機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

遺伝子の発現と免疫系は癌の生存率と関連する

2015-07-31 19:43:41 | 
Gene expression, immune system linked with cancer survival rates

July 20, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150720114751.htm

スタンフォード
約18,000人の患者から得られた39タイプの癌の遺伝子発現パターンと患者の生存期間を統合したデータベース

細胞の成長に関与するFOXM1遺伝子の発現は複数の癌で予後の悪さと関連し、
癌への免疫応答を調整するKLRB1遺伝子の発現は保護的効果をもたらすようである


研究者はさらに、Cibersortという最近Newman in Alizadeh's laboratoryで発表された技術を使い、腫瘍に群がるflock白血球の構成を決定した
Cibersortは、腫瘍と普通の細胞の寄せ集めmishmashから特定の免疫細胞の比率を評価し、 腫瘍丸ごとbulk tumorの遺伝子発現から細胞タイプを推定するdeduce

このプロセスをNewmanは、スムージを分析して中身のフルーツとベリーを確定するようなものだとたとえた


「我々はそれぞれの充実性腫瘍solid tumorにどの免疫細胞が存在し、または存在しないのかを推論inferすることができる。そしてどのような種類が優勢prevalenceかを評価し、患者の生存情報と相関させる」

「我々はさらに、どのような種類の免疫細胞が腫瘍に浸潤しているかにもとづいて癌のタイプを大まかにbroadly区別できることを発見した」


http://dx.doi.org/10.1038/nm.3909
The prognostic landscape of genes and infiltrating immune cells across human cancers.
 
CD161をコードするKLRB1は主としてlargely腫瘍関連白血球tumor-associated leukocytesを反映する

CD161: NK細胞の表面に発現して細胞傷害を調節するタンパク質



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/02/150203123417.htm
Glioblastoma: Study ties three genes to radiation resistance in recurrent tumors

・MELKとEZH2タンパク質は、腫瘍のサブセットにおいて一緒に生じる

・MELKがないと、GBMは放射線により感受性である; MELKが回復すると抵抗性になる

・再発GBM腫瘍は、新規に診断されたGBMよりもMELK陽性とEZH2陽性の細胞が多い

・MELKと腫瘍形成性の転写因子FOXM1は複合体を形成してEZH2発現を促進する

・MELK, FOXM1, EZH2のレベルは患者の予後prognosisと強い関連がある


http://dx.doi.org/10.1016/j.stemcr.2014.12.006

膠芽腫glioblastoma(GBM)に由来する腫瘍形成性の幹細胞様の細胞tumorigenic stem-like cell(GSC)では、
有糸分裂キナーゼmitotic kinaseであるMELKが、発癌性の転写因子oncogenic transcription factorであるFOXM1と結合してリン酸化する

Polycomb repressive complex 2(PRC2)の触媒サブユニットEZH2はMELK-FOXM1複合体の標的であり、GSCの放射線への抵抗性を促進する

 MELK-FOXM1複合体→EZH2/PRC2→放射線への抵抗性

臨床的には、GBMではEZH2とMELKが共に発現coexpressedし、放射線照射後の再発した腫瘍postirradiation recurrent tumorsにおいて著しく誘導される
 


変異だけではなく進化が発癌を促進する

2015-07-31 18:18:00 | 
Evolution, not just mutation, drives development of cancer

Solving 'Peto's Paradox,' new model shows selection pressure of healthy tissue keeps cells with cancerous mutations in check

July 21, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150721134835.htm

発癌は「変異の蓄積」により起きると一般には考えられているが、
今回PNASで発表される論文はそれに対して、
発癌は細胞集団に作用する「進化の圧力」に依存すると論じる

論文は基本的に
健康な組織の状況landscapeの生態系ecosystemでは
健康な細胞は癌の変異を持つ細胞に打ち勝てることを示す

つまり、組織の生態系が加齢や喫煙などのストレス下で変化すると、
癌化する変異を持つ細胞の集団は突然「適応」して膨張できるようになる


提案されたモデルは、いわゆるPeto's Paradoxの理解を助ける
そのパラドックスとは「癌がランダムな変異によるというなら、大きな動物ほど早く癌になるリスクが高いはずだが、実際にはそうではない」


確かに癌の発症には変異や遺伝子の変化が必要である
しかし、それらの変異がどのように癌を引き起こすのか?
そのような変異が偶然「スーパー細胞」を創り出して、突然大暴れするrun amokということはなさそうである

発癌性の変異はしばしば/常に存在しているが、それは選択圧selection pressuresによって排除されている
つまり、組織の生態系tissue ecosystemとその圧力が変化すると、発癌性の変異を持つ細胞を健康な細胞よりも生き残りやすくなり、やがて癌細胞の集団が打ち勝てるようになる


http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1501713112
Toward an evolutionary model of cancer: Considering the mechanisms that govern the fate of somatic mutations.

適応度fitnessは動的dynamicで環境依存的な表現型の性質でありenvironment-dependent property of a phenotype、
発癌性の変異は体細胞に対して非常に多様な適応度への影響があり、それは加齢につれて変化する組織微小環境に依存的である



関連記事(元記事と同じくDeGregori氏)
http://www.sciencedaily.com/releases/2012/07/120702134732.htm
Why cancer rate increases with age (it's not what you think)
「なぜ加齢とともに癌は増えるのか?」
「我々は10代後半には成長が止まり、その時までに一生涯で得る変異の大部分を既に蓄積している」
「癌遺伝子に変異がある幹細胞は、むしろ排除されるとDeGregoriは言う」
「変異が蓄積して癌にする代わりに、我々が加齢するにつれて癌と戦うメカニズムが劣化する」
 

関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2011/12/111219101858.htm
Tissue structure delays cancer development
「数学モデルにより、結腸に見られるような空間的な組織構造が遺伝子変異の蓄積を抑制して癌化を遅らせることを科学者は示した」



糖尿病で承認されている薬で膵臓癌と前立腺癌を検出する

2015-07-31 18:01:42 | 癌の治療法
New method to deliver glucose to cancer cells could prove key to defeating deadly cancers

July 20, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150720145325.htm

癌細胞は大量のグルコースを増殖と生存に必要とする
そして長年の研究により、受動的なグルコース輸送体のGLUTが、腫瘍への主なグルコース輸送手段として確定されている
GLUTはPET (positron-emission tomography) を使った現在の腫瘍検出法ならびにステージ判断の基礎だが、
このタイプのPETによる画像化は膵臓癌と前立腺癌の検出手段としては信頼できず、検出とステージ判断として使うことは推奨されない


UCLAジョンソン総合がんセンター/UCLA Jonsson Comprehensive Cancer Centerの研究者は、臓癌と前立腺癌でほとんど調べられることがないSGLT1とSGLT2に注目した
SGLT1/2は元々膵臓と前立腺で発現している

WrightとBarrioたちは腫瘍でのSGLT1とSGLT2の分布を初めて図示化mappedし、グルコースアナログを使ってGLUTによって取り込まれる量を計測した
その結果、SGLT2は実際に膵臓と前立腺の腺癌で発現し、グルコースを腫瘍に輸送する際に機能していることを発見した
これは既にFDAによって承認されているSGLT2阻害剤がこれらの腫瘍に使える可能性を意味する

研究チームはさらに、SGLTに特異的な放射性radioactive画像化プローブを使ってSGLTの活性をマウスモデルで計測した
その結果はSGLT2がグルコース取り込みに積極的にactively関与することを確認するものだった

WrightとBarrioは、膵臓癌と前立腺癌でのSGLTの重要性をさらに調査するため臨床試験を始める予定である


http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1511698112
Functional expression of sodium-glucose transporters in cancer.

SGLT特異的に画像化する放射性プローブ/ the specific radioactive imaging probe for SGLTs
 α-メチル-4-デオキシ-4-[18F]フルオロ-d-グルコピラノシド/ α-methyl-4-deoxy-4-[18F]fluoro-d-glucopyranoside


GLUTプローブ/ GLUT probe
 2-[18F]フルオロ-2-デオキシ-d-グルコース/ 2-[18F]fluoro-2-deoxy-d-glucose


※ピラノシド/pyranoside: ピラン環構造を含む配糖体
 


セラミドを分解するセラミダーゼはインスリン感受性を高める

2015-07-30 06:05:45 | 代謝
Lipid enzyme heightens insulin sensitivity, potential therapy to treat Type 2 diabetes

July 16, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150716135229.htm

体が燃焼するより多くの脂肪酸を摂取すると、過剰な脂肪はセラミドに変換される

多過ぎるセラミドはインスリンシグナルに干渉し、インスリン抵抗性とおそらくは糖尿病か非アルコール性脂肪肝につながる


過剰なセラミドはスフィンゴシンに変換される
どちらもエネルギー源だが、代謝的に異なるシグナル伝達をする
セラミドはインスリン抵抗性と炎症につながり、
スフィンゴシンは逆のことをする

※セラミダーゼは、セラミドを加水分解してスフィンゴシンと脂肪酸にする酵素


糖尿病マウスの脂肪組織と肝臓にセラミドの分解を引き起こすセラミダーゼを導入すると、インスリンの作用は正常化した


http://dx.doi.org/10.1016/j.cmet.2015.06.007
Targeted Induction of Ceramide Degradation Leads to Improved Systemic Metabolism and Reduced Hepatic Steatosis.


Highlights
・セラミドは食事によるNAFLDにおいて原因となる役割を演じる

・セラミドはPKCζ活性化を促進し、肝臓においてCD36による脂肪取り込みを増加させる



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/01/150105182454.htm
Diabetes debate: Triglycerides form in liver despite insulin resistance
>肝臓でのトリグリセリド合成は、インスリンの作用よりもむしろ輸送される脂肪酸に依存する
>これは「なぜインスリンで脂肪肝が改善するのか」という矛盾に答える

http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1423952112
>[U-13C] パルミチン酸/[U-13C] palmitateを注入した


http://ta4000.exblog.jp/18404873/
FoxO1はこの切り替えを、3つの酵素の発現を促進することにより制御する。
ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ (PDK4) 。
リポプロテインリパーゼ (LPL)。
脂肪酸輸送タンパク質 (FAT) CD36。CD36は骨格筋への脂肪酸の取り込みを促進する。

修飾されたシトシンは一部の癌細胞のアキレス腱である

2015-07-29 15:50:54 | 
Modified DNA building blocks are cancer's Achilles heel

July 22, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150722131824.htm

通常の細胞は余計で好ましくないunwanted修飾のあるヌクレオシドを選ばないselectiveが、
癌細胞の中には選択的でないものがいるので、それが弱点になるかもしれない


細胞は新しいDNAを合成するとなると「倹約的thrifty」である
Cells are thrifty when it comes to synthesizing new DNA.

新しく合成することに加えて、死んだ細胞や我々が食べて消化したものに含まれるDNAから化学的な部分を再利用する

しかし、DNAの4文字の1つ、Cはしばしば修飾されている
この「エピジェネティック」な変化は細胞が正常に機能するために重要である
もしエピジェネティックな修飾が間違ったCに付くと、細胞は癌化するか死んでしまう

この再利用される「化学的に修飾されたC」を、細胞はどのようにして新規合成DNAの間違った場所に組み込んでしまうことを防ぐのか?


今回の研究で、ヌクレオシドを再利用する酵素は非常に選択的であることが判明した
この酵素は修飾されたヌクレオシドを使わず、DNAをエピジェネティック的に「綺麗」にする

しかし癌での再利用プロセスを調べたところ、癌細胞の中にはこれらの(修飾された)ヌクレオシドを変形transformさせ、合成するDNAに組み込めるようにするものがいる
このプロセスはしばしば細胞を殺してしまうが、再利用する際にこのような間違いをするのはシチジンデアミナーゼcytidine deaminase (CDA)を発現する癌細胞である

CDAはしばしば腫瘍で過剰発現している。それは例えば膵臓癌である


このエピジェネティックに修飾されたヌクレオシドにより癌細胞を殺すという予期しなかった効果を利用して、Kriaucionisたちは特異的specificな抗癌剤anti-cancer agentとして使えることを実証した


Kriaucionisは言う
「CDAは、血液がんや膵臓癌で臨床的に既に使われているシチジンアナログを不活化することが示唆される」
「逆に言えば、我々が研究で使ったヌクレオシドはCDAが発現しない細胞では比較的無害であり、CDAに出会うと強力な細胞毒へと変化させる」


http://dx.doi.org/10.1038/nature14948
CDA directs metabolism of epigenetic nucleosides revealing a therapeutic window in cancer.

5-メチル-2′デオキシシチジン/ 5-methyl-2′deoxycytidine (5mdC)

5mdCの酸化した形
 5-hydroxymethyl-2′deoxycytidine (5hmdC)
 5-formy-2′deoxycytidine (5fdC)
 5-carboxyl-2′deoxycytidine (5cadC)


ヌクレオシドをサルベージする経路の酵素は基質選択制を示し、
このようなエピジェネティックに修飾された(酸化した)シトシンを新規DNA合成に組み込むことから防ぐ

ゆえに通常の細胞はこのような修飾シトシンを許容できるが、
我々はスクリーニングにより5hmdCまたは5fdCの投与が致死につながる癌細胞系統を発見した

このような系統はCDAを過剰発現し、
CDAは5hmdCと5fdCをDNAに組み込めるウリジンバリアントに変換する
その結果DNAに傷害が蓄積して細胞死に至る


※シトシン
核酸の構成成分となるピリミジン塩基

※シチジン
シトシンを塩基部分に含むリボ(リボース)ヌクレオシド



※5-アザシトシン/5-azacytosine: シトシンの5位の炭素原子を窒素原子に置換した人工的なシトシンアナログ。正常なシトシンと拮抗してRNAなどに取り込まれる



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2011/05/110503133001.htm
http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2011.03.044
Nucleotide Deficiency Promotes Genomic Instability in Early Stages of Cancer Development.

ヌクレオチド不足は初期ステージの癌増殖においてゲノム不安定性を促進する
・Rb-E2F活性化は複製ストレスreplication stressにつながり、DNAの傷害と形質転換を引き起こす

細胞スポンジでバレット食道のサンプルを丸ごと手に入れる

2015-07-28 22:24:38 | 
'Pill on a string' could help spot early signs of cancer of the gullet

July 20, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150720114947.htm



糸のついたピルの中にある『細胞スポンジ 'Cytosponge'』は、飲み込まれると溶けてdissolvesスポンジを露出させてreveal a sponge、
食道から引き上げられるときに細胞をこすってはがすscrapes off cells when withdrawn up the gullet

それにより医師は食道に沿って全ての細胞を集めることができる
通常の生検は個々のポイントのサンプルしか得られない


今回の研究で観察された食道全体でのacross the esophagus変異のバリエーションは、
通常の生検が重要な変異を持つ細胞を見逃してきたかもしれないことを意味する


研究者はゲノムに変異のパターンを発見した
それは癌の原因となる「指紋 'fingerprint'」を提供するものだった

この指紋は胃酸が食道壁にはね散らすsplash ontoすることによって食道の内層liningに引き起こされた傷害によるものである可能性が高いと彼らは考えている

同様の「指紋」はバレット食道と食道癌の両方に見られた
このことは、この遺伝子の変化が(癌化の)プロセスの非常に初期に生じることを示唆する


研究者は
個々の多くの変異はあるが癌ではない状態から、
変異した遺伝子情報の多くが遺伝子間だけでなく染色体間で伝達されるようになる状態へと
切り替わるポイントtipping pointがあるらしいことを発見した

※tipping point: 些細な変化が積み重なって重要な影響を持つように大きく変化する転換点


http://dx.doi.org/10.1038/ng.3357
Whole-genome sequencing provides new insights into the clonal architecture of Barrett's esophagus and esophageal adenocarcinoma.
全ゲノムシーケンシングは、バレット食道ならびに食道腺癌のクローン性構造への新たな洞察をもたらす


癌細胞上のHER2受容体を液体中で電子顕微鏡により観察

2015-07-28 12:49:28 | 
Researchers discover a possible reason for drug resistance in breast tumors

July 17, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150717153641.htm

HER2を標的とする抗体治療は3分の2で抵抗性が生じる

新しい研究によると、休止状態であるSKBR3乳癌細胞のサブ集団には、HER2二量体が存在しないようだ
この集団は自己再生能力があり、ゆえに抗体治療に抵抗性であるかもしれない


HER2はEGFRファミリーで、このファミリーはEGFリガンドの結合後に二量体化dimerizationするが、
HER2はそういう意味で特別であり、二量体化に成長因子の結合を必要としない
HER2が増幅している乳癌ではその二量体化が無制限の細胞増殖を促進する


HER2二量体化プロセスは細胞集団の平均averagesを基に研究されたが、
平均とは例えばプールされた細胞構成要素を使った生化学的な方法であり、
それはHER2二量体化の局在localizationについての情報は欠いていた


de JongeはLiquid STEMという電子顕微鏡法により、これらの受容体を癌細胞上で画像化することを提唱したpioneer
この細胞は電子顕微鏡内のマイクロチップ上で、水中で完全なままだった


http://dx.doi.org/10.1126/sciadv.1500165
Local variations of HER2 dimerization in breast cancer cells discovered by correlative fluorescence and liquid electron microscopy.

モノマー、ダイマー、高次higher-orderのクラスターを区別する

HER2ホモ二量体が存在しないサブ集団は平坦な膜構造topographyであり、おそらく静止状態の細胞である



※STEM: Scanning Transmission Electron Microscope。走査電子顕微鏡のうち,試料透過光を検出器に受けるもの.

※Liquid STEM: 細胞の液中観察が可能な電子顕微鏡


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19164524
N. de Jonge et al.
Electron microscopy of whole cells in liquid with nanometer resolution.
単一の金原子でタグ付けされたEGFをSTEMで観察
空間解像度は4ナノメートル、描画休止dwll時間は20マイクロ秒


食事介入はトリプルネガティブ乳癌への標的治療を助ける

2015-07-27 17:24:20 | 癌の治療法
Dietary intervention primes triple-negative breast cancer for targeted therapy

July 14, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150714150934.htm

研究の首席著者senior author、Vincent Crynsは言う
この研究は、メチオニンが少ない食事がトリプルネガティブ乳癌の結果の改善を助けるかどうかを見るための臨床試験を土台にしている
メチオニンは必須アミノ酸で、ビーガン食には少ない


科学者たちは長い間、メチオニンの欠乏が多くの種類の癌の増殖を阻害することを知っていたが、根底にあるメカニズムは不明だった

トリプルネガティブ乳癌細胞はメチオニンが欠乏すると(メチオニンは肉、魚、豆とナッツに多く、果物や野菜には少ない) 、
ストレスを受けた癌細胞は、細胞表面のTRAIL-R2という受容体の量を増やすことによりそれに応じる
その結果、乳癌細胞はTRAIL-R2に結合する抗体に対して脆弱になる

「予想しなかったことに、通常の細胞はメチオニン不足のストレス下でも受容体を上方調節しなかった」


実験では、トリプルネガティブ乳癌の腫瘍を移植したマウスにメチオニンの欠乏したエサを与え、TRAIL-R2受容体への抗体を投与した
マウスはヒトと同様にメチオニンを含まない食餌に短期間は耐えることができる
食餌と抗体の組み合わせは、それぞれ単体の時よりも乳癌腫瘍を効果的に縮小させ、肺への転移を予防した


これまで転移性充実性腫瘍の患者に対して抗TRAIL-R2抗体は単体では有効ではなかったが、今回の研究はメチオニン欠乏食とモノクローナル抗体lexatumumabを組み合わせた臨床試験への道を開くとウィスコンシン大学の研究者たちは考えている


http://dx.doi.org/10.1158/1078-0432.CCR-14-2792
Methionine Deprivation Induces a Targetable Vulnerability in Triple-Negative Breast Cancer Cells by Enhancing TRAIL Receptor-2 Expression.

 メチオニンストレス─┤MAGED2─┤TRAIL-R2



http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/e65705a1ccfe6b399f3302b25b0febed
>転移性トリプルネガティブ乳癌ではTDO2の発現が上方調節されていて、トリプトファン分解からのキヌレニン経路を加速してアノイキスを回避する
 

腫瘍のシグナル分子のスイッチを入れる栄養素

2015-07-27 11:37:51 | 
Nutrients turn on key tumor signaling molecule, fueling resistance to cancer therapy

July 13, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150713161429.htm

腫瘍はグルコースを急速に使うなどの通常とは異なる代謝をすることが以前から知られていたが、科学者たちがこの代謝の変化をより具体的に明らかにしたflesh outのはごく最近のことである

Mischelたちはこの代謝の変化がmTORC2 (mTOR complex 2) の活性化によることを以前明らかにした
mTORC2は癌細胞の代謝を過剰に活性化した状態に切り替えることに関与する
それは例えば、グルコースと、そして酢酸acetateの取り込みを増やすことである
グルコースと酢酸は燃料と資材を供給し、それにより腫瘍は急速な増殖をずっと続けることができる


今回の研究で、Mischelと彼の同僚の増井憲太、そしてWeb Caveneeは、
グルコースと酢酸がmTORC2を調節し、腫瘍の増殖を促進して標的治療薬targeted drugをかわすfending offことを発見した

「これは二車線道路two way streetだ」

「mTORC2のようなシグナル分子は代謝を変化させ、その代謝産物がmTORC2を変化させる」


実験では膠芽腫細胞にグルコースか酢酸を加え、少なくともどちらか一つがmTORC2の活性化に必要であることを発見した

EGFRが変異してmTORC2が活性化した膠芽腫でも実験した結果、
グルコースと酢酸が存在しない状態ではEGFR阻害剤はmTORC2シグナルのスイッチを切ることができるが、
グルコースと酢酸を加えると阻害剤は働かず、mTORC2は活性化したままで腫瘍は生き残った


さらに調べると、グルコースと酢酸の代謝産物であるアセチルCoAがmTORC2の活性化に重要な要素であることがわかった

研究者は同様のメカニズムが膠芽腫患者から直接得られた細胞でも働いていることを確かめた


膠芽腫では脳腫脹brain swellingを抑えるためにステロイドの投与が必要だが、ステロイドは血糖レベルを上げることが知られている
今回の研究は、脳腫脹のために必要なステロイドが逆説的にmTORC2の活性化を通じて腫瘍を増殖させる影響があるかもしれないことを示唆する


研究者は、これらの代謝産物の産生を変化させるため、どのように食事を変えるかについて考え始めている
しかしMischelは、今回の研究が癌に対抗するためのどんな食事についても価値を示さないと強調する


広い観点から見て、Mischelは
どれだけの癌が環境のせいであり、どれぐらいがランダムかつ制御不能なのかについて興味がある

今回の研究は、癌に関与する遺伝子と環境との間には以前考えられていたよりも多くの相互作用が存在するかもしれないことを示唆する


http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1511759112
Glucose-dependent acetylation of Rictor promotes targeted cancer therapy resistance.


グルコースまたは酢酸塩は脳の2大栄養源である
それらはmTORC2の中心的な要素であるRictorをアセチル化acetylationすることにより、
mTORC2の活性化を通じてEGFRvIII依存的なシグナルを促進する

この活性はアセチル-CoAレベルの上昇を通じて仲介される


今回の研究の驚くべき意味は、グルコースまたは酢酸は成長因子受容体シグナルカスケードの下流の要素を通じてシグナルを維持することにより分子標的治療への抵抗性の一因となりうることである


グルコースレベルが上昇していると、
上流の成長因子受容体シグナル伝達経路の要素がもはや活性化していなくてもRictorのアセチル化は維持され、
mTORC2の自己活性化ループautoactivation loopを形成する
ゆえに、膠芽腫をEGFR阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤に抵抗できるようにする


http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/88c883306ba9a7b3c9ca52a523b074ca
>脳腫瘍は燃料として酢酸を燃焼できる
 

<コメント>
酢酸はアルコールを飲んだ時にも作られます。
ケトン体ができるときにも作られるようです。


http://hobab.fc2web.com/sub4-zesshoku.htm
>ケトン体の産生が増加しているような、脂肪酸のβ-酸化が亢進している際には、ミトコンドリア内の遊離CoAが欠乏し、アセチル-CoAが、加水分解され、遊離CoAと酢酸とに、分解されます。
>酢酸(短鎖脂肪酸)は、肝臓から血液中に放出され、他の組織で、ケトン体と同様に代謝燃料として利用されます。

>大量のケトン体が生成される際には、同時に、酢酸(短鎖脂肪酸)も生成されます。
 

HIVの進行にはコレステロールが必要

2015-07-26 17:39:19 | 感染症
Cholesterol metabolism in immune cells linked to HIV progression

Findings may lead to novel strategies to control HIV infection

July 17, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150717142437.htm


HIVが進行しない人は、抗原提示細胞/APCでのコレステロールの代謝が促進されている






Low cholesterol in immune cells tied to slow progression of HIV

April 29, 2014

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/04/140429085558.htm

HIVが体内に入ると、一般的にはtypically樹状細胞のような免疫細胞に取り込まれ、
リンパ節に運ばれてT細胞などの他の免疫細胞に渡される
HIVはT細胞の中で増殖し、やがて免疫系を圧倒してAIDSを発症させる

樹状細胞やB細胞のコレステロールが少ない人では、HIVはT細胞に感染しない(感染が検出できない)
ただし血中のコレステロールは正常

コレステロールは外側の細胞膜に必須の構成要素で、HIVが様々な種類の細胞で効率的に複製するために必要


http://dx.doi.org/10.1128/mBio.01031-13
Alterations in Cholesterol Metabolism Restrict HIV-1 Trans Infection in Nonprogressors.






Can cholesterol-lowering drugs help treat acute Ebola cases?

July 17, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150717101433.htm

コレステロール低下薬がエボラ患者の治療を助ける可能性


エボラの糖タンパク質glycoprotein/GPは、GP1とGP2から構成されるが、
膜に固定されたanchored GP2サブユニットだけで、細胞毒性を引き起こすのに十分であることを研究者は証明した
GP2は細胞のつながりを壊して、感染者の上皮バリア喪失の要因となる可能性がある

同時に、それは感染細胞膜に大量のフィラメント(薄く、糸のような細胞構造threadlike cell structures)の形成を開始する
これはおそらくGP2サブユニットがウイルス膜の組み立てに関与していると研究者は推測する


エボラの糖タンパク質glycoproteinは、細胞膜アンカーとして知られる部分の中に、通常とは異なるアミノ酸パターンを持つ
このアンカーは特異的な配列から構成され、タンパク質を細胞膜内に局在化させる

この特定のアミノ酸パターンは、細胞膜でのウイルス糖タンパク質と宿主hostの膜脂質コレステロールとの間の特異的な相互作用を可能にする


「エボラ糖タンパク質の細胞毒性と、宿主細胞膜でのフィラメント形成は、どちらも細胞のコレステロールの量を基に調節されうる」

ハイデルベルグの研究者はスタチンを使い、
細胞のコレステロールの減少とともに
エボラウイルスの糖タンパク質によって引き起こされる細胞の剥離detachmentの抑制を報告する


http://dx.doi.org/10.1038/ncomms8688
Inhibition of Ebola virus glycoprotein-mediated cytotoxicity by targeting its transmembrane domain and cholesterol.


Figure 4: A novel role for GP in virus assembly at the plasma membrane.

(a) GP2の三量体は、細胞膜でのコレステロールレベルの上昇によって結合を開始する


太った魚はヒトの肥満を解明する

2015-07-25 06:43:43 | 代謝
Fat fish illuminate human obesity

Binge-eating cavefish share mutated gene with some obese people

July 13, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150713161426.htm

メキシコの盲目の洞窟魚/blind cavefish(Astyanax mexicanus)は、MC4Rに変異がある

研究チームは、いくつかの異なる洞窟と、周囲の川面surface riversからこの魚を調べて、
どのような遺伝子変異が代謝と体重、食欲における違いを促進しうるのかを見つけようとした


太っていて強い食欲insatiable appetitesがあるヒトは、同様にMC4R遺伝子が変異していることがある
そしてMC4Rがないマウスは、非常に太っていて常に空腹である


MC4Rは、レプチン(食欲抑制ホルモン)とインスリンによって調節されることが知られている

「ダイエットや減量をしようとすると、ヒトの脳にある調節装置が今の体重を維持しようとする。MC4Rはその中の一つである」


http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1510802112
Melanocortin 4 receptor mutations contribute to the adaptation of cavefish to nutrient-poor conditions.

洞窟は食料が不足している

全ての洞窟魚は、川面の同種surface conspecificsよりも食料が限られている間の体重の減少は遅かったが、
川面の相対者counterpartsよりも多くの食料を消費したのは洞窟魚のサブセットだけだった

※surface: surface river


調べると、洞窟魚にはMC4Rに保存された変異を持つものがいた
変異した残基の一つは過去にヒトの肥満との関連が示されている

このアレルは過剰に食べる表現型が存在する洞窟集団だけに固定されているようだ

この同じアレルが複数の洞窟に存在することから、
川面surfaceの集団に存在する「固定したstanding遺伝的バリエーション」からの(自然)選択によるものであるようだ



http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/f5ed9d14930175dfb3b19b133a1f5023
 [視床下部室傍核]MC4R─┤食欲
 [POMC満腹ニューロン]α-MSH→[視床下部室傍核]MC4R↑─┤食欲↓
 [AgRP空腹ニューロン]AgRP─┤[視床下部室傍核]MC4R↓─┤食欲↑



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/07/130718142807.htm
Gene mutation linked to obesity: Mice gain weight even when fed normal amounts of food

 [脂肪細胞]レプチン→α-MSH↑─(Mrap2)→Mc4r─┤食欲,体重

Mc4rは、Mrap2の助けを借りてα-MSHを検出し、その結果として食欲と体重が減る
このMc4rのようなシグナル経路に変異があると、肥満の可能性が上昇することが知られている



http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/07/mrap2fto.html
体重増加に関わる遺伝子: Mrap2、FTO

Mrap2 遺伝子は、動物で食事量減少するが、通常のマウスの2倍の体重を維持する。
食欲回復するとさらに体重増加し、対照マウスとカロリー同等でも体重増加し続ける。

FTO遺伝子は食欲増加・カロリー摂取量と相関を持つ。
グレリンが食前後変化見られないことなどで常に満足している状態になる低リスクFTO遺伝子型も見いだした。

加齢と関連する肥満と糖尿病を刺激する遺伝子

2015-07-25 06:35:00 | 代謝
Gene fuels age-related obesity and diabetes

July 13, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150713172233.htm



Bennettは30年以上前にankyrin-Bを発見したが、
その後ankyrin-Bは様々な疾患と関連付けられてきた
それは例えば不整脈irregular heartbeat、自閉症、筋ジストロフィー、加齢であり、そして最も最近では糖尿病である

数年前、Bennettの研究室はankyrin-Bの変異がインスリン分泌と代謝に関与することを発見した
その後の研究で、まれなankyrin-Bバリアントは2型糖尿病と関連することがわかった

R1788Wは白人とヒスパニックに広く見られる変異で(アメリカで100万人)、
L1622Iはアフリカ系アメリカ人(彼らは特に糖尿病のリスクが高い)にのみ見られる


R1788W変異を2コピー持つマウスは、通常のマウスよりも作られるインスリンの量は少なかったが、この欠点shortcomingにもかかわらず血糖値は正常だった

ヒトと同様の耐糖能テストを実施すると、驚いたことに変異マウスではグルコースは通常よりも早く代謝された


通常ではインスリンがGLUT4によりグルコースを取り込ませるが、
変異マウスではインスリンがなくても筋肉細胞と脂肪細胞の表面にGLUT4が表れていた

これは若い時には有利であり、インスリンレベルの低さから守られる
しかし年を取ると(または高脂肪食に切り替えると)それはマウスを太らせ、最終的にはインスリン抵抗性になる


研究者は、はるか昔はこのR1788W変異が(よりマイルドなL1622I変異は)進化の上で有利だったのかもしれないと考えている
年老いた狩猟採集民aging hunter-gatherer typesは、次の獲物を効果的に追うことができないので、できるだけ多くの脂肪を獲得して飢えを避ける必要があった

高脂肪食と高カロリー食はあふれている現代では、これらのバリアント/異型は、肥満と糖尿病のような「現代病modern afflictions(苦悩,苦痛,苦悩をもたらすもの)」のリスクを増大させる


しかし、マウスでの研究がヒトでも真であるかの研究はこれからである


http://dx.doi.org/10.1172/JCI81317
Ankyrin-B metabolic syndrome combines age-dependent adiposity with pancreatic β cell insufficiency.
アンキリン-B代謝性症候群は、加齢に依存的な肥満と、膵臓β細胞の機能不全とを結びつける


http://www.jci.org/articles/view/81317/figure/7
Figure 7
Ankb knockin mice are more susceptible to HFD-induced metabolic derangements and obesity.
Ankbノックインマウスは、高脂肪食による代謝的混乱と肥満に影響を受けやすくなる

(C) Epididymal fat-pad weights.
精巣上体/副睾丸の脂肪-詰め物の重量


ヒトAnkBのR1788Wバリアントはmixed European descentの0.3%、
今回の研究でHFDへの感受性を上昇させたL1622Iアレルはアフリカ系アメリカ人の7.5%で、
ホモ接合体では約0.1%の頻度で存在することが予想される


皮膚癌のマーカーは腫瘍の増殖にも重要

2015-07-24 07:59:10 | 
Skin cancer marker plays critical role in tumor growth

Found in many types of cancers, keratin 17 was previously thought to be bystander in development of tumors

July 13, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150713113245.htm

keratin 17は様々な癌のマーカーとして使われてきたが、
腫瘍の増殖においても重要な役割を果たす可能性が示唆された


研究ではヒトパピローマウイルスによる扁平皮膚癌HPV-induced squamous cell carcinomaを発症しやすいマウスを使用した
マウスからケラチン17/keratin 17を欠損させると、発症は著しく遅れ、炎症応答と免疫応答は抑制された
ヒトの腫瘍細胞でも同様の結果が得られた


分析の結果、keratin 17は腫瘍の核に移動して、腫瘍を促進する特異的な炎症応答・免疫応答を引き起こす遺伝子のスイッチを入れた
これまでkeratin 17は細胞質で細胞骨格の一部として機能するだけだと考えられていた

さらに、Aire (autoimmune regulator) というタンパク質はkeratin 17と腫瘍細胞の核内で相互作用することもわかった
Aireは胸腺で自己免疫疾患の抑制に重要であることはわかっていた
Aire遺伝子を消去してもマウスの皮膚での腫瘍形成は遅れた


http://dx.doi.org/10.1038/ng.3355
Keratin-dependent regulation of Aire and gene expression in skin tumor keratinocytes.


中間径フィラメントタンパク質intermediate filament proteinのケラチン17/keratin 17 (K17) は、
炎症性の皮膚疾患、ならびに重層上皮と偽重層上皮pseudostratified epitheliaに由来する多くの腫瘍において強く上方調節されている

※pseudostratified epithelium: 偽重層上皮/多列上皮。重層に見えるが、実際はすべての細胞が基底膜に達しているので単層として分類される


我々は、
自己免疫調節遺伝子autoimmune regulator (Aire) という転写調節因子が
ヒトとマウスの腫瘍角化細胞keratinocytesにおいてK17依存的に誘導されて発現し、
それはGli2によるマウスの皮膚腫瘍発生の時宜を得たtimely発症に必要であることを報告する

※Gli2: ヘッジホッグ経路

角化細胞におけるAire mRNAの(転写の)誘導は、
K17とhnRNP K (heterogeneous nuclear ribonucleoprotein) の機能的な相互作用に依存する


K17は、腫瘍になりやすい角化細胞の核にAireタンパク質と共に局在colocalizesし、
それぞれの因子はNF-κBコンセンサス配列を特徴づけるfeaturing特異的プロモーター領域に結合している
そのコンセンサス配列は、K17依存的とAire依存的な炎症性遺伝子の関連サブセットである
and each factor is bound to a specific promoter region featuring an NF-κB consensus sequence in a relevant subset of K17- and Aire-dependent proinflammatory genes.

この発見は、中間径フィラメントのケラチンとAire機能における根本的に新しい知見を提供する
加えて、皮膚疾患におけるK17依存的な炎症性応答/免疫応答の増幅に関する分子的な基盤についてもである


Figure 4
K17 and Aire associate with target gene promoter regions.

(g) K17は転写レベルとタンパク質レベルの両方でAireを調節して、炎症性の遺伝子発現ならびに肌の腫瘍発生tumorigenesisを促進する



Supplementary Figure 3
Krt17の喪失は胸腺でのAire発現または機能に影響しない
 

前立腺癌が転移するためのかなめ(lynchpin)となる分子が発見される

2015-07-23 20:22:41 | 
Lynchpin molecule for the spread of cancer found

July 13, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150713122306.htm

DNA-PKcsはDNAの修復に関わるキナーゼである

以前DNA-PKcsは前立腺癌の治療抵抗性と関連付けられたが、その理由の一部は、DNA-PKcsが放射線などによるDNAの致命的な損傷を修復してしまうからだろう
しかし今回の研究は、DNA-PKcsが癌において幅広い役割far-reaching roles in cancerをもつことを示した

DNA-PKcsはシグナル伝達ネットワークのマスター調節因子として働き、転移プロセスの全プログラムのスイッチを入れる
DNA-PKcsは特にRho/Racという酵素を調整し、それにより多くの癌は移動することができるようになる
転移カスケードの他のステップ、例えば細胞の移動と浸潤に関わる多くの遺伝子ネットワークも同様である

現在既にDNA-PKcsの阻害剤が開発中であり、フェーズIの臨床試験が実施されている


http://dx.doi.org/10.1016/j.ccell.2015.06.004
DNA-PKcs-Mediated Transcriptional Regulation Drives Prostate Cancer Progression and Metastasis.
DNA-PKcsを介した転写調節は、前立腺癌の進行と転移を駆動する


DNA-dependent protein kinase /DNA-PKは、
 Kuヘテロ二量体 (Ku70/Ku80) と、
 触媒サブユニット/catalytic subunit (DNA-PKcs)
から構成されるセリン/スレオニンプロテインキナーゼ複合体であり、
DNAの損傷応答ならびにゲノムの安定性維持において重要な役割を果たす


活性化したDNA-PKcsは、非相同末端結合/nonhomologous end joining/NHEJを仲介する因子をリン酸化して機能を変化させる
因子とは例えばDNA-PKcsそれ自身であり、ヒストンH2AX (γH2AX) である


DNA-PKcsは進行癌で著しく上方調節され、腫瘍の転移と再発、生存率の低下を予測する
DNA-PKcsは転移する腫瘍でも非常に活性化しているが、それはDNA損傷からは独立している(DNAの損傷は増加していないが、DNA-PKcsは活性化している)

DNA-PKcsの発現上昇は、DNAを損傷させる抗癌剤への応答低下と相関するが、
そのような抗癌剤を使わない患者でも予後の悪さとも関連する
これはDNA損傷応答とは独立したDNA-PKcsのヒト悪性腫瘍における役割を示唆する


DNA-PKcsは低酸素、代謝、炎症応答を調整し、転写因子と相互作用することで転写を調節するが、
最近、ステロイドホルモン受容体がDNA二本鎖切断の修復を促進する能力の根本には、男性ホルモン受容体/ARによるシグナルとDNA-PKcsとの間のつながりがあることが同定された

ARは、アンドロゲン刺激とDNA損傷への応答において、DNA-PKcsをコードするPRKDCの調節領域locusに結合し、それによりPRKDCの発現とDNA-PKcsの活性を誘導する

 アンドロゲン→AR→PRKDC→DNA-PKcs発現

この誘導は、ARによる二本鎖切断の修復、ならびにゲノム損傷からの細胞生存に必須であることが証明された


DNA-PKcsのレベル上昇は、
DNA-PKcsがARの共調整因子comodulatorとして作用する能力によって
ポジティブフィードバックを形成することが示された

 アンドロゲン→AR→DNA-PKcs→AR→…


http://www.cell.com/action/showImagesData?pii=S1535-6108%2815%2900214-7

Figure 8

(I) DNA-PKcsは癌と関連する転写ネットワークを調整し、そのネットワークには以下の3つが含まれる
 AR標的の発現
 Rho/Racシグナル伝達経路(転移を促進する)を調節する遺伝子
 ジヒドロテストステロン/DHTの代謝に影響することが知られているUGT酵素/UDP-glycosyltransferasesの発現を抑制

転移性の去勢抵抗性前立腺癌の臨床的にすぐ使用可能なドライバ(clinically actionable driver of metastatic CRPC)としてDNA-PKcsを同定した

 DNA-PKcs→AR標的(PSA↑/TMPRSS2↑)→癌進行

 DNA-PKcs→転移ネットワーク→癌転移
  PREX1,ITGB4→Rac1(GTP)
  VAV3→Rho(GTP)→ROCK2

 DNA-PKcs─┤UGT(UGT2B17,UGT2B15)─┤DHT→癌進行

   └→転移性の去勢抵抗性前立腺癌


※CRPC: Castration-Resistant Prostate Cancer


遺伝による乳癌と卵巣癌の謎の一つが明らかに

2015-07-23 19:12:02 | 
Scientists solve breast, ovarian cancer genetic mystery


July 16, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150716123848.htm

フランシスクリック研究所による線虫での研究

RAD51のいとこcousins(いわゆるパラログparalogs)は、
RAD51の形を変えることで活性化して、癌を引き起こすDNA傷害の修復に関与するので
乳癌と卵巣癌の発症を防ぐためにBRCA1/2と同じくらい重要


乳癌と卵巣癌の20人に1人以上が遺伝的な原因によるものであり、実験薬のPARP阻害剤がそうしたBRCA1/BRCA2遺伝子の変異を標的として開発されている。
それらの「いとこ」に遺伝的な変異をもつ癌患者も、そのような薬が有効であるかもしれない


http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2015.06.015
Rad51 Paralogs Remodel Pre-synaptic Rad51 Filaments to Stimulate Homologous Recombination.
Rad51のパラログ(RFS-1, RIP-1)は、presynaptic filament Rad51フィラメントを改編して相同組換えを刺激する


Highlights
・Rad51パラログ複合体のRFS-1/RIP-1は、RAD-51と一本鎖DNA/ssDNAからなる「プレsynaptic filaments」に結合する

・RFS-1/RIP-1は、RAD-51のssDNAからの解離を減少させることによりfilamentを安定させる

Summary
RAD-51-ssDNA filamentsを凝集nucleateさせるBRCA2とは異なり、RFS-1/RIP-1はプレsynaptic filamentsに結合して再編し、安定した「開いた」状態にして、曲がりやすい構造flexible conformationにする
これによりssDNAはヌクレアーゼにより分解されやすくなり、RAD-51の解離率は低下する



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141005134815.htm
First pictures of BRCA2 protein show how it works to repair DNA

(BRCA2 (赤色) は、切断されたDNA鎖上にRAD51 (黄色) が短いフィラメントfilamentsを形成するのを助け、一致するDNA鎖を探して修復させる)




http://ir.soken.ac.jp/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=29&block_id=155&item_id=942&item_no=1
Rad51は、大腸菌の組換え蛋白質であるRecA蛋白質のホモログであり、DNA鎖交換反応を行う。DNA鎖交換反応は、presynaptic filamentと呼ばれる、Rad51がssDNAに結合して作る特徴的なラセン構造を持つ複合体の形成で始まる。このpresynaptic filament形成では、ssDNA、RPA、Rad51とRad52の間の相互作用がpresynaptic filament形成を促進することが示されている。しかし、Rad55とRad57の組換えにおける機能はわかっていなかった。