【大飯原発3号機再稼働・臨界へ】
1日夜、およそ1年3か月ぶりに原子炉が起動した
福井県にある関西電力大飯原子力発電所3号機は、
作業が予定どおり進めば、2日午前6時ごろに核分
裂が連続して起こる「臨界」に達する見通し。国内
で長期間止まった原子炉を動かすのは、去年3月の
東京電力福島第一原発の事故のあと初めて。大飯原
発3号機では、1日午後9時に牧野経済産業副大臣
や地元おおい町の時岡忍町長の立ち会いのもと、運
転員が原子炉の制御棒を引き抜くためのレバーを操
作し、およそ1年3か月ぶりに原子炉を起動。国内
の原発は、5月から50基すべてが運転を止めてい
たが、長期間止まった原子炉を動かすのは、去年3
月の福島第一原発の事故のあと初めて(NHK)。
尚、3号機を1年間フル稼働すれば広島型原子力爆
弾1,180発分相当の使用済み核燃料を排出する。
【漂流する核廃棄物】
原子力委員会の依頼で、日本学術会議(会長・大西隆東大大
学院教授)が解決の糸口を探るため二年前に議論を開始。だ
が今月上旬に出した結論は、地下深くに埋める現行の処分方
針では安全性の確保も受け入れ先を見つけるのも難しく、方針
転換が必要との内容で、一から考え直すことを提起した。近く
報告書をまとめるが、将来に負の遺産をつけ回す原発の最大
の問題点があらためて浮かんだ。
毎時1500シーベルト(1505万ミリシーベルト)と人がわず
か20秒で死に至る放射線を放つ高レベル放射性廃棄物は、
処分がやっかいだ。国は2000年に関連法を制定し、廃棄物
をガラスで固め、地下三百メートル以上の地層に埋める「
地層処分」方式を採用した。しかし、処分場の受け入れ先
はまったくめどが立っていない。何とか打開策を見いだそ
うとした原子力委は10年、学術会議に知恵を出してもらう
よう頼んだ(内閣府:日本学術会議)。
核のごみの放射線レベルが十分に下がるまでには約十万年
という想像もできないような時間がかかる。日本はもとも
と地震や火山活動が活発なことに加え、議論を始めた後、
東日本大震災が発生し地殻変動も活発化している。検討委
は、そんな現実の中で、10万年間安全だと説明しても住民
の理解は得られないとみて、地層処分からの方針転換を議
論。50~数百年にわたって暫定的に貯蔵し、その間に抜本
的な解決策を探る、と先送りの案も浮上した。「将来世代
にごみを送り続けるのは現代人のエゴだ」「未来の人類の
知恵にすがらなければ、最終的な決定ができないとわれわ
れの限界を認めなければならない」今月7日の検討委でも
さまざまな意見が出た。結局、一致したのは、地層処分で
は住民理解は進まず、行き詰まりは解消されない-という
ことだった。検討委は8月下旬にも報告書をまとめ、原子
力委に提出する予定。検討委員長の今田高俊東京工業大教
授(社会システム論)は「脱原発を進めても核のごみ問題
の議論は避けられない。われわれの検討結果が、国民的な
議論を呼び起こすことを期待している」と話している。
「東京新聞」2012年6月18日 07時04分
【エピソード】
最終処分方法がないものを使うという原発は「無免許運転」と同
じだ(だからいくらコスト計算で安いとはじき出しても、それは虚
構にすぎない)。
政府は早急に(1)衆参を同時解散し、総選挙を実施するか(2)
原発稼働方法めぐって国民投票するかの二者選択を決定すべ
きすべきだ
【脚注及びリンク】
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・「世界はどのように「核のゴミ」を処理しているのか」
・「大飯発電所」ウィキメディア
・「滋賀県と京都府、大飯原発再稼働について物申す」
・「若狭湾沿岸における天正地震による津波堆積物調査に
ついて」2011.12.27
・「大飯原発のある若狭湾には、701年の大宝年間に40メ
ートル超の大津波が押し寄せた.」
・「真名井神社」
・「若狭湾津波「詳細な調査を」=関電の土壌公開で専門
家」2012.1.10
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