ADD?先生の発達障害児 教育応援サイト

ADD?傾向のある塾教師がADHDやアスペルガー症候群の子にどうかかわり教えたらいいのか模索していくブログです。

発達障がいのあるなしの違いが、あまりわからないのですが……3

2009-06-25 10:06:10 | 発達障害児に教える基本
前回の続きです。『決定権を誤解する子 理由をいえない子』から引用させていただいています。

「理由が言えない、わからない」子どもによく見られる姿は次のようなものだそうです。

会話でイライラしやすくけんかが多い。相手は理由をつけて提案しても、一方的に指示された命令されたと思いこむ。

会話が進んで、理由を聞かれるのがいやで、すぐに「はい」「わからない」と言う。

理由を考えて表現できない。

相手の考えの背景にある理由の存在や内容が理解できない。


発達障がいがあっても知能が高くて、周囲の子と同じようにできることも多いと、
上のような子どもの姿は、

親のしつけが悪い子
つっぱっている子
わがままな性格の子

とだけ見られがちです。
そうした誤解に追い詰められて、実際、非行とされるような行動に走るように
なる子もいると思います。

理由を理解することが困難な子には段階を踏んで、理由をもとに行動する大切さを学ばせていくことが大事です。

理由をいえない段階

理由表現のできない子には、理由をつけず、具体的にやるべきことだけ話すよう心がけます。

理由が相手への説明になっていない段階

理由をつけずに提案、行動したときには「どうして?」とたずね、「~だから、しよう」と話すように教えていきます。
「言動の際には理由が必要なのだ」と気づきはじめます。

理由の内容が一般的に考えて了解できる段階

「おいしいから」「たのしいから」が理由の子。
「他にもある?」と別の理由を考えるようにうながします」

理由の内容が、一般的な知識や道徳になる段階

知識として学んだことが、言動の際の理由となります。
一般的な知識や常識を盾に、周りの人を非難したり、違う考えを受け入れなかったりする場合は要注意。
「~した方がいいけれど当てはまらないときがある」「正しいことより、相手の気持ちを優先させた方がいい」など、一般的な理由だけではものごとを決められないことを、さまざまな経験の中で学んでいく必要があります。

理由に他者が入る段階

「みんないいと言ってる」「お友だちもほしいと話してた」と
自分だけの理由でなく、他の人の意見をそえ、理由を強調します。多数派の考え、権威ある人や本などを論拠にしたりします。
こういう子には「自分の考えを言いなさい」とたしなめる必要があります。

理由を自分流に表現する段階

自分の体験や知識を入れ、自身の体験や知識を入れ、自分なりに考えた表現ととなります。
理由を聞いてみると、ときに非常に極端で、奇妙な考え方をしていることに気づくことがあります。議論しながら、さまざな考え方に触れさせ、周囲に受けいれられないことに気づくことが必要です。

長くなったので次回に続きます。



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発達障がいのあるなしの違いが、あまりわからないのですが……2

2009-06-23 16:52:55 | 発達障害児に教える基本
広汎性発達障害の診断を受けている幼稚園の年長の☆くんについての続きです。

IQが130以上ある☆くんは、知的な面では同年代の子との違いを見つけることの方が難しい子です。わざわざ発達障がいと捉えることに疑問がある方もいるでしょう……というお話でした。

私は、こうした外から見て発達障がいとわかりにくい子であっても、診断を受けていたり、発達障がいのチェックリストにたくさん引っかかることがある場合、発達障がいという捉え方で子育てすることは大切だと思っています。

私がそうすることが大切と感じる理由は、

『決定権を誤解する子
理由を言えない子』 湯汲英史 小倉尚子 かもがわ出版

という著書の中で集約されています。
この本の中に、Dくんという広汎性発達障がいの男の子の話が載っています。

発達障がいのあるDくんは、「学校で何をして遊ぶのが好き?」と聞くと、
「わかんない」と答えます。
コミュニケーション能力に問題があるのか、
自信がないのかと思っていると、こんな別の理由がありました。
「サッカー」と言えば、そのあとに「どうしてなの?」と聞かれる
可能性があるからです。
この子は、「どうして~ですか?」と聞くと、
その答えは的外れなことが多く、ほかの人には、
理解できない理由でした。
答えのピントのズレを周りの子たちからからかわれていたためか防衛的に
「わかんない」と言うようにしていたそうなのです。

この男の子のような「わかんない」……
発達障がいなのかどうなのかわからないレベルのグレーゾーンの子たちも
よく口にするのを耳にするのです。

私が思うに↑の著書の中心的な内容の
「相手に通じる理由が言えない」困難を抱えている子は、そうした子のなかにかなりたくさんいます。授業中うろうろするか……勉強についていけているか……だけが大人の注目を集めがちで、そうした目だったところのない子は発達障がいがあってもそう捉えることすら無意味だと考えられたりします。
そうした困難があることすら気づかれずに、本人にすれば生きづらさを抱え、大切な生活技術を教えてもらえないまま成長していきます。

↑の著書に次のような実例が載っています。

中1のSくんは、AD/HDと診断されています。知的能力は非常に高く、学校の成績はトップクラスです。
そのSくんが、友だちのキーホルダーを黙って持ってかえってきました。
ショックを受けたお母さんが「他人のものを盗ったら友だちにどう思われるか」や「盗みをすると警察につかまること」など、盗みがいけない理由をこんこんと諭しました。
しかし一ヶ月も経たないうちに、今度は友だちのゲームソフトを盗んでしまいました。
学校の先生は深い理由があるのでは?何かのしかえしなのでは?と考えて、理由をたずねました。
Sくんの答えは「欲しかったから」でした。

Sくんのように言葉の能力が発達している子は、「理由を説明すればわかるはず」と誤解されやすいのですが、幼い頃、多動が激しく、次々興味が移っていたSくんは、幼児期に理由の意味や役割が学べていなかったようなのです。

知能が高くても、理由をもとに行動することが苦手な発達障がいの子には、
周囲の大人が、幼児期学べなかった課題も根気よく教えていってあげる義務が
あります。
何を教えてあげればよいのか……その指針となるのが、
これまで蓄積されてきた『発達障がい』についての情報です。


☆くんの話からそれていますが、続きは次回に書かせてくださいね。


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発達障害児は多すぎる?  1

2009-05-16 08:17:56 | 発達障害児に教える基本
最近、ちょっと問題を感じたらたいしたことない子まで発達障害という名前をつけて、騒ぎすぎる……

と考えておられる方によく出会います。

昔は、そんな診断しなくてもちゃんと育った……

そうおっしゃる年配の方々もよくいます。

ここで注意が必要なのは、

かつての小学校では、今、発達障害と診断されるような子もそんな診断名はつけられずに普通に育っていたし、
そんな診断つけて騒ぐから問題のある子になるんだ……

という考えの盲点です。
現在、非常にたくさんの子が不登校となり、
たくさんの若者がひきこもりとなっています。
また、就職したくてもできない、就職しても続かない若者がたくさんいます。


もちろん、不登校やひきこもりの子がかならずしも
発達障害を持っているわけではありません。

けれども幼稚園や小学校で、周囲とうまくなじめなかったり、
攻撃的だったり、不器用すぎたり、言葉の理解にたくさんひっかかるようなところがあったり、授業中立ち歩いたり妨害したりする子……
というのは、親も先生も何らかの対策をとって
ていねいにその子に向きあっていかないと……

当然、子供同士の関係悪化や「先生に自分だけ叱られる」「勉強がわからない」といった理由で、
不登校になるリスクは高くなるのではないでしょうか?

子どもなんてそんなもの……
発達障害などという考えを追放してしまえば
昔と同じように子どもはきちんと育つ

と考えるのは、ある意味「無策」でもあって、今後、さらに子どもや若者の問題を増大させていくように感じます。

長くなりましたので、続きは次回に書きますね。


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アルファベットが覚えられません

2009-03-31 20:03:15 | 発達障害児に教える基本
今日は、発達障害の診断を受けている小学3年生の☆くんが、
お母さんと2歳の妹さんといっしょに教室に来てくれました。

☆くんのお母さんのお話では、
全体の学習にそれほど遅れはないものの、
ひらがなやカタカナをいまだに忘れたり
アルファベットが覚えられなかったりする…というお話でした。
算数では、㎏が書けなくて困っているとのことでした。

☆くんとはさまざまなゲームをしたり、問題集を解いてもらったりしました。
☆くんの能力で非常に驚いたのは、
数学的な分析能力がとても高いことでした。

最レベ問題集3年生の

やすお君、あきら君、こうた君、みつ子さん、れい子さんの5人が、算数のテストを受けました。あきら君はみつ子さんの次に点数がよかったそうです。みつ子さんは1番ではありません。やすおくんの点数は、れい子さんの次だったそうです。そしてれい子さんは、あきら君より点数が悪かったそうです。点数のよかった人からじゅんに名前を書きなさい。

といった複雑な文章題問題もすんなり正解することができました。

また、分配算などの線分図を理解して解く問題もできました。

こうした問題は、
定型発達の学校での成績がとてもよい子でも
なかなか解けない問題なので、
☆くんの文章の理解力には驚きました。

そんな☆くんですが、ごくごく易しいことでも
できないやミスが目立ちました。
自分の名前にあるカタカナをミスする
㎏が書けない
などです。

私は、☆くんが困惑したり間違えたりする問題を観察するうちに、
あることに気づきました。
☆くんが書くのに困っているのは、
教科書や問題集に印刷されている字と、
実際、書くときの文字が異なる文字が多いということです。

例えば g
この文字をよく見ると、実際に学校で習うつづりとずいぶんちがいます。
一般的な人は、このgを見ても
脳の中で自分のイメージのgに変換して見ているように思うのですが、
☆くんは、この目から入る情報に邪魔されて、
どう書いたらよいのか、混乱してくるようなのです。

グラムを教えるときに

数字の9書いて~曲がってでっぷりお腹♪

と書くとき唱えると、わからなくならない言葉を教えました。
また㎏のkとgバランスが混乱のもとのようだったので、
kは鳥のくちばし(開いている)豆食べようと(9の丸い部分をkのくちばし部分の前に配置することを教えます。)~(続きはgの書き方で~)
きちんと☆くん書けました


かがみ文字になると見分けが付きにくく
発音が似ている S N F
など頭の中で勝手に反転してしまいそうな文字につまずきがありました。

私は、Sに鳥のくちばしを書き加えて
「右にクチバシ、エス!」と言葉や絵のイメージになおして
記憶するようにすすめました。
この方法がうまくいくかも…と思ったのは、
☆くんとドイツ製のハンカチ落としの記憶ゲームをしたとき、
絵をストーリーになおして記憶する遊びで
☆くんはすばらしい記憶力を見せてくれたからです。

☆くんには写真のように、
ブロックの各方向から見えるパターンを
作ってもらったところ、

逆に色を置くなどのミスが目立つ、作るのが遅い、

など見え方の問題を感じました。

そこで、こうしたブロックの問題をお家ですばやく作る練習をすることで、
文字の書き方にあらわれる問題が
少し軽減できるかもしれない…とも思えました。
☆君には、他にもいくつか
楽しめそうな課題を持って返ってもらいました。
 


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アスペルガー症候群の子の就学準備 1

2009-03-17 17:24:49 | 発達障害児に教える基本
今日は埼玉からアスペルガー症候群の診断を受けている5歳の☆くんが、
お父さんとお母さんと2歳になる妹さんといっしょに虹色教室に
来てくれました。
(5歳児にアスペルガーの診断がつくのか賛否両論はあるでしょうが、
知能が高くはっきりした自閉の傾向を持つ☆くんに関しては、
病院の診断名のまま記載しています)

☆くんは明るく笑顔の可愛い男の子です。
根気のいる頭脳を使う玩具を好む集中力がとても高い子です。
虹色教室では、
2進法で計算していくおもちゃ
進研ゼミの計算おもちゃ
写真のパターン作りのおもちゃ
ドールハウスのセッティング
ブロックの組み立て
等に
少し過集中気味かな…と思われるほどの
熱心さで次々取り組みました。

頭を休めておくことは苦手な様子です。

『脳は自分で育てられる』加藤 俊徳 光文社
の中にこんな話が載っています。

障害を受け、脳番地のリストラを必然的に進めていかなければ
ならなくなった脳は、いわば必ず「個性的」になります。
障害のある不得意な脳番地よりも、損傷していない
脳番地への枝ぶりを伸ばすことで、
より「個性的」な脳になると考えられます。

脳に損傷を受けていない脳では、脳番地のリストラを必然的に推し進める
理由はあまりありません。
言い換えれば、何か特定のスポーツや芸術、科学などを極めるために、
脳番地のリストラを迫られるほど大変な努力をしなければ、
得意不得意な脳番地がはっきりせず、
特徴のある脳になりにくいと言えます。

使える脳番地を選び出し、集中的に脳番地を使わなければ、
個性的な脳表現は完成へ向かわないと言えます。
さらに言えば、ヒトの脳がさらに進化する過程においても、
意図的な脳番地のリストラは必須条件ではないかと思われます。

☆くんは社会性の面で
非常に幼いところがあり、
2歳の妹さんと同等に競ってみたり、
栗のおもちゃを見せてふざけようとして、
私のほっぺたに栗のイガをぐりぐり押し付けて
笑っているという場面もありました。
目に入ると衝動的にそれに手を伸ばしてしまうところや、
注意の移行の難しさもあります。

そうしたハンディーキャップを埋めるように
疲れ知らずに脳を使おうとする動作がうかがわれました。

☆くんのレッスンは次回に続きます。


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就学前の読み書きのレッスンについて

2009-03-16 13:20:07 | 発達障害児に教える基本
就学前のお子さんで筆圧が弱く文字を書くことが困難なため、レッスンを希望します。
というコメントをいただいています。
親子レッスンは、受講待ちの方がたくさんおられるため、
今募集はしていないのですが、就学を控え、たくさん不安を抱いておられる方もいらっしゃると思います。そこで夏休みに数日だけ、軽度発達障害のお子さんで就学を控えておられる子たちの読み書きと計算のレッスン日を設けようと考えています。
1日でできるようになるかはわかりませんが、何らかの改善方法は探っていけると思います。

nijiirokyouiku4@excite.co.jp 

メールがたくさん来過ぎると、送受信ができなくなることがあるようです。
もし一週間しても返事がない場合は、もう一度再送してくださいね。
募集人数が多すぎる場合は、冬休みや春休みまで待っていただく場合があります。



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集団での過し方 遊び方を学ぶ会♪

2009-01-18 18:04:58 | 発達障害児に教える基本
今日ははじめての試み
NPO京都ハートネットワークの発達障害当事者の成人の方にボランティアをお願いして
2歳~4歳の軽度発達障害を持つ子と定型発達の子らとで、
「いっしょに遊ぶ会」を開きました。

積み木遊び、ゲーム、伝承遊びなどを楽しみました。
とても楽しい良い時間が過せました。
子どもたちはボランティアのお姉さんが好きになって
膝に乗って遊んでいました。
帰りは、ボランティアの女の子もニコニコして「また次回も来たい!」
と言ってもらいとてもうれしくなりました。

広汎性発達障害やADHDの特徴を持った幼児さんたちは
お友だちとの接し方がわからず
いきなり相手のおもちゃを取り上げたり
自分ひとりの遊びの世界に没頭したりしがちです。

でもこうしたいっしょに遊ぶ場のなかで、
よく観察していると、小さなかかわり合いのチャンスが見つかります。
例えば、ひとりで「ブッブー」とおもちゃの汽車を動かしている子がいたら、
「カンカンカンカン~のふみきりがしたい人?」と聞くと、
やりたがる子が見つかります。
そこで、ひとりで汽車を動かす子と、
ふみきり役をする子の間で
いっしょに互いのタイミングを読みながらする遊びが成り立ちます。

また、人形の家でひとり遊びをする子がいると、
「トントントン!こんにちは~」とドアを叩いて呼びかけてみせたり、
2階から「オーイ、あがっておいで~!」と
呼びかけてみせたりすると、
人形の家での友だちと関わりあいながらの遊びが
成り立ち始めます。

そうして、お友だちとコミュニケーションを取りながら遊べた
という成功体験を増やしていきます。

また、あーぶくたったなどの伝承遊びを覚えておくと
その遊びにはきちんと参加できる
という自信が生まれますね。

かかわりの苦手さ、相手が見えにくいため
つい衝動的で乱暴になってしまう行為にばかり
目がいってしまいますが、

できること
できそうなことを探していると

それぞれの子が社会性の育ちにつながりそうな
何かを持っているものです。
またトラブルがあった場合、お家で何を練習すればいいか
見えてきます。

例えば、大人となら静かにゲームに付き合える姿が見えたら、
同年代の子は難しくても、
おとなしくて温和な少し年長の子に
遊んでもらうのなら大丈夫かもしれないサインです。

お友だちにおもちゃが貸せないため、
トラブルになっているようなら、
お家でお人形相手におもちゃの貸し借りを練習するといいかもしれません。

子どもに上手な集団での過し方、遊び方を教えたい場合、
まず親御さんが、お友だちと遊ぶ時の子どもの観察の仕方や
適度な支援の仕方をマスターすると
子どもは自然に遊ぶことが上手になってきます。



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できないことは、できることを利用して学ぶ

2009-01-14 12:47:34 | 発達障害児に教える基本
メールのお返事が遅れています。明日には少し時間が取れますので、お返事書きますね。(割り算の壁が越えられないという★ちゃんには教室に来ていただく予定です)


☆ちゃんは、記憶する力に困難を抱えた小学生の女の子です。
ずいぶん長い間、何度も10の合成を学んでいるのですが
覚えられません。
そのため、くりあがりやくりさがりのある計算に
なかなか進むことができません。
☆ちゃんは学習全般にかかわる記憶力に苦手を持っていますが、
コミュニケーション力が高く、
カラフルでバランスの良い絵を描くことができます。

そこで、☆ちゃんの得意な色や形を認識する力や
コミュニケーション能力を使って
苦手な算数を克服できないか…と考えました。

前回のレッスンで数からイメージできる色を決め、
色紙に数を書いて持って帰ってもらいました。

すると今回、
妹さんが金色が好きなので7は覚えました。
☆ちゃんは自分の好きな緑色が3なのは覚えました
という報告をいただきました。

そこで、「妹さんの7と☆ちゃんの3は、あわせて10。
ペアになるよ。」と教えました。
それから、
「くりの色、茶色の6。
みかんのオレンジ4。
食べ物ペアはあわせて10。

1番なりたい男の子。
9、くーは、黒。1も9も男の子色。

2はガーガーあひる。
8は、肌色ほっぺの女の子。
あひるも女の子もあったかいね。

5は紫。5と5で10」
と教えると、ものすごく苦手だった数に
親しみが持てたようでした。

コミュニケーション能力の高い☆ちゃんは、
これまでの生活体験に根ざした内容なら、
なんとか記憶できそうです。

いつも一生懸命な☆ちゃん、ハンディーに負けずにがんばってね


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「こだわり」と「パニック」の後ろに大きな潜在能力が隠れている

2008-12-30 16:34:30 | 発達障害児に教える基本
大掃除をしてしまわなくてはならないのに、マイペースに掃除しています♪今休憩中です。

先日、3歳2ヶ月になる男の子☆くんが1歳半の弟くんといっしょに
広島から来てくれました。
お父さん、お母さんといっしょです。
遠い中、ありがとうございます。

☆くんは言葉の遅れや運動面の育ちの遅れとともに
広汎性発達障害の特徴を持った男の子です。
家族以外の人はとても怖がって
人見知りが激しい時期の赤ちゃんのように
いつもお父さんの胸に逃げ込んでます。
人と目を合わせたり
ちょっとしたやり取りをするのも怖い様子です。
新しくすることは何でも怖いらしく
強い拒絶があります。

言葉や行動は1歳半年下の弟くんと同じくらい
というお話でした。
確かに遊んでいる様子や、
会話を聞いていると1歳半の弟くんが
好奇心いっぱいに私やお母さんと会話しようとするのに対し、
一方通行の言葉が主の☆くんは、同じくらいかさらに幼く見えました。

☆くんはふみきりと洗車場が大好きなのだそうです。
それで、私が「工作しようね」とラップのしんに青のビニールひもを結んで
洗車場を作ってあげると、
新しいことが怖いらしくお父さんの胸に逃げ込みました。
そして弟くんが、できたおもちゃで遊んでいる間も無視しています。

けれど、しばらくすると遊びだしました。
私が、ビニールひもを裂いてみせて「こうしたら水みたいになるよ」と教えると
顔をこわばらせてそっぽを向きました。

ところが、数分すると☆くんは大好きなお父さんのひざの上で
自分から青いひもを裂く作業をしているのです。
私はふと
「この子は、周りから見えている以上に
自分で表現している以上に能力がある子なのかもしれないな」と思いました。

☆くんは写真にある公文の電車のおもちゃで遊びはじめました。
どんどんつないで、ご満悦の☆くんに、
十分遊ばせてから、「1つ電車をちょうだいね」と言って電車をはずすと
☆くんは軽くパニック状態になり
お父さんのもとに逃げ込みました。
私はもうひとつ電車をもらって、同じ色同士重ねてみせました。

すると☆くんは、激しく動揺して、
近くにあったショッピングカートのおもちゃの中に、電車を投げ入れ
始めました。
おもちゃの乱暴の扱いから、☆くんの恐怖心が伝わってきました。
が、しばらく一心不乱におもちゃをぐちゃぐちゃにしていた☆くんが、
私がしたのと同じように同じ色同士の電車を重ね始めたのです。

この時も私は、こだわりに邪魔されて見えにくいものの、
☆くんには、さまざまな知的な課題に取り組みたいという
欲求があることを感じました。

そして、拒絶しながらも、しっかり私とコミュニケーションを取っている
ところに☆くんの潜在的な力や可能性を感じました。

その後、私はブロックで簡単な「車」の見本を作ってみせました。
それに動揺した☆くんはまたしても
おもちゃをばらばらにし、パニックに近い状態になりました。
つながっているブロックは全てばらばらにしなくては気がすみません。
そしてこの時も、少しすると☆くんは、
私が作ったとおりに「車」を再現してみせました。
簡単なようで、真ん中の部分に小さなブロックを重ねるには
しっかりした空間認知力が必要です。

この日、☆くんは、私が☆くんに向けて課題をしるしたことは
全部きちんとやりとげました。
1歳、2歳の子では難しいことです。
外から見える以上の知的な力と、周囲の期待に応えよう、自分を伸ばそうとする
潜在的な力があることがわかりました。

しかし☆くん、新しいことをするときは必ず拒絶や無関心があるので、
周囲の人には☆くんがあんなこともこんなこともできそうだ…と
想像もつかないのです。
能力より下のことばかりして
毎日を過しがちなのです。
☆くんのような環境にいる広汎性発達障害の子はけっこういるようです。
こだわりやパニックのために
その後ろに隠れている本来の潜在能力が見えにくくなっているのです。

それを引き出すために、目で見て理解できるその子にできそうな課題を
たくさん与えてあげて欲しいと感じています。
いったんは嫌がって暴れても
叱らずに様子をみていると
時間がたってから、それをやり遂げる子はとても多いのです。


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何をするにも消極的だった子がやる気いっぱいに変化した話♪

2008-12-28 18:30:39 | 発達障害児に教える基本
☆くんは広汎性発達障害の疑いのある年中さんの男の子です。
☆くんがはじめて教室に来た日、どのおもちゃも少し触っただけで
うろうろし続けていました。
結局、その日は、最初から最後までえんぴつをけずることに
こだわっていて、
何をたずねても「えんぴつをけずりたい」と言うばかりでした。

☆くんのお母さんは、
子どもに根気よく熱心に
そしてとても上手に教える方です。
それで、☆くんの2歳の妹さんは
☆くんのできないこともたいていできてしまったりするのです。

☆くんは、自閉的な特徴だけでなく
知能の面でも気にかかることが多い子です。
それで、そんなに教え上手な親御さんが
何十回も繰り返し教えても、
いっこうに覚える気配がありませんでした。

それでも、
たったひとつのことをマスターするのに一年かかったとしても
懸命に生活技術を教え続けてきた☆くんのおかあさんのおかげで
少し少し遅々たる進歩はしていました。

教室にはじめてこられたとき、
☆くんのお母さんはかなりせっぱつまった感じでした。
お母さんだけががんばっていて、
当の☆くんには少しのやる気も見えなかったからです。
お母さんががんばるほど
☆くんは腰が引けていくような印象までありました。

が、☆くんが斜めの線の見えずらさを克服して
少しずつ文字を書くことを覚えたり
おばけのゲームに興味を抱いて
(ゲームはできないと思っていらっしゃったようです)
参加する意欲を見せ始めたとき
「ちょっと気持ちが楽になってきた」とおっしゃっていました。

そして、夏休み。
☆くんは海へ行ったり、さまざまな直接体験をして、
ちょっぴりたくましくなって教室に来ました。
☆くんのお母さんによれば、何でもさせてみると
できることがあるし、できるようになることがある…
ということを実感されたそうなのです。

そして最近、教室を訪れた☆くんは
ゲームにも知育教具にも積極的で
どれも投げ出さず胸が熱くなるような一生懸命さで取り組みました。
そして、すごいな~と感じたのは
そうしてチャレンジする☆くんがどんなに物分りが悪くても
丁寧に何度でも優しく教える☆くんのお母さんの姿でした。
「☆くん、何でも一生懸命するようになりましたね~」と言うと、
☆くんのお母さんは↓の記事を読んで、
いつも悪循環に陥ってたんだ~
それだけは避けようと…
と決心されたのだそうです。


☆アスペッ子、グレーゾーンの子と悪循環

☆ アスペッ子、グレーゾーンの子と悪循環 2


それにしても愛情深く丁寧に接する☆くんのお母さんと
お母さんの期待と愛情にこたえるように
何度失敗しても懸命に取りくむ☆くんの姿に感動しました。


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2歳9ヶ月の多動と広汎性発達障害の特徴を持っている☆くん 8

2008-10-30 10:20:40 | 発達障害児に教える基本
最後に、☆くんのために用意していた
トミカのシールを貼りながら問題を解いたり遊んだりする
本で遊びました。

この時、☆くんは、きちんと電車の模様に合わせて、
正しいシールを貼ることができました。

お家では、お父さんに何度「その電車はちがうよ~」と言われても
違う電車同士を連結させていたそうで、
☆くんはこうした能力が弱いからできないのだと思っていたそうです。

注意されるから、わざとこだわって、違う電車を連結していたのかもしれません。

どうしても覚えないときも、物(おもちゃ)が変われば、
すんなりできてしまう場合もありますね~。
こだわりだしたら、それでしつこく教えようとしないことが大切かもしれません。

これで☆くんのレッスンはおしまいです。

次々、お勉強っぽいことをさせて、知能指数だけあげようとしているように
見えるかもしれません。
が、こうした遊びの目的は、
できることを増やすことだけではありません。
一番のめあては、
多動の状態を自分の動きが自分の意志でコントロールできるように
することにあります。
また、さまざまな遊びにかかわる中で
コミュニケーション能力や社会性を育てているのです。

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