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ADD?傾向のある塾教師がADHDやアスペルガー症候群の子にどうかかわり教えたらいいのか模索していくブログです。

どうしてアスペッ子や高機能自閉症の子は、誤解を受けるのでしょう? 2

2008-10-31 12:56:08 | アスペルガー症候群
「気持ちに関することが苦手」という特徴について
『イラスト・まんが教材で「気持ち」を理解』川島書店
の本の中から大切な部分をいくつか取り出して説明させてもらいます。

気持ちを理解することの難しさって何でしょう?

気持ちが認知できない
感情の発達は「興奮」から、「愉快」「不愉快」
「怒り」「失望」嫉妬」「望み」と次第に高次な気持ちを理解・表出していくようになるそうです。
この気持ちが未分化で、気持ちを認知できない子がいるそうです。
「うれしい」「かなしい」「こわい」などの気持ちというものが
何をさしているのかわからない場合もあるそうです。

特定の気持ちがわからない
「人のことを悪く思ってはいけません」と教えられて育てられて、
人を不快に思う事ができなくなるなど、本当の気持ちが認知できなくなる子がいる
そうです。

相手や第三者の気持ちが読み取れない
人の気持ちを読み取るには
表情、動作、ことばの内容、
ことばのトーン、その人の置かれている状況、その人の思考の傾向
から推測しなくてはなりません。

眉がつりあがっている意味
口角があがっている意味が理解できないために、
相手の表情という情報のない状態で気持ちを推測しなくてはならなくなってしまう
そうです。

一部の情報にこだわる
予定の変更に混乱するなどで、情報から推測するのが難しい

「この先生からは何度も怒られてしまった」ということがあると、
いくら同じ先生が褒めても「きっと怒っている」と推測してしまう子が
いるようです。

気持ちを上手に表現できない 気持ちを独特の言葉であらわす
人間以外の気持ちにとらわれてしまう
空想がどんどんふくらんでしまう
刺激が多すぎると混乱してしまう

いつまでも被害感にとらわれて、気持ちをうまく処理できない
謝っていることも、わざとやったのでないこともわからなくなり、
「悪い子だ!」「やっつけてしまいたい!」と怒ってばかりの子。

自分の社会での位置がわからない子
「面白そうだから入れて」と仲間に入れてもらう場面で、
「どうして仲間に入れないの?仲間はずれはよくないよ」
などと言ってしまう子。
先生や保育士さんの言葉を思い出して、言っている可能性があります。
自分が入れてもらう立場なのに、適切な言い方ができないんですね。

上にあげたように気持ちに関する苦手があると、
どうしても周囲から誤解を受けて、
「性格が悪い」「しつけがなっていない」
などと思われてしまいますね。


『イラスト・まんが教材で「気持ち」を理解』川島書店に
こんな「はじめに」の言葉がありました。

微妙な社会性のつまずきは、単純なソーシャルスキル・トレーニング
では対応できない部分があると思います。
ですから、彼らのユニークな環境世界の理解のしかたに、
一度はしっかりと近づいて理解し納得したうえで、
子どもたちがおだやかに楽しく生活していけるように互いに歩みよる方法を、
支援者の方が、ひとりひとりの子どもにあわせて考えてあげてほしい
と願っています。ちょうど近視や乱視の人に
視力や乱視の程度を検査によってはっきりさせてからメガネをつくって
調節してあげるように、子供たち自身が気持ちが見えないために、
困った状況に陥っている事を理解して、子どもたちの気持ちへの気づきを増して
あげることができるようにと願ってこの教材をつくりました。


気持ちが見えない…どんなに不自由な暮らしでしょう?

気持ちを理解する事が苦手な子も、
「まだ伸びそうな力」「苦手なことをとらえる得意な力」を伸ばして、
苦手を代替できる力で補っていってあげることが大事ですね。

具体的な指導のアイデアは、またの機会に書きますね。
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引用は『イラスト・まんが教材で「気持ち」を理解』 納富恵子 今泉佳代子
黒木康代 編著  (川島書店)




どうしてアスペッ子や高機能自閉症の子は、誤解を受けるのでしょう? 1

2008-10-30 20:44:45 | アスペルガー症候群
アスペルガー症候群の子や高機能自閉症の子は、
とにかく周囲から悪く取られやすく
誤解を受けやすいです。

いつも接している親は、素直で純粋なところや
悪気のなさを知っているだけに、
どうしてこんなに問題児扱いされるのか…と悲しくなってしまうことと思います。

どうしてアスペッ子や高機能の子は
そんなに誤解ばかり受けるのでしょう?
どうすれば、きちんと理解してもらえるのでしょう?

『イラスト・まんが教材で「気持ち」を理解』川島書店では、
自閉症スペクトラム児の

気持ちの理解や表現が苦手であるという特徴

が、2次障害の原因となったり、社会で理解してもらうことの難しさを
生んでいることを指摘し、
「気持ちに関係する事が苦手」という特徴に改めて
アプローチする必要性をのべています。

「気持ちを理解するという活動」が苦手な子どもは、
この特徴によって、友だちから誤解を受けて集団の中で孤立したり、
支援者から誤解されて適切な勉学や社会体験が
十分できなくなったりします。
気持ちを理解する事が苦手なこと自体は、問題ではなく
良い面もいろいろあるそうです。
こだわりを追求できる研究者、細かい配慮が必要な人の命にかかわる
医療機関、精密機械を動かす技師、膨大な法律を覚える法律家などには
向いている可能性があったりするそうです。


一見、わがままに見える子が、わがままが原因で
友だちとうまくいかない
自分で言う事を聞かずに勉強ができない

というと、そりゃあ本人が悪いんだから、自業自得!と
感じる方も多いことと思います。

しかしここで注意しなくてはならないのは、アスペッ子や高機能の子が
わがままに見えるのは、
見る側がそう見えているというだけで、
本人が本当にわがままで悪い…わけではないんですね。
生まれ持ったハンディーゆえに、誤解を受け、生活や人生のあらゆる場面で
孤立して集団に参加しずらうとすれば、
重大な権利障害を受けている可能性があるそうです。


気持ちの理解や表現が苦手な特徴は、悪い面だけではないのですが、
放っておくわけにもいきません。
周囲の人から、「変な人だ」「ダメなやつだ」と言われるうちに、
「どうせ自分は何をしてもだめだ」
と意欲が低下したり、自分を大切にできなくなったりして
2次障害につながることがあるからです。

社会の中で生きていくには、「自分の気持ちを知る」
「上手に伝える」「相手の気持ちを理解する」力を育てないと、
一生厳しく苦しい人間関係にさらされて生きていかなくてはならなく
なります。

それならば、どうすればいいのでしょう?
親や先生は、こうした子たちにどんな手助けをしてあげることができるのでしょう?

次回に続きます。
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引用は『イラスト・まんが教材で「気持ち」を理解』 納富恵子 今泉佳代子
黒木康代 編著  (川島書店)

2歳9ヶ月の多動と広汎性発達障害の特徴を持っている☆くん 8

2008-10-30 10:20:40 | 発達障害児に教える基本
最後に、☆くんのために用意していた
トミカのシールを貼りながら問題を解いたり遊んだりする
本で遊びました。

この時、☆くんは、きちんと電車の模様に合わせて、
正しいシールを貼ることができました。

お家では、お父さんに何度「その電車はちがうよ~」と言われても
違う電車同士を連結させていたそうで、
☆くんはこうした能力が弱いからできないのだと思っていたそうです。

注意されるから、わざとこだわって、違う電車を連結していたのかもしれません。

どうしても覚えないときも、物(おもちゃ)が変われば、
すんなりできてしまう場合もありますね~。
こだわりだしたら、それでしつこく教えようとしないことが大切かもしれません。

これで☆くんのレッスンはおしまいです。

次々、お勉強っぽいことをさせて、知能指数だけあげようとしているように
見えるかもしれません。
が、こうした遊びの目的は、
できることを増やすことだけではありません。
一番のめあては、
多動の状態を自分の動きが自分の意志でコントロールできるように
することにあります。
また、さまざまな遊びにかかわる中で
コミュニケーション能力や社会性を育てているのです。

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2歳9ヶ月の多動と広汎性発達障害の特徴を持っている☆くん 7

2008-10-30 10:11:38 | 発達障害児に教える基本
☆くんがパズルをする前から「できない~」と投げ出してしまう…
というお話だったので、☆くんのできるレベルに調節しやすい
問題を作りました。

色のついた電車のカードの上に
色のついた電車を置いています。

あんぱんまんやトーマスのカードの上に
指人形を乗せていくのでもオリジナルパズルができます。

☆くん、しっかりやり遂げました。完成して、とてもうれしそうでした。
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2歳9ヶ月の多動と広汎性発達障害の特徴を持っている☆くん 5

2008-10-30 10:06:16 | 発達障害児に教える基本
☆くんとおりがみで工作をしました。

できあがり作品はこちら
(☆くんの場合、つりざおを振り回して、ストローが目に入る危険も考えられるので、先を丸く切った厚紙を曲げて、ストローのかわりにしました。)

☆くんは、とにかく目が回るほど動きが激しいので、
いっしょに座って遊ぶことはめずらしいのですが、
レッスンで工作を繰り返すうち、工作の時だけは
けっこう集中して取り組んでくれるようになりました。

切込みを入れて、折る

作業を教えています。☆くんにはすでに一度ゆるく折ったものを
与えて、上からしっかり折る作業を手伝わせています。
テープで貼る、はさみで切るも
補助してあげると大好きな作業です。

レッスンはもう少し続きます。

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2歳9ヶ月の多動と広汎性発達障害の特徴を持っている☆くん 4

2008-10-30 09:58:29 | 発達障害児に教える基本
レッスンのつづきです。

☆くんとお化けのゲームをしました。
ゲームができるようになることより、
いっしょにコミュニケーションをとりながら、

大人の話に耳を傾けること、
指示が聞けるようになること、
注意力がすぐにあっちこっちいってしまわないこと

をめあてにしながら遊びました。
☆くんは、人形をどんどんすすめて自分ルールで遊びはじめました。
本人がやりたいルールで遊びながらも、

「順番に交代する」というところだけは守らせる

など社会性を学ばせるチャンスをのがさないようにしています。

2歳9ヶ月の多動と広汎性発達障害の特徴を持っている☆くん 3

2008-10-29 17:46:25 | 発達障害児に教える基本
前回の続きです。
☆くんは、先に起こる事を推測せずに、
すばやく行動に移すので、危険な目にあうことがよくあります。

この日も、
力まかせに引き出しを引っぱって、ひきだしを足の上に落とす。
セロテープの台を乱暴に動かそうとして足の先に落とす。
という痛い経験を2回もしました。
それ以外にも、「待った」をかけて大事にいたらなかったのですが、
何度も危険な目にあいそうになりました。

そこで、☆くんに、うさぎのぬいぐるみを使って、

行動に移す前にひと呼吸おいて考えてからする

ということと、
どういうことをすると危険なのか

を教えました。

うさぎさんが引き出しをあけようとする時に、
☆くんに「あぶないよ。急に引っぱったら、ストーンって抜けて、
ドスーンって足に落ちるよ。痛いよ~!!」と
うさぎさんに注意するのを手伝ってもらいました。
「危ない!危ない!まって、まって!ゆーっくり、ゆーっくり。」
☆くん、うさぎさんに、良い引き出しのあけ方の見本を見せてあげました。

それからセロテープ台の底にしっかかり手をそえて、
「急に、動かしたらあーぶーない。そーっと。そーっと」
とそーっとの見本をしてもらいました。

☆くん自身に危険なことを教えようとすると、
手を振り払ってどこかへ行ってしまうのですが、
うさぎさんに教えるときには、ものすごく上手な先生になってくれました。
☆くん、すっかりうさぎさんが大好きになって、ほほをすりすりしながら、
どういうことをすると危ないのか学んでくれました。

広汎性発達障害の子や自閉症の子にぬいぐるみを使って何かを教えるとき、
ぬいぐるみの肌触りや抱き心地がとても大切なように
感じます。
現代的なユーフォーキャッチャーで取れるようなぬいぐるみには
好まない子が多いです。
くたっとしたやわらかくて、本物のペットのような親しみが
感じられるものが好きなようです。
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2歳9ヶ月の多動と広汎性発達障害の特徴を持っている☆くん 2 

2008-10-29 08:54:46 | 発達障害児に教える基本
☆くんは多動があるので、ひたすら無秩序に動き回って
しまいます。
☆くんが取り組んでいるのは、目と手を協力させて、
そうした意のままにならない身体を、
自分の意識通りに自由に動かせるようにするための訓練です。
(お家でそうした訓練に取り組みたいという方は、『子どもは動きながら学ぶ』講談社 などのモンテッソーリ教育の関連本を読まれるとよいかと思います)

分類する、系統立てる、切る、折る、丸める
などの作業に少しでも集中する時間を作っていき、
しまいに自分が納得するまで繰り返しする状態に導いています。

☆くんは、教えてくれている人の手もとを見たり、
人の声に耳を傾けたりすることが難しく、
とにかく動き回るので、
こうした訓練は無理なようにも見えました。

しかし、本人がまったく無関心な間も、
私は繰り返しそうした作業を、☆くんのそばでやってみせるように
しました。
☆くんのお母さんにも、協力をお願いしていました。

すると、3週間前までは、
何でもかんでもいっしょにボウルに放り込んでまぜまぜすること以外興味なかった☆くんが、
今回のレッスンでは、マメとどんぐりを分け始めました。
少しすると疲れてかんしゃくを起しそうになったので、
途中で写真のようなマメを転がす「手作りの板」を
作業にくわえて、
楽しい気持ちを持続できるように工夫しました。

こうした集中させる時の工夫は、多動のある小学生の子に宿題等を
させる際にも応用できます。それはまたの機会に書きますね。

☆くんのレッスンは次回に続きます。

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2歳9ヶ月の多動と広汎性発達障害の特徴を持っている☆くん 1 

2008-10-28 18:44:05 | 発達障害児に教える基本
☆ 遊びが発展しない 多動のある子

で、3週間前に記事にさせてもらった2歳9ヶ月の☆くんの
今日のレッスンの様子を一通り紹介させていただくことにしました。
家庭での療育の役に立てていただけたらうれしいです。

☆くんは前回のレッスンまで、とにかく一瞬もじっとしていない
動きっぷりでした。
ごはんを食べている間も、足や腰はバタバタくるくるもぞもぞ動いているほど、
ひと時もじっとしていることができないのです。

前回のレッスン時に、種類別に小皿に分けることや、同じ色の電車同士を連結することが難しいという相談をいただき、
☆くんのお母さんに「間接的にでもいいので、分ける作業を
手伝わせてみてください」とお願いしていました。
「難しいですね~すごく機嫌のいい時に、少しだけ、はい、と物を
渡してくれるだけでした」と報告をいただいたのですが…

☆くんを写真の「ペグ刺し」に誘うと、
前回では考えられなかったくらい熱心に取り組んでくれました。

集中できた理由は、
最初に5色のペグ(前まら2番目に大きいサイズ)をセッティングしておき、
一番短いペグの5色を一本ずつ渡していったことです。

☆くんは、達成するのに時間がかかりそうだと感じると
簡単なパズルでも「できない~」と投げ出してしまうのです。

「いっぱいで、できない~!」という気分にならないように
1本ずつ手渡していったのです。
すると、☆くんはきちんと色通り正しい位置に置けました。
それだけでなく、
「もっとする!」と意欲を見せ、次の5本も
置いて、最後に全ての棒を置いていきました。
最後の方はサイズがでたらめになってしまったのですが、
色はきちんと置けました。

☆くんがそれほど見分ける力を持っていたとは、
すごく以外でした。☆くんのお母さんもびっくりしていました。

☆くんのレッスンは次回に続きます。
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グレーゾーンの子、アスペッ子がトラブルを起したとき…2

2008-10-28 08:06:48 | 社会性
お兄ちゃんが妹さんへちょっかいを出す中で、
私が何度か強くストップをかけると、
お兄ちゃんは即座に謝り、謝った後、一分もしない間にふたたびちょっかいを出していました。
それが1時間の間に、何十回と繰り返され、行動はだんだんエスカレートしました。
また、謝る際に毎回、「○はちょっと手を叩いただけで、痛がるんだよ」
「○は学校でもうるさい女って言われてるんだよ」と相手の問題点をあげることで自分を正当化する説明を加えていました。

しかし、その場では、妹さんからうるさく兄をからかう、
けなすもなければ、ちょっとされたことをオーバーに騒ぐ様子もなかったのです。

(過去にそうした指摘が親御さんから妹さんにあったのかもしれませんが、)
そうした考えが「現状にそぐわない」お兄ちゃんの固い思い込みであることは、
あきらかでした。

妹にはいろいろな問題がある。ちょっと触れられたら騒ぐし、口うるさい。
だから、嫌がらせをしてもいいし、暴力をふるってもいい

自分で自分を納得させるそうした考えにしがみつくうちに、行動が派手になっていくようなのです。

お兄ちゃんが、できていないことは何なのか?

それは
自分のしている行動を振り返ること
自分がしていることを意識すること

です。
「謝ったかどうか」「妹が許したかどうか」「妹の欠点」に気持ちは行くけれど、
自分がくりかえししているちょっかい、嫌がらせ、暴力は、
お兄ちゃんの意識にも言葉にも一度ものぼっていないのです。

自分が「いじめた」から「泣いた」という因果関係をきちんと把握せず、
泣いている妹だけを「うるさい」と感じているようなのです。
次には、「うるさい」と感じる気持ちが理由になって、「暴力をふるう」 につながっています。
トラブル後、自分の行為と結果にスポットライトが当てれるように
促すことが大事だと感じました。

小学生の子が学校や外遊びでお友だちとトラブルを起した時、
親御さんは、突然のことに気が動転してしまって、
相手方の怒りを鎮めたり、誤解を解くことで頭がいっぱいになりがちです。
そこで、
その場にそぐわない反応をして誤解を受けがちな子には、

きちんと誠意がつたわるように謝りなさい
反省しなさい(外から反省していると見える態度をとりなさい)

という部分にポイントを置いて、事後処理をしてしまいます。

定型発達の子の場合、自分がトラブルを起してしまったことを、
相手の前で、
「反省し 謝る」という行為の中に
取り返しのつかないことをしてしまった…
もうこんな事態をまねくようなことをするのはやめよう…
という気づきが含まれているはずです。

しかし、グレーゾーンの子やアスペッ子は
考えに融通がきかないし、
親が当然伝わっていると感じている
微妙なニュアンスが、全然届いていません。

同時に2つのことを言われると、片方しか認識できなくなってしまうので、
相手に謝ることを強調されると、
自分が行なったもともとの問題を理解し、内省せずに、
「謝ればいいんでしょ。相手が許せばいいんでしょ。
相手が許すようなていねいな謝り方が出来ているかが、大事なんでしょ。」
という認知や解釈にいたってしまいます。

性格がひねくれているから、
冷酷だから…
そんな考え方をするのではないのです。

自分や他者の感情や思考を考えることが苦手なので、
当然わかっていると思われることも
ていねいに説明されないと理解できないのです。

大人って、トラブル後に、被害者側の子にも「あなたも、そんなに騒ぐことないのよ」とか、「許してあげるうちに、心が広い人になれるのよ」などと
軽い気持ちで付け加えたりするのですが、
その部分だけ記憶して誤った考えにとらわれてしまったりするのです。

私は、叱る時、注意する時、
その子が理解しなくてはならないことだけを、
短い言葉でしっかり教える必要があると考えています。

認知の誤りに気付いたら、

いろいろ言わず、「何がわるいのか、どうすればよかったのか」を伝える

がとても大事です。

補足ですが、アスペルガー症候群の子は性のアイデンティテーが不安定
なため、異性の親にいつもくっついていることがあるそうです。
異性の親と適切な距離がとれないと、ほかの異性とも
適切な距離をもって付き合う事ができないようです。

このことは、きょうだいの間でも
気をつける必要があると思います。
兄妹でじゃれてばかりいる場合も、「きょうだい仲がいい」
として安易に放っておかず、
「異性の体にむやみに触れてはならない」といったルールをきちんと教えていく
必要があると思うのです。
きょうだいですから、本人は女の子と意識してじゃれているわけではないでしょうが、
小学生の間にそうしたルールをきちんと教えていく事が
先の異性間でのトラブルの予防につながるはずだからです。

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グレーゾーンの子、アスペッ子がトラブルを起したとき…1

2008-10-27 07:55:40 | 教育論
グレーソーンの子、アスペルガー症候群の外から問題が見えにくい子は、
お友だちと過す時間が長く、周囲にハンディーを説明しても理解してもらえないため、自閉の部分が強い子以上に
トラブルが多い場合があるようです。
きょうだいげんかや親子の言い争いも
問題点が見えにくいため改善しずらく、エスカレートしがちです。

こうした子たちが、何かトラブルを起した時の周囲の叱り方、
注意の仕方、処置の仕方を見ていて
とても問題を感じるときがあります。

たいていの親も先生も周囲の大人たちも
ごく一般的な認知能力のある子に対する叱り方と
同じ方法で、そうした子たちを叱っています。
グレーゾーンの子も問題の見えにくいアスペッ子も
会話の面でも、喜怒哀楽の面でも、
叱ればわかる、説明すればわかるように見えるからです。

もちろん全然わからないわけではないのですが、
肝心の伝わっているはずの部分が欠落したまま、
叱った側が、話の流れとして、プラスアルファ程度の気持ちで付け加えている言葉が、
その子にとっての行動の指針となっている場合があるなぁ…
と危惧しています。

最近、こんな出来事がありました。
教室に遊びに来ていた小学生の兄妹が、きょうだいげんかをはじめました。
きょうだいげんかといっても、妹さんはドールハウスで一人遊びに興じていて、
グレーゾーンのお兄ちゃんの方が、しつこく妹さんにちょっかいを出す構図です。
くすぐったり、遊んでいるお人形を取り上げたり、
殴るまねごとをしたり、はがいじめにしたりして
妹にかまってもらおうとするのです。
はじめはふたりともふざけているように見えるのですが、
妹さんが泣いたり、「やめて~!」を連発し始めると、
お兄ちゃんの方はだんだん力加減がわからなくなって、
妹さんの腕をひねりあげたり、妹さんの顔に物を投げつけたりするなど
エスカレートしていきました。
途中で私が制止するように大きな声で注意すると、
「だって○(妹)は、痛くなくても泣くんだよ。」と言います。
「相手の嫌がることはしてはいけません。やめて~って言ってるでしょう?」
と叱ると、
「はいはい、ごめん。」と妹さんに言い捨てて、「本人が許したんだからもういいでしょ。」と私に告げて、妹さんの顔面をなぐるまねを
再び始めます。
強く叱ると、「○はけがしてないよ。どこをけがしたのか、言ってみろよ」
と私に言い返してきます。

どうも本人の中では、

相手が許したならもう自分は悪くない、
相手が怪我さえしなかったら暴力をふるってもいい、
ちょっとしたことで痛がる人には、嫌がることを続けてもいい、

など誤った考え方があるようです。
お兄ちゃん側は、わざとそうした言い訳をして、言い逃れをしている
のでもなさそうです。

お兄ちゃんが はがいじめにしたために、妹さんが後ろにひっくり返って、
背後に置いてあった紙箱の角で背中を打ち付けてしまいました。
お兄ちゃんは
痛がって泣き叫ぶ妹さんに対して、「大丈夫?」と気遣う様子はなく、
紙箱に書いてある文字を読んで「○○だって~」と、そちらに気を取られて
面白がっていました。
そうした言動から、
広汎性発達障害の子の認知の問題を強く感じるのです。
本当にわかっていない、本当に誤って認知している…
可能性が高いのです。

私が注意すればするほどお兄ちゃんは興奮して、
しまいには妹さんの顔に固いおもちゃを投げつけました。

お迎えにいらしたきょうだいのお父さんに事情を説明すると、
きちんと叱ってくださったのですが、
とにかく反省の色がみえないので、
お父さんの注意点は、

反省しているかどうか、相手に伝わるように謝れているかどうか、

にスポットライトが当たっていました。


ていねいに相手に謝って、相手が許してくれたら、それでおしまい

という叱られるときにありがちなパターンは、
☆くんの考え方に誤った認識を与えてしまっている感じがしました。

☆くんは、肝心の自分が何が悪かったのかをきちんと理解できていないのです。

トラブルを起した時、どのように対処したらよいのでしょう?
☆くんにどのように説明したらいいのでしょう?

長くなったので次回に続きます。

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自閉症の☆ちゃん♪ かかわりたい気持ちを引き出すコツ2

2008-10-26 20:54:02 | ADHD
この「ちょうだい」「はい」「ちがうちがう」の遊びを
いろいろな形で繰り返しました。
椅子の隙間から人形を入れて、
やりとりする「ちょうだい」遊び。
椅子が間にあると、表情が見えにくいように思えるのですが、
☆ちゃんは隙間をのぞく癖があるので、
こうするとより目が合いやすく表情が読み取りやすくなるのです。

☆ちゃんが、ひとり遊びに戻ってしまった時、
私は椅子の隙間をのぞきこんで、「☆ちゃん、ねこちょうだい」と言ってみました。
すると☆ちゃんは、私の視線の先にあわせるように顔を近づけて、
にこにこ微笑みました。
それから、自分から催促するように「ねこちょうだい」の
遊びをはじめました。
そうして積極的に始めたやり取りの中で、
☆ちゃんは「はい」と間違った動物を渡されると「ちがうちがう~!」
と言えるようになりました。

☆ちゃんのお母さんの話では、これまで☆ちゃんは、
自分の欲求は口にしても、
「ちがう」「いや」といった拒絶を表す言葉を使うことは
なかったそうです。
が、この遊びをきっかけに自然と「ちがうちがう!」が言えるようになりました。

☆ちゃんのお母さんから、
☆ちゃんは、ぐるぐるらくがきをするのが好きだけれど、
そこからあまり進歩が見られない…というお話を
うかがいました。とりあえず、目鼻らしいものは描くとのこと…
そこで、いっしょにらくがきをしてみると
☆ちゃんは丸の中に小さな丸で目、鼻を描き、口もつけました。
私が身体を付け加えてあげ「足は?」と聞くと、
足の位置に丸がふたつかけました。
よく出来ているな、と思ったのは、
丸のサイズと位置です。
バランスも良いし、正しい位置に描けているのです。
☆ちゃんの絵がそこから上達しないのは、
描きたいという要求、褒めてもらいたい、認めてもらいたいという要求、
がほとんど見られないことが
大きな原因であるように思われました。
それには、はじめに紹介したような、
一人遊びではない人とのかかわりの中で、やりとりを楽しむ
経験が大事なのではないか?と感じました。

☆ちゃんの成長はゆっくりゆっくりだけれど、
確実に進歩し続け、
自分の世界を広げています。
☆ちゃん、これからもがんばってね♪

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自閉症の☆ちゃん♪ かかわりたい気持ちを引き出すコツ

2008-10-25 22:23:30 | 自閉症児の親子レッスン
5歳の自閉症の☆ちゃんは、ひとりごとを言いながら
自分の世界に入りこんで遊んでいることが多いです。

☆ちゃんは人に対して無関心で、
遊んでもらうより、ひとりで遊ぶ事が好きで、
褒めてもらってもうれしそうな顔はしません。

お母さんやお父さんが大好きで
甘えるし、時々ニコッと笑いますが、
言葉のやりとりを続けるのは難しいです。
最近になって、
「○ちょうだい」
「はい」
「○と●のどっちがいい?」
「●」
といった簡単なやり取りならなりたつようになってきました。
しかし、機械的でよそみをしながら返事をする場合がほとんどで、
そのあとのコミュニケーションが続きません。

虹色教室で、お人形の家でひとりごとをつぶやきながら遊んでいる
☆ちゃんに、ねこのぬいぐるみを「はい」と渡すと受け取って抱きしめました。
さらに鳥のぬいぐるみを渡すとそれも受け取りました。
そこで、
「ねこちゃん、ちょうだい」とたのむと、「はい」とねこを返してきました。
「鳥さん、ちょうだい」とたのむと、「はい」と鳥を返してきました。

そこまでは、ちゃんと指示には従えているのものの、
視線は、人形の家の方を向いていて、機械的にやり取りをしているだけ…
という☆ちゃんでしたが、
次の瞬間、「ねこ!ねこ!」とぬいぐるみを返すように催促しはじめた☆ちゃんに
鳥のぬいぐるみを渡すと、困惑した表情をして、
じっと私の顔をのぞきこみました。
それから、さらに大きな声で「ねこ!」と催促しました。

そこで、ねこを渡しながら、
即座に「ねこちょうだい!」とたのんでみると、
すっとねこを差し出すものの、私の顔をのぞきこみながら、
「ねこ!ねこ!」と繰り返します。
ふたたびちょっといじわるして鳥のぬいぐるみを渡すと、
☆ちゃんはニッと笑いながら、鳥を受け取ってから、「ねこ!」
と催促しなおしました。
☆ちゃんの表情は、私とのやり取りを楽しんでいます。

そのやり取りの中で、私は☆ちゃんに必要な二つの課題に気付きました。
簡単なやりとりでもいいので、
まったくの一人遊びではない、相手の目や表情を見ながら行なう
遊びの回数を増やす。 
時間、バリエーションを増やす。
自分の頼んだものではなかった場合、
「ちがうよ」と言えるようにする。

次回に続きます。
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