ADD?先生の発達障害児 教育応援サイト

ADD?傾向のある塾教師がADHDやアスペルガー症候群の子にどうかかわり教えたらいいのか模索していくブログです。

集団の活動に参加しないアスペルガー症候群の子

2009-08-15 21:02:15 | アスペルガー症候群
昨日は5歳のアスペルガー症候群の☆くんが、お父さんとお母さんといっしょに
はるばる長野からいらしてくれました。
☆くんには今日のブロック教室にも参加してもらいました。

☆くんはおだやかな気質のかわいい男の子。
ブロックが好きで、遊園地や動物園をどんどん作ります。

☆くんに課題をしてもらおうと声をかけると、
強い拒絶があります。
また集団でのゲームのような遊びには頑として参加しようとしません。
またこちらから何かさせようとすると
聞こえていないように見えたり、理解していないように見えます。

いつまでも一人遊びに興じていたい~
という雰囲気を☆くんは放っています。

しかし、そんな☆くんが、意外な一面を見せるときが何度かありました。
自分に振られた課題には
無関心を決め込んでいる☆くんですが、弟の★くんに問題を出そうとすると、
「ちゃんとしないといけないよ~」と課題への取り組み方を注意したり、
問題の答えを次々言ったりしているのです。
弟くんが解いている間は、
課題にしっかり関心を寄せています。

また、集団でのブロック教室では、不参加を決め込んでいた☆くんですが、
みんなが帰ったあとで、ひとりで
他の子たちが作っていた作品を再現しているのです。

☆くんは課題をしようとしないし参加しないため、
外からはできないことが多いように見えるのですが、
さまざまな点で能力も理解力も高いものを持っているのがわかりました。
ソーシャルスキルの問題も、
行動としてはできないけれど
ペーパー上の問題としてはほとんどわかっているのです。

☆くんは来年の就学の際、どのようなことに気をつけたら良いのでしょう?

私は行動として☆くんができることより
かなりレベルが高いこともどんどん見せていくことや
体験させていくことの大切さを感じました。

また学校の宿題等も、☆くんに向かって説明するのが難しいときは、
弟くんに楽しく取り組ませるようなシチュエーションを作って
☆くんが間接的に参加できるようにする方法も良いかと思いました。

またお友だちに興味がないように見えても、
ゲームの駒だけ参加させていると、
最後のほうにはゲームに笑顔で参加できたり、
呼びかけても知らんふりしていたのに、
私が用事をしていると、つついて関心をひこうとしていたりしました。

こうした姿から、大人がお友だちとのかかわりを
少しでも良いものになるよう支援してあげる必要を感じました。
お家にひとりだけおとなしいお友だちを呼ぶくらいなら抵抗がないなら
そうした時間を定期的に作ってあげるの良いですよね。

参加していなくても
見ているだけでさまざまなことを吸収している
しっかり理解できる力を持っている
無関心を決めているときも、もう一歩で参加できるところまで近づいてきている
直接自分に向けられた課題でなければ解こうという意欲を持っている
実際、行動に現われている以上の社会性を持っている

ということを、いつも頭に置いて、
☆くんに接していくことが大事ではないでしょうか?

☆くんは、書き順がでたらめな文字を書いて
注意を受けても直そうとしないところがありました。

きちんとした書き順を教える方法は次回に書きますね。


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何をするにもグズグズのろのろ~ 手伝い過ぎたら何もできない子になりますか?

2009-08-10 16:54:56 | アスペルガー症候群
(写真と記事は関連ありません)

とにかく何をするにもグズグズのろのろ~
学校の用意に他の子の何倍もかかります。
でも手伝い過ぎたら何もできない子になりますよね。

そんな相談を受けることがよくあります。
私も、この答えに自信がなくて、いつも迷い迷いお返事していたところがありました。
そんなとき

問題行動がぐんぐん解決できる  千谷史子 日東書院

の中で次のような話を読んで少し安心しました。

「子どもに手助けしすぎ?」と悩む必要はありません

アスペルガーの特徴を持つ子どもを育てていると、「どこまで親が手助けするか」の線引きで思い悩むことがあるかと思います。
時間がないときに、学校に遅刻させまいとつい、着替えを手伝ってしまったとき。
はやく寝かせなければと対、明日の準備を手伝ってしまったとき。
(省略)
アスペルガー症候群の特徴を持つ子どもがかかえるいろいろな問題の中で、見過ごされているのが「スピード」の問題です。
同年齢の子どもがさまざまな課題をこなす平均スピードにくらべると、アスペルガー症候群の特徴を持つ子どもはいろいろなことに時間がかかります。

このことは、アスペルガー症候群の子どもの持つ「機能の問題」です。ひとつのことが人の3倍時間をかけてできたところで、その子に1日72時間あるかというとそうではありません。
もしすべてのことをこなそうとしていたら、すぐに時間が足りなくなって、どうしても身につけさせたいことが後回しになってしまいます。

毎日の生活の中で「どうしても追いつかない!時間がない!」という場面であれば、そのときは親が手助けしていい場面です。どんどん手伝ってあげてください。
それはいわゆる「甘やかす」ということとは、まったくちがう問題です。
人間としての大事なルール「人を傷つけない」「人の物を取らない」などの絶対やってはいけないルールをクリアーしていれば、家庭で「いつまでに、ここまでしつけをしなければならない」というノルマはないと思います。
(省略)
たくさんのことを手伝ってあげても、それで子どもがダメになることは、まずありません。それどころか、人に手助けできる人間に育つのです。



何をするのも遅い、忘れる、コツコツがんばれない、反抗的ではないのに大人に従えない、聞いていない、極端な気まま、身体がくにゃくにゃする

など……発達障がいがあるのかどうかわからないけれど、気になる子というのはいます。
他の子はきちんとできているのを見ると
親も教師もつい声を荒げて叱ってばかりになることがあります。

ただそうした集団のペースに乗れない子は、
わがままや怠けでそうしているのではなく
機能上の問題でそうならずにおれない場合がよくあります。
ですから、叱るのではなく、手伝ってあげることで
心が安定し、さまざまなことにチャレンジしようという思いも育ってくるのです。

私は自分がADD(注意欠陥)傾向を持っているので、
この「機能上の問題」ということがとてもよくわかります。
ワーキングメモリーの働きが悪かったり、集中したい対象が背景から際立たず、刺激がいっぺんに流れ込んできて、背景のノイズが大きくなりすぎたりすると、
何をするにも他の人の何倍も時間がかかるのです。おまけにくりかえしチェックしても苦手な作業のときは必ずミスをします。
ですから、私はADHDやADDの傾向を持って生まれたら、
他人の何倍もまじめにくじけず努力し続ける性質と
それでもミスをたくさんするのですから、自分が助けられる部分では快く助けてあげること、
失敗しても気にかけず何度でもトライする楽天性が大事だなと感じています。
私がADD傾向がありますから、うちの子も(特に息子)
苦手なことと得意なことに極端な開きがあります。
そのため小学生時代の子育てでは、アスペルガーの特徴を持つ子ども同様に「どこまで親が手助けするか」の悩みをたくさん抱えていました。
おまけに、手伝う私が同じ部分が苦手とあって、
手伝ってもなお忘れ物の多い、困った子でした。
そんなわけで、欠点についてはあまり叱らず甘すぎる親できましたが、
そのおかげで、成長するにつれて、最初から得意であった部分はさらに伸び、
欠点は時間がゆっくり克服させてくれたな~と感じています。

それと、小学校時代、たとえ他の子よりミスが多くても
それゆえに息子に身についた

他人の何倍もまじめにくじけず努力し続ける性質と
それでもミスをたくさんするのですから、自分が助けられる部分では快く助けてあげること、誰とでも親しくできること、
失敗しても気にかけず何度でもトライする楽天性

は、この子の人生を良い方向に導いてくれると信じています。

アスペルガー症候群にしてもADHDやADDにしても
脳の機能の問題なので、
周囲が「甘え」と取り違えて、
自分の信念で厳しくしつけようとすると、結局は子どもをダメにしてしまうのではないでしょうか?
特に診断を受けていない
何とかがんばれば周囲についていける発達障がいの子は
自分自身が壊れてしまうまでがんばってしまいます。
また親も何とか子どもを他の子に追いつかせようとして、
必要以上に自分も子どもも追い詰めてしまいがちです。

そんなとき
「子どもに手助けしすぎ?」と悩む必要はありません
という言葉を心にとめておくと、
ブレーキがきいていいですね。



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「死ね」「死にたい」「殺す」「死んだの?」という言葉をよく使います。3

2009-04-13 19:13:41 | アスペルガー症候群
前回の記事に次のようなコメントをいただきました。


先生の記事タイトルのような言葉をうちの子も使います。
そのことで悩んで来ました。そして、これからどのように方向付けたら良いのか…とも思い悩んでいます。
息子は(4歳)子ども(特に赤ちゃん)の泣き声が苦手です。
泣いている子を見かけると、どんなに楽しく遊んでいても泣き声に気を取られて何もかもが手に付かずソワソワし出し、ついに暴言に変わってしまいます。

暴言の内容は「そんなに泣いていたら、死んでしまうで」とか、「また、泣いてる子がいるな!海に放り込まれて溺れて死んでしまえ」などです。
傍で聞いていると、なんて恐ろしい事を言うのだろう!と驚愕します。我が子の言葉に親が相当なショックを受けるのですから息子に暴言を吐かれた子どもさんも、その親御さんも、もっともっと酷くショックを受けるはずです。

その場で、「そんな言葉を使ってはいけません」「相手の子が嫌な気持ちになる」「死ぬという言葉は悪い言葉」などと教え続けているのですが暴言は治まりません。(ただ、4月から通うようになった保育園ではここまでの暴言には発展しないようなのです。)

他の場面でも、「死」という言葉を使う事もありますが、とにかく今、1番困り果てているのは泣いている子への暴言です…。

上のような私の教え方では、息子には伝わっていない…どう言えば、良いのだろう…と、悩みます。
支援センターなどの先生には、「泣いてるの、嫌だね」と共感してあげて下さい。また、泣いている子から、逃げて下さい。相手の親御さんに、お母さんが謝って「この子は泣き声が嫌いなんです」と開き直るくらいの気持ちでいて下さい。というアドバイスを受けるのですが半分納得し、半分納得できないのです。

残酷な言葉を、相手に言ってはいけない。
を、教えたいのです。
逃げるのも、ありですが…というより、その場から逃げずにはおれないので結局、謝罪して息子を抱えて逃げるのですが…。
残酷な言葉で相手を攻撃してはいけないのだ。相手は傷つくのだと理解して、“攻撃を止めて”欲しいのです。
アスペルガーの子は、相手の気持ちになるのが苦手だからこそ、アスペルガーなのだと思うのですが、この特徴を理解し受け止めた上で、どのように教えて行けば良いのかと思考錯誤です。
物語にして相手の気持ちを表現したり等など…自分なりに工夫してみるのですが、頭の固い私の工夫はしれています。
私は考えすぎ・過敏になり過ぎなのだろうか…今は、共感して(泣いている子から)逃げているだけでいいのだろうか。
残酷な言葉を言ってはいけないと教えよう・理解させようというより、自然に収まる時期を待つべきか?保育園という集団の中で、お友達に指摘してもらったりして自分で学んで行くのを見守るべきなのか…という迷いもあります。

こういうやり方はどうだろう?という物がありましたら、お時間がある時に教えて頂けると嬉しいです。
お忙しい中、真に申し訳ありません。
どうぞ宜しくお願い致します。

(4月度に、親子レッスンを新規で受けさせていたく事になっています。レッスンの際に質問させて頂こうと思っていたのですが、記事にして下さっているのを読み、つい、コメント欄にて発言してしまいました。)

長々と申し訳ありません!

子どもがこうした暴言を吐くとき、親がどんなにいたたまれなくて
辛く悲しい気持ちになるか
想像を絶するほどです。

子供が暴言を吐いたり、泣き叫んだり、暴れたりしている姿を見かけたら、
安易に「親の育て方が…」と決め付けたり、
冷ややかなまなざしを投げかけたりしないでいただきたいのです。

社会性にハンディーを持った子がいるということ、
そうした難しい子を育てる親がどれほどの苦労を強いられ
そのあげくに周囲から非難されていて心を傷つけられているのか
知っていただきたいのです。

「死ね」という言葉を使う子がいるなんて!
「なんて、ひどい!どんな育て方をしているんだろう」
と考えるのは簡単です。

しかしそうした子と日々向き合い、
トラブルが起こるたびに
自分の責任のように感じて
謝ったり悩んだりしている親の仕事は
その何千倍、何万倍も難しいことですよね。

それでも子どもの良い面を見つめて、
ただただ一生懸命に子どもを育てている方々をたくさん知っています。

そうした現実をひとりでも多くの方に知っていただけたら、
自分のことのように感じていただけたら、
そうした悩みの多い毎日を過ごしている親御さんが、
周囲の視線の冷ややかさが原因で心がぼろぼろになることはなくなってくると思っています。

それに、本当に困っているのは
発達障がいを持っている子ども本人…ですよね。


コメント欄のご相談へのお返事です。


相手の気持ちになる…ということを
理解させるには、まず自分の感情が理解できることが
大事なように思います。
また、本人は感覚過敏のせいで泣き声などがとても辛いはずなので、
まずその辛さを十分わかってあげる必要があると思います。

その上で、辛さの度合いを数値で表してみて、
どのレベルで限界に達して「死んでしまえ」といった言葉になっているのか、
その前兆となる行為(そわそわ~など)は何か
を紙に書いてみるとよいかもしれません。

前兆の段階で、「もう帰ろうか?」とたずねてその場を去る

「死んでしまえ」と言わずに、その場から離れられただけで、
十分褒める

といったことが大事かと思います。

話では幼稚園では、そこまでの暴言がないということですから、
おそらく毎日いっぱいいっぱいまで
我慢を重ねているのだと思います。

それがお母さんがそばにいることでほっとすることもあり、
また、以前、同じことをして叱られた経験を思い出すこともあり、
そうした暴言につながるのかもしれません。

1回でも2回でもよいので、
泣き声を聞いたけれど、暴言を吐くにいたらず
我慢できた褒められた

というプラスの体験を積むと、少しずつ暴言が減ってくるのではないでしょうか。



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「死ね」「死にたい」「殺す」「死んだの?」という言葉をよく使います。2

2009-04-12 22:43:54 | アスペルガー症候群
『子供たちの特性を活かす  アスペルガー症候群』宮尾益知 日東書院

の中には、
「死ね」「殺す」などの言葉の使い方と使える場所を教えてあげて、
練習することも有効です。

という一文があります。
「死ね」や「殺す」を練習するっていったいどういうことなんでしょう?

テレビをつけると、戦闘シーン、映画のシーン、
お笑い芸人が冗談で言う「死ね」「殺す」の言葉、
ニュースの殺人事件の報道、子供向けのアニメで冗談半分に使われる「死ね~」「殺す」の言葉…

子供たちは、毎日こ
うしたショッキングな言葉に触れながら
生活しています。
アスペルガー症候群の子は、場面や状況によって
「良い・悪い」が変わることが理解できません。

ですから、幼稚園で「死ねと言ってはいけません」と言われれば、
お家で使うでしょうし、お家で禁止されれば、病院やスーパーで使うかもしれません。
本人はテレビのヒーローが使った言葉として認識して、
ダメと禁止されている場面以外では使っていいと思っている可能性があるのです。

ですから、戦争のような場所で使うもの
と使うシーンそのものを教えることで、それ以外は使ってはダメなんだ~
と学ばせることになるのです。

アスペルガー症候群の子は、視覚認知優位なので、
ショッキングなシーンといっしょに聞いた言葉は、
何度もふっと思い出して使ってしまう…という状態になりやすいです。

認知処理形態として、部分にこだわってしまうため、
大人が一番学んでほしくない言葉や、使ってほしくない言葉に
こだわりを感じてしまう場合もよくあると思います。

そうした理由とは別に
アスペルガー症候群の子やその周辺のグレーゾーンの子どもたちが
「死ね」「死にたい」「殺す」「死んだの?」という言葉をよく使う理由は、
「死」ということはもっともわからない言葉だから…
と言えます。

アスペルガー症候群の子は、生きたあとにくる「死」の存在を意識できないのかもしれない…と言われています。
想像することが、非常に苦手なのです。
ですから、その言葉の持つ深刻さがわからずに
残酷な言葉を多用してしまうのかもしれません。

私はこうしたハンディーキャップを持った子が
周囲を驚かすような言葉を使う場合、
社会そのもののあり方や報道の仕方を反省していかなければならないと感じています。
何でもテレビのせいにしたいわけではありません。

しかし、アスペルガー症候群の子にとってテレビの影響は、
想像以上に大きいのです。
親の言葉のニュアンスは真似ないのに、
テレビのニュースの標準語をそのままコピーしたように使ったりする…という
特徴を持っているくらいです。

海外ではアスペルガー症候群の人の起こす残虐な事件は皆無といっていいほどなのに、日本では殺人事件が何度も起こっていることからも
報道のあり方を見直していかなければならないと考えています。


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「死ね」「死にたい」「殺す」「死んだの?」という言葉をよく使います。

2009-04-12 08:16:20 | アスペルガー症候群
知人の幼稚園に通っている娘さんが
「死ね」「死にたい」「殺す」「死んだの?」といった言葉を
よく使う点についてご相談を受けました。
この娘さんは、感覚過敏、認知の偏り、こだわり、パニックに似た状態が
赤ちゃん時代からたくさんあります。
アスペルガー症候群の積極奇異タイプの子と
よく似た印象ですが、
サリーとアンの課題には正しい答えを出せます。

私はサリーとアンの課題はクリアーするけれど
社会的認知能力に明らかな問題が感じられる子に
会うことがよくあります。

他の人の感じ方や考え方を察知すること
年齢、権威、序列などの概念を理解する
恥ずかしさや周囲の状況を理解する
相手の意図を読み取る
言葉の意味概念を正しく理解する

ことが、その年齢の他の子たちと質的なちがいを感じる子です。

けれども心の理論がわかっているかどうか…に絞ると
わかっているのです。

そうした4~6歳の子をお持ちの親御さんから、

「大きくなったらお母さんを殺す」「死ね」「死にたい~死にたい~」
(お母さんがお出かけしている間に)「お母さんは?死んだの?」といった
発言があったのですがどうしましょう?

というご相談を受ける場合があります。
それが、こうしたタイプの子とこうした言葉はセットにでもなってるように…
めずらしくないのです。

こうした言葉自体を取り上げると
なんて恐ろしい子…!と感じるかも知れません。
が、
そういう言葉をよく使う子というのは、いっしょに過ごしていると
その年代の一般的な子よりずっと純真無垢で幼く
気持ちの優しい、子どもらしい子どもなのです。疑うことを知らず、人を評価しません。
「殺す」「死ぬ」という言葉に恨みや憎しみや自虐の気持ちはこもっておらず
「あっち行って!」「嫌!」といった言葉と
同じような感覚で使っているのです。

引っ張ってしまって悪いのですが、レッスンの準備があるので続きは
次回に書きますね。


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広汎性発達障がいの子が中学生になった時に関数や方程式でつまずかないにするには?

2009-04-02 09:11:42 | アスペルガー症候群
コメント欄で、チューブを搾ることに夢中なので、その時期に適した遊びを教えてくださいという質問をいただいています。
ビニール袋(かケーキの絞り袋)と匂いのない油ねんどや、小麦ねんどを用意して
力を込めると、繰り返し絞る遊びをさせるといいと思います。
筆圧がつき、手先の力をコントロールすることができるようになります。
また、クッキー作り、小麦ねんどの散髪屋さん遊び、湿らせた土で山を作る
なども楽しめるかと思います。
大きなゴミ袋に空気を詰めて、押して空気を移動させる遊びも喜ぶかもしれません。マヨネーズの空き容器を洗って、お風呂のおもちゃに加えてあげるのも良いと思います。


前回の続きです。

広汎性発達障がいの子が中学生になった時に関数や方程式でつまずかないようにするにはどうすればいいのでしょう?

小学生の間は、計算を中心にけっこう良い成績を取っていた子が、
関数の学習が始まったとたん
まったく手も足も出なくなったりします。

関数の学習では、
表の中の曲線を見てそれを移動したり、線の中の点を縦と横の線を交差した線上でとらえたりすることが、必要です。

知識をためることよりも、
感覚情報を正しく取り入れることができる
という部分が大切!

つまり、小学生の間に、算数の基礎だから…と計算練習を繰り返したり
することとは別に、
『感覚統合』の訓練がとても大切になってくると思うのです。

特に目から入る情報を
正しくすばやくインプットできる能力を
遊びの中でいろいろ育てていく必要があるように感じています。

先日も、同じサイズの円が2つ重なっている絵を見せて、
円の中の直径を通る線の長さをたずねると
「半径の3つ分」とすぐに答えられた広汎性発達障がいの女の子が、

長方形の中にその円が入っている図で、同じ問いを出されても
さっぱりわからなくなっていました。
線が増えると、その中から必要な部分を抜き出して
目で捉えることができないのです。

解き方がわからないのではなくて、
見ること自体に問題があるのです。

さまざまな色を組み合わせてブロックの塊を作り
すばやく同じものを作る遊び
おりがみ
あやとり
数字を書いたカードをばらまき、1から順にタッチしていく
他のさまざまな感覚統合のための遊び

などで、そうした見え方から来る学習の困難はずいぶん防げるように思います。


それでは方程式は、どうして解けなくなるのでしょう?
方程式には、イメージすること
他の視点から眺めること
という広汎性発達障がいの子が苦手とする能力を要求されるからのようです。

察することと
推測することが極端に苦手な子は、
1次方程式は無事にマスターしても、
他の方程式の学習が入ってくると混乱し始め
しまいに最初にできていたものまで
ごちゃごちゃになってしまうようです。

それで、私は与え方によっては思考力を弱めてしまう公文式の
ような暗記からスタートする反復学習も
広汎性発達障害の子には、
学習の命綱ともなりうるな…と感じています。

察する、推測する、イメージすること、
を伸ばし続けることも大事なのですが、
それが何より苦手で、
その部分の能力が年齢よりも幼すぎるように見える子には、
考える必要はなく、繰り返す努力だけで進める学習は救いでもあります。

けれどもそればかりに頼ると、
今度はもともと察する、推測する、イメージするが苦手な子から
さらにそれらの能力を奪うことにもなりかねないので、
その都度、子どもの能力を見極めて判断していくことが大事だと考えています。




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サリーとアンの課題はできるけど広汎性発達障がい? 1

2009-04-01 20:56:38 | アスペルガー症候群
前回の記事の続きの間に、ちょっと今気になっている話を挟ましてくださいね。

私は専門家ではないので、
あくまでも子どもの遊び方と問題を解決する姿、学習の仕方などを
観察して感じることなのですが、

サリーとアンの課題に正しい答えを出せるのに、
他の多くの面で
非常に広汎性発達障がいの受動型の子に近い認知のあり方をしている子

がいるのです。


そうしたタイプの子は、外から自分がどのように見えるか把握していないように見えます。

広汎性発達障がいの子か、純粋にADHDやADDの子か…では、
学習を教えていると、
成績は変わらない子でも
非常に大きな違いを感じるときがあります。

広汎性発達障がいの子は、
かなり難しい問題が解ける子であっても
学習以前の情報の取り入れ方や問題解決の仕方で
頭を傾げたくなるような方法を取ることがよくあります。

学習上の暗黙の了解と思われるようなことが、
小学校中学年を過ぎても、自分では思いつかない…ようなのです。

わからないとき、他の人のやっていることを見て判断する

うまくいかないときは、他の方法を試してみる

1箇所だけ間違えているときは、その部分を何とかする
(全部1からやりなおしたりはしない)

といったことです。
純粋なADHDと診断されている子でも、

その子にとってそれほど楽しいとは思えないような習い事を
やめたがらない

という特徴を持った子の学習を見ていると

先に紹介したような学習上の暗黙の了解がわかってないな…というところ、

私のその子へのまなざしを正確に受け取っていない感じ…

その子のできている能力、年齢からいうと易しすぎる課題でも、
はじめてする場合、手が出なくなる…(かなり極端)

ということがあるのです。

広汎性発達障がいかどうか、診断がおりていないのに、
推測して何の意味が…?と思われるかもしれません。

が、私は、広汎性発達障がいがあるようなら、かなりグレーゾーンの子でも小学校時代の対応で気をつけることがあると思うのです。

ひとつは公文式のような反復学習を続けるか否かは、広汎性発達障がいがあるかどうかで選択肢はちがってくる

もうひとつは中学でつまずきが予測される関数や方程式の概念を理解する
基礎となる体験を遊びを通して積んでおくべき

ということです。

ちょっとわかりにくい記事になってしまいましたが、今度時間のあるときに
しっかり続きを書きたいと思っています。




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アスペルガー症候群の子の就学準備 2

2009-03-26 17:51:38 | アスペルガー症候群
途中に別の記事をたくさんはさんでしまいましたが、
アスペルガー症候群の診断を受けている5歳の☆くんのレッスンの続きです。

根気のいる頭脳を使う玩具を好む集中力がとても高い☆くん。
この子も「目で考える子」です。
私は5歳の定型発達の子らの勉強を見ることもよくありますが、
☆くんのように設計図を読み取りながら
ブロック製作を最後までやりきる根気がある子というのは、
それほど多くありません。
知能が高く根気や集中力のある定型発達の子でなければ、
こうした作業はしんどいのです。
けれども発達障害の子たちは、
一度こういった遊びが好きになると、憑き物に付かれたように
作業に熱中する子が多いです。
自分でレベルをどんどん上げていく子もよくいます。

5歳の☆くんは、これほど集中力や根気があるのだから
小学校の就学は心配ないか…?
というと、やはり気がかりなところ、配慮の必要なところが
たくさんありました。

呼ばれても、
聞こえていないように見えることがよくあること。

周囲の状況を把握すること
自分に望まれていることを感じ取ることは
難しいようです。

どんな簡単なことも、一度は言葉にして、ていねいにわかりやすく
説明してあげる必要がありそうです。

「場合や場面によっては
少しも言うことを聞けない
いつでもわがまま勝手
な行動をしているように受け取られるかもしれません。
でも、そのような時に、この子はそういう子という見方をせずに、
環境次第、与え方次第で、こういう集中の仕方、熱心さを しるせるんだということ
を忘れないでほしいのです。できれば、担任の先生等にも、
今日の☆くんの姿を、
言葉でなく目で見てわかっていただける
機会があるといいのですが…
いつもちゃんとできない障害のある子として見るのでなく、
この能力の高いしっかりした姿をもとのイメージとして持ってもらって、
環境を調整してもらえるとよいのですが…」
と☆くんのお父さん、おかあさんにお話しました。

☆くんのような子は、学校で、
集団で落ち着けなくてきちんとしないきちんとしないから叱られる
叱られるから落ち着きがなくなるさらに叱られるつねにきちんとできない

という悪循環に陥りがちです。
本来の☆くんの姿を
周囲が忘れずに持っていることが大事だな…と感じました。



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統合失調症の前段階と誤診されることがあるアスペルガー症候群の子の問題など…

2009-03-03 21:25:31 | アスペルガー症候群
このところ、忙しさがピークで更新ペースが落ちています。
いろいろと書きたいことがあるのに、時間が…。
生徒さんのお母さんがメールでとても役立つホームページを教えてくださったのでリンクしますね。

☆授業中の飛び出しへの対応

読字障害の子への対応

アスペルガー症候群の子。障害の特徴に応じた工夫を心がけることで、学校生活にもなじめるように

☆統合失調症の前段階と誤診されることがあるアスペルガー症候群の子の問題 1

☆統合失調症の前段階と誤診されることがある子どもの問題 



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全体より細部に注目してしまうということ

2009-02-28 17:19:23 | アスペルガー症候群
今日はアスペルガー症候群の特徴を持った5歳の☆くんの
レッスンの日でした。
☆くんはとても知能の高い男の子です。
現在、小学校受験問題を学習中ですが、
思考や推理を扱う複雑な問題も、難なく解けます。
また、今日は、☆くんから見ると左にあるものが、
向かいあった相手から見ると、どう見えるのかという問題で「右!」と即答。
☆くんの左横の人から見ると、どう見えるかでは、「前!」と即答していました。
☆くんはものの見え方については
簡単に他人の立場に立てるのに、
相手の心を推測するのはさっぱりわからない…ということが
多いのです。
絵本に描いてある絵の涙の理由をきいても「わからない」と答えます。

☆くんのお母さんは、☆くんがコミュニケーションを学ぶために、
週1回お友達を自宅に招いて
いっしょに遊ぶ会を開いているそうです。
それは☆くんにとっての何よりの学習になっているようです。
数ヶ月前までの、激しかったこだわりは影をひそめ
ミスをしても爆発しない柔軟な態度が身に付いてきました。

いっしょに遊ぶ会で、☆くんのお友達が、
初対面の☆くんの祖母から名前を呼ばれて、「どうして私の名前を知っているの?」と
たずねたそうです。
☆くんのお母さんは、そのとき、ハッと☆くんとの心のあり方のちがいを
感じたそうです。
お友達は、はじめて会う人が自分の名前を知っていたことにびっくりしています。
しかし☆くんの場合、世界中の人が自分を知っているという前提で
世界をとらえていて、逆に知らない人に「お名前は?」とたずねられたら、
「どうしてぼくの名前を知らないの?」
と聞きかえすのです。

今日のレッスンで☆くんにストーリー性のある絵カードの
並べ替えをしてもらったところ、
「う~ん、そこを見るか~」とうなってしまうシーンがありました。

女の子が赤ちゃんから~成人して結婚するまでの成長を
描いた4枚のイラスト。
☆くんは、最初に、赤ちゃんの絵を、
窓の外が夜だからという理由で、最後にもっていきました。
他の絵柄も、窓の外の風景だけで、選んでいきます。
細部にとらわれて、テーマや大きな時の流れが読み取れないのです。

☆くんは知的な面で本当に賢い子で、
法則化できる数学のようなものは、
教えていないことも次々ひらめいて解けるようになるのです。
しかし、小学校受験の塾でもテストの最中に
テストの折れ目に気をとられて続きをするのを忘れるなど
細部にとらわれると、そこから抜け出せなくなってしまうようなのです。

全体を見ること、細部にとらわれた状態からできるだけ早く抜け出すこと、
それらは☆くんには難しい課題です。
それでも毎月会うたびに成長していく☆くんを見ると、
その潜在能力の高さと、
守られた少ない人数で、
遊びを繰り返すなかで成長するものの大きさに驚いています。



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高機能自閉症やアスペルガー症候群の子はどうして学校でトラブルを起こしてしまうのでしょう?2

2009-02-24 15:50:42 | アスペルガー症候群
<同じ失敗を繰り返す>とは

認知過程の障害の中で象徴化ができにくいという特徴と関係があるそうです。

見たり聞いたり読んだりしたことが生かせず、
自分の経験からしか学べません。
経験が失敗なら
失敗をわざわざ繰り返すそうです。

悪循環を断つには成功体験を増やすしかないそうです。

<前と同じようにできない>
大きさ、向き、相手、場所などが
ちょっとちがうだけで、できなくなってしまうことがあるそうです。

今回はこの3つだけ取り上げさせていただきますが、
どれも高機能自閉症やアスペルガーの子が、集団の場で、
わがまま、何度言われても聞けない、
と誤解を受ける理由がわかります。

こうしたハンディーで困っている子たちに
その子の認知のあり方についての正確な知識を持たずに接していたら、
どんなに優しく接していたとしても
その優しさは子どもに届かないのかもしれません。


前回の記事に発達障害の成人の当事者の方が、

学校で本人の知能の向上よりも、
お客様でいるよう、集団の和を乱さないようになることばかりを
求められた…と感じて苦しんでいらっしゃいます。
「泣かなくてえらかったね」といった褒められ方も
今現在の心の傷となっているそうです。

学校でパニックを起こしていた生徒が落ち着いてきて
ニコニコして過ごしていると、
先生はうまく教育できたと安心し、
親御さんも喜ぶかも知れません。
けれど当事者の発達障害の子がどのように感じ
将来その時期のことを振り返るのか…
ニコニコしているから喜んでいる…とは
表情と心の中がずいぶんかけ離れていることも多い
広汎性発達障害の子の場合
決め付けることはできないと思います。

虹色教室でもいやなことがあると
おもちゃを投げて、お母さんが困った顔をすると
ニコニコしている子がいます。
その子はやんちゃをして喜んでいるのではなく、
不安と怒りからニコニコした表情となっているのです。




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一部引用『わらって話せる、いまだから』上野景子 上野健一  東京シューレ出版

高機能自閉症やアスペルガー症候群の子はどうして学校でトラブルを起こしてしまうのでしょう?

2009-02-24 08:25:21 | アスペルガー症候群
ウェブ拍手、コメント欄にいただいたご相談は
近いうちに記事の中でお返事させていただきますね。

高機能自閉症の子やアスペルガー症候群の子は
その場その場にふさわしい行動がとれない
ことがよくあります。

どこに行っても「しつけがなっていない」と叱られる行動を
よくとるわけです。
学校では、十分学力ではついていける子が
先生の指示に従えず、トラブルの元となっていることも
多いです。

ふさわしくない行動をとってしまう原因は、
認知過程の障害
想像力の乏しさ
微調整ができない
過敏性が強い
などが考えられるそうです。

<認知過程の障害>とは、
今、ここで起きている事象が

過去にもあったことなのかを記憶と照合する表象化

あったとすればどのようなグループに含まれるかを調べる象徴化

そのグループにはどんな特徴があり、何が重要かを調べる概念化

のプロセスです。


多くの人が関連した事柄をまとめて
ひとつの引き出しに入れる記憶方法を用いていますが
自閉症児者はひとつの引き出しにひとつの事柄を入れる
記憶方法なのです。
そのため同じ失敗を繰り返したり、
予測ができず
臨機応変の対処も苦手になってしまうようです。

ビデオ式の記憶ではなく
写真式の記憶です。
そのため他の記憶の影響を受けずに、いつ、どこで、誰が、何を、どうした、
などのエピソードの記憶は優れている一面があります。

グレーゾーンの子で見たところ発達障害があるようにはまったく見えない子が
叱られたあとで
とてもわがままに見える言い訳を繰り返したりします。
「おもちゃを出さないで!今は勉強中でしょう?」
「そんなの聞いてない」
「そんなことないわ、さっきブロックを出してたとき、同じことを言ったでしょう?」
「ぼくブロックは出してないよ!ほら!」と今遊んでいるおもちゃを指します。

こうしたシーンで、見た目は口答えして問題をごまかそうとしているようにも
見えるのですが…

ほんとうに、さっきのブロックと今遊んでいるおもちゃが
おもちゃというカテゴリーでくぐられてない

ということがあります。
テストをするとできるのに、
実際の生活の場面だとそうなる子もいます。



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公教育の一斉学習は発達障害のある子に合わせるべきなの? 1

2009-02-17 08:49:16 | アスペルガー症候群
☆教育の窓・ある退職校長の想いのtoshi先生が、
『発達障害児と問題解決学習と』という記事の中で、

一斉学習を、発達障害の子にとって分かりやすい、すごしやすい授業にするには
どうすればいいのか…

という点を真剣に考えておられます。
この問題は簡単に正しい答えが見つかるわけではありません。

広汎性発達障害の子にとって落ち着いて取り組める…とされる

〇授業の冒頭に、本時の学習の流れを示すこと。

〇イラストや映像など、視覚的な手がかりを活用すること。

という授業のあり方の工夫も
あまりに形にとらわれると、
子どもたちから自分で考える力や想像力を奪いかねません。

授業は子どもの興味や疑問の高まりから
柔軟に変化していくものでなければ
真の学びにはなりにくいのです。

しかし一方でアスペルガー症候群などの『広汎性発達障害』に含まれる子たちが
こうした変化に富んだ授業の中でとまどい混乱し
本来の能力が発揮できないだけでなく
授業を妨害するような困った行為に走ってしまうことも
よく起こっています。

発達障害の子に一斉授業を合わせるべきか
発達障害の子は特別支援教室などで学ぶべきなのか
一斉授業は問題解決学習を基本とするべきであり、発達障害の子には
配慮をするにとどめるべきなのか

授業を大人からの押し付けにしたくない
ひとりひとりの子が大事

そんな風に子どものことを真剣に考える先生方は悩んでいます。

toshi先生は、(発達障害とはいえ、みなそれぞれ…)

だから、やっぱり、一人ひとりの個性をみていくしかないのだ。その子に合った指導法を考えるしかないのだよね。『発達障害のある子だからこう。』って決めつけるわけにはいかない。

という結論に達しておられます。

私はtoshi先生の記事を読んで、真剣に発達障害の子のことを考えてくださっていることをうれしく感じる反面、
多くの公立小学校の先生方が、名前からくる『障害児』というくくりの中で
発達障害の子について考えているのかな…と少し気持ちが曇りもしました。

実際、発達障害の子たちと接していると、
発達障害児と定型発達の子のちがいは
それは左利き、右利きといったちがいや
研究者気質と芸術家気質のちがい
日本人と西洋人のちがいに似た

あるものは完全であるものは不完全といった分け方ができないもの

だからです。

脳の癖や発達の順序や得意分野不得意分野のちがいとして
捉えるようなものだからです。

例えば、学習面で優秀で運動オンチの人が
体育大学に入れられたら、
配慮は必要でしょうが、体育大学での運動面の成績の良い人が「普通の人」で
学習面で優秀で運動オンチの人を「障害者」と捉えるのは
奇妙なことです。

同じように、一斉授業では困難があっても
発達障害のある子はそうした脳を持っているゆえに優れている部分もたくさん持っています。

そうした発達障害観といったものを
先生方がきちんと自分の中で整理してくださることが
とても大事だと感じています。

教室の中で定型発達の子らに同情してもらう子、気を使ってもらう子
としての位置を、発達障害の子に与えることは
発達障害を抱えて日々をいっぱいいっぱいに生きている子どもたちの尊厳を
深い部分で傷つけるように思います。
おそらくtoshi先生の指導のもとでは、
子供同士、互いに尊重しあう対等な関係がはぐくまれていて
子どもが子どもへの配慮を思うとき、
良い共生関係が生まれるのだと思います。

ただ、先生の資質によっては
定型発達の子どもの無意識内に、差別の心を育ててしまわないか…気にかかりました。

また広汎性発達障害の認知のあり方を
「個性」としてみることは、
少し難しいかもしれません。

アスペルガー症候群の子どもの典型的な特徴は、
変化が嫌いで、ほんの少しでもいつもと違うことがあると
混乱してしまうこと。
ひとつの物事にとらわれがちで
熱中しはじめると、他が目にはいらなくなってしまうことです。
アスペルガー症候群の子どものほとんどは、平均かそれ以上の知能を持ち、
記憶力に優れているようです。
そうした脳の癖に翻弄される子は
毎日、とても不自由な生活を強いられています。

個性として、その都度対応していると、

がまんしようと思えばできる。
でもそれが二次障害の原因ともなるストレスをためさせている

…となりがちなグレーゾーンの子たちが
追い詰められていきます。

やはり、視覚支援、授業の冒頭で流れを説明する

などできる範囲で、公教育で子どもに教える基本として
取り入れていった方が良いように思います。

それと何より、そうした形より、
先生方が、まず軽度発達障害について正確な知識を学んでくださること

は絶対大切だと思っています。



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アスペルガー症候群の特徴を持つ5歳児レッスン一通り♪ 5

2009-01-18 16:59:22 | アスペルガー症候群
☆くんには、前の記事に書いたニキーチンの積み木の別の種類のもの(ユニキューブや形づくり)もしてもらいました。
その後、☆くんは、最初にした人物当てゲームをやりたがりました。

推理する
論理的に考える

が、今☆くんのなかに育ちつつある能力のようです。
そこでお家にあるカルタなどのカードで、
この遊びをする方法を紹介しました。

カルタを1枚選び、その下に当たりの紙切れを敷いておきます。
答える役の人が
「それは動物ですか?」
「それは空を飛びますか?」などの質問し、
紙を隠した人は、丸かバツのジェスチャーをします。

たとえば、「動物ですか?」で丸なら、
動物以外の文具などのカードはすべて裏返します。
そうして最後に残った一枚の下に当たりがあれば、合格です♪

ポケモンやアンパンマンなどのキャラクターのカードで
遊んでも楽しいです。

これで☆くんのレッスンはおしまいです。
☆くんは「好きなことしかしない」という硬い態度が
だんだんやわらかくなってきました。
今回は誘ったほとんどの取り組みを笑顔で楽しめました。
小学校受験は、☆くんにとって
大きなチャレンジです。

がんばってね♪



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アスペルガー症候群の特徴を持つ5歳児レッスン一通り♪ 4

2009-01-18 16:51:39 | アスペルガー症候群
☆くんが苦手な小学校受験問題は、
立方体の
左右と後ろの位置に立った子から見える
絵柄を当てるというものです。

他の人の視点に立って考える

のが難しかったようです。

写真のように、大きなさいころのまわりにお人形を置いて
「しまじろうくんから見える数はいくつかな?」
といった問題を出すと、
きちんと解けました。

☆くんには、こうした見え方の問題だけでなく
自分以外の人の気持ちや思いを推測するという練習も
していってもらおうと考えています。


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