ADD?先生の発達障害児 教育応援サイト

ADD?傾向のある塾教師がADHDやアスペルガー症候群の子にどうかかわり教えたらいいのか模索していくブログです。

発達障害、定型発達…2タイプの悪の育ち方 3

2008-05-31 17:51:24 | 番外
その子たちが取ったのかどうか確信はありません。
でも、最初からカードについては、
知っていたような…
それでいて落ち着き払って、
バカにしたような対応をしている…というのが、
雰囲気で伝わってくるんです。

こうした態度は、この年齢の定型発達の女の子にもよくあって、
目配せや、冷笑、仲間はずれ…等、
捕まえて注意しにくい形で、
それでいて残酷に、ひとりの子をいじめている姿をよく見かけます。

こんな風に書くと、発達障害の子は○で、
定型発達の子は×みたいに伝わると嫌なんですが…
そういうことでは ありません。

子どもたちと よく接していると、
子どもは、大小の差はあれ、
どの子も「悪」というものに対面しながら、
それを通って成長していきます。
それは、発達障害の子も定型発達の子も同じです。

しかし、学校という空間では、
社会性の未熟な発達障害児の悪い点ばかりが目立って
いるように感じます。
それは、発達障害の子が禁止された行動をしてしまうのは、ほとんど、
自分をうまくコントロールできないことが原因だからです。
それに対して、
定型発達の子の場合、何だか悪い行為がしてみたくなって、
(親離れしようとしていて)
大人からは見えない形であれこれする技に長けているのです。

それにもかかわらず、

発達障害児ばかりが繰り返し
集団の場で叱られたり、
大人からの厳しい視線を浴び続けている現状は、

何だか腑に落ちないのです。

定型発達のいじめっ子に、いじめていい理由を与えている
ような気もします。

今回の記事で何を書きたかったかと言うと、
大人が平等な目で子供たちを眺めてほしいなぁ…という思いなのです。

幼児の頃は、天使のように見える定型発達の子らも、
思春期に近づくと、
気難しくて、冷たい一面が見えてきます。
また問題児にしか見えない発達障害の子は、
思春期になっても純粋な幼い子のような心のままの子も多いのです。

そうした大きな視点に立って、

わが子にもよその子にも
平等で温かなまなざしで、成長を応援してくださる方が増えると
うれしいなぁと感じています。


 
↑このごろ応援ポチを下さる方が、とても増えているのです。
いつもどうもありがとうございます。

発達障害、定型発達…2タイプの悪の育ち方 2

2008-05-30 12:58:48 | 番外
前回 記事にしたような事件が起きたとき、
とても困るのは、
リーダー格と思われる子がしていたような
主観では言えるけれど、(にらんだ、つぶやいた…など)
証拠としては何も残らない犯罪です。
その子の行為に明らかに不自然な部分があっても、
証明の仕様がないのです。

うちのダンナはそのままずばり、自分の思ったことを言う人なんで、
リーダー格らしき子のお母さんに、
感じたことをそのまんま伝えていましたが…

定型発達の子が悪いことをするとき、
周囲にバレバレ~という状態で、行動することは少ない気がします。

以前、児童館で、
子ども連れのイベントを仲間のお母さん達としていた時、
こんなことがありました。
イベントに参加していた☆くんが、
児童館の庭に置いていた自転車のかごに
すごく高価なバトルするカードの束を置き忘れていたのです。
思い出して取りに行くと、
カードは無くなっていました。
そのカードを何よりも大事にしていた☆くんが、
激しく泣き始めたので、もうイベントどころではなくなりました。

児童館の庭は、公園のようにだれもが自由に出入りする場ではなく、
おそらく常連さんしか入らない場所です。

カードを見つけてすぐ帰った子がいたのかもしれないけれど、
まだ児童館の中で遊んでいる確率の方が高い気がしました。

児童館のマンガの置いてある部屋でたむろしているメンバーを見たとき、
私は、ちょっと怪しいな~と感じました。

小学高校学年のグループで、
うちの文具店でも迷惑な行為を繰り返す子らでした。
万引きする真似事をしては、戻したり、
他の買い物客を威嚇したり…などなど。

それで、その子たちに、
「庭の自転車のかごに置き忘れていた○○カードが なくなったんだけど、
しらない~?」とたずねました。
すると、
「おれら疑ってんのかよ~?」「へぇ~」と言って、
目配せしたり、不敵なニヤニヤ笑いを浮かべて、
「そりぁ~し~り~ま~せ~ん!」
と返してきました。

どうして、その子らが定型発達の子と思ったかと言うと、
うまくやったことを隠したり、
しらばっくれたり、
人の心理を読んでニヤニヤ笑を浮かべたり…が上手にできる
発達障害の子に、まだ会ったことがないんですね。
そうした子らは、
たいてい直球です。
暴力を振るったり、大声で悪口を言うことはあっても、
まるで、何も知らないような顔をして、
しらばっくれてみせるような裏ワザは、持っていません。


長くなったので次回に続きを書きますね。

 
↑励みになります。応援ポチをお願いします




発達障害、定型発達…2タイプの悪の育ち方

2008-05-30 05:52:02 | 番外
学校の教室のような空間で、
目だった問題行動を起す子は、
発達障害を持った子が圧倒的に多いかと思います。
しかし、いったん大人の目の届く範囲を出ると、
定型発達の子の困った行動にしばしばぶつかります。

教室をする前、数年間、ダンナといっしょに文具やおもちゃを扱う
お店をしていたことがあります。

(この店の売り上げが振るわないので、
私がパートのはしごをしていたんです…)
店では年中、万引きがありました。
犯人には、定型発達と思われる子も、発達障害と思われる子も、
いました。

ある時、小学校高学年のグループによる万引き現場を押さえて
親に連絡したことがあります。
(近所の塾の仲間で、
親が塾に行っていると思っていた時間帯に、
しょっちゅううちの店で時間をつぶしていたのです。)

こうした万引きグループを捕まえた時、実際に万引きを実行しているのは、
発達障害と思われる子が多かったです。
それで、同じようにグループで行動していた他の子の親(親は別々に謝りにきます)が、
「あの子の親御さんは、先生をされているんですよ~
まさか、あんなことをするなんて~」と、
まるで他人事のように、
犯行に及んだ子の陰口をたたいて帰ったりするのです。
すると、その親が、帰った後で、ダンナがえらく腹を立てて、
「さっきの親の子がリーダー格や。小声で、やれ、って強要したり、
離れた位置から にらみながら目で命令しているのを、
何度も見たんやから…。やった子は、ビクビクして、その子の方を何度も振り返っていた!」
と、ぼやくのです。

こうした小学校高学年~中学生の子らのグループによる万引きは、
年中休みなくありました。

たいてい実際に万引きを実行する子は、
グループの中で一番 考えが足りなさそうな、グループ内でバカにされながら必死で仲間に引っ付いているような子で、
リーダー格と思われる子は、
優等生っぽい子か、
すでに大人のやくざのような冷ややかな笑いを浮かべたような
良くない方向に早熟な子らでした。

 
↑励みになります。応援ポチをお願いします

いつもきょろきょろそわそわする子を落ち着かせる方法

2008-05-29 18:23:57 | ADHD
いつもきょろきょろそわそわして、
すぐに気が散って、落ち着きがない子。
座って集中するのが、苦手。
ボール遊びをすると、
ちゃんと受け取れない。
何度注意しても、すぐ忘れる…。

そんな子どもにどのように接したらいいのでしょう?
どんな訓練をしたら、落ち着いてくるのでしょう?

このタイプの子は、
次々新しい刺激を取り入れすぎて、
どうでもいいものにも反応して騒ぎます。

まず、今自分に必要なものを見分けられなくて、
しょっちゅう視線が宙をさまよっています。

目で何かを見ているときは、
手がおるす…。
手が何かしていても、視線は別の場所へ…。

つまり 目と手の協応作業ができないんですね。

こうした子には、
ぐ~っと力まなきゃならない遊びを
いろいろ教えるといいようです。

おすもうごっこ、おしくらまんじゅう、タオルでつなひき…など。

また、ゆっくりしたり停止したりする作業が必要な
だるまさんがころんだや創作ダンス、命令遊び(走れ!ストップ!など)

集中して物を見ると良いので、
水でっぽうや輪ゴムのてっぽうに的を用意してあげるのもいいです。

工作やブロック、積み木も、
じっくり集中する力を付けてくれるので、
授業に集中する訓練になります。
 
↑励みになります。応援ポチをお願いします

能力の差を認めない平等な教育は、ほんとに平等なの?

2008-05-29 14:58:43 | 教育論
以前お勉強を見ていた知的障害のある☆ちゃんは、
同じクラスの子より1年遅れて、
ひらがなの書きやかけざんをマスターしていきました。
☆ちゃんがやっとの思いでできるようになるころ、
クラスでは先の単元にあわただしく進んでいるので、
☆ちゃんの努力がむくわれることは、
めったにありませんでした。
算数と国語は クラスの子と別に受けていたとはいえ、
せっかくがんばっても、いつまでもみんなに追いつけないので、
☆ちゃんは常に自分に自信が持てない様子でした。

そのとき、☆ちゃんのおばあちゃんの口癖は、
入学を1年で良いからずらせたら…
もう一度、同学年の学習をさせてあげられたら…ということでした。

私も、1年ずらすことができれば、

今のように
全然付いていけないからできることもある。みなに認められる経験もできる。

が少しは増える気もしました。とにかく1から10まで、自分はダメだという思いを抱かせないで済むでしょう。


☆ちゃんのおばあちゃんの願いは、
日本ではとても叶えてもらえない無理な要求ですが、
海外では、けっして珍しくはないものです。

フランスでは1974年の留年率が33%で、
五年間落第なしでストレートに卒業した子は、全体の27%のみ なのだそうです。
河合隼雄氏が、
スイスに留学中、小学校に落第があることを知って驚くと、
スイスの先生は日本に落第がないことを不思議がり、
「そんな不親切な教育をしてもいいのか」と言われたそうです。

能力差の問題を当然のこととすると、
能力のない子を無理に進級させるのは不親切である…
という考えなのだそう…

しかし、現実に、日本の教育に落第を認めたり、
小学校の入学を一年ずらすことを認めたりすることは難しいのかもしれません。
また、認められたところで、うまくいくとも思えません。
…むずかしい…

日本人の平等に対する思いは強く、
教育の場では、まるで同じ年に生まれた子は(目に見えた障害がない限り)
全て同じ能力を
持っているかのように扱ってきました。
もし、勉強についていけない子がいたなら、
その子の努力不足か、家庭の教育力のなさが責められます。
だれも、その子個人の能力に、学校の学習スピードがあっているかどうか?
とは考えません。

平等という言葉はキレイで正しく響きます。
しかし、その理想を追うあまり、
子どもの個人差に目をつむってきたため、
軽度発達障害の子の教育があまりに軽んじられてきたのではないでしょうか?

特別支援教育がスタートした今、
個人の差を認めつつ
お互いを尊重しあうことができる新しい教育のあり方を のぞんでいます。

引用 「子どもと教育」 河合隼雄 岩波書店 

 
↑励みになります。応援ポチをお願いします

記憶力が極端に弱い子に…道具を使うことを教える

2008-05-28 10:55:14 | LD
何度か記事に登場していただいている
算数にLDがある☆ちゃん(小3)は、
なかなかかけざんが覚えられません。

教室でもさまざまな取り組みをし、お家でも親御さんが
それはていねいな支援を続けているのですが、
2の段と、3の段を少し覚えたあたりから
先に進めないのです。

しかし、その☆ちゃん、
この数ヶ月で、
算数については大きな進歩がありました。

初めて、教室に来た2年生の頃は、
おままごとやブロックといった遊びにしか興味がなかったのに、
今は自分から催促して、
両替をしたり、物を売買したりする
複雑な算数ゲームを
やりたがるようになったのです。

そうしたゲームをする中でわかってきたのは、
☆ちゃんの数に対する認識は、
かなりしっかりしたものがあって、
上手にやり取りをしたり意味を理解したりできる
高い知能を持っていると言うことです。
しかし現実には、
記憶するという作業が極端に弱くて、
それが原因で算数の問題が、できなくなっているのです。

私は、海外ではパソコンや電卓などさまざまな道具を使用することで、
LDの子が、より高度な学習にチャレンジしている…という話を
思い出しました。

そこで、親御さんに、

「今後も、かけざんを少しずつ暗記していく学習は大切ですが、
それと平行して、扱いやすいかけざんの表を
用意したりして、
記憶でしんどい部分を補っていく学習も大事ではないでしょうか?」

と提案しました。

将来、買い物をしたり、さまざまな社会生活を営む上で、
☆ちゃんは、
上手に道具さえ利用すれば、
できそうなことがたくさんある子なのです。
気持ちも優しく、
お友達とのコミュニケーションも良好です。

覚えられないから、学べないに陥っている子に、
上手な道具との付き合い方を教えていくことも、
教育のひとつだな~と感じました。



 
↑励みになります。応援ポチをお願いします

「今時の親は…しつけをしない…。」と言われたら…?

2008-05-27 20:08:50 | 番外
先日、年配の女性を含む7名の知人とお茶を楽しむ機会がありました。

その時、一人の女性が、
「最近の若い親は、しつけをしない。」という話を
されました。
その後、給食費を払わない親の話や、
しつけのなっていない子らの話になったので、

思わず、

仕事で、若いお母さん方にたくさん会うけれど、
私の親世代とはちがうバランスの取れた考え方を持っている方が
けっこういます。
人間関係においても、一方的に相手を責めるのではなくて、
より大きな視点に立って解決をしようとする方や…
障害児を育てるようなたいへんな仕事からも、
多くを学び、自分を成長させている方にもよく会います。

ただ、しつけの問題は、
外出中、目だってしつけが悪く見える子の中に、
軽度発達障害という しつけることが、
とても難しい子どもである場合もあるんですよ。
そうした子を育てている親御さんは、本当に一生懸命、
子どもと日々、向き合っているんです。
現実にしつけをしない子どもっぽい親御さんも
いるんでしょうけど…。

といった内容の話をしました。
そこにいた方々は、軽度発達障害やアスペルガー症候群といった
言葉は、初めて聞いたという方ばかりでした。

一人の方が、
「うちのマンションにもそんな子がいる。
いっしょにエレベーターに乗らないようにしているけれど、
その子が暴れまわるんで、
うちの子が、けがをしないか怖いのよ。
あちらの親御さんだって、けがをさせたとなったら、嫌でしょうし…。
差別とかじゃないけど、近くづかないようにしているの。
向こうのお父さんは、だまっているんだけど、
ちょっと一言添えたら、良いのにと思う時があるわ…。」

とおっしゃいました。

おそらく、重度の自閉症の子の話ではないかと思いました。
その子のお父さんも、毎日毎日、
言葉を添えなくてはならないことの連続で、
うまく表現できないときがあるのではないか、
と胸が痛みました。

そうして、お茶を飲むうち、

最初、今時の親は…とこぼしていた方も、
周りの方も、
知的に問題がないのに、社会性の発達に弱さを持つ子がいるとは
知らなかった。
特に自閉症というのは、どういうものか全く知らなかった。
そうした子を持つ親は本当に大変だし、
そんな中で懸命に子育てしている親達は偉い!
そうした子育てから、学んだり、自分を成長させている方がいるとは、
今の親は、前の時代の問題を反省し、
それにしっかり取り組んでいるんですね。

ということを、心のこもった言葉で、おっしゃるようになりました。

楽しいお茶の時間に、反対意見を言うのは勇気がいるけれど、
言いたいことを伝えられて良かった~
と感じたひとときでした。

 
↑励みになります。応援ポチをお願いします

もっと甘えたい!

2008-05-26 06:42:27 | 発達障害児に教える基本
小5の☆くんは、とにかく地理が苦手で、
日本の県名の学習になると、
「やっても、すぐ忘れるからムダ!」という強い拒絶が
あるというお話でした。

そこで、「ご当地なーさんトランプ」という
マンガのちゃおのふろくで、県名と特産品が
書いてあるトランプで遊んでみました。
すると思いのほかのヒットで、とにかく喜んで、
県の名前を学習してくれるようになりました。

なーさんトランプには、県名と特産品の横に、「ギャグを3つ言え!」
とか、「尻文字で相手の名前を書け」といった、
おふざけの指示が書いてあります。
前回の学習では、白地図でカードの県の位置がしるせたら、
カードの指示に☆くんにしたがってもらう…
というルールで遊びました。

そして今回は、漢字で県名を書けたら(カードをヒントに)
私がそのカードの指示に従う…
というルールでした。
私の場合、「今、テレビで流行っているギャグを言え」と言われても、
エドはるみ?くらいしか知らないんで、途中から、
「だめだな~!」と☆君が、私のかわりに指示を遂行してくれるんですが…。

そんな中で、☆くんが、一番はしゃいで大喜びしていた
「30秒間、相手をくすぐる」というカード。
前回も、今回も、どうしてそんなに楽しいのか???と不思議に思う
ほどのはしゃぎっぷりでした。
くすぐられる側の私が、「もう、おしまい!もう、やめて!」と逃げ回るので、
実際は、たいして くすぐれず、ほとんど無効となるカードなんですが…。

☆くんは、去年まで、担任の先生と合わず、
行動がとても荒れていました。
レッスン中も私の指示を無視したり、
暴れまわることもよくありました。
しかし、こうしたスキンシップが含まれた学習を取り入れるようになって、
5年になって担任が変わったこともあって、
とても落ち着いて勉強に取り組むようになりました。

この☆くんの様子に思い出した出来事がありました。
児童館で自由に出入りできる工作教室をしていた頃、
工作をしているのはほとんど3~6歳の子供達なんですが、
その中に、小学5~6年生の暴れん坊のグループが
乱入しては、おもちゃをひっくり返したり、
工作を馬鹿にして、ののしり声をあげたりしていました。

それでそのたびに、いっしょに工作しないか誘うんですが、
「そんなんするか、ばーか!」と言って、どこかへ行ってしまいます。
が、数分すると、戻ってくるんで、
工作が気になる様子なんです。

そこで、工作道具を運んだりする手伝いを何度か頼んでると、
「するか~!!」とわめくわりに、ちょっとすると、
頼んでいたものを取ってきてくれて、
教室に投げ入れてくれます。


ある時、暑すぎる夏の日、(幼児用の行事と重なったらしく)
おちびさんたちは、ほとんどお休みだった日がありました。
ちょうど、その暴れん坊グループが教室に入ってきたので、
工作をしないか誘ったところ、その中のリーダー格の口の悪い子が、
いきなり、おさるさんみたいに、
私の背中に飛びかかってきました。
結局、体格のある高学年男児をおんぶして、
工作を教えるはめになりました。

その日、工作をしていたおちびちゃんは、
途中から児童館の庭で水遊びを始めたのでいなくなりました。
私におんぶしている男の子の暴れん坊仲間は、
用事ができて帰ってしまいました。

そこで、おんぶしていたリーダー格の男の子のために、
紙を丸めてボールを作ってあげ、
画用紙をペンで9分割して、1~9までの数を書いたものを
ぶら下げてあげました。
すると、その子は私の背中から降りて、
紙のボールを剛速球で画用紙の数のボードに向かって投げ始めました。

ほんとにすごいスピード!!

途中から教室に館長先生も見えて、
その子の凄腕ぶりを感激してみていました。
「野球をやっているの?」と聞くと、していないとのこと…。
確かに、ルールがあって集団でするスポーツは難しそうな気がします…。
もったいない…!!
館長先生がニコニコして、もう一度褒めようとすると、
その子は恥ずかしそうに出て行ってしまいました。

なーさんトランプの☆くんも、工作に来た男の子も、
親御さんのスキンシップが足りなかったのか…というと、そうは思いません。
☆くんのお母さんなどは、多数派の親御さんより、愛情深く、
子育てに熱心な方だと知っています。
ただ、幼い頃に、多動があったり、感覚過敏があったりする子は、
抱いてあげようとすると、逃げたり反り返ったりするのです。
そのため、必然的にスキンシップが不足してしまう子もいるんですね。

こうした子は、一見、大人に反発ばかりしているようで、
優しい愛情などバカにしているように見える子が、
幼すぎるほどに、
甘えやスキンシップを
必要としている場合があります。
中学生になって、3分ごとに大騒ぎするような子も、
ある程度、そうした甘えを受け入れていると、
突然、中学生らしい節度のある生徒に急変したりします。

子どもの問題行動に見えるもの…は、
幼児期に足りなかったものを取り返そうとする
一時的な荒れかもしれません。

 
↑励みになります。応援ポチをお願いします




なぜ 早期の療育が大切なのか?

2008-05-25 14:15:11 | 発達障害児に教える基本
だれもが早期の療育開始が大切!
という話を1度は聞いたことがあると思います。

でも、実際には、
子どもの発達が、
まだ「心配」や「気になる」程度のうちは、
様子をみることにして
終わってしまいがちです。
そのお気持ちはとてもよくわかります。
でも、早期の療育は、後の教育では不可能な
奇跡を起してくれることも多いようです。
気持ちが決まらないうちも、まず情報収集をして、
あとから笑い話になるかもしれないけど念のため…と
お家でできる療育を始めてみるのをおすすめします。

それにしてもなぜ、そんなに早期の療育は大切なのでしょう?

新生児から3歳までの脳の重量の増加は、
神経細胞が増えるからではないそうです。
神経細胞の数は減って行くけれど、
神経と神経をつなぐネットワークが網の目状に
張り巡らされていくのです。
そのネットワークは5歳で完成してしまいます。

その後は使用される経路が残り、
使用されない経路は消えていきます。

幼児の脳というのは、1つの神経細胞がダメになっても、
すぐにバイパス形成可能という、
ダメージに対する高い代償性を持っているそうです。

「東海道新幹線が不通になっても、中央線を乗り継げば名古屋から東京に行けるようになるようなもの」という例が、本に載っていました。

このように、幼児の脳では、
成人では起こりえない離れ業が起こるのです。
奇跡が起こるのです。

このような高い代償性は5歳を過ぎると失われるけれど、
思春期までは成人よりは高い能力が保たれるそうです。

ここで、大切になるのは、「専門知識」というものです。
障害が疑われても、問題点を直視することをしないで、
さまざまな幼児に良いとされる働きかけをしても、
問題を大きくしてしまう場合もあります。

植物を育てる時でも、
水と肥料をあげるだけの簡単な世話でも、
知識もなく水を上げすぎたり、肥料をあげすぎたりしては、
枯らせてしまうのがオチですね。

特に、広汎性発達障害のお子さんには、
早期にそれに見合った療育をスタートすることが大切だと言われています。
私は、1歳の頃、非常に発達の遅れが目立ったため
療育をしてきたという親子に何組かお会いしましたが、
4歳の時点では、定型発達の4歳児より
発達が良好だったケースが多かったです。

乳幼児の奇跡を信じて、1日でも早く、療育をスタートさせてくださいね。


引用は 「発達障害の子どもたち」杉山登志郎 講談社現代新書

 
↑励みになります。応援ポチをお願いします

自分に優しいまなざしを向けるためには、どうすればいいのでしょうか?

2008-05-24 20:34:16 | 番外

自分に優しいまなざしを向ける…それはあの方だけでなくて、私にも必要なことです。自分に優しいまなざしを向けられるためには、どのような方向に努力したらいいのでしょうか・・右も左も西も北もわからないでいるのが私であり、あの方なのでしょう・・それができればひと山越えられるように思います。

というコメントをいただきました。

 
私も以前、同じ場所をいつまでもどうどうめぐりをしているような
むなしい日々を送っていた時期があります。
周囲の期待に応えたい思いから、
自分自身に無理な理想を押し付けて、
現実の自分とのギャップの間で苦しんでいました。

地下の環状線をぐるぐる回っているような当時の私の心は、
その辛い乗り物から 降りることも
外の景色を楽しむこともできない…
不安と安心の間を振動していくだけ…でした。

かなり前にブログで紹介した当時書いた詩です。

       「環状線」
   
   だれかに望まれて
   期待されて
   ほめてほしくて
   認められたくて
   あわてて乗り込んだ列車は
   歩いていくより ずっと速いが
   いつまでたっても どうどうめぐりだ

   始発駅が 終着駅になって
   したり顔で待っている
   
   なんだ環状線か…
   気付いたときには降りそびれ
   不安と安心の間を
   振動してゆくだけ
   もう地下の景色以外
   忘れてしまったよ

   降りない理由?
   本当はどこに行きたかったのか
   思い出せないんだ


あのころは、自分が傷つきたくなかったのです。
何かあると、外の世界に原因があるように感じていました。
それなのに、厳しいまなざしで、自分で自分を
傷つけ続けていたのです。

それに気づいた時、
私はようやくその乗り物から
降りることができました。

自分で自分に優しくすることを学んだ時、
世界はそれほど悪くないもののように感じられるようになりました。

コメントをくださった方は、きっと人一倍
一生懸命な方なのだと思います。
本当は、最低最悪の時でも、
自分は人として尊重される価値があることを知ると
進む方向が見えるかもしれません。
環状線から降りても、歩く速度でしか進めなくても、
自分というのは、とても価値があるからです。
私とぶつかりあっている方だって同じだと思います。
これまで、ブログを読んできてくれた方も
きっと同じ考えだと思います。

 
↑励みになります。応援ポチをお願いします


どうして日本では、軽度発達障害児の起す事件が多いのか? 2

2008-05-24 12:52:51 | 番外
日本人は言葉を介さないものの影響に鈍感…という
話でしたが、
お友達のブログでも、こんな問題を指摘していました。

どうして、日本のコンビ二には、アダルト系の雑誌が並んでいるのか…?
そういうものは、子どもが目にしない場所で、
大人がそっと購入するように配慮すべきでは…?

というお話でした。

このように大人と子どもの境界線があいまいな環境は、
パーソナリー障害(人格障害)を育てるとも言われています。
日本の場合、家庭だけでなく、
社会そのものが、お金のために、大人と子どもの境界を失っている
印象です。
そのために、子どもの安全が脅かされている事実は
誰もが認めるものだと思います。

そんな中で、そうした環境を良いものに変えようと
声をあげようとする人がいると、
無責任な匿名の声によってたたかれて消えてしまうことが多いです。
そうした匿名の意見はもっともと言えるものも
あります。

子どもの全てが、定型発達の子であった場合には…。

という条件付で。
ゲームやアニメの世界と現実の世界の違いがわからなくなった
子が、凶悪な事件をおこしたらいけないので、
ゲームやアニメから残虐な表現を廃止しましょう…

というと、そんな子いるわけがない。
ゲームやアニメが悪者か?

という意見が必ずでます。
ごもっともなんです。
定型発達の子は、適度なストレス解消に、
こうしたものを楽しむ子もいます。

しかし、軽度発達障害、特にアスペルガー症候群の子は、
こうしたファンタジーの世界にのめりこみ、
現実の世界と虚構の世界のちがいが、わからなくなる子が
多いのです。
あまりにのめりこんで、独り言まで言い出す子もあるそうです。
ある意味純粋すぎるほど純粋なのです。

それくらい、虚構とリアルにへだたりがない
アスペルガー症候群の子たちが、

日本のようにテレビでも、コンビニでも、ネットでも、携帯でも、
雑誌でも、ニュースでも、
犯罪を誘うような、
それを悪いと感じさせない
砂糖をまぶされたような悪趣味なものに
囲まれ続けたら…
そうして何年も育ったなら…
その中に、問題を起す子が出てきても
当然と言えば、当然な気もするのです。

そんな環境にあってもなお、現実には触法行為に走る
アスペルガー症候群の子は、ごくわずかです。

それでも、海外では まれな
凶悪犯罪が起こっているからには、
日本の社会が、子どもが健全に育つ社会を目指して、
変わっていくことが、求められているのでしょう。
 
↑励みになります。応援ポチをお願いします

どうして日本では、軽度発達障害児の起す事件が多いのか? 1

2008-05-24 07:59:07 | アスペルガー症候群
前回の記事で、
他の国々に比べ、日本だけが異常なほど
アスペルガー症候群の子による重い犯罪が多いことを
紹介させていただきました。
そこで、なぜ日本でそうした犯罪が多発するのか…
ということについて私の個人的な意見を書かせていただきます。

すでに、コメント欄で指摘していただいた意見ですが、
この問題は、
日本の地形と日本人の歩んできた歴史
と切り離せないように思います。

多くの国では、異なる人種がともに暮らす歴史の中で、
お互いの「ちがい」を受け入れながら暮らしてきました。
しかし、日本人は、自分達だけが世界の中心で、
「ちがい」を差別や迫害と言う形で排除してきた国民です。
だから、その迫害の仕方も陰気で残酷です。

学校という集団の場は、
「ちがい」を学びあう所ではなく、
みんなで「ちがわない」存在に近づこうとする場
になりがちです。
そんな中で、親は、軽度発達障害の子の自然の姿を
否定して、「ちがい」をなくすようにかりたてます。

他の国なら、みなとちがうわが子を「ユニーク」な存在として、
応援する親もあることと思います。
教師からも、他と違う自分にほこりを持つように…という
指導もあるでしょう。

そうした中で、当然の権利として、特別支援教育が、
発展してきたのだと思います。

常に自分という存在を否定されながら育ったら、どのような大人に成長するのでしょう?
軽度発達障害でなくても、
社会に適応して行くことが難しくなるはずですよね。

それとは別の問題で、日本人はあからさまに言葉にしたとたん、
問題視して騒ぐ一方、
無意識に与える影響…つまり言葉を介さないものが訴えるメッセージに
すごく鈍感なところがある気がします。

先日
円議員らが「美少女アダルトアニメ雑誌とゲームの製造・販売の規制法制定に関する請願」というのを提出した一件で、
その請願の一部の表現に対して、ネット上で批判したり反発したりする方がたくさん出ている…というニュースを目にしました。

円議員の主張は、美少女アダルトアニメの多くは、小学生の少女をイメージしている
このようなゲームに誘われた青少年の多くは知らず知らずのうちに心を破壊され、人間性を失っており、既に幼い少女が連れ去られ殺害される事件が起きている

確かに、言葉だけを追っていると、ゲームを殺人の原因としているようで、
行き過ぎた発言に見えるかもしれません。
でも、人には何度もテレビで見たタレントに好印象を抱いたり、
周囲で流行っているものが欲しくなったりする
習性があることを思うと、

小学生をイメージさせるアダルトアニメが
青少年にそうした趣味を育てないとは言いがたいんです…

わが子が幼いとき、テレビで「家なき子」(同情するなら金をくれ~)が流行ったときに、
娘の周辺では「万引き」が大流行していました。
ごくまじめな女の子まで、
かっこいいからと…万引きする姿に、
とにかくびっくりしたのを覚えています。

長くなったので続きは次回に書きますね。
 
↑励みになります。応援ポチをお願いします

アスペルガー症候群の子の犯罪が多いのは 日本だけ?

2008-05-23 13:20:11 | アスペルガー症候群
勝手にタイトルを変えてしまってすいません~
こうしたタイトルの設定はとても難しいです。
過激な言葉で、検索してこちらに来てくださる方にこそ、
読んでもらいたい、知ってもらいたい内容がある…!!
のですが、
そうして過激なタイトルをつければ、ふだんからこちらに来てくださっている方や自分自身が
いい気がしませんし…。
このタイトルも良くないと思われる方はご意見ください。
すぐに変えますので…。
タイトルについて良い案がある方は教えてくださいね。

前回のつづきです。

高機能広汎性発達障害の併発症の調査で、
全体の4.9パーセントに
触法行為(犯罪)が認められたそうです。
これは、100人中、5人くらい…。
つまり、残りの約95パーセントの人を
犯罪者のようなまなざしで見ることは、とんでもない
間違いであることが分かると思います。

そして、その4.9パーセントもよく調べてみると、
幼児期に診断を受けた子が触法行為をすることは
とても少ないないようです)
原因のひとつには、診断の遅れと治療の遅れが
考えられています。

もうひとつの原因は
迫害体験です。
親の虐待や学校でのいじめです。
日本人は特に、少し「みんなとちがう」というだけで、
いじめたり、仲間に入れなかったりするところが
あると思います。
社会や、教育の場から、
虐待やいじめをなくしていく取り組みが必要です。

非常に不良な適応状態。
つまり環境が悪すぎる場合、やくざの子はやくざ
は、何も発達障害の子に限ったものではないと思いますが…

国際医学雑誌に掲載されたアスペルガー症候群による
殺人の報告は3例にすぎないそうです。
しかし、日本では、
毎年のようにそうした犯罪が続いています。
それは、ほんとうに異常なことのようです。

日本という国が、
軽度発達障害の子の犯罪を誘発するものを
たくさん持っていることは確かなのです。

ただ、面白半分に、犯罪の話題を喜ぶのではなくて、
きちんとその問題に向き合う方が増えてくださることを
願っています。
引用は、「発達障害の子どもたち」  杉山登志郎  講談社現代新書
 
↑励みになります。応援ポチをお願いします

アスペルガー症候群の子の問題行動を防ぐには? 2

2008-05-22 15:22:16 | アスペルガー症候群
前回の続きです。

この心の理論を理解できるようになる時期、
激しいいじめを受けてきた広汎性発達障害の子は、
迫害体験があるために、
対人関係のありかたを被害的に読み取ることを繰り返す
ようになるそうです。

さらに、時折、迫害状況のフラッシュバックが生じ、
現実のいじめが減ったあとで、
著しい対人不適応をひきずることになるそうです。


また、心の理論通過後、
自分がまわりとは違うときづくようになると、
他者の目がないため、どこが問題か気づけず、
性同一性障害に発展することも多いそうです。

高機能広汎性発達障害の方466名の併発症を調べたところ、

不登校       12パーセント
統合失調症様病態  2.4パーセント
解離性障害     7.3パーセント
気分障害(うつ)  14.8パーセント 
強迫性障害      4.3パーセント
行為障害 犯罪   4.9パーセント

という結果がでているそうです。

広汎性発達障害の診断ではない広汎性発達障害の家族(父や母)には、
うつ病がとても多いそうで、
理由は、どちらもセレトニン系という神経経路の機能不全が
関係しているから…らしい。

不登校は、もともと広汎性発達障害の診断を受けている子では、
ほとんど見られず、
中学生以降に診断を受ける子は不登校になりやすいようです。
高機能広汎性発達障害の不登校は、
「ひきこもり」になる場合が多いので注意が必要なのだそうです。

少し長くなったので続きは次回に書きますね。


引用は、「発達障害の子どもたち」  杉山登志郎  講談社現代新書
 
↑励みになります。応援ポチをお願いします

アスペルガー症候群の子の問題行動を防ぐには? 1

2008-05-22 08:58:54 | アスペルガー症候群
児童青年期精神医学を専門とする杉山登志郎先生の
「発達障害の子どもたち」という著書の中で、
アスペルガー症候群の子がたどる心の軌跡を
目にしました。

アスペルガー症候群の子は、
小学校低学年、中学年の間、
社会的なルールに従えないため、周囲とのトラブルが多発します。
しかし、小学校高学年になると、
そうした問題は、ほとんどなくなるそうです。

ただ、それまでは、周囲に対し無関心だったにもかかわらず、
いきなり態度が一転して、
被害妄想と言えるほど
ささいな働きかけに、いじめられたと大騒ぎするケースがよくあるそうです。

こうした現象を理解するには、
「心の理論」の解説が必要です。

   心の理論の能力をはかるテスト例

はじめにチョコの箱を見せる。開けると、鉛筆がはいっています。
鉛筆を元通りしまうと、別の人物H君が来ます。
Hくんは、箱の中に何が入っていると思うでしょうか?

   答え
もちろん、答えはチョコレート。Hくんは、何も知らないんですから。

定型発達の子であれば、4~5歳で通過する課題です。
しかし、アスペルガー症候群、高機能広汎性発達障害の子は、
9~10歳のころ、この課題を通過するそうです。

しかし、定型発達の子とは違う脳の部位を使って、
「心の理論」の課題を遂行している
ことが確かめられているそうです。

定型発達の子が、直感的に速やかに
他者の心理を読むのとは異なって、
推論を重ねながら、苦労して読んでいるそうなのです。

長くなったので次回に続きを書きますね。
 
↑励みになります。応援ポチをお願いします