側、京都駅北口から出てしまう。

出てから気づく。
『東寺は駅南じゃん!』
頭の中の地図で東寺は近いと思っていたのですが、駅の反対側に降りたためひどく迂回させられる。
歩いて楽勝と思っていたのですが、歩けども歩けども五重の塔が見えない。

働けど働けどなお我が暮らし楽にならざる、ぢっと手を見る。

歩けども歩けども五重塔全く見えず。手を見てる場合では無いので走る。
冬の夕暮れの京都を革靴スーツで左手にコートを抱えて右手に鞄を持ってダッシュする不惑のおっさん。
シュールすぎる画だ、と、自分にツッコミながら時計を見ながら走る。

途中、こんなものを発見。


奈良の大仏を焼いてしまった平重衡がここで法然の受戒を受けた場所だとか。
おお、重衡。
お前も信長くらい開き直ってしまえば良かったものを。そもそも、寺に立て籠もった方が悪いじゃんね、と、平家びいきの私は思う。なにせ、その昔、ちら見した我が家の家系図では平家の落武者となっておりますし、我が家の家紋は丸に揚羽。まぁ、家系図なんて江戸時代くらいに偽造したものだろう、と、思っておりますので信じてはおりませんが、やっぱり平家が気になる。
本ブログタイトルに「落武者」が付いているのは、実はこの先祖の伝承とも引っ掛けていたりします。

と、感慨にふけっている場合ではない。

慌てて東寺がありそうな方角に向けてダッシュ。本当にそこに東寺がある自信はないが、頭の中の地図ではこっち方面だから、と、闇雲に走る。
そしたら、見事に見つけましたよ。教王護国寺。東寺。

※間に合った!

そして、いよいよ拝観しようとして拝観料が800円で腰を抜かしそうになる。
『どえりゃあ高いがや!』
思わず名古屋弁が飛び出そうになる。

が、ここまで来て辞めるわけには行かない。
どうしても私は立体曼荼羅が見たいのだ。だいたい、こんな冬の京都なのに汗だくだし。

そして、寺の中に入り、いよいよ長年の曼荼羅様と御対面。

※当然のことながら堂内は写真撮影禁止。

階段を登り扉を開けると、暗い堂内に外からの弱い光が入り仏像を照らす。
正面に回りこむと、上から覆いかぶさるように見下ろしてくる仏像群。その表情は大変穏やかで、堂内に入り込む光は仏像の荘厳さを醸し出すように計算されているような感じを受ける。
参拝客は皆一様に押し黙り、静かに見上げている。

私もほの暗い中で曼荼羅を立体化した世界を堪能しました。
何度も火災などにあい、空海の時代のものは少ないのですが、不動明王は空海自らが彫ったとも言われているそうで、迫力はすさまじいものがあります。

たまたま護摩木に願いを書けるので、200円払って前厄払いを祈願して「除災招福 家内安全」と記す。
座って文字を書いていると、本当に心が鎮まります。

いつまでも居続けたくなる様な空間。実際、大日如来の前で腰掛けている人もいました。
私もそうしたいのですが、あまり時間がないので、五重塔を見に行く。

京都のシンボルは長く東寺の五重塔だったわけです。
近づいて眺めるとこんな感じ。


美しい。。。
と、見とれながら近づいていくと、ふと、気づく。


『入口・・・?』

通常五重塔は、塔そのものがシンボル化されたものであり、中で何かを行うためのものではないことから入れない、あるいは入っても何もない、と、聞いておりました。
なんだろ、と、思いながら更に近づくと、なんと、五重塔内部が特別公開されてるではないですか!
なるほど、800円はこの金額が込みだな、多分、と、思い至る。

いや、偶然来た京都、突然思い立って入った東寺で、京都のシンボル五重塔の内部が見れるなんて、なんとついているのだ!と、小躍りする。(内心。本当に小躍りしたら通報される。)

内部に仏像が飾ってあり、壁面に空海や恵果などの画が描かれている。はじめてみるんですが、なんか見たことがある。それもそのはず。漫画日本の歴史はこの壁面の肖像画を基に描かれているようで、似ているのです。

塔の心柱も見られるようになっていたり、と、大変素晴らしい。
最後にもう一度立体曼荼羅を見て帰路につくと、なぜだか心が安らいでいる。
今年度は前向きではない仕事を担当することが多かったせいか、心がささくれ立っていたのですが、そのささくれが一気に抜けた感じ。久々に心の平穏を持ちました。
自分ひとりこのようなものを見て、妻に申し訳ない、などと、殊勝な気持ちまで湧いてくる。これは妻にも時間を用意してやろう、と、これまた善人のような慈悲心が湧いてくる。不思議なものです。

ちなみにおみくじをひいたら、吉。
努力に見合う知行を得ることは今はできないが、そのうち見合うからがまんせい、という内容。別に知行を求めているお願いはしてないし、知行をえる、って今時いわれても・・・、と、苦笑。でもまぁ悪い内容では無いので安心。

そして、帰り道。偶然、綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)跡に出会う。


現在はこんな建物に。


これまた日本の歴史にでてくる建物なので、感動。
歩いていて偶然発見だけに喜びもひとしお。

大変素晴らしい東寺。
さすが京都のシンボルだけのことはありました。

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