ADD?先生の発達障害児 教育応援サイト

ADD?傾向のある塾教師がADHDやアスペルガー症候群の子にどうかかわり教えたらいいのか模索していくブログです。

グレーなんかない…白か黒か…なの?

2009-04-29 20:25:01 | 番外
虹色教室に通ってくれている☆くんが、
市で紹介された療育にはじめて行ってきました。
この療育の先生、歯に衣をきせずズバズバ言う方らしくて、
☆くんを見るなり、「私ははっきり言うタイプだから、グレーなんて言い方はしないのよ…白か黒か…この子は黒!間違いなく黒よ!」
とおっしゃったそうなのです。
☆くんは、落ち着きのなさと、ほんの少しだけですが
広汎性発達障害を思わせるコミュニケーションの問題を抱えた子です。
といってまだ3歳になったばかり…
知能は高い子ですし、
一方通行のコミュニケーションの取り方が多いものの
いっしょに工作やブロックをしたり、こちらからの働きかけを受け入れたりすることもできるようになってきています。
ですから、私は
自閉の傾向はあっても
療育次第で、ちょっと個性的な子、少し手のかかる子、
グレーゾーンの子として育っていくのではないかな…と感じていました。

しかし、療育の場で、
☆くんがつま先立ちで歩いていたことと、
自分から発信する一方的なおしゃべりが多いことを取り上げて、
面と向かって「黒!黒!」という言葉をぶつけられたことで、
☆くんのお母さんは、すっかり意気消沈してしまいました。

発達障害か、発達障害ではないのか…??
広汎性発達障害?LD?アスペルガー症候群?ADHD?
病院を変わるたび、施設を変えるたび、
診断が異なると聞きます。

今は、幼児期はたくさん特徴が出そろっていても、
「様子を見ましょう」と言われることがよくあるようなので、
「黒」と言われるよりはましでも、
それはそれで、「じゃあ問題ないんだ…」と誤解する方も現れて
困った問題だと思います。

黒でも白のような匂いを漂わす病院や相談所。
グレーかもしれなくても、黒と言い放つ療育関係者。

これでは親や子どもに関わる人々が
困惑するのも当然です。

話は少しそれますが、私には気にかかっていることがあります。
発達障害を診断するテストと幼児教育の関係です。

発達障害を疑って、病院などで診断を受ける子の中には、
乳幼児のうちから○○式といった幼児教室に通っている子がいます。
そうした子は、繰り返し暗記する形で
知能テストに類似するものを学習しているので
テストという形での診断で、かなり得点が良い子がいるのです。

実際、生活したり、会話する中で感じられる
その子の理解力や状況を把握する力は2歳半くらいだと
思われるのに、5歳児の平均的な能力があるかのような結果が出て、
発達障害はない…となることがあるのです。

病院は、このテストでこういう点なら、こういう診断名。
能力に大きな開きがあればこういう診断名。
と、その子のそれまでしてきた学習内容を配慮せずに
診断をつけているのではないか…と感じられるのです。
サリーとアンの課題も
事前に練習を繰り返せば、自閉症の子も解答を覚えてしまったりするのです。
でもテストで答えが出せたから、自閉症がなおった、自閉症ではない…
というのは間違いですよね。

発達障害を持っている子が、幼児教育をして
少しでも能力が向上しているとすればよいことです。
しかしそれは表面上、できているように見えているだけの場合も
多いです。

しかしそうした教育が誤診を生まないか、
現代の子育て事情を踏まえて、病院は診断のあり方を
古い方式のまま続けていてはよくないように思うのです。


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コツコツできない 繰り返す作業ができない 忘れる

2009-04-26 12:32:01 | ADHD
発達障害のある2年生の☆くんのレッスンで、
人工雪作りとアルカリ性酸性を調べる化学実験を行ったところ
全身から喜びがあふれるような様子で
熱中していました。
定型発達の子たちは、小学生になると
たちまち幼児のころにあった強い好奇心や実験への没頭するような態度を失くしていく子が多いのですが、発達障害のある子たちはいくつになっても
全身全霊かけてそうした作業に夢中になる子が多いです。
これは決して私が発達障害の子をひいき目に見ているからでは
ないのです。
視覚優位なところや社会性の発達の遅れとも関係あるのかな?
とも感じています。
子どもっぽい…と表現できるような様子で
目の前の不思議に心を奪われているのです。

一方、発達障害のある子は、

「コツコツできない 繰り返す作業ができない 忘れる」

が極端な子がよくいます。
この☆くんも、図形問題を考える力は高学年レベル
文章題を考える力は中学年レベル
なのにもかかわらず、
まだ一ケタの足し算、引き算があやしいのです。

木の棒を使って楽しみながら計算をすると
何とかやっていたのですが、
途中からはお母さんのひざにつっぷして「やらない~にがて~」と言い張ります。

お母さんの話では、

コツコツ繰り返さなければならない作業はとにかくやりたがらない。

けんかをして手をだしたあとで、そのことをたずねても「忘れた~」と言うばかりで、本当に覚えていないようにも見える。
日ごろから、言葉が出てこなかったり、記憶が飛びやすかったりする。

ということでした。
☆くんは広汎性発達障害の診断名がついていますが、
サリーとアンの課題は解けますし、
人間関係もさほど不自由はありません。

外からは、発達障害を逃げ口上に使っている
甘やかされている子

として映りがちなグレーの子です。

「コツコツできない 繰り返す作業ができない 忘れる」という発達障害からくるハンディーは、
他の明らかに発達障害をイメージさせるハンディーよりも
理解してもらいにくい部分だと思います。

「忘れた」も責任のがれの口実…としか映っていないでしょう。

でも本人にすれば、
やはり本当に困っていることでもあるはずです。
やろうにも自分の力ではどうしようもないのです。
だからといって、発達障害の子に繰り返す作業をしなくていい…としてしまうと
基礎が身に付きません。
「忘れた」をいつも認めていると、それを
適当な言い訳に使うようにもなるでしょう。

ですから、ハンディーとは見えないようなこうしたハンディーについても
学校や家庭で
きちんとていねいな対処法を考えていく必要があると感じています。
2次障害のもととなるような
「わがまま」と決め付けて追い立てる方法ではなくて、
子どものハンディーに寄り添って、努力してみようと決意させる支援の仕方でです。


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「死ね」「死にたい」「殺す」「死んだの?」という言葉をよく使います。3

2009-04-13 19:13:41 | アスペルガー症候群
前回の記事に次のようなコメントをいただきました。


先生の記事タイトルのような言葉をうちの子も使います。
そのことで悩んで来ました。そして、これからどのように方向付けたら良いのか…とも思い悩んでいます。
息子は(4歳)子ども(特に赤ちゃん)の泣き声が苦手です。
泣いている子を見かけると、どんなに楽しく遊んでいても泣き声に気を取られて何もかもが手に付かずソワソワし出し、ついに暴言に変わってしまいます。

暴言の内容は「そんなに泣いていたら、死んでしまうで」とか、「また、泣いてる子がいるな!海に放り込まれて溺れて死んでしまえ」などです。
傍で聞いていると、なんて恐ろしい事を言うのだろう!と驚愕します。我が子の言葉に親が相当なショックを受けるのですから息子に暴言を吐かれた子どもさんも、その親御さんも、もっともっと酷くショックを受けるはずです。

その場で、「そんな言葉を使ってはいけません」「相手の子が嫌な気持ちになる」「死ぬという言葉は悪い言葉」などと教え続けているのですが暴言は治まりません。(ただ、4月から通うようになった保育園ではここまでの暴言には発展しないようなのです。)

他の場面でも、「死」という言葉を使う事もありますが、とにかく今、1番困り果てているのは泣いている子への暴言です…。

上のような私の教え方では、息子には伝わっていない…どう言えば、良いのだろう…と、悩みます。
支援センターなどの先生には、「泣いてるの、嫌だね」と共感してあげて下さい。また、泣いている子から、逃げて下さい。相手の親御さんに、お母さんが謝って「この子は泣き声が嫌いなんです」と開き直るくらいの気持ちでいて下さい。というアドバイスを受けるのですが半分納得し、半分納得できないのです。

残酷な言葉を、相手に言ってはいけない。
を、教えたいのです。
逃げるのも、ありですが…というより、その場から逃げずにはおれないので結局、謝罪して息子を抱えて逃げるのですが…。
残酷な言葉で相手を攻撃してはいけないのだ。相手は傷つくのだと理解して、“攻撃を止めて”欲しいのです。
アスペルガーの子は、相手の気持ちになるのが苦手だからこそ、アスペルガーなのだと思うのですが、この特徴を理解し受け止めた上で、どのように教えて行けば良いのかと思考錯誤です。
物語にして相手の気持ちを表現したり等など…自分なりに工夫してみるのですが、頭の固い私の工夫はしれています。
私は考えすぎ・過敏になり過ぎなのだろうか…今は、共感して(泣いている子から)逃げているだけでいいのだろうか。
残酷な言葉を言ってはいけないと教えよう・理解させようというより、自然に収まる時期を待つべきか?保育園という集団の中で、お友達に指摘してもらったりして自分で学んで行くのを見守るべきなのか…という迷いもあります。

こういうやり方はどうだろう?という物がありましたら、お時間がある時に教えて頂けると嬉しいです。
お忙しい中、真に申し訳ありません。
どうぞ宜しくお願い致します。

(4月度に、親子レッスンを新規で受けさせていたく事になっています。レッスンの際に質問させて頂こうと思っていたのですが、記事にして下さっているのを読み、つい、コメント欄にて発言してしまいました。)

長々と申し訳ありません!

子どもがこうした暴言を吐くとき、親がどんなにいたたまれなくて
辛く悲しい気持ちになるか
想像を絶するほどです。

子供が暴言を吐いたり、泣き叫んだり、暴れたりしている姿を見かけたら、
安易に「親の育て方が…」と決め付けたり、
冷ややかなまなざしを投げかけたりしないでいただきたいのです。

社会性にハンディーを持った子がいるということ、
そうした難しい子を育てる親がどれほどの苦労を強いられ
そのあげくに周囲から非難されていて心を傷つけられているのか
知っていただきたいのです。

「死ね」という言葉を使う子がいるなんて!
「なんて、ひどい!どんな育て方をしているんだろう」
と考えるのは簡単です。

しかしそうした子と日々向き合い、
トラブルが起こるたびに
自分の責任のように感じて
謝ったり悩んだりしている親の仕事は
その何千倍、何万倍も難しいことですよね。

それでも子どもの良い面を見つめて、
ただただ一生懸命に子どもを育てている方々をたくさん知っています。

そうした現実をひとりでも多くの方に知っていただけたら、
自分のことのように感じていただけたら、
そうした悩みの多い毎日を過ごしている親御さんが、
周囲の視線の冷ややかさが原因で心がぼろぼろになることはなくなってくると思っています。

それに、本当に困っているのは
発達障がいを持っている子ども本人…ですよね。


コメント欄のご相談へのお返事です。


相手の気持ちになる…ということを
理解させるには、まず自分の感情が理解できることが
大事なように思います。
また、本人は感覚過敏のせいで泣き声などがとても辛いはずなので、
まずその辛さを十分わかってあげる必要があると思います。

その上で、辛さの度合いを数値で表してみて、
どのレベルで限界に達して「死んでしまえ」といった言葉になっているのか、
その前兆となる行為(そわそわ~など)は何か
を紙に書いてみるとよいかもしれません。

前兆の段階で、「もう帰ろうか?」とたずねてその場を去る

「死んでしまえ」と言わずに、その場から離れられただけで、
十分褒める

といったことが大事かと思います。

話では幼稚園では、そこまでの暴言がないということですから、
おそらく毎日いっぱいいっぱいまで
我慢を重ねているのだと思います。

それがお母さんがそばにいることでほっとすることもあり、
また、以前、同じことをして叱られた経験を思い出すこともあり、
そうした暴言につながるのかもしれません。

1回でも2回でもよいので、
泣き声を聞いたけれど、暴言を吐くにいたらず
我慢できた褒められた

というプラスの体験を積むと、少しずつ暴言が減ってくるのではないでしょうか。



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「死ね」「死にたい」「殺す」「死んだの?」という言葉をよく使います。2

2009-04-12 22:43:54 | アスペルガー症候群
『子供たちの特性を活かす  アスペルガー症候群』宮尾益知 日東書院

の中には、
「死ね」「殺す」などの言葉の使い方と使える場所を教えてあげて、
練習することも有効です。

という一文があります。
「死ね」や「殺す」を練習するっていったいどういうことなんでしょう?

テレビをつけると、戦闘シーン、映画のシーン、
お笑い芸人が冗談で言う「死ね」「殺す」の言葉、
ニュースの殺人事件の報道、子供向けのアニメで冗談半分に使われる「死ね~」「殺す」の言葉…

子供たちは、毎日こ
うしたショッキングな言葉に触れながら
生活しています。
アスペルガー症候群の子は、場面や状況によって
「良い・悪い」が変わることが理解できません。

ですから、幼稚園で「死ねと言ってはいけません」と言われれば、
お家で使うでしょうし、お家で禁止されれば、病院やスーパーで使うかもしれません。
本人はテレビのヒーローが使った言葉として認識して、
ダメと禁止されている場面以外では使っていいと思っている可能性があるのです。

ですから、戦争のような場所で使うもの
と使うシーンそのものを教えることで、それ以外は使ってはダメなんだ~
と学ばせることになるのです。

アスペルガー症候群の子は、視覚認知優位なので、
ショッキングなシーンといっしょに聞いた言葉は、
何度もふっと思い出して使ってしまう…という状態になりやすいです。

認知処理形態として、部分にこだわってしまうため、
大人が一番学んでほしくない言葉や、使ってほしくない言葉に
こだわりを感じてしまう場合もよくあると思います。

そうした理由とは別に
アスペルガー症候群の子やその周辺のグレーゾーンの子どもたちが
「死ね」「死にたい」「殺す」「死んだの?」という言葉をよく使う理由は、
「死」ということはもっともわからない言葉だから…
と言えます。

アスペルガー症候群の子は、生きたあとにくる「死」の存在を意識できないのかもしれない…と言われています。
想像することが、非常に苦手なのです。
ですから、その言葉の持つ深刻さがわからずに
残酷な言葉を多用してしまうのかもしれません。

私はこうしたハンディーキャップを持った子が
周囲を驚かすような言葉を使う場合、
社会そのもののあり方や報道の仕方を反省していかなければならないと感じています。
何でもテレビのせいにしたいわけではありません。

しかし、アスペルガー症候群の子にとってテレビの影響は、
想像以上に大きいのです。
親の言葉のニュアンスは真似ないのに、
テレビのニュースの標準語をそのままコピーしたように使ったりする…という
特徴を持っているくらいです。

海外ではアスペルガー症候群の人の起こす残虐な事件は皆無といっていいほどなのに、日本では殺人事件が何度も起こっていることからも
報道のあり方を見直していかなければならないと考えています。


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「死ね」「死にたい」「殺す」「死んだの?」という言葉をよく使います。

2009-04-12 08:16:20 | アスペルガー症候群
知人の幼稚園に通っている娘さんが
「死ね」「死にたい」「殺す」「死んだの?」といった言葉を
よく使う点についてご相談を受けました。
この娘さんは、感覚過敏、認知の偏り、こだわり、パニックに似た状態が
赤ちゃん時代からたくさんあります。
アスペルガー症候群の積極奇異タイプの子と
よく似た印象ですが、
サリーとアンの課題には正しい答えを出せます。

私はサリーとアンの課題はクリアーするけれど
社会的認知能力に明らかな問題が感じられる子に
会うことがよくあります。

他の人の感じ方や考え方を察知すること
年齢、権威、序列などの概念を理解する
恥ずかしさや周囲の状況を理解する
相手の意図を読み取る
言葉の意味概念を正しく理解する

ことが、その年齢の他の子たちと質的なちがいを感じる子です。

けれども心の理論がわかっているかどうか…に絞ると
わかっているのです。

そうした4~6歳の子をお持ちの親御さんから、

「大きくなったらお母さんを殺す」「死ね」「死にたい~死にたい~」
(お母さんがお出かけしている間に)「お母さんは?死んだの?」といった
発言があったのですがどうしましょう?

というご相談を受ける場合があります。
それが、こうしたタイプの子とこうした言葉はセットにでもなってるように…
めずらしくないのです。

こうした言葉自体を取り上げると
なんて恐ろしい子…!と感じるかも知れません。
が、
そういう言葉をよく使う子というのは、いっしょに過ごしていると
その年代の一般的な子よりずっと純真無垢で幼く
気持ちの優しい、子どもらしい子どもなのです。疑うことを知らず、人を評価しません。
「殺す」「死ぬ」という言葉に恨みや憎しみや自虐の気持ちはこもっておらず
「あっち行って!」「嫌!」といった言葉と
同じような感覚で使っているのです。

引っ張ってしまって悪いのですが、レッスンの準備があるので続きは
次回に書きますね。


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重度の自閉症の☆くんと感覚統合の話

2009-04-06 15:26:33 | 自閉症
前回の記事から少し間があいてしまいましたが…
重度の自閉症の☆くんのレッスンの続きです。

☆くんには重度の自閉症という重い診断がくだっています。
しかし、実際に☆くんといっしょに過ごすうちに、
私は少し明るい気持ちになりました。
☆くんは学ぶという姿勢を持っているため
さまざまな能力が働きかけ次第で伸びていく可能性を感じることができたためです。

☆くんのお母さんには、感覚統合の遊びが載っている本を紹介した
のですが、実際、本を見ながらこうしたトレーニングをしようとすると
難しい気もしました。
お家には、マットやトランポリンはありませんし、
そうしたものを用意したところで、☆くんができるかは怪しいのです。

それよりもこうした本からは、働きかけのヒントだけもらって、
☆くんとする遊びは、
☆くんの今の発達の課題や
本人が熱心に取り組める敏感になっている分野の活動を中心に
していくのが良いと思いました。

☆くんは身体に力が入らない様子で、ぐにゃっとした姿勢をよくしています。

寝るときにふとんの上で、
ごろごろ横に転がることができるかさせてみます。
ついでに腹ばいになる 座る ひざで立つ ハイハイする
などのトレーニングが、
コミュニケーションを取りながら楽しんでできる
ように持っていけると良いのではないでしょうか。

タオルを使っての引っぱりっこや、
ズボンにタオルを少しはさんでしっぽにし、追いかけてタオルを取りに行く
遊びもいいかと思います。

公園の少し高く段になっているところを
手を持ってわたらせてあげたり、
滑り台やブランコをさせてあげるのもいいと思います。

その際、コミュニケーションを取りながら
笑顔を引き出すようにして
遊ぶことが大事ではないでしょうか。




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公立の学校と連携して子どもをサポートする♪

2009-04-03 16:57:41 | 教育論
先日、感覚統合などをしている教育機関の心理担当の先生から(事前に☆ちゃんの親御さんからお願いされていました)
お電話をいただきました。
虹色教室に通っている☆ちゃんは、最近、こちらの教育機関で
感覚統合などの訓練を受けています。
この心理担当の先生はとても熱心な方で、
☆ちゃんがより暮らしやすく、少しでも発達の助けとなるように、
わたしの教室や、☆ちゃんの通っている小学校の先生と連携して
☆ちゃんをサポートしていこうと考えているのです。

電話で、虹色教室での☆ちゃんの様子をお伝えし、
☆ちゃんが何ができて何ができないのか、
今後の可能性は何か、
それにはどのような支援が必要か
など長い時間、話し合いました。

お電話をくださった先生が、
公立の小学校との橋渡し役をしてくださるそうなので、
私もこれまで考えていながら言えなかった
公立の学校への要望をいくつかあげさせていただきました。

☆ちゃんはできることとできないことの開きがとても大きいため、
できないことをマスターして先に進もうとすると
いつまでもそこで停滞しています。
適度に道具を使う(かけざん表や電卓…)などして補いながら、
できる部分は、本人の学年の学習も並行して学んでいった方が
良いように思っているのです。
また小学校でも、☆ちゃんの得意な作業能力を生かせる場があれば、
(☆ちゃんはコツコツと細かい作業を続けることができます)算数の学習でも
できることが増えるかもしれないと感じています。


☆ちゃんが、この教育機関で受けた感覚統合に関わるテストの点は
非常によくないものでした。
感覚情報のインプットの段階で
大きな問題を抱えているのです。

しかし、☆ちゃんが、虹色教室で作ってくれる工作作品、絵、ブロック作品、
遊びの展開の様子などはとてもしっかりしていて、
そのアウトプットの能力は
同年齢のハンディーのない子たちと変わらないこともたくさんあるのです。社会性もしっかり発達しています。
(確かに虹色教室でも、数にまつわる記憶や操作方法、計算能力、
言葉でイメージすることなどは深刻な問題も感じています。)


そうした☆ちゃんの能力の不思議は、お電話をくださった先生も
とても興味を持っておられました。

☆ちゃんは顔立ちもなのですが、雰囲気も心のあり方も好みも
「美しさ」を感じさせる子です。
私は、将来は☆ちゃんのハンディーは
個性として、魅力のひとつとなるのだろうな…と感じています。

それまで、さまざまな場で☆ちゃんを取り巻く大人たちが連携して、
☆ちゃんの自尊感情を高め、生活技術を身につけるお手伝いをしていけたら
良いな♪
と思っています。



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広汎性発達障がいの子が中学生になった時に関数や方程式でつまずかないにするには?

2009-04-02 09:11:42 | アスペルガー症候群
コメント欄で、チューブを搾ることに夢中なので、その時期に適した遊びを教えてくださいという質問をいただいています。
ビニール袋(かケーキの絞り袋)と匂いのない油ねんどや、小麦ねんどを用意して
力を込めると、繰り返し絞る遊びをさせるといいと思います。
筆圧がつき、手先の力をコントロールすることができるようになります。
また、クッキー作り、小麦ねんどの散髪屋さん遊び、湿らせた土で山を作る
なども楽しめるかと思います。
大きなゴミ袋に空気を詰めて、押して空気を移動させる遊びも喜ぶかもしれません。マヨネーズの空き容器を洗って、お風呂のおもちゃに加えてあげるのも良いと思います。


前回の続きです。

広汎性発達障がいの子が中学生になった時に関数や方程式でつまずかないようにするにはどうすればいいのでしょう?

小学生の間は、計算を中心にけっこう良い成績を取っていた子が、
関数の学習が始まったとたん
まったく手も足も出なくなったりします。

関数の学習では、
表の中の曲線を見てそれを移動したり、線の中の点を縦と横の線を交差した線上でとらえたりすることが、必要です。

知識をためることよりも、
感覚情報を正しく取り入れることができる
という部分が大切!

つまり、小学生の間に、算数の基礎だから…と計算練習を繰り返したり
することとは別に、
『感覚統合』の訓練がとても大切になってくると思うのです。

特に目から入る情報を
正しくすばやくインプットできる能力を
遊びの中でいろいろ育てていく必要があるように感じています。

先日も、同じサイズの円が2つ重なっている絵を見せて、
円の中の直径を通る線の長さをたずねると
「半径の3つ分」とすぐに答えられた広汎性発達障がいの女の子が、

長方形の中にその円が入っている図で、同じ問いを出されても
さっぱりわからなくなっていました。
線が増えると、その中から必要な部分を抜き出して
目で捉えることができないのです。

解き方がわからないのではなくて、
見ること自体に問題があるのです。

さまざまな色を組み合わせてブロックの塊を作り
すばやく同じものを作る遊び
おりがみ
あやとり
数字を書いたカードをばらまき、1から順にタッチしていく
他のさまざまな感覚統合のための遊び

などで、そうした見え方から来る学習の困難はずいぶん防げるように思います。


それでは方程式は、どうして解けなくなるのでしょう?
方程式には、イメージすること
他の視点から眺めること
という広汎性発達障がいの子が苦手とする能力を要求されるからのようです。

察することと
推測することが極端に苦手な子は、
1次方程式は無事にマスターしても、
他の方程式の学習が入ってくると混乱し始め
しまいに最初にできていたものまで
ごちゃごちゃになってしまうようです。

それで、私は与え方によっては思考力を弱めてしまう公文式の
ような暗記からスタートする反復学習も
広汎性発達障害の子には、
学習の命綱ともなりうるな…と感じています。

察する、推測する、イメージすること、
を伸ばし続けることも大事なのですが、
それが何より苦手で、
その部分の能力が年齢よりも幼すぎるように見える子には、
考える必要はなく、繰り返す努力だけで進める学習は救いでもあります。

けれどもそればかりに頼ると、
今度はもともと察する、推測する、イメージするが苦手な子から
さらにそれらの能力を奪うことにもなりかねないので、
その都度、子どもの能力を見極めて判断していくことが大事だと考えています。




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サリーとアンの課題はできるけど広汎性発達障がい? 1

2009-04-01 20:56:38 | アスペルガー症候群
前回の記事の続きの間に、ちょっと今気になっている話を挟ましてくださいね。

私は専門家ではないので、
あくまでも子どもの遊び方と問題を解決する姿、学習の仕方などを
観察して感じることなのですが、

サリーとアンの課題に正しい答えを出せるのに、
他の多くの面で
非常に広汎性発達障がいの受動型の子に近い認知のあり方をしている子

がいるのです。


そうしたタイプの子は、外から自分がどのように見えるか把握していないように見えます。

広汎性発達障がいの子か、純粋にADHDやADDの子か…では、
学習を教えていると、
成績は変わらない子でも
非常に大きな違いを感じるときがあります。

広汎性発達障がいの子は、
かなり難しい問題が解ける子であっても
学習以前の情報の取り入れ方や問題解決の仕方で
頭を傾げたくなるような方法を取ることがよくあります。

学習上の暗黙の了解と思われるようなことが、
小学校中学年を過ぎても、自分では思いつかない…ようなのです。

わからないとき、他の人のやっていることを見て判断する

うまくいかないときは、他の方法を試してみる

1箇所だけ間違えているときは、その部分を何とかする
(全部1からやりなおしたりはしない)

といったことです。
純粋なADHDと診断されている子でも、

その子にとってそれほど楽しいとは思えないような習い事を
やめたがらない

という特徴を持った子の学習を見ていると

先に紹介したような学習上の暗黙の了解がわかってないな…というところ、

私のその子へのまなざしを正確に受け取っていない感じ…

その子のできている能力、年齢からいうと易しすぎる課題でも、
はじめてする場合、手が出なくなる…(かなり極端)

ということがあるのです。

広汎性発達障がいかどうか、診断がおりていないのに、
推測して何の意味が…?と思われるかもしれません。

が、私は、広汎性発達障がいがあるようなら、かなりグレーゾーンの子でも小学校時代の対応で気をつけることがあると思うのです。

ひとつは公文式のような反復学習を続けるか否かは、広汎性発達障がいがあるかどうかで選択肢はちがってくる

もうひとつは中学でつまずきが予測される関数や方程式の概念を理解する
基礎となる体験を遊びを通して積んでおくべき

ということです。

ちょっとわかりにくい記事になってしまいましたが、今度時間のあるときに
しっかり続きを書きたいと思っています。




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重度の自閉症の☆くんと可能性 1

2009-04-01 16:27:44 | 自閉症
先日、重度の自閉症の診断を受けている4歳の☆くんが、
お母さんといっしょに虹色教室に来てくれました。
虹色教室では自閉症の子に対する特別な療育をしているわけではありません。

定型発達のさまざまな月齢の子たちと同じく
遊びを通して、

その子の発達段階で非常に敏感になっている吸収のいい分野の
最近接領域を見極めて働きかけていく

ことを繰り返していくだけです。
子どもの内部からの成長しようとする力の助けを借りると、
障害児教育の専門家というわけではない
親御さんのちょっとしたサポートが
子どもに大きな変化を起こすのを何度も見てきました。

それで、重度の自閉症という診断を受けている☆くんのレッスンでも
☆くんができることと手伝ってもらったらできることの間、
つまり今後働きかけ次第で伸ばしていけると考えられる
可能性の領域をさぐりました。

すると☆くんはできていることがたくさんあり、
周囲の環境次第で伸ばせそうなこともたくさんあるのが
見えてきました。

☆くんと積み木遊びをする上で気になったのが、
☆くんがでたらめなおもちゃの扱いをするたびに、
お母さんが即座に指示を与えて、「~するのよ」と教えているので、
簡単なことも自分で解決している姿が一度も見られなかったことです。
例えば、何か落としてしまっても、「拾いなさい」というお母さんの
言葉があって拾っているので、

落とした拾う

という問題の解決法を自分で思いつくことができるのか
わからなかったのです。
積み木をつないで線路を作る方法をして見せたときも、
「ここに積み木を置きなさい」とお母さんの指示があったので、
☆くんが、

私がつないでいるのを見て自分も同じように真似てみよう

という判断をして動けるのかわからなかったのです。
お母さんの指示が多いと、☆くんはたびたび混乱して
積み木をぐちゃぐちゃと散らかすだけの行為に向かっていました。

そこで、お母さんには、いったん☆くんへの声かけをやめてもらって、
私と☆くんのふたりで遊びながら、
☆くんがでたらめな試行錯誤の後でどのような行動を取るのか
観察しました。
すると、☆くんは、数回やってみてうまくいかないと、
私のやり方を見て真似しはじめたのです。
自分からずんずんずんずん線路をつないでいきました。

☆くんのレッスンの様子は次回に続きます。



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