靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

レントゲン室にて

2011-06-21 21:01:13 | 出来事や雑感や (その他)
スワードの救急病院にて、事情がまだよく飲み込めていない私。レントゲン室に長男と入り、初めて手首の状態を見る。

向くはずのない方向を向いている手首・・・。

激痛に歯を食いしばって耐える長男。

こういうときは、私がしっかりして、

「大丈夫、もう少しの辛抱、本当にえらいよ、よく耐えてる、今の技術なら絶対に元に戻るから、何の心配もいらないから」

 そう必死で明るい声で言いながらも、だんだん、視界が白くなってくる。

「あ、ママ、もうちょっとだめかも・・・」

 消え入るような声の私。

「ママ、大丈夫だよ」

 歯を食いしばりながら答える長男・・・。


そのまましゃがみこみ、這うようにしてレントゲン室の外にいた夫と交代。

娘たち曰く、

「ママの顔ね、ホクロやそばかすまで白かった」


物語などで、ショックで気が遠くなり倒れる、というのを見たり聞いたり読んだりしたことあったけれど、あれって本当にあることなのだな、と納得。

既に家族の間で笑い話に・・・。

キャンプ、アクシデント

2011-06-21 21:00:50 | 出来事や雑感や (その他)
今回のキャンプは、「マウント・マラソン・レース」の練習というのが目的だった。

1915年に始まったこのマラソンレース、アンカレッジから車で3時間程走ったところにあるスワードという町で、毎年建国記念日の7月4日に行われる。ダウンタウンからその名もマラソン山(Mount Marathon)!と呼ばれる山の頂上まで往復5キロ(子どもはその半分)ほどのコース、斜面はかなり急で毎年けが人が続出する。参加人数は限られていて(大人700人、子ども200人程)年初めの抽選とレース前日のオークション(子どもは抽選)で決められる。一度参加権を獲得すると翌年から自動的に参加可能。

長男が「このレースに出たい!」と。年初めの抽選に落ち、前日の抽選を試してみることに。レースに出られなくても出られても、まずはマラソン山に一度登ってみよう、と今回出かけたのだった。


麓から容赦のない急な坂。岩をよじ登っていく。長男が足を少し動かすたびに石がひっきりなしに落ちてくる。レースに参加経験のある友人が「落下石で怪我をした」と言っていたのを思い出す。

下3人にはとても無理だと、夫と上二人だけが登ることに。1時間後に登山口で落ち合おうと。

海岸で貝拾いなどして遊び、一時間後に戻る。車の中で次男にご飯を食べさせていると叫び声。ただ事でないことが気配で分かった。しばらくして右手をジャケットの胸元に入れ真っ青な顔をした長男が、夫に手を引かれ降りてくる。顔を引きつらせながらも歩いている長男に、ひとまずほっとする。このマラソン山、登山口から歩いてもいける距離に救急病院がある! すぐに駆け込む。

右手首複雑骨折。

応急処置をし、そのままアンカレッジに夜中過ぎに戻った。


夫と本人によると、高さ30メートルほどの崖から落下した後、そのまま急な斜面を100メートルほど転がり、最後に2本の木にぶつかって止まったそうだ。砂や泥土の斜面だったのが幸い。ぶつかった木から下は、切り立った岩の急斜面が続いていたと。

本人曰く「スカイダイビングってあんな感じなのかも・・・。」


手首の骨の折れ方から「かなりの衝撃だったのだろう」と医者。

ぶつかったのがもし身体の他の箇所だったら・・・、もうとにかく「ありがたい」の一言。落ちた状況を思うと、最悪の事態も何ら不思議ではなかった、手首骨折だけですんだのがまさしく奇跡といえるかもしれない。

昨日アンカレッジの整形外科で手術し、6週間程で完治するだろうとのこと、後遺症が残ることもなく。


道行く人々皆の手をとり、とにかく「ありがとう」と言ってまわりたい(かなり怪しまれるだろうけれど)、大地にひれ伏し感謝したい、そんな気持ちでいっぱいです。

心の底から、本当にありがとうございます。

皆様の夏の健やかなることを心から願っています。