癌の『燃料タンク』を枯渇させる新しい方法が発見される
New ways to drain cancer's 'fuel tank' discovered
癌はしばしば再発し、治療薬に対して抵抗する能力がある。そのような癌の潜在的な弱点が発見された。それは癌幹細胞の『燃料』部分である。
マンチェスター大学の科学者はラボ環境で癌幹細胞を観察することにより、特にミトコンドリアが癌幹細胞の増殖と生存にとって重要であることを発見した。癌幹細胞は『腫瘍を開始する細胞』として知られ、治療薬への抵抗性を促進する可能性がある。
癌幹細胞は根絶するのが特に困難であり、癌を効果的に治療するのが非常に難しい理由の中心である。癌幹細胞は治療後も生存して再発を引き起こし、全身に浸潤して、最終的に治療は失敗する。
マンチェスター大学Institute of Cancer Sciencesと、Cancer Research UKマンチェスター研究所(どちらもマンチェスター癌研究センターの一部である)に拠点を置く研究者は、細胞内のエネルギーを生み出すミトコンドリアの役割を調査した。新しく設立されたマンチェスター細胞代謝センター(Manchester Centre for Cellular Metabolism; MCCM)も、本研究において重要な役割を果たした。
ラボ環境で癌幹細胞を観察することにより、彼らはミトコンドリアが癌幹細胞の増殖的な拡大と生存にとって特に重要であり、おそらく治療薬への抵抗性を促進することを発見した。
研究はラボの乳癌幹細胞で実施されたが、理論は患者から提供されたヒト乳癌細胞でも確認された。両方で細胞内のタンパク質を調べたところ、ミトコンドリアと関連する62のタンパク質が著しく増加していた。その変化の状態から、特にケトンとL-乳酸のような燃料が重要であると思われた。それらは過去に腫瘍の成長を加速することが示されていた。
研究を指揮したMichael P. Lisanti教授は以下のように述べた:
「基本的にミトコンドリアは癌幹細胞のエンジンであり、ケトンとL-乳酸は癌の成長を促進するハイオク燃料である。今回の結果は、ハイオクの燃料タンクを枯渇させるという新しい方法を示唆する。それは治療の後に復活する癌の能力を限定する。」
現在、MCT阻害剤による試験がCancer Research UKによって進行中である。MCT阻害剤も癌細胞のミトコンドリアを標的にする。
記事出典:
上記の記事は、マンチェスター大学によって提供される素材に基づく。
学術誌参照:
1.癌幹細胞を根絶するための新しい治療学的な目標としてのミトコンドリア:
MCT1/2阻害による定量的プロテオミクスと機能的な検証。
Oncotarget、2014年11月;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/11/141125074747.htm
![](http://images.sciencedaily.com/2014/11/141125074747-large.jpg)
<コメント>
癌幹細胞はケトン体や乳酸を使えるという記事です。
癌細胞はケトン体を使えないから安全と主張する人がいるようですが、本当に大丈夫なんでしょうか。
Referenceの19が興味深いです。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21512313
>Ketones and lactate increase cancer cell “stemness,” driving recurrence, metastasis and poor clinical outcome in breast cancer: achieving personalized medicine via MetaboloGenomics.
>The lactate-specific gene profile was most similar to neural stem cells, while the ketone-specific gene profile was most similar to hematopoietic stem cells.
>The genes commonly upregulated by both lactate and ketones were most similar to embryonic stem cells.