銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

万葉恋歌 春色飛鳥

2015年04月17日 | Hの生きる喜び、それは

今日は毎年春、秋とご一緒する朝日カルチャー教室のスケッチ旅行
もう、5年目ともなれば先生や生徒さんとも顔馴染みとなり
緊張する、というより、再会が楽しみになってきました

この日は、行き先が「飛鳥」ということで、私にとってはまさにホーム!
仲間(と言っては失礼ですが)と田舎に帰るような気分でした

菜の花と橘寺

飛鳥は千年以上の歴史があり、
うんたらかんたら・・・と歴史について話せばキリがないはず
さらには、興味のない人にとっては退屈この上ない話題
私もそのひとり・・・
そんな時、昨日、高見の郷(東吉野)にご一緒したお客様の中に
「私、万葉集が好きでね、昔は飛鳥に毎月来てたのよ」
とお話しされているのをふと思い出しました

あの時代は古墳にしても遺跡にしても言い伝えとされていることがほとんど
日々史実は塗りかえられ、新しい事実が判明し
真実はほぼベールに包まれているような時代でした

そんな中で、確かなもの、それは“和歌”なんだと
万葉集におさめられている歌、それは紛れもない真実で
古代における、最も信憑性の高い事実

よし、和歌と共に飛鳥をめぐってみよう!
と一夜漬けで和歌を調べて望みました

奈良をうたった一番有名な歌

 あをによし 奈良の都は 咲く花の
   薫(にほ)ふがごとく 今盛りなり

平城京が710年に出来てその20年後の歌
絢爛と咲く花のように、奈良の都は今まさに栄えているよ、と
都の繁栄を謳歌している歌です

人でいえば20歳というと、気力体力が充実し
夢と希望に満ちあふれた歳 まさにその状態の都です

ところが、この数十年後には奈良の都は滅び、京へと遷ります
栄枯盛衰 それは人も同じ

「花は盛りに 月は隈なきを 見るものかは」

そう歌われたように、なにも絶頂期が一番いいのではありません
盛りを過ぎ、ちょっと弱った、あるいは何か少し欠けている
そんな時こそ、花も月も都も、真の見どころがあるというのです
都も旧都になって、はじめて味わいが出てくる

それは、もちろん人間も同じ
歳を重ねれば重ねるほど、人としての深みがまし
真の良さが生まれてくるのです
20代が全てではない!そんなことを万葉人は悟っていたのです
何だか、勇気づけられます

今日訪れた明日香は 都の面影を偲ばせますが
今その栄華を感じることはもはやなく
今は穏やかな風がやさしく吹きぬけるのみ

 采女の 袖吹きかへす 明日香風
  京と遠み いたづらに吹く

明日香繁栄の時代、采女たちの袖をあでやかに吹き返した明日香風
しかし、二度と明日香にその艶やかな時代が戻ってくることはありませんでした
でも、失うことで永遠に残るものがあります
この歌とともに、明日香は永遠の旧都になったのです

奈良は千年以上前の風景がそのまま残る地です
今私たちが見ているこの同じ風景を1,400年前の万葉人も眺め
おおらかに歌い上げている!

人の心の綾から歴史を感じとる、なんて粋じゃないですか??

飛鳥だからこそ、それができるのです

ちょっとかじってみた和歌がこんなに奥深いものだとは!
今夜は万葉の時代に思いを馳せて、私も一句・・・

菜の花と 心をゆらす 明日香風

お粗末様でした

追記
万葉人は、「恋」を「孤悲(こひ)」と詠んでいたそうですよ
成就しないものこそ恋
恋は成就すると、もはや恋ではなく、歌も残らない
失うことで永遠に残るものがある
く~ 万葉人、しびれること言ってくれますね

 

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