ADD?先生の発達障害児 教育応援サイト

ADD?傾向のある塾教師がADHDやアスペルガー症候群の子にどうかかわり教えたらいいのか模索していくブログです。

発達障がいを持つ子を育てている親の意見や気持ち

2009-05-31 20:55:33 | 番外
昨日の午後から今晩にかけて、続けて
発達障がいの子たちのレッスンでした。
最後に見たのは、重度の自閉症の診断を受けている子です。

私は特別な資格を持っているわけではないし、
ハンディーを抱える子の勉強を見ることは、
付き添う親の思いの強さや根気をためすかのように
やってもやってもすぐには成果が見えにくい仕事なのです。

本当のところ、子どもたちの遊びや勉強に付き合ってきた経験と読書くらいで
発達障がいの子の勉強のお世話ができるのかな……?
と心が揺れるときがあります。

忙しすぎて手が回らないことも多いのに、
2つもブログを抱えているのはどうだろう?
と悩むときもあります。

でも、発達障がいの子を育てている親御さんに会うたびに、
あまりにも整わない状況……
誤解や偏見だらけの世界で
頼る場も相談する場もなくてがんばっておられる姿を見ると、

専門家がいっぱい増えて私の出番がなくなるまでは
もう少しがんばっていこう……

と思いなおすのです。

病院や児童相談所の専門家側からの意見ではなく、
学校の教師の意見でもなく、

発達障がいを持つ子を育てている親の意見や気持ち!!

それはとても大切にされなくてはならないはずなのに……
あまりにもないがしろにされているのです。

● 転校先の学校でもらった新聞に
特別支援教室の子たちが写真入で紹介され
親からの「~こんな子です。みんな仲良くしてあげてください」といった紹介文までついているのを見て、
「以前の学校では特別支援学級にも在籍していたけれど、今回はやめることにした」とおっしゃっている親御さんがいました。
差別をなくすため……というこうした取り組みは
差別の種にはならないのでしょうか?
● 担任の先生から勝手に障害名をクラスで紹介され、
友だちからそのことでからかわれている女の子もいます。
● 療育ということで通い始めた療育施設では、
何がどう役立っているのかわからず説明もない。
● 小学生の発達障害の子に役立つ療育の場や、学習を補助する場が
なさすぎる
● 支援員の方がついてくれるのはうれしいものの、だんだん成長して参加できるようになるという方向で世話するのでなくて、甘やかしてただ世話をしてあげている。
● 学校に相談できるコーディネーターがいない。
● 幼稚園で年少組の頃にお友だちとうまく関われなかったため、避けられるようになって幼稚園生活が困難だ。
● クラスで「できない子」として恥ずかしい経験ばかりしている。

そうした環境が整っていないために困っていることがたくさんあって、
それを相談する場もないのです。

こうしたそれぞれの親御さんがぶつかっている困難を
ブログというツールを使って、
多くの方に知っていただくこと
必要を感じていただくこと
が、私が微力ながらこの仕事に関わっている理由です。

また、私の教室のような学校とも病院とも塾ともつかない場だからこそ
発見できるその子の個性や才能もあります。
私が見ていると、発達障がいの子は理科が得意で実験に惹きつけられる子と、
数や計算が好きな子、立体図形が得意な子、博識な子がいます。

成績としてあらわれていなくても、
おもちゃの好み、遊び方、集中の仕方、本の読み方、プラモデルなどの作り方
などでわかります。
得意分野は、十分な環境さえ与えてあげれば、
予想もしなかったほどの大きな成果が得られるものです。
それは発達の検査やIQを測ってもわかりにくいものです。
「何に熱中するか」という没頭する様子から
判断するものだからです。
どんなにふわふわ移り気に見えても、それぞれに個性的な得意があるので、
医療施設の検査結果だけで子どもの可能性を見てはいけないと
感じています。



web拍手を送る

3歳児  暴力が止まらないお友達とどう遊ばせたらいいのでしょう? 2

2009-05-31 09:12:12 | ADHD
イライラするときや気持ちが高ぶっているとき、
衝動的に暴力を振るってしまう子は、

自分の気持ちがわからない
気持ちの表現が幼い
がまんする力が弱い
言葉が自由に使えない

子だと思います。

相談のお友だちのように、幼いときからはっきりした
理由もないのに、相手にのしかかったりしてしまう子の場合、

相手が嫌な顔をしていないかわかるか
相手の気持ちが推測できるか
「してもいい?」とたずねられるか
相手の反応を見てから、行動に移せるか

に問題を抱えている子なのだとも思います。

こうしたことは、親や身近な大人たちが
遊びを通してゆっくり教えていかないと、保育所や幼稚園のような集団に入れた
から身に付くものでもありません。

暴力を振るう子が発達障害かどうかについてははっきりしたことはわかりません。
でも、原因は何であれ
ソーシャルスキルが学べていない子であるのは確かです。
ですからただ遊ばせて
トラブルが起こるたびに叱る
という対応でなく、自分の気持ちや相手の気持ちに気づかせていく
目的を持った接し方が必要だと感じました。
暴力も何となく許してはだめで、
振るう前に直前で止めて、少し落ち着かせてから、気持ちを言葉で
表せるようにうながしていく必要があるのではないでしょうか。
診断名をつけることに抵抗がある場合でも、
ソーシャルスキルを学ぶだけなら、取り組みやすいかもしれません。
相手の親御さんに、病名探しの前に、子どもの行動を落ち着かせるために
ソーシャルスキルトレーニングについて
学ぶことをすすめてみてはいかがでしょう?

また感覚統合の本で、力の加減がわからなかったり、
衝動的だったりする子が自己コントロールできるようになるための遊びを学ぶことも役立ちます。


相手の親御さんや園の先生が
そうしたことに責任を持って取り組む意欲がない場合は、
暴力を避ける意味で
子供同士、少し距離を置かせることも必要ではないでしょうか?



web拍手を送る

3歳児  暴力が止まらないお友達とどう遊ばせたらいいのでしょう?

2009-05-30 08:38:14 | ADHD
3歳のお子さんのお友だちについて相談のメールをいただきました。

・2歳のころ、後ろから突然池に突き落とされた(喧嘩とかではなく突然)
・静かにしなければいけない場所で、一人大声で叫びながら走りまわる 興奮すると手がつけられない
・とにかくうちの子のことを好きでいてくれているらしいのですが、会えば上から乗りかかってくること10回以上・・・何度も何度も
・うちの子が遊んでいるおもちゃをいきなり何度もひったくる。
・ちょっとお友達と当たっただけでいきなり頭付き。
・気に入らないだけで、蚯蚓腫れになるほど、先生や友達のことをひっかく
・赤ちゃん時代~2歳ころまでは夜の興奮が激しく1-2時間おきに起きていた&夜泣きがあったらしいです。
・知的な遅れはないようにみえます。

幼稚園入園をきっかけに子どもの行動にショックを受けたご両親は、塾の先生に、「うちの子多動でしょうか?」と聞いたらしいのですが、特に答えは得られなかったようです。

今後、S君とどのように接していけばいいか、年齢がすすむほど悩んでしまいます。S君と遊ぶことは、うちの子も好きなのですが、どうしても喧嘩ではないのに、突然危害が加わると心配になってしまいます。


子どものけんかは見守る

という姿勢は大事ですが、↑のようなケースの場合、大人が介入して
大きな事故につながったり、暴力がエスカレートしないように
する必要があると思います。
ご相談のお友達の場合、衝動性があまりに激しいので
発達障害や愛着障害が疑われるようです。

相手の子のご両親も、「多動ではないだろうか?」と心配して相談されてるようなので、子どもにどう接したらよいのか
わからず悩んでいる最中だと思います。

それほど激しい衝動的な面を見せている子でも、病院を受診すると
「問題なし」と告げられることも多いのは事実です。
だったら育て方なのか……というと、
診断基準を満たすあきらかな特徴がないだけで、
その自己コントロールがきかない様子から、
やはり脳の機能不全があるのではないだろうか?
と思われるケースがけっこうあります。

レッスンの時間が近づいたので、続きは次回に書きますね。



web拍手を送る

ハンディーのある小学生の勉強

2009-05-28 14:24:16 | ADHD
コメント欄で、がんもさんから次のようなご相談をいただきました。

1対1対応はできているけど5の合成がまだの知的ゆっくり小1娘のことを思い、「5の合成をおしえなきゃ」と算数のカテゴリーの過去記事を覗いていました。

そのうち、抹茶母さんのブログ等で「教えない姿勢」の記事を読み・・・なんか悲しくて泣けてきました。
私は今までなんと教え続けてきたことか。
昨日は娘がお風呂に入って貼ってあるひらがな表を見ながら(その時は教えていなかったのに)ぽろぽろ泣き出し「勉強きらい」と。

のんびりしていられる幼稚園時代にこちらを知っていれば方向転換できたかもしれません。でももう小学校に入ってしまい、毎日宿題が出て授業もどんどん進んで・・・。教えないわけにはいかない、本人のやる気を待っているわけにはいかない気持ちもあります。

もう待つ教育をするには遅すぎるのか、それとも授業についていくなんてすっぱり諦めて、本人がやりたがった時だけ一緒に少しずつやる方がいいのか、どんなやり方がいいのか・・・頭の中がぐるぐるまわっています。

大きなお子さんを持ち、私のような状況に陥っている方に先生ならどんなアドバイスをなさいますか。

ハンディーキャップを持っている子に教えるときは、まず「教えない」という姿勢は難しいと思います。
以前、知的障害のある女の子の学習を見ていたことがあるのですが、その子は教えてもわからないだろう……という判断のもと、きょうだいで仲良く遊ぶことは毎日していたものの、親から直接細かく教わることをしていませんでした。
すると、私とはじめて会った小2の冬まで犬と猫のちがいもあやふや
だったのです。知っている語彙の数は2歳前半の子のレベルでした。
発達の検査では、3歳児の能力という結果でした。
その子は、週3回というかなり密に通ってくれていたこともあり
いっしょに学習を始めて2ヶ月たたないうちに
語彙は何十倍にも増えて、かけざんも覚え、楽器(鍵盤ハーモニカ)も簡単な曲が弾けるようになりました。

これほど短期間に劇的に進歩したのは、
おそらくそこまでの伸びは潜在的に持っていたからだと思います。
あまりにも周囲がその子に教えなかったので、伸びるべき部分がそのまま停滞していたのだと思います。
(私が勉強を見たから伸びた……というのではないということです。
非常に上手に熱心にお子さんを指導している親御さんの子の場合、虹色教室に来たから急激に進歩したということは起こっていません。その子の潜在的な伸びる範囲があるのだと思います)
ですからがんもさんがこれまでしてきたことは、ゆっくり育つ子にとってけっして無駄ではなく良いことだったのではないでしょうか?

1対1対応はできているけど5の合成がまだ……というお話ですから、
具体物を使ってならなんとか算数の問題が解いていけるレベルですね。
ハンディーのある子の場合、
どこにハンディーがあるか、何が得意かを正確に見分けることがとても大事だと思います。
感覚からインプットする段階に問題がある子の場合、
算数を教えるよりも、感覚的な刺激をまとめることができる
遊びをたくさんする方がプラスになることが多いです。
まず、得意なことを探します。

↑の女の子の場合、目から入る情報の処理は極端に弱く、
3ピースのパズルができませんでした。
が、お笑い番組が好きで、意味はわかっていないものの、
ちょっと下品な言葉などを真似てゲラゲラ笑うのが好きだったので、
耳からの情報は入りやすいと感じました。
そこで、カセットテープを使って、かけざんを記憶したり、
歌や伝承遊びを通して、授業の予習をしたりすると、スムーズに
さまざまなことをマスターしていきました。

目からの情報、耳からの情報といっても、
色が得意、形を認識するのが得意、平面が得意、立体が得意、
動体視力が良い、リズムのあるものが得意、音程があるものが得意など
さまざまです。

まず得意なことから入って、苦手なことをカバーしていくと良いのではないでしょうか。

小学生のハンディーのある子の学習を見ていると
とてもあせってくる気持ちはわかります。何もかも遅れまいとするのではなくて、
今後の学習に影響を及ぼすものにポイントをしぼってマスターさせることが大事だと思います。
1年生のおわりまでに「くりあがり」はマスターさせるなど。
また唱えるだけのかけざんなどは、早めに
唱えて遊ぶのもいいです。
しかし、今は、「勉強いや」という気持ちになっているようなので、あれもこれもは無理ですね。

おはしの持ち方が下手な子に教えるとき、厳しく特訓するより、

食事という「楽しみ」の数だけ、少しずつ学ぶ時間がある

「ワクワク」する数だけ、ゆっくり上達していける

そうしたイメージを抱いて教える方がずっとうまくいきます。

ハンディーのある子に教えるには、
たくさんたくさん「楽しみ」を作ってあげて、
楽しい時間の数だけ、少しずつ自分のレベルを上げていける
ようにしてあげるのが良いと思います。

私も↑の女の子の学習では、かわいいものが大好きな子だったので、
かわいいシールをわけっこして、細かいものを識別する力を磨いたり、数を数える力をつけたりしました。
お菓子作り、工作、好きなテレビ番組を番組表から探したりしながら、
数、時計の読み、文字の読み書きなどをゆっくり教えました。

力んで「教えよう」とするのでなく、1個覚えるのに
100回「ワクワク」がいるのなら、100回つきあってあげよう……と考えていました。そのかわり、「ワクワク」だから何度しても本人は辛くはないのだから……。
そうした教え方で、のんびり構えていたら、見えているのかすら
よくわからなかった子(目の焦点合いにくく空を見つめてぼんやり過ごす子だったので)、
小さなねりけしに書いてある文字を読んでみせるなど驚きの進歩を見せてくれましたよ。


web拍手を送る




IQが平均以下の子は将来とても賢くなるって本当?発達障がいの子も天才になるの?

2009-05-24 16:56:48 | 番外
脳の研究で海馬の研究をなさっている
池谷祐二先生によると、最近、こんな発見が報告されているそうです。

中高生くらいの、いわゆる「IQの高い」ひとたちの脳を
過去にずっと遡って調べていくと、IQが平均以下の場合が
多いことがわかったのだそうです。

解釈がむずかしいのですが、ちいさいときに
IQが低めの人ほど、将来にはIQが高くなる可能性があることをしるしているそうです。膨大な量のデーターをとると、
この差がはっきりあらわれるのだとか。

虹色教室で子どもたちを見ていると、
幼いうちからIQが高い子たちは、確かに大きな可能性を持っているものの、
どうしても早くからプリント学習や習い事といった
脳の一部しか使わない学習ばかりする生活を送りがちで、
親が良かれと思って与える環境がその可能性を狭めてしまうようにも見えます。

実際に脳をいっぱいいっぱいまで使う活動というのは、
大人から見ると「遊び」や「時間の無駄」にしか見えないものが
多いのです。
その点、IQが低いとされる子は自分の内面の衝動……親ではなく自然のプログラムが命じる活動に没頭できるのかもしれません。

本が読みたいときはとことん読む、工作したいときはとことん作る、
冒険したいときは電車でいろんなところに行ってみる
納得いかないときはとことん議論する
好きな昆虫の世話にとことん熱中する

そうした脳を劇的に成長させてくれる活動は、
幼児期からIQが高くて、おりこうさんの生活が続いている子には
経験しにくいのかもしれません。
天才マンガ家で医師免許も持っている手塚治虫も↑のようなのびのびした子ども時代、学生時代を送ったことで有名です。

幼児期にIQが低く、将来IQ高くなる子たちには発達障がいの子らも
たくさんいるはずです。
もしそうした子を本当に伸ばそうと思ったら、
周囲についていかせようとやっきになるのはよくありません。
子どもの心が傷ついて、努力するエネルギーを失ってしまうからです。
弱いところは弱いところとして、そっと支援しつつ、
子どもが好きなことや、集中できることを思い切りやらせてあげることです。
学校のカリキュラムにないことでも、
それこそが子どものIQをどんどん高めていく活動だからです。

以前書いた「天才」という言葉についての記事も良かったら読んでくださいね。


☆「天才」という言葉♪ 1

☆「天才」という言葉♪ 2



web拍手を送る

右脳人間にすご~く便利なツールです。『あうとら』

2009-05-22 15:22:26 | ADHD
右脳人間というか、ADDやADHD傾向のある人にピッタリだな~
と思うフリーソフトを紹介します。

『あうとら』です。

その便利さ……!!
とにかく驚きです。

簡単にマインドマップが作れて印刷できて、
次々浮かびすぎるアイデアを勝手に整理してくれるだけでなく
検索もできて……
とADDっぽい私には夢のソフト!!それが
無料でダウンロードできるのです。『あうとら』で検索してぜひダウンロードしてみてくださいね。

あうとらの宣伝文句♪

AUTLA(あうとら)は、「文章を書くこと」に目的を絞って開発されたアウトラインプロセッサです。議事録の記録や、論文作成などにもてこいです。HTML出力機能やプレビュー可能な印刷機能など、他のアウトラインプロセッサにはない機能を搭載しています。そしてとても個性的なデザインがあなたの心を魅了するでしょう(^_^)


私の場合、執筆の仕事のアイデア整理
小説のアイデア整理
教室運営のアイデアやそれぞれの子に必要な学習を整理すること
など使う予定です。



web拍手を送る

遊びの日 と「幼稚園がいっぱいいっぱい~」

2009-05-22 09:57:49 | 番外
先週、発達障がいの成人女性の○さんと小学生の女の子をボランティアに招いて、
発達障がい児とグレーゾーンの子対象の「遊びの日」を開きました。
何となく集団で過ごすのではなくて、
友だちとのつきあい方を学ぶために
幼児は二人だけ…という小人数の遊びの会でした。

5歳のグレーゾーンの★くんと4歳の広汎性発がい障害の☆ちゃんです。

個人レッスンともグループレッスンともちがう
満足できる良い時間が過ごせました。

4歳の☆ちゃんは、この春から幼稚園に通い出したのですが、
集団生活に慣れるのがせいいいっぱいで、
お友だちの名前や顔が覚えられず、いつも行き当たりばったりの付き合い方をしているそうです。

これまで私は☆ちゃんが相手の名前を覚えたとたん
その子がいないときも繰り返し名前を出して
その子の話題を繰り返す様子を見てきました。

☆ちゃんは名前や数字といった記号を手がかりに
対象に親しみを抱く子なのです。
名前を覚えない限り、
何度会っても初めて会ったときのようなぎこちなさや無関心があるのです。

この遊びの日でも、☆ちゃんは★くんに無関心。ただ、前回も会って優しくしていただいた○さんにはべったり甘えています。

★くんはとても創造力がある子で、ブロックでダイナミックな作品をどんどん作っていきます。こちらも作る作業に夢中すぎて、
☆ちゃんに無関心です。

私は、☆ちゃんに「ブロックが上手な★くんよ。★くんに何かお手伝いできることがないか聞いてこようね」と何度も誘いました。
そうして、「★くん、お手伝いすることありますか?」と名前を呼んで
声をかけるよううながしました。
★くんは、とまどいつつちょっとよそ見をしたまま「遠足のバスを…」と指示を出しています。

遠足のバスというのは、ドールハウスで遊んでいる☆ちゃん、
道路や線路を作っている★くんの遊びに
橋をかけるために私が提案したイベントです。
★くんのバスが、☆ちゃんのドールハウスに
バスで遠足のお迎えに行くのです。
遠足の先は、動物園で、★くんが作ってくれました。

定型発達の遊び上手の子たちが遊んでいると
自然とこうした協力し合って遊びを作り出していく姿が生まれるのですが、
発達障がいのある子同士だとそれぞれ自分の興味ある遊びにどっぷりつかってしまって、お友だちが目に入らなくなるときがあります。
でも、少し支援をしながら
声のかけ方、協力して遊ぶ方法を教えていくと
お友だちがいるからこその楽しさがわかってくるのです。

お友だちの名前を呼んでみて「はい」と返事があっただけで
うれしそうにしている
発達障がいのある子たちを見ていると
いじらしくて本当にかわいらしいのです。

お友だちと仲良く遊ぶ

までのハードルが高くても、そこへ一歩一歩近づいていく
手助けをしてあげたいです。

この日は、「ごめんね」や「ありがとう」がすっと出てこない
☆ちゃんに、○さんが一回一回ていねいに指導してくださってました。
○さんは、以前、職場ですっと挨拶ができない自分に悩んでおられたことがあります。
だからこそ優しく根気よく
「ごめんね」を言えずに意固地になる☆ちゃんに関わっておられました。
それで帰り際には、☆ちゃんは思い切りかけていって○さんに
抱きついて大好き!を表現するシーンもありました。


web拍手を送る

発達障害児は多すぎる?  2

2009-05-17 19:48:55 | 番外
子どもの発達障害について切り出すと、
「最近の親はしつけもせずに、何でも病気のせいにして……」と厳しい
批判を加える方がいます。
「個性よ。個性。昔は、発達障害なんて言葉はなかったし、
きちっと叱れば子どもなんてどの子もちゃんと育ったものよ」と言い張る方もいます。

多少対人関係に苦手があっても
親の仕事を継いだり身内の職場で雇ってもらえたりした時代なら、
親は安心して子育てできたはずです。
人付き合いが極端に下手でも、それはそれで素直に親の指示に従えて
良いと考えていたかもしれません。

しかし現在の厳しい就職事情のもとで、
社会人としてひとりで自立して生きていくためには
社会性のハンディーは死活問題です。
また貧しかった時代とちがって、だらしない服装をしているというだけで、
アルバイトで雇ってもらうことすら難しいのです。

偏屈で人嫌いで身なりに構わない人も
世間にはいろんな人間がいる~と、
それなりに仕事をして社会に受け入れられて生きていけた時代……

そんな時代なら、たとえ発達障害がある子であっても
成長過程のでこぼこを、個性とあきらめて育てていけばよかったのでしょう。
叱られても叱られても悪い癖がなおせずに、
しまいに2次障害になってアルコール中毒やギャンブル中毒になっても、
男とはそういうもの……男らしさのひとつの形として
理解されていた時代なら良かったのです。

しかし現在に生まれた発達障害を持った子は、
定型発達の子でも仕事を続けていくのが難しい社会を
自分ではコントロールできない部分に振り回されながら生きていかなければ
ならないのです。

子ども時代なら、親が親身になって、
克服しなければならないことを乗り越える手立てをしるしてもらえます。
だからこそ勇気のある親たちが
力を振り絞って病院に出かけたり、診断を受け入れたり、子どものためにできることを真剣に考えているのです。

子どもの言動がわからないところだらけなのに、発達障害についてわかってきた過去の貴重な知識の集積をあてにしないで、一個人の親が思いつくしつけ法で、何ができるといえるのでしょう?

叱ったり、罰したりするうちに
親子ともども追い込まれて、
たくさんの親子が繰り返してきた悪循環の渦にのまれるだけではないでしょうか?



発達障害児は多すぎる?  1

2009-05-16 08:17:56 | 発達障害児に教える基本
最近、ちょっと問題を感じたらたいしたことない子まで発達障害という名前をつけて、騒ぎすぎる……

と考えておられる方によく出会います。

昔は、そんな診断しなくてもちゃんと育った……

そうおっしゃる年配の方々もよくいます。

ここで注意が必要なのは、

かつての小学校では、今、発達障害と診断されるような子もそんな診断名はつけられずに普通に育っていたし、
そんな診断つけて騒ぐから問題のある子になるんだ……

という考えの盲点です。
現在、非常にたくさんの子が不登校となり、
たくさんの若者がひきこもりとなっています。
また、就職したくてもできない、就職しても続かない若者がたくさんいます。


もちろん、不登校やひきこもりの子がかならずしも
発達障害を持っているわけではありません。

けれども幼稚園や小学校で、周囲とうまくなじめなかったり、
攻撃的だったり、不器用すぎたり、言葉の理解にたくさんひっかかるようなところがあったり、授業中立ち歩いたり妨害したりする子……
というのは、親も先生も何らかの対策をとって
ていねいにその子に向きあっていかないと……

当然、子供同士の関係悪化や「先生に自分だけ叱られる」「勉強がわからない」といった理由で、
不登校になるリスクは高くなるのではないでしょうか?

子どもなんてそんなもの……
発達障害などという考えを追放してしまえば
昔と同じように子どもはきちんと育つ

と考えるのは、ある意味「無策」でもあって、今後、さらに子どもや若者の問題を増大させていくように感じます。

長くなりましたので、続きは次回に書きますね。


web拍手を送る

自分の子育てに自信が持てない…自分を責めてしまう…

2009-05-09 21:17:17 | 番外
先日、発達障害と診断された女の子を筆頭に3人の子を育てておられる親御さんが、「自分の子育てに自信が持てない…自分を責めてしまう…」
とおっしゃっていました。

長女が学習でつまずいたため、
二人目の子は失敗がないように
幼児期からお勉強系の習い事をさせたところ、
厳しい教室の方針に合わなかったそうです。
それで明るく笑顔が絶えなかった子が、チックの症状まででるようになってしまったそうです。

3人目こそは…と大切に大切に育てているけれど、
子育てに自信が持てず、
自分を責めてばかりいる…というお話でした。

この日は、3人目のおちびちゃんだけ連れて教室にいらしてくれました。
まだ1歳代の子ですが、しっかり集中して遊べ、
その雰囲気から大切に愛情をかけて育てられているのが伝わってきました。

一人目の発達障害を持っているお子さんは、学習についていけなかったため、
個人でていねいに教えてくれる塾に通うように
なってから算数は理解できるようになったそうです。
習っていない他の教科はまだしんどいそうです。

そうしたお話をうかがううち、
一人目ちゃんのことも、二人目ちゃんのことも、
自分の子育ての失敗のように感じて苦しんでおられるけれど、
いつもその時々のベストをつくしておられて
すごいな~偉いな~という気持ちでいっぱいになりました。

だからこそ、発達障害が原因で学習についていけなくなった後も
なんとか算数だけでもついていける状態にまで
持っていけているのです。
そのまま放置せずに懸命に動いて、子どものためにしっかり仕事をしたからこその結果だと思います。

子どもに合った個別の塾を探すことは簡単ではなかったと思います。
また一人目ちゃんのことを反省し
次の子の時は…と努力するのも
結果がかんばしくなかったとしても、
子のためを思っての一生懸命さに頭が下がりました。

発達障害は親の育て方が原因でなるものではありません。
LDが原因で学習に困難をきたすのも
親がちゃんと勉強を見てあげなかったからなるわけではありません。

それなのに親は
自分の責任のように感じます。おまけに子どもの学習面では常に心配が絶えず、世話もたくさん必要なのです。

「だれでもできることではないです。
発達障害があって学習につまずいていた子をちょっとでも向上させることができたなんて、ものすごく一生懸命じゃないとできません。親の愛情がたくさんないとできないことです。
せめて自分を責めるのはやめて……自分はよくやってる、がんばってきた!って自分をもっと褒めて、ねぎらっていかないと……。」
とお伝えしました。

「それと3人目ちゃんはしっかり成長している子だけど、少し不安や緊張が強いように見えるので笑顔をたくさん引き出すようにするといいと思います。」ともお話しました。
「そう言えば、自分を責めてばかりで、笑うこと……あまりありませんでした。」とおっしゃっていました。
3人目ちゃんはとにかくお母さんが大好きで、お母さんにギュッと抱きついていきます。
この方の心が3人目ちゃんのお母さん大好き!のエネルギーで癒されたらいいな…と思いました。


web拍手を送る

ADDの自分の脳とつきあっていく…ということ

2009-05-04 07:13:36 | ADHD
私のADDっぽい性質のために、
穴があったら入りたい…と思う出来事や、
ガーンと頭を打ちつけられるような出来事が、忘れたころにあります。

忘れたころに…と言うのは、普段は、
得意なことを中心にすえて仕事をしたり暮らしたりしている上、
家にこもっているので、
自分のADDを意識することってそれほどないのですよ~。
が、ちょっとお出かけ…とか、ちょっと普段とちがうスケジュールで過ごしていると、自分が何がどれくらい苦手か、
一般的な人とかなりずれているところは何か、
実感することが多々あります。

診断を受けたわけではないし、診断基準に引っかからないかもしれないけれど、
ADDだわ~と思う私の脳の難点は、

「衝動性」と
「時間の感覚が変」
「短期記憶が苦手」

の3点。
この衝動性…て、私自身が、のんびりまったりしたタイプで、刺激的なことが好きでないために、外見からはあまりわからないのです。
が、主に自分が唖然とする形で、
この脳の衝動性の部分の引き起こす失敗に翻弄されています。

特に普段と違うことをしていて、軽いパニックを起こしているとき、

考えるより前に何かしてしまう。
頭に浮かんだことを即、行動に移してしまう。
ちょっと考えて、確認して…の一呼吸が、後回しになってしまう。

と、行動と考える作業が逆になってしまうことがよくあるのです。

そそっかしい性格…って、この脳の中の手順が逆!
がよく起こってるんだろうな…と感じます。私も子どものころから、おっちょこちょいでそそっかしい…サザエさん体質。考える前に身体が動いてしまう…。

そんな体質にもかかわらず、一方では、内省的でじっくり考えることが好きなのです。

だから、私の意識の部分は、一般人そのもので、
無意識に衝動的に何かをしたあとで、
一テンポ遅れて、
ごく一般的に考えれる自分が、「どうして確認もせずにあんなことをしたんだろう…???」といつも一番びっくりして考え込んでしまいます…。
2重人格くらいに、無意識に衝動的に動く自分と、
一般的で考えてから動く自分のふたりが別次元であるのです。

といって車の運転をするわけでなし、
複雑な仕事にかかわるでなし…の自分の生活では、

銀行で右に寄せて書く欄に左に寄せて書いちゃった…
時計で確認せずに遅い時間に電話してしまった…早い時間に電話してしまった…
電車に乗り間違えた
ごはんを炊き忘れた…

レベルのもやもや~っとしたミス以上でもミス以下でもないのですが…

そうしたことがいっこうに直らなくて、直そうにもどうも脳のタイプによるもので自分のコントロール外にあるな~となると…
大きな仕事をするのに怖気づいて、いつもちまちま暮らしていたくなる自分がいます。

発達障害を持っていても得意なことがいろいろあると、
それで補えてしまえるので、
個性なんだから発達障害だなんて見方は間違っている…とおっしゃる方もいます。

でも、私は脳の違いが起こす社会や人とうまくいかない原因を
他人のせいだと勘違いしたり、誤った世界観を抱いたりしないためには、
なるべく原因のもとを客観的に正確に観察できる技術が必要だと思っています。
どんなに軽くても
発達障害と呼べる部分を持ってると
うまくいかないこと、すれちがうこと、ぶつかることが
たくさんあるんです。
そうしたできないこととできることのムラが大きな自分と
正直に付き合いながら、良い面に光を当てていくと、
自分が想像できる以上のことが可能になってくるのだと思います。



web拍手を送る