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興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

RNAの運命を決定するタンパク質が同定される

2015-08-30 15:00:19 | 医学
Research identifies a protein that helps determine the fate of RNA

This 'reader' molecule recognizes a chemical instruction tag affixed to RNA

August 27, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150827130208.htm


(青が細胞の核、緑がHNRNPA2B1)

40年以上前、N6-メチルアデノシン/N6-Methyladenosine/m6AというタグがRNA上に発見された
m6Aはアデノシンに付加されるメチル基methyl groupであり、アデノシンはRNA配列の一部である

m6AはマイクロRNAの生成にも関与することが今では判明している

「しかし、この化学的なタグを細胞の核内で読み取るリーダーreaderは何なのかが疑問として残り続けた」
ロックフェラー大学のAlarcónは言う

スプライシングに必要なm6Aを書き込む「ライターwriter」のタンパク質は既に判明しているが、
最近の実験で新たに「リーダーreader」のタンパク質HNRNPA2B1が発見された
HNRNPA2B1はRNA上のm6Aタグを認識して、RNAをニつの方向に運命づける
一つはマイクロRNAになるようトリミングする運命であり、もう一つはタンパク質を適切に作るようスプライシングする運命である

HNRNPA2B1がマイクロRNA前駆体にm6Aタグを認識すると、
前駆体を切断する機構cutting machineryをリクルートしてプロセシングを促進する


研究者が細胞内でHNRNPA2B1レベルを低下させると、マイクロRNAの発現が全体的に変化し、多くのマイクロRNAは減少した
m6Aタグに依存的にスプライシングされるはずのRNAにも著しい影響が見られた

HNRNPA2B1はm6Aを核内で読み取ることが確認された初めてのリーダーであり、
さらに実験によるエビデンスはm6Aタグを認識する別のリーダーが核内に存在することを示唆している


http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2015.08.011
HNRNPA2B1 Is a Mediator of m6A-Dependent Nuclear RNA Processing Events.


Highlights
・HNRNPA2B1は、核内の転写物で、m6Aを含む箇所ならびにアルギニン-グリシン-アラニン-システインモチーフ/RGAC motifに結合する
・HNRNPA2B1は、m6A依存的なプライマリーマイクロRNA/primary miRNA/pri-miRNAのプロセシングイベントを仲介する
・HNRNPA2B1とMETTL3の調整は、選択的スプライシングalternative splicingに同様の変化を引き起こす

Summary
我々はRNA結合タンパク質のHNRNPA2B1がm6Aで修飾されたRNAにin vivoならびにin vitroで結合することを発見した
その生化学的な足跡footprintはm6Aのコンセンサスモチーフと一致する

HNRNPA2B1は核内の転写産物に直接結合して、m6AのライターwriterであるMETTL3と同様の効果を選択的スプライシングに対して発揮する

HNRNPA2B1はprimary miRNA/pri-miRNAのm6Aに結合して、マイクロRNAのmicroprocessor複合体を構成するタンパク質であるDGCR8と相互作用し、primary miRNAのプロセシングを促進する


癌細胞を再プログラムする方法が発見される

2015-08-30 06:55:05 | 癌の治療法
Discovery of new code makes reprogramming of cancer cells possible

August 24, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150824064916.htm

メイヨークリニック・フロリダキャンパスの研究者は、癌細胞を正常な状態に再プログラムする方法を発見した


細胞同士を接着する『接着帯(zonula adherens)』のタンパク質は、マイクロRNA/miRNAsの生成に重要なマイクロプロセッサー/microprocessorという複合体と相互作用する

正常な細胞がお互いに相互作用する時、miRNAsの特定のサブセットが、細胞増殖を促進する遺伝子を抑制している
癌細胞ではその接着が壊れdisrupted、miRNAsによる調節は失われて、細胞増殖は制御を失う
研究者は癌細胞でこの正常なmiRNAレベルを回復することにより異常な細胞増殖を元に戻せることを実験で示した


過去に科学者を悩ませてきた問題は、E-カドヘリンとp120カテニンという上皮細胞の接着タンパク質についての矛盾する報告から生じる
それらは長い間、腫瘍を抑制する因子であると考えられてきた

「しかし我々や他の研究者は、この仮説が真ではなさそうだということを発見した
なぜなら、E-カドヘリンとp120カテニンは腫瘍細胞でもまだ存在しており、腫瘍の進行に必要だからである」
Anastasiadis博士は言う

「そこから我々は、これらの分子が2つの面を持つと考えるようになった。良い面と悪い面だ」


研究者はPLEKHA7に注目した
PLEKHA7はp120と相互作用することは知られていたが、
研究の結果、PLEKHA7は上皮細胞の「頂点apical」でのみE-cadherinとp120と結合し、
マイクロプロセッサー複合体をE-cadherinとp120につなぎとめるtetherことにより、
miRNAsの組み合わせを通じて正常な細胞の状態を維持することがわかった
この状態ではE-カドヘリンとp120カテニンは腫瘍を抑制する「良い面」を発揮する

しかし「PLEKHA7が失われて頂点の複合体が破綻すると、miRNAsセットは調節を失い、E-カドヘリンとp120はスイッチが切り替わって発癌性oncogenicになる」


「細胞頂点のPLEKHA7とマイクロプロセッサーの複合体が壊れることは癌の早期に生じ、いくらかはsomewhat普遍的なイベントであると我々は考えている」
「我々が調べたヒトの腫瘍サンプルの大半でこの構造は存在しないが、E-カドヘリンとp120はまだ残っている
これは、燃料(悪いp120)がたっぷり入っていて、ブレーキ(PLEKHA7とマイクロプロセッサーの複合体)がない、スピードが出ているクルマと等しい」

「影響を受けたmiRNAを癌細胞に投与して正常なレベルまで回復することで、我々は『ブレーキ』を修理して正常な細胞機能を回復できるはずだ」
Anastasiadisは言う
「いくつかの悪性のタイプの癌での実験は非常に有望である」


http://dx.doi.org/10.1038/ncb3227
Distinct E-cadherin-based complexes regulate cell behaviour through miRNA processing or Src and p120-catenin activity.


 PLEKHA7→DROSHA-DGCR8・pri-miR-30b→miR-30b─┤SNAI1,MYC,CCND1

※pri-miRNA─(Drosha,DGCR8)→pre-miRNA



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/04/150420122540.htm
Pancreatic cancer breakthrough: Scientists turn cancer cells into normal cells

膵臓の腺癌は、消化酵素を分泌する腺房細胞acinar cellsのKras変異により、不安定な膵管様の細胞に分化して癌化する(pancreatic ductal adenocarcinoma)

膵臓癌にE47を導入することで、正常な細胞に「戻す」
E47は細胞周期をG0/G1で止める
 



β遮断薬が卵巣癌患者の長期生存を助ける

2015-08-30 06:28:10 | 癌の治療法
Heart medications that target stress may help prolong survival in women with ovarian cancer

August 24, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150824064736.htm

ストレスホルモンのアドレナリンは癌の増殖と転移を刺激するというエビデンスが集まりつつある
高血圧等の治療に広く使われるβ遮断薬は、癌の進行に影響を与える可能性がある

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターが複数の異なるセンターの卵巣癌患者1425人を後向きに分析した結果、
193人の女性がβ1アドレナリン作動性受容体/beta-1 adrenergic receptorに選択的なβ遮断薬selective agentsを、76人が非選択的βアンタゴニストを投薬されていた

生存期間中央値median survival timeは、
47.8ヶ月 for patients receiving any beta blocker
vs
42ヶ月 for non-users


β遮断薬を服用していた女性では、
生存期間中央値は、
94.9ヶ月 for those receiving nonselective beta blockers
vs
38ヶ月 for those receiving ADRB1 selective agents
だった

高血圧の患者はそうでない患者よりも生存期間が短い傾向があったが、
高血圧であっても、非選択的β遮断薬の使用者は、より長い生存期間中央値だった (38.2 versus 90 months)


「以前の研究は矛盾するデータを示していたが、その理由の一部はおそらくβ遮断薬の種類が考慮されていなかったためだろう」
Sood博士は言う


http://dx.doi.org/10.1002/cncr.29392
Clinical impact of selective and nonselective beta-blockers on survival in patients with ovarian cancer.
 



膵臓癌患者の予後と関連する遺伝子の変異

2015-08-30 06:06:21 | 癌の治療法
Study finds genes associated with improved survival for pancreatic cancer patients

Use of non-invasive liquid biopsies could predict in which patients the cancer could recur following surgery

August 20, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150820160227.htm

染色体を調節する遺伝子のMLL、MLL2、MLL3、ARID1Aに変異があると予後が良い(20%に存在)


研究では、膵臓癌の診断時に43%で血液中に循環腫瘍DNA/ctDNAが存在した
手術後のctDNAの検出は、臨床的再発ならびに予後の悪さを予測する

血液生検liquid biopsyは、CT画像よりも6.5ヶ月早く再発を検出した



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150826144108.htm
New 'mutation-tracking' blood test could predict breast cancer relapse months in advance
「変異を追跡」する血液検査で乳癌の再発を前もってin advance予測する

循環腫瘍DNA/ctDNAが陽性の女性は、再発リスクが陰性の女性の12倍高く、癌の再発は目に見える徴候よりも7.9ヶ月早く検出された
研究者は「突然変異追跡」という技術を使い、個々人に見られる変異にパーソナライズ化されたデジタルPCRテストを開発して血流内の腫瘍DNAを検出した