【まずはサケ科魚類の生態】
どうもビワマスとサクラマス、それとアマゴの
分類については論争の最中であって、ビワマス
研究の目的は、分類上の位置付より、水産資源
として重要なビワマスを増やすために必要な生
態などの基礎的な知見を明らかにすることにあ
ることに異議はない。
一般的にサケは川で産まれ海に下る。海で数年
かけて大きくなり、また産まれた川に戻り(母
川回帰)産卵した後死亡する。魚種によって回
帰性には差があり、マスノスケ、べニザケは回
帰性が強いとされ、支流まで突き止め遡上する
が、シロザケやカラフトマスは回帰性が比較的
弱く川を間違え遡上し「迷子ザケ」になる。回
帰性が有るため、同じ魚種でも母川あるいは海
域で遺伝的特性が異なる。多くの種は一度の産
卵活動で息絶えるが、ニジマス、イワナ、イト
ウなどは数年に渡り複数回の産卵活動に参加す
る。
シロザケなどでは孵化・浮上後直ちに降海する
が、サクラマス、ベニザケ、マスノスケ、ギン
ザケなどでは一定期間を淡水で過ごし、ある程
度成長した個体がスモルト化すると降海し海洋
生活を送る。降海の目的は海洋の豊富な餌を捕
食することで、より大きな体となり淡水で成熟
した個体より多くの卵を産卵することにある。
つまり、海洋での生活は必須ではなく淡水でも
成熟し繁殖活動を行う。従って、通常は降海す
る魚種でも何らかの原因で陸封(河川残留)さ
れた場合は、淡水中でも成熟し産卵を行う。
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イトウ属、イワナ属(サルベリヌス属)、サケ
属(タイヘイヨウサケ属、オンコリンクス属)、
タイセイヨウサケ属(サルモ属)、アカントリ
ングア属、カワヒメマス属(グレイリング属、
テュマルス属)、コレゴヌス属(コクチマス属
、ワカソ属)、サルモティムス属、ステノドゥ
ス属、ブラキミスタクス属、プロソピウム属(
ラウンドホワイトフィッシュ属)の11属、約66
種以上に分類される。9属68種説もある。
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【カラフトマスの生活史】
カラフトマスは、分布域がサケとほぼ重なって
いるが、産卵のために河川に遡上するのは日本
では北海道に限定されている。生態もサケに近
いが、孵化して川に泳ぎ出すとただちに海に下
り、河川でほとんど餌をとることもないことか、
河川には産卵のためにのみ遡上してくる。また、
体側にはパーマークも表れないことや、ほとん
どの個体が生まれて2年で規則的に成熟するこ
と、母川回帰の性質がサケほど強くなく、産卵
場が河川の下流域に形成されることなどサケと
の違いがある。成熟した親の体長は30~50mで、
産卵数は千~二千粒である。米国の五大潮には
移植されたものが繁殖しているが、この他には
淡水域で成熟産卵している例は知られていない。
本種もまた産卵後は雌雄ともにすべて死んでし
まうという。
【サクラマスの生活史】
サクラマスは、日本海を中心にオホーツク海か
ら東北の太平洋沿岸など日本が分布の中心とな
っている。サクラマスは、形態的にアマゴやビ
ワマス、さらに台湾に生息するサラマオマスと
近縁で、この4種はサクラマス群と呼ばれるこ
とがある。雄の多くは河川で生活し、生まれて
1年目から3年目に成熟して産卵に参加する。
雌では、孵化後1年半から2年半経過した春期
に主に体長約9~14cmで海に下るものがある。
河川に残って生活するものは、ヤマメと呼ばれ
ている。降海し むた個体は、約1~2年間沿
岸近くで生活して体長30~70mに成長して河川
に遡上し、8月から11月に比較的上流で産卵す
る。産卵数は千~五千粒と親のサイズによって
大きく異なっている。海で大きく育った親は産
卵後に死亡するが、河川で生活し成熟したヤマ
メでは、産卵後も生き残り翌年に再度産卵する
個体もある。
サケ属の仲間ではないが、琵琶湖周辺の河川の
最上流域にも生息。本種の仲間は北半球に広く
分布しており、サケ属の魚よりさらに冷水に適
応している。日本での分布は、北海道から本州
の紀伊半島までで、琵琶湖周辺に生息するイワ
ナは南限のイワナと言えるものである。生息域
は夏の水温が約15℃以下の河川の上流域で、親
の体長は約20~30mである。産卵は11~12月に
行われ産卵数は数10~千粒程度とやはり親のサ
イズによって大きく異なっている。雌雄とも産
卵後も死ぬことはなく、何年も生き残って30cm
以上に大きくなったイワナが淵などで釣られる
ことがある。
北海道など北部に生息する「アメマス」と呼ば
れるイワナには、体長15cm以上になってから体
色が銀色に変化し海に下って生活する個体が出
現するが、降海する性質はサクラマスほど強く
ないとのこと。日本に生息するサケ属の代表的
な3種およびイワナ属―種の生態を比較すると
同じサケ科の魚でも種によってその生態はかな
り異なっているらしい。どの種も河川で産卵が
行われることは共通しているが、卵から孵化し
て川に泳ぎ出して後の生活にさまざまなタイプ
が見られる。
【エピソード】
【脚注及びリンク】
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1.「淡水魚辞典 サケ科」
2.「WEB魚図鑑 硬骨漁網 サケ科」
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