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BBBでのアミノ酸の輸送の障害が自閉症につながる

2016-12-30 06:06:38 | 
Autism spectrum disorders: New genetic cause of identified

December 1, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/12/161201121502.htm

自閉症スペクトラム障害(ASD)は全世界の人口の約1パーセントが罹患しており、社会的な相互作用やコミュニケーションでの広範囲な困難が特徴である
Cell誌で発表された新たな研究によれば、ISTオーストリアの教授であるGaia Novarinoが率いるチームはASDの遺伝的原因の一つを突き止めたという
Gaia Novarinoはこの発見の重要性を次のように説明する

「自閉症の原因となる遺伝子変異には様々なものが多くあるものの、それらは全て非常にまれである
自閉症の効果的な治療法の開発を困難にしているのは、そのような異種混合性heterogeneityである
我々の分析は自閉症と関連する新たな遺伝子を明らかにしただけではなく、その遺伝子の変異が自閉症を引き起こすメカニズムを突き止めた
興味深いことに、他の遺伝子における変異も同じ自閉症を引き起こすメカニズムを共有する
これは我々がASDのサブグループを浮かび上がらせたunderscoreということを示す」

Caglayan博士は次のように指摘する
「新たな遺伝子を突き止めることは、特に自閉症のような異種混合性heterogeneousの疾患では非常に難しい
しかしながら、共同研究の努力の結果、近親婚consanguineous marriagesの家庭に生まれ、症候性自閉症syndromic autismと診断された複数の両親において、我々はSLC7A5という遺伝子の変異を明らかにした」
彼はIstanbul Bilim University in
トルコ/Turkeyのイスタンブール・ビリム大学/Istanbul Bilim Universityの医学部で遺伝医学部/Department of Medical Geneticsの部長Chairmanである

※SLC7A5/LAT1
http://www.genecards.org/cgi-bin/carddisp.pl?gene=SLC7A5


SLC7A5はアミノ酸の一種、分岐鎖アミノ酸/branched-chain amino acids (BCAA) を脳内に輸送するタンパク質である
SLC7A5の変異がどのようにして自閉症につながるのかを理解すべく、研究者は血液と脳との間のバリアにあるSLC7A5を取り除いたマウスを調査した
これによりマウスの脳内のBCAAレベルは低下し、ニューロンのタンパク質の合成は干渉を受ける
実験の結果、マウスは社会的な相互作用の低下を示し、他の自閉症マウスモデルでも観察されるような行動の変化を示した

以前の研究でGaia Novarinoたちは、同じアミノ酸の分解に関与する遺伝子の変異を複数の患者、つまりASDと知的障害intellectual disability、てんかんepilepsyの患者において明らかにしている

Gaia Novarinoは次のように説明する
「もちろん、自閉症を引き起こす遺伝子の全てがアミノ酸レベルに影響するわけではなく、そしてこのタイプの自閉症が非常にまれなのは議論の余地がないunarguably
しかし、さらに多くの自閉症原因遺伝子がこのグループに分類される可能性はありそうである」


特に注目すべきは、血液脳関門でSLC7A5を失った成体マウスにおける神経学的な異常のいくらかは治療可能だったということだ
BCAAをマウスの脳内へと3週間投与すると、行動症状behavioral symptomsの改善が観察されたのである

筆頭著者でありGaia NovarinoのグループでPhD studentのDora Tarlungeanuは、この結果からもたらされる見通しoutlookに興奮して次のようなコメントをしている
「我々の調査から、このタイプのASDマウスモデルで現れる特定の症状について潜在的な治療法が見つかった
しかし、ヒトのASD患者へと応用translationするにはさらに長い研究が必要になるだろう」


今回の結果は、ASDという病態が常に不可逆で回復不能であるという一般的な観念に反するものだ
無論、彼らがマウスで治療した方法は直接ヒトで使うことはできないが、
彼らはSlc7a5を持たないマウスが示す神経学的な合併症complicationsのいくらかが回復可能であるという結果を示しており、いつかはヒトの患者もまた治療が可能になる見込みはありそうである


http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2016.11.013
Impaired Amino Acid Transport at the Blood Brain Barrier Is a Cause of Autism Spectrum Disorder.


タンパク質の翻訳↓、社会的相互作用↓、mIPSCの頻度↓

微小抑制性シナプス後電流/miniature inhibitory postsynaptic current(mIPSC

Highlights
・マウスのSlc7a5は脳内の正常なBCAAレベルの維持にとって決定的に重要である
・マウスにおいて脳内のBCAA欠乏は神経行動学的な変化の引き金を引く
・SLC7A5変異を持つ患者は自閉症スペクトラム障害(ASD)ならびに運動遅延motor delayを示す
・Slc7a5変異体/mutantのマウスの行動は、BCAA注入によって部分的に修正される


Summary
自閉症スペクトラム障害/autism spectrum disorders (ASD) は、しばしば他の神経学的病態と重複する遺伝的疾患genetic disordersの一群である
以前我々は、ASDの原因として、分枝鎖アミノ酸/branched-chain amino acid(BCAA)の異化経路catabolic pathwayにおける異常について記述した
今回我々は血液脳関門(BBB)に局在して大型中性アミノ酸/large neutral amino acid(LNAA)を輸送する『溶質輸送体solute carrierトランスポーター7a5(SLC7A5)』が、脳内の正常なBCAAレベル維持において必須の役割を演じることを示す

※中性アミノ酸: 中性アミノ酸は脂肪族や芳香族、イミノ酸、オキシアミノ酸、含硫アミノ酸、酸性アミノ酸アミドという6種類に大きく分類される。20種類の中で中性アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン
酸性アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸。塩基性アミノ酸は、リジン、アルギニン、ヒスチジン。

※分岐鎖アミノ酸/branched-chain amino acid(BCAA):バリン、ロイシン、イソロイシン

※大型中性アミノ酸/Large Neutral Amino Acid(LNAA): トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン

※トランスポーターによるアミノ酸の輸送は、ナトリウムの存在に依存するかどうかによって分類される。中性アミノ酸の輸送で、ナトリウムに依存するのがA型、G型、ASC型、N型などで、ナトリウムに依存しないのがL型、asc型、T型など。L型の一つがLAT1(SLC7A5)


マウスBBBの内皮細胞からSlc7a5を削除すると、その結果として、非典型的な脳アミノ酸プロファイル、異常なmRNA翻訳、重度の神経学的異常につながる
さらに、SLC7A5遺伝子に有害なホモhomozygousの変異を持ち、自閉症の特質traitsならびに運動遅延motor delayを示す複数の患者を我々は同定した
最後に、脳室内intracerebroventricularにBCAAを投与することで変異を持つ成体マウスの異常行動が軽減されることを我々は実証する
我々のデータはSLC7A5変異によって定義される神経学的症候群を明らかにし、ヒトの脳機能においてBCAAが必須の役割を演じることを支持するものである



関連サイト
http://www.j-pharma.com/b3.html
癌ではLAT2の代わりに発癌遺伝子c-Mycの制御を受けるLAT1の発現が上昇し、LAT1の発現は悪性度を予測する



関連記事
https://www.sciencedaily.com/releases/2015/01/150107131339.htm
リソソーム膜SLC38A9輸送体によるアルギニンの輸送によってmTORC1が活性化する




関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/70990360aaeb3bb060b485ef09d88549
たった一つのスプライシング関連タンパク質が自閉症の発症に広く影響を与える

 

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