ADD?先生の発達障害児 教育応援サイト

ADD?傾向のある塾教師がADHDやアスペルガー症候群の子にどうかかわり教えたらいいのか模索していくブログです。

きょうだいやお友だちを 怪我させてしまった! 2

2009-01-27 18:26:02 | 番外
今日は3歳になる多動と広汎性発達障害の特徴を持つ★くんの
レッスンでした。

★くんは活発なとてもIQの高い男の子です。
何か目につくと即座に行動に移す衝動性のために、
たびたびお友だちとぶつかって、相手が転んでしまうことが
よくあるそうです。

★くんの中にお友だちを傷つけようという思いは
まったくありません。
前回の☆くんと同じく
先を読まずに動いた結果
お友だちを泣かせてしまうのです。
★くんのお母さんは、「あの子に近づいたら怪我するよ」と
言って、避けられてしまうのが辛いとおっしゃります。
「どうして遊んでくれないの?どうして向こうに行っちゃうの?」
と★くんはたずねます。

今、★くんは、突然思いつきで動く前に「ストップ!ちょっと考えて!」
と自分の心に言葉をかける練習をしています。
この「ストップ!」を学ばないと、お友達だけでなく、
自分自身に危険が及ぶからです。

目に付いたものを追って道路に飛び出したり、
細い棒を自分の目の近くで振り回したり…

★くんの行動は、お母さんが四六時中、注意深く世話を焼いていても
危険でいっぱいです。
自分で自分を守れるように、
お友だちを怪我させることがないように
自分の身体をコントロールする術をひとつひとつ学んでいるのです。

また、たれみみさんがコメントで指摘してくださったように、

「謝らなければならない原因気づいていない」ことがあるので、

周囲に注意を払う必要があることを

何度もわかりやすく(人形劇などを通して)教えています。

またアスペッ子には、クレアさんがコメントで書いて下さったように、

アスペルガーの☆君、反省凄くしてると思うよ、あまりに反省しすぎた場合よくそんな態度取るから、今回はこれ以上深追い、と言うより追い詰めずに、普段しょーもない出来事が起こったときに、心を込めてごめんねってこっちから感情込めて言ってあげて、それで許して貰えたら、得々とこういう風に謝られたら許せるやろ、感じいいやろ、と度々説明してあげる。

反省しすぎたときに、周囲に誤解される態度を取ってしまう
こうしたタイプの子への理解と
時間をかけて教えていく姿勢が大切だと思います。


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きょうだいやお友だちを 怪我させてしまった! 1

2009-01-26 09:58:27 | 社会性
小1の広汎性発達障害の診断を受けている☆くんの
レッスンでの出来事です。

理科工作でハサミを使っている最中に、
手先をよく見ていなかったため、
ふたごのお姉さんの指を
少し傷つけてしまいました。
「痛い!」と指を押さえてうずくまるお姉さんに対し、
何事もなかったかのように☆くんは作業を続けています。
「大丈夫?」と心配する様子も、
謝る気配もありません。

私は少し厳しく、すぐに謝るように促しました。
すると、ふてくされて、「ご~め~ん~な~さ~い!」とぼそぼそ…。
その様子に、お姉さんを気づかう気持ちは読み取れません。

そんな☆くんを見ると、他人の痛みがわからない
ひどい子にも見えます。

しかし、実際の☆くんという子は、「心がきれい」という言葉が
ぴったりの子どもです。
ですからそんな出来事があっても、ふたごのお姉さんは☆くんが
好きでたまらず、何をするのもいっしょで、
☆くんのすることなすこと尊敬のまなざしで眺めているのです。

☆くんは、動物達や自然が抱いているのと似た
純粋さや、けがれのなさ、まっすぐさ、悪気のなさ、素直さ
を持っている子なのです。
こうした広汎性発達障害の子は、
その性質から、きょうだいやペットから強く愛されていることが多いです。
しかし、同時に、

先を読んで相手や自分に危険が及ぶことを避ける

という配慮が欠けていて、

トラブルが起こったり、相手に危害を加えてしまった場合にも

どのような態度を取ればよいのか、
どうした感情を一般的な人は抱くのか、
自分の態度が相手からどう見られているのか

まるでわからなかったりするのです。

悪気なくお友だちを傷つけてしまう子
自分のしたことの責任をどう取ればよいのかわからない子に
どのように接していけばよいのでしょう?



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ADDと創造性について(『へんてこな贈り物』から) 1

2009-01-22 23:16:31 | ADD
『へんてこな贈り物』エドワード・M・ハロウェル インターメディカル
を読みました。
ADD(注意欠陥障害)について大人と子どもの精神科医が
くわしく書いている本です。

この本はADDが子どもの人生に及ぼす困難を書くと同時に
それがもたらす贈り物についても書いてある面白い本です。

歴史を通じて、いろんな学習障害を持ちながら克服してきた偉大な人々がいる。
証明はできないがモーツアルトがその例である。
性急さ、衝動性、注意散漫、エネルギッシュ。
情緒面の貪欲さ、独創性。
新しがりやで不遜な異端者。

枠組みを作ることが、ADDの治療に非常に有用とされている。
音楽と言う枠組み。
そのきっちりとした形式のなかで、ここかと思えばあちらといった
落ち着きのないADDの天才モーツァルトが、
いかにみごとに開花したかは、よく知られるところだ。(『へんてこな贈り物』)


グレーゾーンと言われている多くの子は、
ADDを持っている子が多いと思います。
(重複して広汎性発達障害を持っている子もいますが…)

私は親子レッスンでそうした落ち着きのなさや
衝動性、めまぐるしくかわる興味、貪欲な好奇心
と出合ったときは、「科学」や「芸術活動」など
その子の得意とするしっかりした枠のなかで、
その子がしっかりと「自分」を持てるようになるように手伝います。

この著書には

学校では駄目だったのに、大人になってからすばらしい業績を上げた人は、数限りない。
しかし残念なことに、学校で魂を破壊され、
自分の潜在能力に気づく機会にめぐりあわなかった人は、それよりはるかに多い。

と書いてあります。

別のページにこんな話も…(少し要約しています)
ADDの人が創造的なのは珍しいことではない。
ADDの心は、想像に適したいくつかの要素を持つ。
まず第一にADDの人は、たいていの人より混乱に耐える力がある。
あらゆる刺激がどんどん押し寄せ、取捨選択ができずに、混乱のなかで暮らしているので、混乱に慣れている。
混乱を求めてもいる。
それが創造の過程で役に立つのだ。
人生を整えなおすため、物を創るために、
人はしばしの間、混乱のなかにたたずむ必要がある。
未知のものや慣れないものが与える緊張によって、
人は何かを創りだすことができるのだ。

どんな刺激にも反応してしまう移り気のために、そういった情報が、
ADDの人の心の中では、落ち着く前に変形してしまう。
混乱したり物を混合するこの性向
ADDの脳みその「悪魔に取り付かれた」とされる部分
が、創造性を高めるのに都合が良いのである。

ADD族は…
創造的な考えを沸きやすくするのに最もふさわしい環境をととのえる
ことができる。ADD族は、どこといわず、いつもあちこち移ろっている。
そして創造性も、衝動という翼で、どこからともなく、飛びきたり、飛びさる。

強烈に熱中する力、超集中する能力だ。
熱中しないと、ADDの人の心がさまようのは確かだが、
熱中すれば、対象に恐ろしいほどこだわる。

ADD俗は、多動より「過剰反応」のほうが高い。
「常に反応している」
過剰反応は、脳内の神経結合の数を増やすので、
創造力を発揮する。

ADDの人が成功するには、こうした作用を生産的に活用することだ。


私も、自分の脳は「悪魔に取り付かれている」困った脳だと思う反面、それも使いようで…
うまく活用していますよ。
この本、読みごたえがあっておすすめです♪



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学校から失われたもの

2009-01-21 23:40:35 | 教育論
落ち着きがなくて来年の就学が心配…という年長さんの子どもたち
が、あることをきっかけに
急に集中力が増して
ソワソワウロウロが減ってくるときがあります。

あることと言うのは、折り紙のシュリケン作りや
あやとりなどに
まるで憑き物でもついたように毎日毎日熱中する時期です。

こうした手でする同じ繰り返しのある作業に没頭する時期を
過ぎると子どもの行動は格段に変化します。

集中力や根気に問題のある子の場合、
発達がゆっくりで
幼稚園ではなくて、小学校に入ってから
ようやくお友だちの影響を受けてこうした遊びに
興味を持つかもしれません。

昔は、学校というのは、こうした伝承遊びを伝え合う場でも
ありましたよね。
私も、絵描き歌、シャーリング、「アルプスいちまんじゃく」のような
手遊び、折り紙
などを学校の休み時間に楽しみました。

でも、最近では、学校からこうした
子どもの社会性や知能を内面から高める遊びが
失われている気がします。
のんびりした自由な雰囲気が失われているからでしょうか…?
そうしたものの価値が
軽く見られている気もします。

こうした遊びに夢中になれる環境作りをすれば
学級崩壊なども減ってくるのかもしれません。
子どもたちの問題点を見つける前に
子どもたちから取り上げたものを
返してあげると
病気が自然に治癒するように
子どもの心も本来のみずみずしさを取り戻すのかもしれません。



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集団での過し方 遊び方を学ぶ会♪

2009-01-18 18:04:58 | 発達障害児に教える基本
今日ははじめての試み
NPO京都ハートネットワークの発達障害当事者の成人の方にボランティアをお願いして
2歳~4歳の軽度発達障害を持つ子と定型発達の子らとで、
「いっしょに遊ぶ会」を開きました。

積み木遊び、ゲーム、伝承遊びなどを楽しみました。
とても楽しい良い時間が過せました。
子どもたちはボランティアのお姉さんが好きになって
膝に乗って遊んでいました。
帰りは、ボランティアの女の子もニコニコして「また次回も来たい!」
と言ってもらいとてもうれしくなりました。

広汎性発達障害やADHDの特徴を持った幼児さんたちは
お友だちとの接し方がわからず
いきなり相手のおもちゃを取り上げたり
自分ひとりの遊びの世界に没頭したりしがちです。

でもこうしたいっしょに遊ぶ場のなかで、
よく観察していると、小さなかかわり合いのチャンスが見つかります。
例えば、ひとりで「ブッブー」とおもちゃの汽車を動かしている子がいたら、
「カンカンカンカン~のふみきりがしたい人?」と聞くと、
やりたがる子が見つかります。
そこで、ひとりで汽車を動かす子と、
ふみきり役をする子の間で
いっしょに互いのタイミングを読みながらする遊びが成り立ちます。

また、人形の家でひとり遊びをする子がいると、
「トントントン!こんにちは~」とドアを叩いて呼びかけてみせたり、
2階から「オーイ、あがっておいで~!」と
呼びかけてみせたりすると、
人形の家での友だちと関わりあいながらの遊びが
成り立ち始めます。

そうして、お友だちとコミュニケーションを取りながら遊べた
という成功体験を増やしていきます。

また、あーぶくたったなどの伝承遊びを覚えておくと
その遊びにはきちんと参加できる
という自信が生まれますね。

かかわりの苦手さ、相手が見えにくいため
つい衝動的で乱暴になってしまう行為にばかり
目がいってしまいますが、

できること
できそうなことを探していると

それぞれの子が社会性の育ちにつながりそうな
何かを持っているものです。
またトラブルがあった場合、お家で何を練習すればいいか
見えてきます。

例えば、大人となら静かにゲームに付き合える姿が見えたら、
同年代の子は難しくても、
おとなしくて温和な少し年長の子に
遊んでもらうのなら大丈夫かもしれないサインです。

お友だちにおもちゃが貸せないため、
トラブルになっているようなら、
お家でお人形相手におもちゃの貸し借りを練習するといいかもしれません。

子どもに上手な集団での過し方、遊び方を教えたい場合、
まず親御さんが、お友だちと遊ぶ時の子どもの観察の仕方や
適度な支援の仕方をマスターすると
子どもは自然に遊ぶことが上手になってきます。



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アスペルガー症候群の特徴を持つ5歳児レッスン一通り♪ 5

2009-01-18 16:59:22 | アスペルガー症候群
☆くんには、前の記事に書いたニキーチンの積み木の別の種類のもの(ユニキューブや形づくり)もしてもらいました。
その後、☆くんは、最初にした人物当てゲームをやりたがりました。

推理する
論理的に考える

が、今☆くんのなかに育ちつつある能力のようです。
そこでお家にあるカルタなどのカードで、
この遊びをする方法を紹介しました。

カルタを1枚選び、その下に当たりの紙切れを敷いておきます。
答える役の人が
「それは動物ですか?」
「それは空を飛びますか?」などの質問し、
紙を隠した人は、丸かバツのジェスチャーをします。

たとえば、「動物ですか?」で丸なら、
動物以外の文具などのカードはすべて裏返します。
そうして最後に残った一枚の下に当たりがあれば、合格です♪

ポケモンやアンパンマンなどのキャラクターのカードで
遊んでも楽しいです。

これで☆くんのレッスンはおしまいです。
☆くんは「好きなことしかしない」という硬い態度が
だんだんやわらかくなってきました。
今回は誘ったほとんどの取り組みを笑顔で楽しめました。
小学校受験は、☆くんにとって
大きなチャレンジです。

がんばってね♪



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アスペルガー症候群の特徴を持つ5歳児レッスン一通り♪ 4

2009-01-18 16:51:39 | アスペルガー症候群
☆くんが苦手な小学校受験問題は、
立方体の
左右と後ろの位置に立った子から見える
絵柄を当てるというものです。

他の人の視点に立って考える

のが難しかったようです。

写真のように、大きなさいころのまわりにお人形を置いて
「しまじろうくんから見える数はいくつかな?」
といった問題を出すと、
きちんと解けました。

☆くんには、こうした見え方の問題だけでなく
自分以外の人の気持ちや思いを推測するという練習も
していってもらおうと考えています。


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アスペルガー症候群の特徴を持つ5歳児レッスン一通り♪ 3

2009-01-18 16:40:02 | アスペルガー症候群
☆くんは今、小学校受験を目指して学習中です。

虹色教室では、☆くんにとって苦手な分野で
お家ではできなかった…

という問題のみ取り組んでもらっています。

☆くんが絵が苦手…の原因は、物の見え方に
あるようです。
同じような原因からか、空所にあうイラストを選ぶ問題が
とても苦手です。

そこで、問題をコピーして切り抜いて、
実際に乗せてみながら考えるようにしました。

線が途切れている部分に注目して
イラストを見る練習をします。

触って解けるようにしていると、
☆くんのミスは減ってきました。
どこに注目するのか、少し理解した様子です。



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アスペルガー症候群の特徴を持つ5歳児レッスン一通り♪ 2

2009-01-18 16:28:41 | アスペルガー症候群
次にしたのは、ニキーチンの積み木です。

☆くんは、組み合わすと立方体ができる
形づくりに熱中していました。
☆くんは絵が苦手で、左右のバランスがわるいくねくねした絵に
なってしまいます。
しかし、こうしたキューブでできている積み木の
扱いはなかなか上手です。
できることのなかで空間認知の力を伸ばして、
苦手な絵もバランスが整ったものになるよう心がけています。

こうしたさまざまな試みのおかげで、めちゃめちゃに塗っていた塗り絵が
上手にはみ出さずに塗れるようになってきました。


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アスペルガー症候群の特徴を持つ5歳児レッスン一通り♪ 1

2009-01-17 23:09:43 | アスペルガー症候群
今日はアスペルガー症候群の特徴を持つ5歳になったばかりの☆くん(診断を受けています)のレッスン日でした。

☆くんは、数が大好きな利発な子です。

☆くんは、アスペルガー症候群の子特有のこだわりや
対人関係のぎこちなさ、
負けるのをこわがってゲームに参加しない
ミスを恐れてワーク等の課題に取り組めない、
絵が苦手、塗り絵がうまくできない、など
さまざまな困難を抱えていました。

それが何度か通ってきてもらううちに
柔軟で積極的な態度が生まれてきました。

これにはお家で、週に一度、同じお友だち(子どもさんだけで)数名に
来てもらって、☆くんのお母さんが少し支援しながら遊ばせる
取り組みをしている効果が大きいようです。

虹色教室では、☆くんの得意な数学分野の能力や
科学への興味を高めるような学習を中心に、レッスンをしています。
それとお家で解決しなかった問題への
解決法をいっしょに探っています。

写真は、Who guess というゲームです。
「メガネをかけてますか?」
「男ですか、女ですか?」などの質問を考えて問いかけて、
相手側の選んだ人物を当てるなかなか難しいゲームです。
「メガネをかけてますか?」の答が
「はい」だった場合、
メガネをかけていない人を選んでたおしていかなくてはなりません。
推理力や自分で質問を考える力、質問を理解してこたえる力が必要なのですが、
☆くんはすぐにマスターしてできるようになりました。
これにはとても驚きました。

とても楽しかった様子で、
☆くんにはめずらしく(これまでゲームへの拒絶があったのです)もう一度やりたがりました。

☆くんのお母さんは、☆くんの楽しくて仕方がないという様子に
思わず微笑んでこう言われました。
「お友だちと、ただ面白がっておいかけっこする…そんな場面でも
勝ち負けや理由を求めてしまうのです。
ただ楽しいからする…そんな時間を過せるようになることが、
この子の今の課題です」

今日の☆くんは、表情が柔らかくて、
何の理由もないのに微笑んでいるときもたくさんありました。
お母さんがかかげている課題、少しずつマスターしていってる様子です♪

☆くんのレッスンは次回に続きます。


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発達障害の子の持っている得意な分野、優れた才能 2

2009-01-17 20:48:27 | 教育論
アメリカでの2E教育は、実践はまだ限られているものの、
重要性の認識は広がってきているそうです。

2Eプログラム(障害と才能が共存する子の教育)では、
学力、創造性、意欲などの観点から、
才能をしるす子を見つけるそうです。

「個別の教育支援計画」に才能を伸ばすこと、
才能を利用して障害を補うことなどを盛り込みます。
公立学校では、できるだけ通常学級で個別のニーズに対応して
特別支援が要らなくなることを
目指すのだそうです。

アメリカのどこでも…ということではないでしょうが、
そうした実践がされていること、それが広がりつつうることは
うれしいことです。
日本もそうした教育の理念が取り入れられていく事を願います。

すごいな…と感じるのは、その柔軟な考え方です。
障害が目立たず認定されない子は、
子どもが自分の才能を利用して障害を目だたなくさせているケースがあります。
そうなるとその子は、障害児教育にも才能教育にも入れてもらえないので、
先生方が注意深く観察し、
特別なニーズのある子は決まった基準で認定されなくても、
2Eプログラムに加えたりするそうです。

私が接したグレーゾーンの子や広汎性発達障害、ADHDの子のなかには、
「学力」にはムラがあるものの、
創造性と興味のある分野への意欲を見ると
とても能力の高い子がたくさんいます。

日本では、万べんなく何でもきちんとこなす…
こと
イコール学力とされています。
それはあまりにも狭い学力感ではないでしょうか。

学習全般に優れた行動特徴のチェックリストをこしらえて
小学校の担任にアンケートをおこなったところ、

学力・勤勉
独創性
空間的想像力

の3つ因子のうち、学力・勤勉は通常の学力のの児童の方が平均点が高く、
空間的想像力ではちがいがなく、
独創性では、学習につまずく児童の平均点の高い項目が多くなったそうです。

理科に関する調査では、

学習につまずく子は、「ひらめき型」が多く、「科学者型」は通常の児童と
かわりがありませんでした。
勤勉型の才能スタイルだけが、学習につまずく子が
弱い部分だったそうです。

そこで、ADHD傾向のある2Eの児童たちに、授業を工夫して
熱気球など自分の手で創造的につくれる活動をおこなったところ、
予想をびっしり書き込み、積極的に発言して、
実験に興味深く集中して楽しく取り組んでいたそうです。

私も教室に来る発達障害の子たちと、
科学実験や特別な数学の学習などをすると
その子たちの能力の高さと、独創的な発想に驚かされます。

けれども学校で評価が、そうした個性的な能力をまったく無視しているため、
結局、学習への意欲を失っていく子が多いです。
とても残念です。
日本の教育が少しずつ柔軟で
ひとりひとりの子の成長を見つめたものになっていくことを願っています。





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c=

引用は『本当に「才能」見つけて育てよう』 松村暢隆 ミネルウ゛ァ書房




発達障害の子の持っている得意な分野、優れた才能

2009-01-15 20:41:46 | 教育論
『本当の「才能」を見つけて育てよう』によると、
1人の人に才能と障害が共存するのは、
大脳の機能を考えると当然なのだそうです。

異なる種類の能力は
大脳の異なる部位に対応します。

脳卒中などで、言語野が損傷されると、ことばの機能だけが不自由になります。
他の機能は関係ありません。
まれなケースで、脳卒中でことばが不自由になった患者が、
それまで絵など描いたことはなかったのに、
独創的な優れた絵を描き出したこともあるそうです。

それまでことばの働きが優勢だったけど、
その抑制がはずれて、
眠っていた空間的知能が目覚めたようです。

天才も、たとえば「空間的知能」に対応する部位がきわめて優勢なために、
「言語的知能」に対応する部位は
小さく押さえ込まれる。

死後保存されたアインシュタインの脳を調べてみると、
全体的にはふつうの脳とかわらなかったのですが、
ことばの働きに関わる部分に損傷があったそうです。

子どもでも、障害と才能はよく並存するそうです。

発達障害は特定の障害なので、そう診断された子どもたちにも、
必ずその子の中で比較的得意な分野が存在するのだとか…。

日本では、軽度発達障害児はその新しい対象者になったばかりで、
「才能を見つけて伸ばし、
才能を利用して障害を補う」という発想はあまりありません。
アメリカでは理念上特殊教育の一環として
才能教育が確立されていることを背景として、
こうした才能と障害の両方を持つ子たちを「二重に特別な」子どもたちと
呼んでいるそうです。

こうした子を対象とする教育は、トゥワイス・エクセプション、略して「2E教育」と呼ばれるそうです。

ふつう特別支援教育では、どちらかというと欠陥を見つけてなおす
という考えの「欠陥モデル」に重点を置いているきらいがあります。

一方、文字が苦手な子どもも、「絵ならうまく表現できる」など
長所を見つけて伸ばそうとすることを「成長モデル」と呼ぶそうです。

「成長モデル」では、
ふつうの人より得意なMI(才能)をより強くする。
得意なMI(才能)を利用して、苦手な領域や障害を補う
ということを心がけるそうです。

LD児や高機能自閉症児の場合、
文字での学習は苦手だけれど、
絵や図を用いた学習は比較的やりやすい、ということが共通して
あるそうです。

認知処理様式の面からいえば、情報を逐次的に読み取る
「継次処理」は苦手だけど、全体を一度に把握する「同時処理」は
得意だ、ということになります。

2Eの子(障害と才能が並存する子)には、
「言語理解と知覚統合の点が高く、注意記憶と処理速度の点が低い」
ということになるのだとか…。


そういえば、「言語理解と知覚統合の点が高く、注意記憶と処理速度の点が低い」
って、そのまんま私の長所と短所、できることとできないことを
あらわしてます。これで、これまでしんどい思いをしてきてるのですよ~。

2Eの子どもの教育プログラム、私にも役立つってことでしょうか?

2Eの子どもの教育プログラムは、次回の記事で書きますね。



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できないことは、できることを利用して学ぶ

2009-01-14 12:47:34 | 発達障害児に教える基本
メールのお返事が遅れています。明日には少し時間が取れますので、お返事書きますね。(割り算の壁が越えられないという★ちゃんには教室に来ていただく予定です)


☆ちゃんは、記憶する力に困難を抱えた小学生の女の子です。
ずいぶん長い間、何度も10の合成を学んでいるのですが
覚えられません。
そのため、くりあがりやくりさがりのある計算に
なかなか進むことができません。
☆ちゃんは学習全般にかかわる記憶力に苦手を持っていますが、
コミュニケーション力が高く、
カラフルでバランスの良い絵を描くことができます。

そこで、☆ちゃんの得意な色や形を認識する力や
コミュニケーション能力を使って
苦手な算数を克服できないか…と考えました。

前回のレッスンで数からイメージできる色を決め、
色紙に数を書いて持って帰ってもらいました。

すると今回、
妹さんが金色が好きなので7は覚えました。
☆ちゃんは自分の好きな緑色が3なのは覚えました
という報告をいただきました。

そこで、「妹さんの7と☆ちゃんの3は、あわせて10。
ペアになるよ。」と教えました。
それから、
「くりの色、茶色の6。
みかんのオレンジ4。
食べ物ペアはあわせて10。

1番なりたい男の子。
9、くーは、黒。1も9も男の子色。

2はガーガーあひる。
8は、肌色ほっぺの女の子。
あひるも女の子もあったかいね。

5は紫。5と5で10」
と教えると、ものすごく苦手だった数に
親しみが持てたようでした。

コミュニケーション能力の高い☆ちゃんは、
これまでの生活体験に根ざした内容なら、
なんとか記憶できそうです。

いつも一生懸命な☆ちゃん、ハンディーに負けずにがんばってね


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