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タウのリン酸化は悪いことばかりではない

2016-12-11 06:06:07 | 
Discovery opens door to new Alzheimer's treatments

November 17, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/11/161117151205.htm


(These are neurons in culture dishes.
The colors highlight the human tau protein in green, a structural component in red and the DNA inside the cell nucleus in blue.

Credit: UNSW/Lars Ittner)

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学(UNSW)の研究者は、アルツハイマー病(AD)につながる神経細胞のプロセスに光を当てた
これはアルツハイマー病がどのようにして起きるのかについてのこれまでの考えを一変させるものであり、疾患の進行を止めるか遅くしうる新たな治療の選択肢への扉を開く
この研究はScience誌で発表される

UNSWはNeuroscience Research Australia(NeuRA)と共同でヒトの脳組織を研究し、アルツハイマー病が進行するにつれてp38γというキナーゼが失われることを突き止めた
彼らがマウスの脳にp38γを再導入したところ、疾患と関連する記憶障害に対して保護的な効果があることが示された

「この研究は、アルツハイマー病が発症する間に脳内で何が起きるのかについての我々の理解を根底から変えた」
筆頭著者lead authorのLars Ittner教授は言う

アルツハイマー病の大きな特徴は、アミロイドベータからなる『プラークplaques』と、タウタンパク質からなる『もつれtangles』が脳内に存在することである
プラークともつれの蓄積は、神経の細胞死、脳の萎縮、記憶の喪失と関連がある

※もつれ: tangle
※神経原線維変化: neurofibrillary tangle(NFT)


研究チームはこれまで誤解されていた『もつれにつながるプロセス』の重要な段階を明らかにした
これまでの考えでは、プラークを形成するタンパク質であるアミロイドベータがタウタンパク質の修飾、つまりリン酸化/phosphorylationを引き起こすと信じられており、それが細胞死を誘発して最終的にアルツハイマー病につながるのだとされていた
タウのリン酸化が増加する結果、それがもつれとして蓄積するというのが以前の考え方だった

しかし、今回の新たな研究の結果からタウのリン酸化が初めはニューロンに保護的な効果があることが示唆され、
その保護的な機能に対してアミロイドベータが猛攻撃する結果、それは徐々に失われるのだという
その段階で毒性レベルがニューロンの破壊を引き起こし、アルツハイマー病と関連する認知障害という結果になる

「アミロイドベータはニューロンに毒性を誘発するが、タウのリン酸化の初めの段階は実際には毒性を低下させる」
Ittner教授は言う

「これは全く新しい考え方mindsetだ
タウが修飾されるようになる理由は、実際にはダメージから保護するためだった」


研究でp38γというキナーゼが突き止められるまでに様々なマウスモデルが使われ、ヒトの脳組織はSydney Brain Bankから提供された
p38γは保護的なタウのリン酸化を助けており、アミロイドベータによってもたらされる毒性に干渉していた

「我々はマウスを使って、我々がこれまでの研究で知っていた疾患の進行に関与する『非常に特異的な毒性』に関してふるいにかけたscreen
我々はこの進行を仲介するメディエーターを見つけるべく研究を開始し、それが我々をこの驚くべき発見へと素早く導いた
それは我々が予測していたのとは全く正反対のものだった
このアルツハイマー病の発症に関与するプロセスへの我々の見方を変えた時に初めて、これらの結果は意味を持ち始めるのである」


Ittner教授たちはヒトの脳組織を研究する中で、アルツハイマー病が進行するにしたがってp38γは失われることを突き止めた
脳内に残っているのは本当にわずかな量である

「p38γは最初は保護をもたらすが、アルツハイマー病患者の脳内では早くに消え去ることを我々は発見した
これはp38γによる保護が失われることを示唆する」

「研究ではp38γを再び導入し、活性を上昇させた
マウスでは記憶障害が起きるのを防ぐことが可能だったことから、これは真に治療としての潜在性を持っている
もしその活性を刺激できれば、我々はアルツハイマー病の進行を遅らせ、あるいは止めることすらできるかもしれない」

研究者にとって次の段階は、この特許を取った発見から、ヒトの患者のための新たな治療法を開発することになるだろう
ただしそれには新たな資金調達が必要である/subject to new funding


http://dx.doi.org/10.1126/science.aah6205
Site-specific phosphorylation of tau inhibits amyloid-β toxicity in Alzheimers mice.
アルツハイマー病モデルマウスにおいてタウの箇所特異的なリン酸化はアミロイドβの毒性を阻止する


タウのリン酸化は必ずしも悪ではない
Tau phosphorylation—not all bad


アルツハイマー病はアミロイドβ (Aβ) からなるプラークと、タウのもつれを示す
この分野で支配的な考えは、Aβがタウのリン酸化を誘発し、それがニューロンの機能不全を仲介するというものだ

Ittnerらはアルツハイマー病のマウスモデルを研究することで、アルツハイマー病の初期におけるタウの保護的な役割に関するエビデンスを発見した
この保護は、シナプス後部postsynapseでのタウの特異的なリン酸化(スレオニン205)を伴うinvolve

リン酸化したタウの疾患における保護的な役割は、タウのリン酸化は有害なプロセスを仲介するだけであるというドグマに異議を申し立てるものだ


Abstract
アルツハイマー病におけるアミロイドβ(Aβ)の毒性は、リン酸化したタウタンパク質によって仲介すると考えられている
それとは対照的に、少なくとも疾患の初期では、タウの箇所特異的なリン酸化がAβの毒性を阻止することを我々は発見した

このタウの特異的なリン酸化はニューロンのMAPKであるp38γによって仲介され、シナプス後部でAβと噛み合った興奮毒性シグナル伝達複合体に干渉する/interfered with postsynaptic excitotoxic signaling complexes engaged by Aβ
これと一致して、p38γの枯渇はアルツハイマー病のマウスモデルにおいて、ニューロン回路の異常、認知障害、若年死亡率premature lethalityを悪化させる一方で、p38γの活性の上昇はこれらの障害を無効化した
さらに、
箇所特異的site-specificなタウのリン酸化を模したところ、Aβによって誘発されるニューロンの細胞死は軽減され、興奮毒性excitotoxicityからの保護がもたらされた

我々の研究はアルツハイマー病の病理発生におけるシナプス後部のプロセスへの洞察を提供し、ニューロンの毒性におけるタウのリン酸化には全く病原性の役割しかないという考え方に異議を唱えるものだ



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