びわます賛歌 P.2

2011年10月09日 | びわます賛歌

 

 

 Blanklax, Iduns kokbok.jpg

 【まずはサケ科魚類の生態】

どうもビワマスとサクラマス、それとアマゴの
分類については論争の最中であって、ビワマス
研究の目的は、分類上の位置付より、水産資源
として重要なビワマスを増やすために必要な生
態などの基礎的な知見を明らかにすることにあ
ることに異議はない。

一般的にサケは川で産まれ海に下る。海で数年
かけて大きくなり、また産まれた川に戻り(母
川回帰)産卵した後死亡する。魚種によって回
帰性には差があり、マスノスケ、べニザケは回
帰性が強いとされ、支流まで突き止め遡上する
が、シロザケやカラフトマスは回帰性が比較的
弱く川を間違え遡上し「迷子ザケ」になる。回
帰性が有るため、同じ魚種でも母川あるいは海
域で遺伝的特性が異なる。多くの種は一度の産
卵活動で息絶えるが、ニジマス、イワナ、イト
ウなどは数年に渡り複数回の産卵活動に参加す
る。



シロザケなどでは孵化・浮上後直ちに降海する
が、サクラマス、ベニザケ、マスノスケ、ギン
ザケなどでは一定期間を淡水で過ごし、ある程
度成長した個体がスモルト化すると降海し海洋
生活を送る。降海の目的は海洋の豊富な餌を捕
食することで、より大きな体となり淡水で成熟
した個体より多くの卵を産卵することにある。
つまり、海洋での生活は必須ではなく淡水でも
成熟し繁殖活動を行う。従って、通常は降海す
る魚種でも何らかの原因で陸封(河川残留)さ
れた場合は、淡水中でも成熟し産卵を行う。

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イトウ属、イワナ属(サルベリヌス属)、サケ
属(タイヘイヨウサケ属、オンコリンクス属)、
タイセイヨウサケ属(サルモ属)、アカントリ
ングア属、カワヒメマス属(グレイリング属、
テュマルス属)、コレゴヌス属(コクチマス属
、ワカソ属)、サルモティムス属、ステノドゥ
ス属、ブラキミスタクス属、プロソピウム属(
ラウンドホワイトフィッシュ属)の11属、約66
種以上に分類される。9属68種説もある。
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【カラフトマスの生活史】

カラフトマスは、分布域がサケとほぼ重なって
いるが、産卵のために河川に遡上するのは日本
では北海道に限定されている。生態もサケに近
いが、孵化して川に泳ぎ出すとただちに海に下
り、河川でほとんど餌をとることもないことか、
河川には産卵のためにのみ遡上してくる。また、
体側にはパーマークも表れないことや、ほとん
どの個体が生まれて2年で規則的に成熟するこ
と、母川回帰の性質がサケほど強くなく、産卵
場が河川の下流域に形成されることなどサケと
の違いがある。成熟した親の体長は30~50mで、
産卵数は千~二千粒である。米国の五大潮には
移植されたものが繁殖しているが、この他には
淡水域で成熟産卵している例は知られていない。
本種もまた産卵後は雌雄ともにすべて死んでし
まうという。

【サクラマスの生活史】

サクラマスは、日本海を中心にオホーツク海か
ら東北の太平洋沿岸など日本が分布の中心とな
っている。サクラマスは、形態的にアマゴやビ
ワマス、さらに台湾に生息するサラマオマスと
近縁で、この4種はサクラマス群と呼ばれるこ
とがある。雄の多くは河川で生活し、生まれて
1年目から3年目に成熟して産卵に参加する。
雌では、孵化後1年半から2年半経過した春期
に主に体長約9~14cmで海に下るものがある。
河川に残って生活するものは、ヤマメと呼ばれ
ている。降海し むた個体は、約1~2年間沿
岸近くで生活して体長30~70mに成長して河川
に遡上し、8月から11月に比較的上流で産卵す
る。産卵数は千~五千粒と親のサイズによって
大きく異なっている。海で大きく育った親は産
卵後に死亡するが、河川で生活し成熟したヤマ
メでは、産卵後も生き残り翌年に再度産卵する
個体もある。



【イワナの生活史】

サケ属の仲間ではないが、琵琶湖周辺の河川の
最上流域にも生息。本種の仲間は北半球に広く
分布しており、サケ属の魚よりさらに冷水に適
応している。日本での分布は、北海道から本州
の紀伊半島までで、琵琶湖周辺に生息するイワ
ナは南限のイワナと言えるものである。生息域
は夏の水温が約15℃以下の河川の上流域で、親
の体長は約20~30mである。産卵は11~12月に
行われ産卵数は数10~千粒程度とやはり親のサ
イズによって大きく異なっている。雌雄とも産
卵後も死ぬことはなく、何年も生き残って30cm
以上に大きくなったイワナが淵などで釣られる
ことがある。



北海道など北部に生息する「アメマス」と呼ば
れるイワナには、体長15cm以上になってから体
色が銀色に変化し海に下って生活
する個体が出
現するが、降海する性質はサクラマスほど強く
ないとのこと。日本に生息するサケ属の代表的
な3種およびイワナ属―種の生態を比較すると
同じサケ科の魚でも種によってその生態はかな
り異なっているらしい。どの種も河川で産卵が
行われることは共通しているが、卵から孵化し
て川に泳ぎ出して後の生活にさまざまなタイプ
が見られる。

【エピソード】

 

【脚注及びリンク】
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1.「淡水魚辞典 サケ科
2.「WEB魚図鑑 硬骨漁網 サケ科

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