ビオトープ考Ⅲ

2010年04月08日 | ビオトープ




【ビオトープⅠでの疑問】


「考察の途上だけれど、緑信仰というものがあ
るかどうかしらないが、緑に囲まれていれば安
心とか、趣味や造園業の延長でビオトープがあ
るわけではない。つまりは、対象環境領域での
物質収支(material balance sheet)とかエネルギー
収支(energy balance sheet)の科学的裏付け、数
値化されていなければ「ビオトープ」運動とし
ての意味は薄れる。それこそ事業仕分けの対象
になるのではと危惧する」として注釈したが、
具体例の一部になるデータがあったので掲載す
る。
 
 伊藤園 大規模茶園化構想

株式会社伊藤園(社長:本庄八郎 本社:東京都
渋谷区)は、茶の木(茶樹)の植物としての二
酸化炭素(CO2)の吸収・固定に着目し、その吸
収・固定量の測定を行ったという報告(2008年
11月26日(水)に鹿児島県市町村自治会館で開
催、茶業技術研究発表会)。

それによると、2001年より、飲料用原料に適し
た緑茶(荒茶)を生産する茶産地育成事業を九
州地方中心に展開(契約栽培茶園を含めて約540
ヘクタール)。茶の木(茶樹)が吸収・固定す
CO2の量を実際に数値化した事例がないので、
実際の茶樹を用いて茶樹に吸収および固定され
CO2量を測定し数値化した。その結果、茶樹
の成木と幼木それぞれの地上部と地下部の乾物
重量を測定、各部の炭素率から炭素含有量を計
算し、成木と幼木の炭素含有量の差から茶樹の
CO2吸収・固定量を算出。茶樹1株あたりのCO2
吸収・固定量は約5キログラム(換算値)。
般的に10アールあたり約1,850株の茶樹が植えら
れることから、1ヘクタール当たり約92トン
CO2を吸収・固定するとされる。



今回の研究では、茶樹のCO2吸収・固定量だけ
だが、摘採した茶葉には炭素として固定た茶葉
以外の放置茶葉のCO2が吸収・固定。茶園の土
壌の有機物の施用や整枝、剪枝による炭素が固
定、茶園の造成から摘採、荒茶の生産に至る過
程での、CO2の吸収・固定だけでなく排出につ
いても明確化していくという。

 グリーンパネル

Ⅱ ビオトープの基本

❹ 外来種の取り扱い

2004年「特定外来生物による生態系などに係る
被害の防止に関する法律」に係わる事項。罰則
規定があるので要注意。

❺ 生きものとつきあう準備と心構え

アシナガバチ

道具類、服装、危険な生物に対する対策(毒蛇、
スズメバチ、アシナガバチ、毛虫)等。

❻ 活動に際しての注意事項

活動計画、安全対策、トイレ等。



Ⅲ 設計・施工・手入れと育成管理

(1)対象地の現状把握と育成の方向性

❶ ビオトープネットワーク
❷ 育成管理の方向性

(2)設計・施工・手入れと育成管理

❶ 垣根・軒先
❷ アプローチ・パーキング
❸ ビオトープ池
❹ 野鳥・蝶・甲虫類の集積林
❺ 蝶や蜂が飛び交う在来種の集積花壇 
❻ 食物連鎖で生態系を形成する菜樹
❼ 草地植生の育成管理
❽ 壁面ビオトープと草屋根
❾ 学校生活全体のビオトープ

尚、「ビオトープ池」については別途考察して
みたい。



Ⅳ 里地里山のビオトープ

(1)自然環境の把握



準備するものは、1/2500~1/5000の地形図と筆
記用具。密生化した低木の技葉が展開してから
では、里道や活動対象地、植生や棚田跡、流れ、
溺水地の位置が判別しづらくなるため、低木類
が枝葉を展開するまでに行う。年記には雨水や
朝露で溶ける水性ぺンを避け、鉛筆や油性ボー
ルペンなどを使う。

  群落組成調査

❶ 里道の確認

Pueraria lobata ja02.jpg クズ
 
里山に入る道として、かつてのユ山の道「里道」
を探す。低木やササ、クズの繁茂、落葉落枝の
堆積などで消失しかけていることが多い。この
ような場合、帯状にササや低本の茂り方が弱い
ところを歩いていくと里道が見えてくる。

❷ 位置の確認


地図上での活動対象地の位置を確認する上で目
印になるのは、送電線や鉄塔、民家、渓流など
である。これらを現地で確認し、その位置を地
形図から読み取り印を付ける。この印を基点に
歩測(※)や巻き尺を使って現地までの距離を概
測し、対象地の位置を地形図に印す。最近では
インターネットの検索サイトから空中写真が公
開されているので参考にする。

コナラ.JPG コナラ

❸ 植生区分

現地の地図をもとにコナラ林、クスギ林、アカ
マツ林、竹林、スギ、ヒノキ林、ススキ草地、
ヨシ群落などに区分けする。つぎに、群落毎に
高木層から草木層までを階層区分し、それぞれ
の階層毎に優占種とその樹高と植被率がわかる
植生断面図を作成する。これが基本図となる。
ススキ草地は草本層だけの一層または分けると
すれば、高茎のススキからなる第一草本層と低
茎のクサボケやミツバツチグリなどからなる第
二草木層からなる。雑木林は、高木層、亜高木
層、低木層、草木層まで4つの階層と、ソデや
マント群生により植物社会を構成している。植
物社会の模式図と主な構成種は、ブログトップ
最上部に図示した通りである。

ミツバツチグリ Potentilla freyniana.JPG 
ミツバツチグリ
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【関連サイト】

「環境教育ライブラリー」

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籍類に関しては閲覧限定。