地域循環共生圏概論⑭

2020年08月14日 | 防災と琵琶湖


作成日:2020.08.14|更新日:2020.08.17
地域循環共生圏概論⑭:事業継続計画(BCP)編



 
エネルギーの地産地消が理想

今回も、環境ビジネスの夏季号の特集"災害にも負け
ない企業経営・体質を持つBCP実践企業”の事例を研究
してみよう。今回は、7年前『浜松市エネルギービジ
ョン』を策定。“エネルギーに対する不安のない強靭
で低炭素な社会『浜松版スマートシティ』の実現を目
指し、官民一体となって独自のエネルギー政策を進め
てきた浜松市の事業。今年4月、エネルギービジョン
を改定し、取組み推進を図る最新動向と展望を学ぶ。


 
目標は電力自給率100%
15年前に12の市町村が合併し、市町村別面積で全国
2位の広さを持つ浜松市。広大な市域には、都市部、
郊外の工業地帯、郊外の住宅地、中山間部と様々な特
性を持つ地域があり、全国の市町村が抱える課題を凝
縮した新しいタイプの大都市、“国土縮図型政令指定
都市"の側面を持つ。その浜松市がエネルギー政策に力
を入れ始めたきっかけは東日本大震災!震災翌年の4
月に『新エネルギー推進本部』を設置し、2年後、エ
ネルギー政策を行政だけでなく市民や事業者とオール
浜松で進めるためのグランドデザインとして『浜松市
エネルギービジョン』を策定。その構成は、『スマー
トシティ』を実現するための4つの住として、

①エネルギー自給率を高めるく再生可能エネルギー等
の導入〉
②低炭素社会を実現する〈省エネルギーの推進〉
③エネルギーを最適利用する〈スマート化の推進〉
④地域経済を活性化するく環境・エネルギー産業の創
造〉

を掲げる。浜松市エネルギー政策は、4本住を基本に
それに関係する事業を展開。エネルギービジョンを大
きく変化していく。これまでの取り組みの実績、成果
をもとに更なる取り組み推進を目指し、今年4月にビ
ジョンの改定----2050年度の電力自給率100%を目標
を設定 ➲二酸化炭素排出実質ゼロ、『浜松市域“RE
100"』の実現➲その肝は「地産地消のエネルギーシス
テム」

 分散型エネルギーの地産地消
浜松市の調べでは、市の利用可能な再エネポテンシャ
ルは52.9%。既にある大・中水力発電量46.6%と足す
と約100%となり、エネルギーの完全自給自足も可能。
日照時間が全国トップクラスの浜松市は、太陽光発電
の最適地。①行政は住宅屋根への設置支援、②メガソ
ーラーの建設・誘致、公共施設への設置、③支援拠点
の整備、④金融支援などを手がけ、太陽光発電の導入
推進を進めている➲現在、10kW以上の導入件数と
出力の設備導大量は全国一、である。




広い市域に分散する再エネを市内の需要家に届けるた
め、15年には浜松新電力を設立。電力を地域で創り
地域で使う“分散型エネルギーの地産地消システジの
構築へ向け、大きく前進。

「民間事業者と協働で、スマートシティの担い手とな
る新電力を設立し、地域で生まれた再エネを、公共施
設や民間施設に供給している。こうした取り組みは、
当時、政令市では初の試み」(担当責任者談)

自立・分散型エネルギーシステム構築事業として『浜
松市マイクログリッド事業』が進んでいる。同事業で
は、市内の隣接する公共施設間を一括受電化し、8つ
のグリッドを形成。各グリッドに太陽光発電設備と蓄
電池、エネルギーマネジメントシステムを導入するこ
とで、二酸化炭素削減すると共に災害時の停電の際に
施設の照明やコンセントヘ太陽光発電や蓄電池から電
力供給を継続し、施設が必要とする最低限の電力を賄
う。事業実施場所の提供・調整を市が行ない、中都電
カミライズグループの㈱シーエナジーがエネルギーサ
ービスの提供を、浜松新電力が余剰電力の融通を担当。
☈ ㈱シーエナジーと浜松新電力が協力し、最適なエ
ネルギーマネージメントで、各グリッドで発生する太
陽光発電の余剰電力をグリッド間で融通し、太陽光発
電の電力を無駄なく使い切る取り組み。

「グリッド化には資金面をはじめ、スキーム、規制な
ど、課題がまだ多くあります。こうした事業に取り組
むことで、課題を洗い出し、内々で解決できない法的
な課題に関しては、積極的に国に投げかけていくこと
も重要だと考えている」(同上担当者)
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❶災害に強いまちづくり
●方針:都市防災の推進
都市の防災化を図るためには、用途地域や開発行為指
導等に基づいた適正な土地利用を推進するとともに、
都市基盤を整備し、都市環境の向上を図る必要があり
ます。また、近年、従来の想定を上回るような災害が
多発していることから、あらゆるリスクを見据えつつ
都市の代替性や多重性を高め、どんな事が起ころうと
も重要な機能が機能不全に陥らず、迅速な復興を可能
とすることが重要です。
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 地域に合ったエネルギー政策を
『スマートシティ』の実現に向け、15年に『浜松市
スマートシティ推進協議会』を設立、浜松市長を会長
に現在約160社が会員として登録している。協議会の会
員で組織するスマートプロジェクト研究会では、国土
縮図型都市の多彩なフィールドから4研究エリアを設
定。①都市部モデル、②生活圏モデル、③中山間モデ
ル、④郊外住宅街モデルとして各エリアでプロジェク
トを進めている。



「エネルギー政策に間しては、地域によって様々に状
況が違う。。エリア別のほか、下水熱、データ活用、
VPP(バーチャル・パワー・プラント)の3テーマでの
研究も進んでいる」(同上担当者)。

『スマートシティ』の実現、電力自給率 100%『浜松
市域“RE100"』が、 エネルギー政策の目指すと
ころ。一方で、 再エネ拡大の裏側には適正管理の必要
がある。行政としては、その両面をしっかりと政策
誘導していくことが重要。持続的な仕組みの構築は、
新しいビジネスチャンスにも繋がりる。基本的には民
間主導で、 行政としては規制緩和と政策誘導に力を入
れていく。そうした役割分担のなかで、しっかりと政
策を進めていくことが大切であると言う。

✔  地域に即した様々な地域に合ったカタチで進めて
いくためのプロジェクトを16年から民間事業者と協
力して行いくことが肝要だと話している。そこで、琵
琶湖由来の世界最大の水力発電システム構想も、1つ
のアイデアかもしれない。また、安倍川水力発電所
---発電出力7,500kWの流れ込み式水力発電所で、2024
年12月の運転開始----のように、発電出力7,500kW の
流れ込み式水力発電所で開始しているが大規模水力発
電所だけでもないだろう。水力発電でいえば、小型水
力や砂防ダムに直接穴を開けて水を引き出す長野県の
高井発電所、または新潟県の上結東水力発電所の導水
方式の小規模発電、水道の圧力差エネルギーを利用す
る小水力発電
など画一的でなく、多様な最適水力発電
ステーションネットワーク形成構想もおもしろいと考
える。
                 この項つづく

【エピソード】



【脚注及びリンク】
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  1. ESG地域金融』で地域を元気にする 環境ビジ
    ネス
  2. 『環境ビジネス 2020年夏季号』
  3. 滋賀県に根づく『三方よし』の経営を実現,
    環境ビジネス,2020年冬季
    号   
  4. 環境への取り組み CSR(企業の社会的責任)
    佐川急便株式会社
  5. 気候変動が生む、新たな「アパルトヘイト」,
    GNV,2019.12.15
  6. 滋賀県出身の人物一覧  Wikipedia 

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