三方五湖(みかたごこ)は、福井県三方郡美浜町と同県三
方上中郡若狭町に跨って位置する五つの湖の総称。国指定
の名勝で、若狭湾国定公園に属する。2005年11月8日付で
ラムサール条約指定湿地に登録されている。湖の周囲には
梅畑が広がる景勝地。三方五湖は五つの湖で構成されてお
り、五つの湖はすべてつながっている。日本列島の気候や
植生を何万年前より記録しており、また、日本海の海洋環
境の変化を湖底に記録しているとして、湖底の堆積物を採
取するためのボーリングが1980年11月に三方湖東南部(水
深1.5メートル)の北緯35度33分32秒、東経135度53分40秒
の地点で行われた。採取した堆積物から花粉、珪藻などの
微化石、あるいは植物遺体を検出した。過去5万年間の記
録を保管していることが分かった。ボーリング地点から南
に1キロほどのところに鳥浜貝塚がある。
五つの湖は淡水・海水・汽水とそれぞれに違った性質を持ち、
また同じ汽水湖でも日本海に直接つながっている久々子湖と
一番奥にある菅湖、中間の水月湖ではそれぞれ海水と淡水
の比率が違っている。そのため梅丈岳(三方五湖レインボーラ
イン展望台)から見える景色は、五つの湖がそれぞれに違った
青色をして見えるのである。比較的大きな川は三方湖に流入
する川(「はす」は魚偏に時)のみである。そのほかは小さい川
が多数流入している。若狭湾へ流れ出る川は久々子湖・日向
湖に繋がった運河のみである。
水月湖は二重底の湖としても知られている。湖水上部(水
深0~6m)は淡水、下部(水深7-40m)は硫化水素を含む無
酸素の汽水となっている。水路工事の結果、三方湖からは
淡水、久々子湖からは汽水が流れ込むようになり、淡水に
比べ重い汽水は湖底に滞留するようになった。この状態で
湖の表面に強風が吹いても表層の淡水が攪拌されるのみで、
湖底の汽水は滞留したままである。この結果、下部の汽水
は空気に触れることが無く、表層の酸素を含んだ淡水と混
じり合うことも無いために、有機物分解によって酸素が消
費し尽くされてしまい、2006年時点では硫化水素を多量
に含んだ無酸素状態となっている。なお、上下湖水の境界
付近では、下部湖水の硫化水素を上部湖水に含まれる酸素
で酸化させ、その時に発生するエネルギーを利用して生き
る特殊なバクテリアが生息している。
【エピソード】
三方五湖の景観の特色は、低いゆるやかな丘陵性の山々を
湖の周囲に巡らし、温和で素朴な情緒があふる。車で「レ
インボーライン」を通って、標高397メートルの梅丈岳(
ばいじょうだけ)山頂に登ると三方五湖が一望。最近は足
を運ぶことがないが、泊まりがけで、温泉につかりに虹岳
島荘に訪れたものだった。
【脚注及びリンク】
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1.三方五湖レイククルーズ
2.虹岳島荘
3.私が素敵と想うもの
4.ラムサール条約湿地「三方五湖」
5.三方五湖と寛文大地震
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