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高脂肪食で癌になりやすくなる理由

2016-03-20 06:06:18 | 
High-fat diet linked to intestinal stem cell changes, increased risk for cancer

March 2, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/03/160302132730.htm

過去十年以上にわたる研究で、肥満や高脂肪食、高カロリー食は様々なタイプの癌の重大なリスク要因であることが判明している
今回ホワイトヘッド研究所とMITコッホ統合がん研究所の新たな研究により、高脂肪食は腸の上皮細胞を癌になりやすくすることが明らかになった


マウスを使った今回の研究は高脂肪食が腸の幹細胞集団の急増を促進し、幹細胞のように振る舞う他の細胞プールも形成することを示唆する(幹細胞とはそれ自身を無限に再生し、他のタイプの細胞へと分化できる細胞のことである)

これらの幹細胞stem cellsと『幹細胞のような細胞stem-like cells』は腸の腫瘍を生じやすいとOmer Yilmazは言う
彼はMITで生物学の助教授assistant professorであり、研究チームの共同リーダーである

「高脂肪食は幹細胞の生態biologyを変化させるだけではなく、非幹細胞集団の生態をも変化させ、それは全体的に腫瘍形成の増大につながる」
コッホ研究所の一員でありマサチューセッツ総合病院の胃腸病理学者gastrointestinal pathologistでもあるYilmazは言う

「これらの非幹細胞は高脂肪食により幹細胞の性質を獲得し、形質転換すると腫瘍形成性tumorigenicとなる」
ホワイトヘッドの一員であるDavid Sabatiniは言う
彼はMITで生物学の教授であり、ハワードヒューズ医学研究所の研究者でもある

Sabatini教授とYilmaz助教授は以前カロリー制限が腸の幹細胞性に与える影響について共同研究を行っており、今回Natureで3月2日に発表される研究で両者は首席著者である


肥満の人々は結腸直腸癌になるリスクが高いことがこれまでの研究で判明している
SabatiniとYilmazのラボでは食事と癌との間の関連を研究しており、今回は結腸癌リスクの上昇の根拠となる細胞メカニズムを明らかにしようとした

「我々は理解したかったのは、
長期の高脂肪食がどのようにして幹細胞の生態biologyに影響し、そしてそのような食事によって誘発された幹細胞における変化がどのようにして腸の腫瘍発生に影響を与えるかということだった」
Yilmazは言う

一生涯ずっと生き続ける腸の幹細胞は、結腸癌を生じるような突然変異を蓄積し続ける可能性が最も高い細胞であることが最近の研究で示された
これらの幹細胞は腸の上皮細胞という裏打ちliningの中に存在し、上皮を構成する様々なタイプの細胞を生み出す

肥満と関連する癌とこれらの幹細胞との間にある関連の可能性を調査するため、研究者たちは健康なマウスに60パーセントの脂肪から構成されるエサを9ヶ月から12ヶ月間与えた
科学者たちによると、この食餌は典型的なアメリカ人の食事よりも脂肪の割合が高い(アメリカ人は20パーセントから40パーセント)
この期間中、高脂肪食のマウスは通常食のマウスよりも30パーセントから50パーセント多く体重が増加し、通常食のマウスよりも多く腸の腫瘍を発症した

これらのマウスは腸の幹細胞にいくつか特有の変化を示すことを研究者は明らかにした
まず一つ目は高脂肪食のマウスは腸の幹細胞の数がより多かったことである
これらの幹細胞は隣の細胞からの入力inputがなくても働くoperateことが可能だった

通常、腸の幹細胞は『ニッチ細胞/niche cells』というサポート細胞によって囲まれており、
それらは幹細胞の活動を調節し、幹細胞にいつ幹細胞自身を再生するかまたは分化した細胞を作るかを指示する
しかしながら、高脂肪食を与えたマウスの幹細胞は通常食のマウスよりも幹細胞が『独力で/on their own』機能することが可能だった
これらの幹細胞をマウスから取り出してニッチ細胞がない状態で培養すると、通常食のマウスよりも容易に『小さい腸/mini-intestines』を生じた

「高脂肪食ではより多くの幹細胞を生じ、それらは微小環境からの入力に依存せず働くことが可能である」
Yilmazは言う

また、研究者は前駆体細胞という別の集団(幹細胞から分化した娘細胞)が幹細胞のように振る舞うことも発見した
この前駆体細胞の集団は通常の二~三日の寿命よりも長生きで、
体外で培養すると小さい腸/mini-intestinesを生じることも可能だった

「このことは実に重要である
なぜなら、腸の幹細胞はしばしば腫瘍を生み出す突然変異を獲得する細胞であることが知られているからだ」
Yilmazは言う

「高脂肪食では古典的な幹細胞が多くなるだけでなく、幹細胞ではない集団が突然変異を獲得できるようになり、それが腫瘍を生じるのである」

研究者はさらに、高脂肪食で活性化する栄養感知経路も明らかにした
この脂肪酸を感知するセンサーはPPAR-δ/デルタdeltaと呼ばれる
PPAR-δは高レベルの脂肪に応じて代謝プロセスのスイッチをオンにして、エネルギー源として通常の炭水化物や糖類の代わりに脂肪を燃焼できるようにする
「事実、PPAR-δアゴニストの小分子は、通常食を与えていても
高脂肪食による動物実験の影響と似たような結果になる」
Sabatiniは言う

この代謝プログラムの活性化に加えて、PPAR-δは幹細胞のアイデンティティに重要な遺伝子セットをまとめてオンにするようだとYilmazは言う
彼のラボは現在これがどのようにして起きるのかをさらに調査しており、
肥満で生じる腫瘍に対する抗癌剤の標的を明らかにできるかもしれないと希望を持っているという


http://dx.doi.org/10.1038/nature17173
High-fat diet enhances stemness and tumorigenicity of intestinal progenitors.
高脂肪食は腸の前駆細胞における幹細胞性ならびに腫瘍形成性を促進する

Abstract
肥満を促進する食事が組織の幹細胞機能ならびに前駆細胞機能をどのようにして調節するのかはほとんど知られていない

今回我々は高脂肪食による肥満が哺乳類の腸のLgr5+幹細胞の数と機能を促進することを示す

機構的に見ると、高脂肪食は腸の幹細胞ならびに前駆細胞においてPPAR-δシグネチャーを強く誘導する
薬理学的にPPAR-δを活性化すると、高脂肪食がこれらの細胞に与える影響が再現された

高脂肪食と同様に、エクスビボex vivoで腸オルガノイド培養に高脂肪食を構成する脂肪酸を投与すると、これらオルガノイド体の自己再生ポテンシャルが促進され、それはPPAR-δに依存的である

特に、高脂肪食ならびにアゴニストによって活性化されたPPAR-δシグナル伝達は、前駆細胞にオルガノイド開始能力をもたらす
強制的にPPAR-δシグナル伝達を誘導すると、これらの前駆細胞は腫瘍抑制因子のAbcが失われるとin vivoで腫瘍を形成できるようにった

これらの研究結果は、食事によって調整されるPPAR-δ活性化が腸の幹細胞ならびに前駆細胞の機能をどのようにして変化させるのかだけでなく、腫瘍を開始する能力をどのようにして変化させるのかという点に光を当てる


http://www.nature.com/nature/journal/v531/n7592/fig_tab/nature17173_F5.html
Figure 5: PPAR-δの活性化は非幹細胞にオルガノイドorganoidならびに腫瘍を開始する能力tumour-initiating capacityをもたらす

i, 腸が高脂肪食へ適応するモデル

機構的に見ると、高脂肪食は腸の前駆細胞がオルガノイドを生じる能力ならびに腫瘍を開始する能力を促進するプログラムを活性化し、このプログラムはPPAR-δを介する
PPAR-δのプログラムの特徴には、β-カテニン標的遺伝子サブセットの誘導が含まれる

P, パネート細胞/Paneth cell(細菌の細胞壁を消化する好酸性の分泌顆粒を含む細胞)
Pr, 前駆細胞/progenitor cell
S, 幹細胞/stem cell
T, 腫瘍細胞/tumour cell

赤い点線red dotted linesは、Apcがヌルnullで腫瘍形成能力を持つ細胞を示す
対照群Controlでは幹細胞Stemからのみ腫瘍Tumorが生じるが、
高脂肪食HFDでは幹細胞Stemに加えて前駆細胞Progenitorからも腫瘍Tumorが生じる



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https://www.sciencedaily.com/releases/2014/12/141201113030.htm
通常は幹細胞が分裂して娘細胞になるが、制御するGREM1遺伝子に異常が起きると、幹細胞の領域から外に出た娘細胞が幹細胞のように振る舞って腫瘍が生じる
そのため、薬剤で癌幹細胞を殺しても娘細胞が幹細胞のように振る舞って癌は継続する

http://dx.doi.org/10.1038/nm.3750
Aberrant epithelial GREM1 expression initiates colonic tumorigenesis from cells outside the stem cell niche.
腸管上皮のGREM1遺伝子の異常によって、そのようなことが起きる
Lgr5が陰性の前駆細胞が、幹細胞の性質を持続・再獲得する
これらは、異所性の陰窩ectopic cryptを形成して増殖し、変異を蓄積して、新生物を生じる



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https://www.sciencedaily.com/releases/2015/06/150616123917.htm
放射線治療に抵抗する長寿の癌幹細胞集団Lgr5-を結腸癌で発見した
この幹細胞は結腸腫瘍を生じ、腫瘍の成長を支える
これまで結腸癌と関連する唯一の幹細胞集団Lgr5+は放射線に感受性があったため、治療には放射線治療が有効だと考えられていた

http://dx.doi.org/10.1016/j.stem.2015.04.013
Krt19+/Lgr5− Cells Are Radioresistant Cancer-Initiating Stem Cells in the Colon and Intestine.
Krt19+/Lgr5− の細胞は、結腸において放射線抵抗性の癌幹細胞である

 

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