ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

気仙沼弾丸ツアー(その8=ようやく帰れそう)

2012-05-22 02:42:37 | 能楽の心と癒しプロジェクト
今日は金環日食ということで盛り上がっていましたね~。ぬえもしっかり見ましたよ~。でもその後午前中は稽古をして、午後からずうっと6月に石巻を訪問するための交渉をしていました。大問題が起き、それが解決し。。相変わらずですがお風呂も二日にいっぺんしか入れないような日々が続いています。

さてご報告の続きですが、大島から船に乗って気仙沼市街に帰って来まして、ここで「海をつくる会」の帰宅メンバーとはお別れ。いまだに陸に打ち上げられたまま放置されている巨大な船を見てからタクシーでお帰りとのこと。

ぬえは。。装束のトランクと、もうひとつ、ワカメと昆布が詰まった大きな袋を提げて、一昨日お世話になったネットワークオレンジさんの事務所に挨拶に行きました。ちょうどこちらではピアノとボーカルのコンサートが始まったところでした。被災地にピアノを贈るプロジェクトを展開されているピアニストの方が演奏されていましたが、なんとネットワークオレンジさんの事務所には寄贈されたグランドピアノが鎮座していました! ど。どうやって中に入れたんだろう。

ぬえはご挨拶だけを済ませて気仙沼駅へ。この頃にはワカメと昆布の袋が指に喰い込んで、もう大変でした。指の神経が本当に切れるんじゃないかと思った。。戴き物はありがたい限りですが、ワカメと昆布で指が死ぬとはだ~~れが思ったことでせう。

駅ではやはり電車は止まったままで、再開は未定とのこと。駅の窓口には数人が並んで駅員さんと交渉中でした。これはちょっとヤバいかも。やっと ぬえの順番がまわってきましたが、代行バスはなく、代わりに一ノ関や仙台まで行く路線バスを利用してください、とのこと。乗車券に「不乗」というスタンプを捺してもらって、急いでバス停に行ってみました。ゆ。。指が。。

ああ。。ここでも長蛇の列。。一ノ関までどれくらい掛かるかわかりませんが、1時間では済まないでしょう。立ったままでバスに長時間揺られることを覚悟。。いや、乗れない場合はどうする? ワカメや昆布の袋はどのような運命に。。? …が、バスが到着してみると、意外やみなさん座ることができました。それにしても装束のトランクが車内で邪魔なこと。。やっぱり ぬえのような活動だと鉄路での移動は無理だね~。。つくづく思い知りました。。

約90分掛かって一ノ関駅に到着。ここは ぬえが東北支援に来るきっかけとなった学校公演でも投宿した町です。公演の合間を縫って中尊寺を見に行ったり。。平和で楽しい旅でした。その時とはまったく違う思いでここにまた降り立つとは思いも寄らなかった。なんといっても指が痛い。(__;) 駅の売店でキャスターつきの安物のバッグを買って、ワカメと昆布の袋をここに入れて。。ようやくひと心地つきました。。次は「レイちゃん2」で来よう。。

そうそう、じつはこの春に愛車の「レイちゃん」は「レイちゃん2」に替わりました。じつは3月に伊豆の子ども能の保護者のご家庭からの絵本やおもちゃの支援物資を東松島の仮設住宅に運んだ際に、そのあまりの分量にレイちゃんが悲鳴を上げまして。。なんせ、もう装束のほかにこの物資を積んだら、ぬえ一人しか乗れない。。たまたまこの時は ぬえ一人が先発隊だったもので、これでもなんとか東北訪問はできたのですが、もう運転席に乗ったらそのまま身動きできないほど。。後方視界なんてまったくありませんでした。あ、悲鳴を上げたのは ぬえか。そんなわけで、ワゴン車だった「レイちゃん」はミニバンの「レイちゃん2」にバトンタッチしたのでした~

ともあれ一ノ関から新幹線でようやく東京に帰りました。車では考えられないくらい、あっという間に到着。弾丸ツアーだけあって、翌日は舞台だったのですが、これに臨むためには十分な余裕をもっての帰宅です。が、やっぱり運転もせずに座って帰るというのも、楽チンのようで、なんだかどうにも居心地が悪い。。偉そうに。。

それにしても気仙沼大島。。なんて美しい島でしょう。8月に再訪する話は大島から帰る際にも相談しましたし、ぬえの後に残った笛のTさんも話を進めてくれました。いろいろ不確定な要素もあるようですが、実現すれば素晴らしいものが出来ると思います。美しい島に美しい人々。ぬえが島を離れるとき、姿が見えなくなるまで手を振ってくださった菅原さんの奥様の姿が今も目に焼き付いています。

                                     (この項 了)