重荷な下水道事業過剰投資

2010年10月20日 | 日誌

 


【下水道事業の会計破綻】

 

全国の市町村などの下水道事業で発行
された企業債(地方債)の残高が、09
年度末で旧国鉄の債務に匹敵する約31
兆円に達していることが総務省のまと
めで分かったという。詳細なデータが
公表されている08年度分を毎日新聞が
集計すると、原則通りに経費を住民の
使用料だけで賄えている市町村は1割
しかない。



バブル経済崩壊後の景気対策として急
速に整備を進めたが、今後は計画時の
予想より料金収入が伸び悩んだまま人
口減社会へ向かうため、自治体財政の
アキレスけんとなりそうだという。

下水道事業は公立病院、市バスなどと
同様の地方公営企業で、それぞれ特別
会計が組まれている。総務省がまとめ
た地方公営企業決算概要によると、全
国で3,633事業。地方公営企業の中で
最大の事業で、09年度の企業債発行額
1兆6,724億円、新設・改修などの建
設投資額が1兆8,988億円と、いずれも
全地方公営企業の半分
を占める。

企業債残高も31兆2,656億円で、全地方
公営企業の残高総額 54兆9,824億円の
57%に達する。09年度の単年度収支は
1,176億円の黒字だが、料金収入は1兆
4,635億円で、それ以上の1兆8,628億円
を一般会計から繰り入れることで黒字
化している



さらに、08年度分のデータを基に、全
市町村の7割にあたる1,178市町村が
都市部で実施する下水道事業について、
経費(元利償還と維持管理費)のうち
使用料で賄えている割合を見ると、
%超はわずか1割。逆に2割は、元利
償還を除いた日々の汚水処理費も賄え
ていなかった


国土交通省と総務省は市町村に対し、
将来世代にツケを回さないための経営
改善計画の策定を要請
。人口減を踏ま
えた建設計画の縮小や、使用料の適正
化などを促しており、各地で値上げが
相次いでいる。ただ、経営改善計画の
策定率は65%にとどまるという。

国交省は「下水道は処理場建設など初
期投資が多額で、長期間かけて使用料
で回収するが、相当期間経営しても経
費回収率が低い自治体が多いのは事実」
と説明している(※毎日新聞)。



単純な解決方法は、下水道使用料金を
5倍以上値上げすることだ。全国平均
122円/m3 ×5 ≦ 610円/m3なる。
また、国家予算額が88兆円及び自治体
全体の公債費を除く歳出総額66兆円
から、約35%、47
%を占めることとなる。

国の借金(2010.10.20 13:10現在)

    904兆 773 億4,781 万 7,902円

これは驚くべき数字で、これまで、関
連企業や官僚や公務員の一部がいかに
ずさんな計画を立て、その裏で甘い汁
を吸っていたかという批判が聞こえて
きそうだ。思えば、わたしたちの運動
は下水道には素人だったが、その当時
の推進技官たちの技量を既に越えてい
ことの確信になる。また、今回は「
過剰計画」という側面が白日に曝され
ることにはなったが「処理機能の最適
化」「処理システムの最適化
」という
計画の質的側面では、これからも長い
時間をかけて検証されていくことにな
ることを再確認した記事でもある。

 

 琵琶湖流域別下水道整備総合計画」の概要

区分

琵琶湖流域下水道

湖南中部処理区

湖西処理区

東北部処理区

高島処理区

計画処理面積

約29,227ha 約3,543ha 約13,645ha 約2,443ha

計画処理人口

約878千人 約149千人 約396千人 約51千人

計画処理水量

約788千立方m/日 約117千立方m/日 約371千立方m/日 約39.6千立方m/日

排除方式

分流式(汚水と雨水に分けて処理する方式)

管渠延長

約189Km 約16Km 約151Km 約27Km
中継ポンプ場 7箇所 3箇所 6箇所 4箇所
浄化センター敷地面積

(位置)
約63.7ha 約11.1ha 約64.1ha 約7.5ha
草津市矢橋町字帰帆2108番地 大津市苗鹿三丁目および同市木の岡町地先 彦根市松原町、同市宮田町および米原市磯地内 高島市今津町今津および同市新旭町饗庭地先

関係市町

9市3町 1市 4市8町 1市
大津市(旧大津市)
近江八幡市
草津市・守山市
栗東市・甲賀市
野洲市・湖南市
東近江市・安土町
日野町・竜王町
大津市(旧大津市、旧志賀町) 彦根市・長浜市
東近江市(旧湖東
町、旧愛東町)
米原市・愛荘町
豊郷町・甲良町
多賀町・虎姫町
湖北町・高月町
木之本町
高島市
(計画処理人口には観光人口は含まない)