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興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

ウイルス感染とアレルゲンは相乗作用で喘息の発症につながる

2016-08-19 06:06:56 | 免疫
Laboratory drug trials could lead to asthma treatment breakthrough

June 27, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/06/160627095019.htm

喘息の発症を無効化するか遅くするポテンシャルを持つ新薬が、クイーンズランド大学(オーストラリア)の研究者たちによってテストされている
研究チームのリーダーである準教授Associate ProfessorのSimon Phippsは、この新薬がIL-33というタンパク質を標的にするものだと言う

「このテストは我々の最近の研究成果、つまりIL-33が喘息の発症において重要な役割を演じるという発見を基にしたものだ
IL-33は喘息患者asthmaticsの気管支に炎症bronchial inflammationを引き起こすことが知られているが、我々の調査によりIL-33は呼吸器のウイルス感染から防御する能力を弱めることが初めて実証された
呼吸器のウイルス感染は喘息の発病/発作attacksの一般的な引き金である」

「我々はこの新薬がIL-33を阻害することにより喘息の発症を覆すか遅くすることができると期待している」


今回のマウスモデルによる研究は、喘息とアレルギー研究に関する一流の学術誌であるJournal of Allergy and Clinical Immunology誌で発表された
筆頭著者lead authorsは研究チームのポスドクpostdoctoral fellowのJason Lynch博士と、PhD studentのRhiannon Werderである
Lynch博士によると、今回の発見は呼吸器ウイルスとアレルゲン、両者への曝露がなぜ人生早期における喘息発症の重要なドライバなのかを理解するために彼が確立した前臨床モデルに由来するものだという

「呼吸器系ウイルスへの曝露と、その後の直近very closelyのアレルゲンへの曝露が、IL-33の放出を誘発することを我々は発見した」
Lynch博士は言う

「過剰なIL-33タンパク質はウイルスからの回復を妨害するだけでなく、より重度で持続的な喘息症状の発症を促進することが判明した
しかしながら、マウスがウイルス罹患の前に一度にアレルゲンに曝露すると、回復プロセスには何ら違いを生じなかった」


Miss WerderはPhDリサーチの一部としてラボで新薬のテストを実施した
「我々の最終的な目標は、喘息の症状をただ単に軽くするだけでなく、発症を覆すか遅くするためのより優れた治療を見つけることだ」


http://dx.doi.org/10.1016/j.jaci.2016.02.039
Aeroallergen-induced IL-33 predisposes to respiratory virus–induced asthma by dampening antiviral immunity.
空中アレルゲンによって誘発されるIL-33は呼吸器系ウイルスによる喘息にかかりやすくするが、それは抗ウイルス免疫を弱体化させることによる


背景
人生早期における頻繁な下気道へのウイルス感染viral lower respiratory infectionsは、喘息発症の独立したリスク要因である
この持続性喘息のリスクと発症は、後に感受性となった子どもにおいて有意に大きい


目的
アレルゲン曝露とウイルス感染との間の相乗的な相互作用の根底にある病原性プロセスを明らかにする


方法
ネズミ科に特異的な肺炎ウイルス種Pneumovirus speciesであるマウス肺炎ウイルス/pneumonia virus of mice(PVM)をマウスに接種inoculateし、低用量のゴキブリ抽出物/cockroach extract (CRE) に曝露させた
時期は寿命の早期と後期in early and later lifeである
気道炎症、リモデリング、過剰反応性hyperreactivityを評価した

マウスには抗IL-33抗体を投与するか、またはIL-33放出を中和するか阻止するためにアピラーゼapyraseを投与した

※アピラーゼ: ATPを加水分解してAMPにする反応を触媒する酵素


結果
PVM感染またはCRE曝露はそれぞれ単独では疾患を誘発しなかったが、PVM/CREの共曝露coexposureは相乗作用して喘息の特徴を誘発した

寿命早期におけるウイルス感染中のCREへの曝露は二相性biphasicのIL-33反応を誘発し、IFN-αならびにIFN-λの産生を損なった
続けてそれは上皮のウイルス負荷量viral burdenを増大させ、気道平滑筋の成長を促進し、タイプ2の炎症を増大させた

CREによって誘発されたIL-33の放出を阻止するか中和した時にこれらの特徴は軽減されたが、CREを外因性IL-33で置き換えると、PVM/CREを共曝露させたマウスで観察された表現型が再現された

機構的に見ると、IL-33はin vivoとin vitroの両方で、形質細胞様樹状細胞/plasmacytoid dendritic cell(pDC)において、viperinとIRF7遺伝子の発現を下方調節し、急速にIRAK1発現を分解した
その結果としてTLR7の応答低下hyporesponsivenessにつながり、IFN-α産生は損なわれた

viperin: Virus Inhibitory Protein, Endoplasmic Reticulum-Associated, Interferon-Inducible(ウイルス阻害タンパク質、ER関連、インターフェロン誘導性)

IRF7: interferon regulatory factor 7(インターフェロン調節因子7)

IRAK1: IL-1 receptor–associated kinase 1(IL-1受容体関連キナーゼ1)


結論
我々はこれまで認識されていなかった抗ウイルス自然免疫を強力に抑制する因子としてのIL-33の機能を同定し、喘息の発症ならびに進行において呼吸器ウイルスとアレルゲン曝露との間の相乗的な相互作用にIL-33が有意に寄与することを実証する



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/233a1d0dbc1db96bcc3899d00625122e
マウスをブタクサ花粉の抽出物に曝露させると、気道へ好中球を引き寄せるケモカインの合成が促進されて(花粉─TLR4→CXCL→CXCR4)持続的な酸化ストレスの状態を誘導し、アレルギー感作が増幅された



関連記事
https://www.sciencedaily.com/releases/2014/01/140106094430.htm
食物繊維は喘息から保護する



関連記事
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/06/160621121700.htm
食物繊維を多く食べたマウスほど食物アレルギーの重症度は低い



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/37e5826c4c2cb549eed786524b6b002b
腸内の微生物の攻撃で活性化されたタイプ3の細胞は直接タイプ2細胞に作用してその活動を阻害し、その結果タイプ2はアレルギー性の免疫応答ができなくなる



関連サイト
http://www.taiyou-clinic.jp/blog/archives/2251
フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)、ラクノスピラ(Lachnospira)、ベイロネラ(Veillonella)、ロシア(Rothia)という腸内細菌4種の便サンプル中の細菌濃度が低い生後3か月の幼児は、喘息の発症リスクが高い



関連サイト
https://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150903144647.htm
農場で育つとアレルギーに抵抗力がつく理由はA20タンパク質によるもので、A20は体が農場ダストに接触することによって作り出される
肺粘膜中のA20タンパク質を不活化すると、農場ダストのアレルギー反応を減少させる効果はなくなった
アレルギーまたは喘息患者にはA20たんぱく質が欠損していた



関連記事
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/07/160715113600.htm
喘息で入院する子どもの50%から85%の原因であるライノウイルスCの構造を低温電子顕微鏡で明らかにした
ライノウイルスCの30%が空っぽで「デコイ」だった

 

小麦感受性の生物学的な説明が明らかにされる

2016-08-01 06:06:00 | 免疫
Biological explanation for wheat sensitivity found

Weakened intestinal barrier, systemic immune activation may explain symptoms in people without celiac disease

July 26, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/07/160726123632.htm


(セリアック病は自己免疫疾患であり、遺伝的に感受性のある人々が小麦やライ麦、大麦に含まれるグルテンを摂取することにより、免疫系が誤って小腸の内層を攻撃することで起きる
これは様々な胃腸の症状につながり、腹痛、下痢、膨満などが生じる

Credit: (c) Timmary / Fotolia)

なぜセリアック病や小麦アレルギーではない人たちが、小麦やその同類の穀物cerealの摂取後に胃腸や腸以外の症状を経験するのか?
新たな研究はその理由を説明するかもしれない
今回の研究結果からは、このような人々は腸のバリアが弱く/have a weakened intestinal barrier、それが体内の広範囲な炎症性の免疫応答につながることが示唆される
コロンビア大学メディカルセンター(CUMC)を中心とした今回の研究は、学術誌のGut誌で報告される


「我々の研究は、この病態の人々によって報告されている症状が想像上の産物imaginedではないことを示す」
共著者co-authorのPeter H. Green, MDは言う
彼はCUMCでPhyllis and Ivan Seidenberg Professor教授職であり、セリアック病センターのセンター長directorでもある

「患者はかなりの数が存在するが、彼らが示すそれらの症状には生物学的な基礎が存在することを実証する」


セリアック病は免疫系が誤って小腸の内層liningを攻撃する自己免疫疾患である
遺伝的に疾患の感受性がある人々が小麦wheatやライ麦rye、オオムギbarleyなどからグルテンを摂取した後に起きるもので、胃腸に広範囲の症状、例えば腹痛abdominal pain、下痢diarrhea、膨満bloatingなどを示す

しかし、セリアック病であることを示す血液・組織・遺伝子マーカーを持たない人々の中に、小麦類の摂取後にセリアック病のような胃腸症状を経験する人たちがいる
加えて彼らは胃腸以外の症状、例えば疲労fatigue、認知的困難cognitive difficulty、気分障害mood disturbanceも示す
研究者たちは人々がなぜそのような症状を示すのかを突き止めようと奮闘してきたstruggle

この『非セリアック病グルテン小麦感受性/non-celiac gluten or wheat sensitivity (NCWS)』と呼ばれる病態の一つの説明として、やっかいな穀物offending grainsにさらされることが、どういうわけかsomehow、『厳密に局所的な腸の免疫応答』よりもむしろ『全身の急激な免疫活性化』の引き金を引くというものである

NCWSのバイオマーカーはこれまで存在しなかったために正確な有病率prevalenceというものは利用できないが、人口の約1パーセント、アメリカでは300万人が罹患していると推定されており、これはおおよそroughlyセリアック病と同じ有病率である


今回の研究でCUMCのチームはNCWSの患者80人を調査し、セリアック病の40人、健康な対照群の40人と比較した

セリアック病のグループでは疾患と関連する腸の損傷が広い範囲で見られたにもかかわらず、自然免疫の全身的な活性化/innate systemic immune activationを示す血液中のマーカーは上昇していなかった
このことはセリアック病患者の腸の免疫応答が 損傷した腸のバリアを通過するかもしれない微生物や微生物を構成する物質を中和neutralizeできており、『高度に免疫刺激的な分子』に対する全身の炎症性の応答が防がれていることを示唆する

NCWSのグループでは顕著に異なっていた
彼らの腸にはセリアック病で見られるような細胞傷害性T細胞/cytotoxic T cellsはいなかったが、腸の細胞の損傷を示すマーカーが見られ、それは急性の全身での免疫活性化を示す血清マーカーと相関した

この結果はNCWSでの全身的な免疫活性化が 微生物の構成物や食事の成分/microbial and dietary componentsの腸から血液循環への移動の増加と関連し、その理由の一部が腸の細胞の損傷や腸のバリアの弱体化によるものであることを示唆する


「全身的な免疫活性化モデルは、非セリアック病の小麦感受性を持つ人々で報告される症状が概して急速な始まりrapid onsetを示すことと一致するだろう」
研究を主導したArmin Alaedini, PhDは言う
彼はCUMCで内科学の助教授assistant professor of medicineである
彼はコロンビア大学のヒト栄養学研究所/Institute of Human Nutritionにも就任しており、セリアック病センターの一員でもある

研究では、6ヶ月間小麦類を排除した食事を守っていたNCWS患者は 免疫活性化ならびに腸細胞の損傷を示すマーカーのレベルが正常化することも明らかになった
加えて、それらのマーカーの変化と、詳細な質問票questionnaireで患者によって報告されていた腸と腸以外の症状の両方の著しい改善との間には関連が見られた

Alaedini博士は次のように付け加えた
「今回のデータは、将来我々がバイオマーカーの組み合わせを使って非セリアック病小麦感受性の患者を突き止め、治療への応答をモニターできるかもしれないという可能性を示唆する


CUMCと協力して研究に当たったイタリアのボローニャ大学の内科学教授、Umberto Volta, MDは次のように言う
「これらの結果は非セリアック病小麦感受性の我々の認識と理解にパラダイムシフトを起こすものであり、将来の診断と治療にとっておそらく重要な関連がありそうに思われる」

「この病態に多くの人々が罹患し、その健康への重大な負の影響を考慮すると、これはもっと注目されて資金をかけるに値する重要な調査領域である」

Alaedini博士と彼のチームはNCWSに関する将来の研究で 腸の損傷と上皮バリアの破れを引き起こす原因となるメカニズムを調査し、免疫細胞の応答の特徴をさらに調べようと計画している


http://dx.doi.org/10.1136/gutjnl-2016-311964
Intestinal cell damage and systemic immune activation in individuals reporting sensitivity to wheat in the absence of coeliac disease.
セリアック病の徴候はないが小麦への感受性を報告する人々における腸細胞の損傷と全身の免疫活性化


Abstract
小麦のグルテンや関連タンパク質は自己免疫の腸疾患enteropathy、つまりセリアック病を遺伝的に感受性のある人々に引き起こしうる
しかしながら、小麦の摂取に応じて広範囲な症状を経験しながらもセリアック病の特徴である血清学的・組織学的なエビデンスを示さない人たちがいる
そのような症状の病因やメカニズムは不明であり、バイオマーカーは何も特定されていない

我々は セリアック病ではない小麦への感受性が全身の免疫活性化と関連し、それが腸疾患enteropathyにつながる可能性があるのかどうかを突き止めることを目的とした


Design
研究の参加者には、小麦の摂取に応じた症状を報告しているがセリアック病やアレルギーの可能性は除外された人々と、セリアック病の患者、そして健康な対照群が含まれた
血清で分析したマーカーとしては、腸細胞の損傷と、微生物の成分への反応による全身の免疫活性化を示すものが調べられた


Results
小麦への感受性を持つ人々は、血清中の可溶性CD14、ならびに『リポ多糖結合タンパク質/lipopolysaccharide (LPS) -binding protein』のレベルが有意に上昇していた
細菌のLPSならびにフラジェリンflagellinに対する抗体の反応性antibody reactivityも同様に上昇した

また、腸上皮細胞の損傷を示すマーカーである『脂肪酸結合タンパク質2/fatty acid-binding protein 2 (FABP2) 』の循環レベルも有意に上昇していた
FABP2レベルの上昇は、微生物の産物microbial productsに対する免疫応答と相関を示した

小麦への感受性を持つ人々の内、小麦ならびに関連する穀物を除去した食事を遵守observeしていたサブグループでは、FABP2レベルならびに免疫活性化マーカーレベルは正常化する方向への有意な変化が存在した


Conclusions
これらの結果は、セリアック病ではないが小麦への感受性を経験するというサブ集団の人々に影響する 全身の免疫活性化状態に加えて、腸上皮の損傷を明らかにする



関連記事
http://ta4000.exblog.jp/17414553/
通常のエンドトキシン血症では血清中のLPS濃度は摂食すると増加し、絶食すると減少するが、4週間の高脂肪食では血漿中のLPS濃度が2倍から3倍まで慢性的に増加することが判明した。我々はこのような慢性的なLPS増加を「代謝性エンドトキシン血症」と定義した。重要なことは、高脂肪食が腸においてLPSを持つ微生物の割合を増加させるということである。
CD14が変異したマウスは、LPS投与と高脂肪食により誘導される代謝性疾患の特徴のほとんどに抵抗した。



関連記事
http://ta4000.exblog.jp/16922003/
セリアック病と小麦アレルギーのほかにもグルテンに反応する症例はあるが、それにはアレルギー的な、もしくは自己免疫的なメカニズムは、どちらも関わっていない。それらは一般にグルテン感受性(GS)として定義される。
ここで我々は、グルテン関連疾患の範囲を体系的に検討し、一般に知られている疾患の分類の欠落を補うために新しい用語体系を提案する。
 
 

FGF21は加齢による免疫系の低下から保護する

2016-01-23 06:06:49 | 免疫
Life-extending hormone bolsters the body's immune function

January 12, 2016

http://www.sciencedaily.com/releases/2016/01/160112093545.htm

イェール大学医学大学院/Yale School of Medicineの新たな研究によると、マウスの寿命を40%延長するホルモンが胸腺thymus glandの特殊化した上皮細胞から作られることが明らかになった
また、研究チームはこのFGF21というホルモンが加齢による胸腺の免疫系機能喪失から保護することも発見した
PNASオンライン版で1月11日に発表された今回の研究は、高齢者や肥満、癌や2型糖尿病のような人々の免疫系の改善につながる可能性がある


正常に機能する胸腺thymusでは新しいT細胞が作られて免疫系に寄与しているが、年とともに胸腺は脂肪で置き換えられ、新たなT細胞を作る能力を失う
この新しいT細胞が作られなくなるというのは、高齢者での感染症やある種の癌のリスクが上昇する原因の一つである

比較医学(獣医学と医学との間の類似性などについて研究する分野)と免疫学のVishwa Deep Dixit教授を中心とする研究チームはFGF21レベルが上昇するトランスジェニックマウスを研究し、遺伝子機能をノックアウトしてFGF21レベルの低下が免疫系に与える影響を調べた
その結果、年老いたマウスにおけるFGF21レベルの上昇は加齢と関連する脂肪性の変性fatty degenerationから胸腺を保護し、新しいT細胞を作る胸腺の能力を増大させた一方で、FGF21の欠乏は年老いたマウスの胸腺の変性を加速した

「我々は胸腺上皮細胞におけるFGF21レベルが肝臓より数倍高いことを発見した
したがって、FGF21は胸腺内部で働いてT細胞産生を促進する」
Dixit教授は言う

「中高年elderlyまたは骨髄移植を受ける癌患者でのFGF21レベル上昇は、
T細胞産生を増やして免疫系を強めるbolsterための補助的additionalな戦略であるかもしれない」


Dixitはさらに、FGF21が内分泌ホルモンとして肝臓で作られ、そのレベルはカロリー制限により増大し、グルコースレベルが低い時に脂肪を燃焼させるという
FGF21は代謝ホルモンであり、インスリン感受性を改善し、体重を減少させることから、2型糖尿病と肥満の治療効果に関して研究されている

Dixitはこれからの研究でFGF21がどのようにして胸腺を加齢から保護するのかについて焦点を当てるつもりだという
FGF21の上昇が薬理学的にヒトの寿命を延長できるのかどうか、加齢と関連する免疫機能の喪失によって引き起こされる疾患の発症を抑制できるのかといった研究もしていきたいとしている

Dixitは「実際にカロリー摂取を減らすことなく免疫機能を促進するため、カロリー制限を『真似る』方法の開発も調べるつもりだ」という


http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1514511113
Prolongevity hormone FGF21 protects against immune senescence by delaying age-related thymic involution.



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/12/151225141547.htm
砂糖を摂取するとマウスの肝臓でFGF21が作られて血中に放出され、視床下部に作用して砂糖への欲求が抑制される

http://dx.doi.org/10.1016/j.cmet.2015.12.003
http://www.cell.com/cell-metabolism/abstract/S1550-4131(15)00618-X
FGF21 Mediates Endocrine Control of Simple Sugar Intake and Sweet Taste Preference by the Liver.
FGF21は単糖の摂取と甘味の好みの肝臓による制御を仲介する
 



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/10/141023142053.htm
FGF21は副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン/corticotropin-releasing factor(CRF)を活性化させ、交感神経を介して褐色脂肪細胞の熱産生を増大させるので痩せる

http://dx.doi.org/10.1016/j.cmet.2014.07.012
FGF21 Acts Centrally to Induce Sympathetic Nerve Activity, Energy Expenditure, and Weight Loss




関連サイト
http://dx.doi.org/10.1016/j.cmet.2013.03.019
FGF21はげっ歯類のアディポネクチンの分泌を促進するが、肥満げっ歯類のセラミドの分泌は抑制する





関連サイト
http://syodokukai.exblog.jp/15176124
In vivoでのFGF21作用メカニズム
これらの統一的なメカニズムは明らかではないが、いくつかの仮説が報告されている。
FGF21の肝臓におけるインスリン抵抗性改善作用や脂肪組織におけるlipolytic/脂肪分解活性によるFFA低下作用、FGF21投与によるエネルギー消費亢進、などがそれである。
FGF21を投与すると視床下部に作用して、アグーチ関連ペプチド/Agouti-related peptide(AgRP)や神経ペプチドY/neuropeptide Y(NPY)産生が増加するという報告もある。
 

アスピリンはHMGB1を阻害する

2015-10-19 06:55:11 | 免疫
New study provides key insights into aspirin's disease-fighting abilities

October 9, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/10/151009185435.htm

今回の研究ではサリチル酸とHMGB1との相互作用が発見された

通常HMGB1は細胞の核内に存在するが、組織が傷害されたり免疫細胞や癌細胞によって分泌されると血流に入る
血流内のHMGB1は、感染から防御したり傷を修復する免疫細胞をリクルートして炎症を引き起こす
さらに、HMGB1はリクルートされた免疫細胞を活性化させ、サイトカインという炎症性のシグナル伝達タンパク質の遺伝子を発現させる


http://molmed.org/journal/articles/43/1797
Aspirin′s Active Metabolite Salicylic Acid Targets High Mobility Group Box 1 to Modulate Inflammatory Responses

アスピリンはヒトの血漿中でエステラーゼにより急速に脱アセチル化されるため、アスピリンの生物活性の多くはその主な代謝産物であるサリチル酸による

細胞外のHMGB1はdamage-associated molecular pattern molecule (DAMP) であり、多くの酸化還元状態がある
サリチル酸は、還元状態のHMGB1が持つ化学誘因活性を抑制し、
ジスルフィドHMGB1によって誘導される炎症性サイトカイン遺伝子の発現ならびにCOX-2発現の増大も抑制する
 


関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/01/150109084723.htm
皮膚に慢性的な炎症があるマウスではHMGB1が増加する
 

MMC9は重度の食物アレルギーを説明するかもしれない

2015-10-10 06:08:11 | 免疫
New cell type may help explain why some people have dangerous food allergies

September 22, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150922150225.htm

シンシナティ・チルドレンズ・ホスピタル・メディカルセンターの研究者は、食物アレルギーを強く促進するように思われる新しい種類の細胞をマウスで発見した
9月22日にImmunity誌で報告された彼らの研究は、なぜ食物アレルギーの反応が強い人とそうでない人がいるのかを説明するかもしれない


著者たちの今回の報告は『IL-9を産生する粘膜肥満細胞/IL-9-producing mucosal mast cells/MMC9』についてである
この細胞はIL-9という炎症性の免疫タンパク質を大量に作り、摂取した食物に対するアナフィラキシーショックを増幅する
細胞によって作られるIL-9の主な源はこれまで不明だったという

「食物アレルギー反応を引き起こすにはいくらかのIgEレベルが必要ではあるが、強い反応とアナフィラキシーanaphylaxisが起きるためにはMMC9細胞も必要であることを我々の研究は示唆する」
シンシナティでアレルギー免疫部門のYui-Hsi Wang, PhDは言う

「MMC9細胞がなければ、強い食物アレルギーにはならないだろう」


ピーナッツや貝などによって始まるIgEと関連する食物感受性は、子どもの免疫系を刺激して急激に高め、制御不能になる
それは腸や他の臓器に分子的な連鎖反応を引き起こし、結果として、下痢diarrhea、低体温hypothermia、呼吸窮迫/respiratory distress、ショックが起きる
約40%の子どもがIgEに関する何らかの食物感受性を持つが、アナフィラキシーショックのような強い反応が起きるのはそのうち8%だけである
WangたちはIgEに関するアレルギー反応への感受性の強弱が遺伝的に影響されると考えているが、
どのようにして遺伝学的な要因がこれらの分子的な連鎖反応につながるのかは正確にはなお不明のままである


ヒトの感受性の程度が多様であるように、マウスの感受性も様々である
それを説明するために研究者はいくつかの遺伝的に異なる系統のマウスで研究を実施し、
マウスに卵の白身/オボアルブミンを与えてアレルギー反応と生物学的反応が起きるよう刺激した

それらのマウスにアレルギー感作を誘導すると、ある系統のマウスはMMC9細胞を大量に作り、他の系統は作らなかった
MMC9細胞が作られなかったマウスはわずかなアレルギー反応しか示さず、
MMC9細胞が腸に作られたマウスは、それはIgEレベルが高いか低いかにかかわらず、全て重度のアレルギー反応が生じた

MMC9細胞が作られるためには、Th2というCD4+T細胞の存在と、IL-4とSTAT6が必要であるとWangたちは報告する
大量のIL-9を産生することでMMC9細胞は肥満細胞症/mastocytosisを引き起こして、肥満細胞を作らせる
肥満細胞は腸から他の臓器に移動して、ヒスタミンや他の分子を分泌してアナフィラキシーを引き起こす

※IL-9: インターロイキン9。活性化T細胞、肥満細胞などの増殖を促進する


MMC9細胞がマウスで重度のアレルギー反応を促進するのかを確かめるため、
研究者はマウスに『抗FcεRIモノクローナル抗体/anti-FcεRImAb』を投与した
この抗体は(MMC9)細胞を消去してアレルギー症状を抑制したが、
同じマウスにMMC9細胞を戻すと再び食物アレルギー症状を示すようになったresumed exhibiting food allergy symptoms

※mAb: モノクローナル抗体


MMC9細胞がヒトの食物アレルギーにも関与するかを確認するために食物アレルギー患者の小腸の生検サンプルを分析した結果、
Il9の遺伝子転写ならびに関連する転写の発現が増加しているのが判明した
Wangたちは現在、ヒトでマウスのMMC9細胞と同等の細胞(オーソログortholog)を発見しようとしているところだという

研究者の目的の一つは、細胞とその生物学的メディエーターを同定して、食物アレルギー用の血液テストの開発に使えるようなバイオマーカーを見つけられるかどうか調べることである
最終的には、どの患者が重度の食物アレルギーリスクがあるのかを決定するための血液テストを開発し、食物アレルギーの治療を改善したいとWangは言う


http://dx.doi.org/10.1016/j.immuni.2015.08.020
Induction of Interleukin-9-Producing Mucosal Mast Cells Promotes Susceptibility to IgE-Mediated Experimental Food Allergy.


Summary
これらの事情を考慮してherein、我々は多機能multifunctionalのIL-9産生粘膜肥満細胞/IL-9-producing mucosal mast cells (MMC9s) を同定したことを報告する
MMC9は大量のIL-9とIL-13をIL-33に応じて分泌し、
肥満細胞プロテアーゼ-1/mast cell protease-1 (MCPt-1) を抗原-IgE複合体の架橋crosslinkingに応じて分泌する



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/b46d5a405befa334675895f81d890632
GITRは未成熟なT細胞から腫瘍を殺す活性化Th9細胞へ分化するように促進し、Th9は腫瘍と戦うためのIL-9を発現させる
 


関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/305eb8758c89181480425e88fcdd8783
アレルギーが脳腫瘍から保護することを示唆するサイトカインの関係を研究者は発見した
脳腫瘍と診断される20年も前の高レベルのIL-4は神経膠腫を発症する可能性の減少と関連することを分析は示した



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/9f5d96ebecff19834f708c991ad636be
IL13Rα2は、IL-13に高親和性だがシグナルを伝達しないデコイ受容体であり、IL-13のシグナルを阻害する
興味深いことに、IL13Rα2の発現の高さは神経膠腫と頭頸部癌の発症と関連し、
膵臓癌、卵巣癌、結腸直腸癌の浸潤と転移を促進する
 

TNFは腸炎で悪者か?

2015-10-01 06:30:27 | 免疫
Tumor necrosis factor in colitis: Bad actor or hero?

September 25, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150925085956.htm

ロサンゼルス小児病院/CHLAの研究者は、炎症性腸疾患/IBDの治療で共通して標的にされる分子が実際には病原性のT細胞を阻害することで腸炎から保護しているかもしれないことを発見した
Gastroenterology誌の2015年10月号で報告された今回の発見は、抗TNF療法に反応しないか抵抗するようになる65%の人たちの新たな治療オプションにつながる可能性がある

筆頭著者のShivesh Punitによると、TNF受容体2は/TNFR2は、驚くべきことにマウスの腸炎を軽減するmitigatesという
そしてIBD患者の主な治療はTNFを標的とする治療である


今回の研究ではIBDマウスでのTNFR2の役割を調べた
生物学的なTNFの活性はTNFR1とTNFR2という二つの受容体によって仲介されるが、
TNFR2は主に免疫細胞に存在し、炎症の間は腸の上皮細胞でも増加する

研究者が抗TNF抗体による治療を真似てこの受容体を阻害したところ、
腸炎の重症度は増大し、腸炎発症までの時間は減少した

この結果がTNFR2によって仲介されたかを調べるため、研究者は骨髄を移植した
TNFR2を欠損する骨髄を移植されたマウスは重度の腸炎を発症した

研究者は、TNFR2の欠損が細胞傷害性CD8+T細胞を2倍増加させたことにも言及している
CD8+Tを特異的に阻害するとIBDは治癒しresolve、CD8+TだけでTNFR2を欠損させるとIBDは悪化した

これらの観察から研究者は、この動物モデルではCD8+T細胞がIBDを悪化させ、TNFR2はCD8+T細胞を阻害することでIBDを軽減させると結論した


http://dx.doi.org/10.1053/j.gastro.2015.06.004
Tumor Necrosis Factor Receptor 2 Restricts the Pathogenicity of CD8 T Cells in Mice With Colitis.
腸炎マウスにおいてTNF受容体2はCD8+T細胞の病原性を制限する



関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150925085536.htm
http://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/research/2015_07_21_01.html
SAP-1はCEACAM20を脱リン酸化して腸炎を防ぐ@神戸大学
 

ミトコンドリアとNKT細胞の活性化

2015-09-25 06:28:56 | 免疫
Novel role of mitochondria identified in immune function

September 18, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150918083115.htm

スクリップス研究所/The Scripps Research Institute (TSRI) の研究者は、RIPK3というキナーゼの新しい役割を発見した
RIPK3はネクロプトーシスという細胞死に関与することが知られているが、ミトコンドリアと免疫系との間のシグナルも中継する
今回の研究は、このクロストークが腫瘍への免疫応答を開始するために重要であるだけでなく、自己免疫疾患につながるような炎症応答の調節にとっても重要であることを示す


RIPK3はネクロプトーシス/necroptosisと呼ばれる細胞死を制御し、ネクロプトーシスは有害な変異や感染から人体を守っている
しかしながら、RIPK3の免疫系における役割を完全には理解されていなかった

RIPK3を欠損するマウスで実験したところ、RIPK3はNKT細胞の活性化を調節することがわかった
NKT細胞は自己免疫疾患の発症と癌の破壊の両方に関わる免疫細胞である

RIPK3はネクロプトーシスを直接は引き起こさず、
代わりにRIPK3はミトコンドリアの酵素であるPGAM5の活性を調節してNKT細胞で炎症性サイトカインの発現を引き起こす

科学者たちの知る限り、これはミトコンドリアとNKT細胞との間の経路を示す初めての研究である
この経路を理解することでNKT細胞をうまく制御して腫瘍を攻撃する方法を開発できるかもしれない

また、今回の研究はこの経路に介入interveneして炎症を抑制する方法の存在を示唆する
実際、RIPK3を欠損させたマウスまたは阻害したマウスは急性肝臓障害の誘導から保護された


http://dx.doi.org/10.1038/ncomms9371
Regulation of NKT cell-mediated immune responses to tumours and liver inflammation by mitochondrial PGAM5-Drp1 signalling.

Abstract
RIPK3キナーゼはNKT細胞のサイトカイン産生機能にとって重要だが、それはPGAM5ミトコンドリアホスファターゼの活性化を介する

RIPK3: receptor-interacting protein kinase 3
PGAM5: mitochondrial phosphatase phosphoglycerate mutase 5
※PGAM5はムターゼmutaseという名称だが、ムターゼとしての活性はなくホスファターゼとして機能する

RIPK3によって仲介されるPGAM5の活性化は、NFATの核への移行ならびにDrp1の脱リン酸化によってサイトカインの発現を促進する
(Drp1はミトコンドリアの恒常性homoeostasis/homeostasisにとって重要なGTPアーゼ)

Ripk3−/−マウスは転移腫瘍細胞に対するNKT細胞の反応が低下し、
RIPK3の欠失deletionならびにDrp1の薬理学的阻害はどちらもNKT細胞を介する急性肝障害の誘導からマウスを保護する

※実験ではα-ガラクトシルセラミド/α-galactosyl ceramide/α-GalCerによってNKT細胞を活性化させて、サイトカイン(IFN-γ, TNF, IL-4)を発現させている

まとめると、今回の研究はNKT細胞の活性化においてRIPK3-PGAM5-Drp1/NFATシグナル伝達に関する重要な役割を同定するものであり、
さらに、RIPK3-PGAM5シグナル伝達がミトコンドリア機能と免疫シグナル伝達との間のクロストークを仲介することを示唆する


Results
TCR signalling regulates RIPK3-mediated NKT cell activation

T細胞受容体/TCRを介するPLCγとVav-1シグナル伝達は、TGF-β-activated kinase 1 (TAK1) を活性化させる
TAK1は、T細胞の発達と活性化の調節に関してTCRシグナル伝達を統合する際に関与する
TAK1はRIPK3の上流に作用してその活性を調節し(47、そしてTAK1の活性化にはアダプタータンパク質のTAK1-binding protein 2 (TAB2) が必要である(48, 49


まとめると、今回の結果はT細胞受容体に依存的なRIPK3-PGAM5-Drp1シグナル伝達がNKT細胞を介する免疫応答に深く関与する (Fig. 9i) ことを示す
このシグナル伝達の中心軸/axisにはPLCγ, Vav-1, TAB2が必要であり、このシグナル伝達はNFATの核移行とDrp1の脱リン酸化を促進することにより炎症性サイトカインの発現を誘導する

PGAM5はミトコンドリアの外膜に局在することを考慮すれば、我々の研究結果はこのホスファターゼが
癌や急性の炎症性疾患のような疾患における
NKT細胞のミトコンドリア機能とサイトカイン産生との間のクロストークの調整において
重要な役割を演じることを示唆する



Figure 9

(i) A model of RIPK3-PGAM5-Drp1-mediated NKT cell activation.

[NKT細胞]
 T細胞受容体→カルシニューリン,RIPK3→NFAT,Drp1→サイトカイン産生
 


関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/4229f11c7beae7aa3401732c2526dc74
高脂肪に加えてコリンが不足した食生活を続けていると、NKT細胞が分泌するLIGHT(TNFSF14)が脂肪肝を引き起こし、CD8T細胞とNKT細胞が肝細胞を傷害して炎症が起きる



関連サイト
http://first.lifesciencedb.jp/archives/9449
RIPK3はネクローシスに非依存的にサイトカインの産生および組織の修復を促進する
 

関連サイト(pdf)
http://www.astellas.com/jp/byoutai/other/reports_h21/pdf/14_imai.pdf
パーキンソン病原因遺伝子産物PGAM5がミトコンドリアの機能を維持する分子メカニズムの研究
 

なぜ市中感染型MRSAは危険ではないのか

2015-09-15 06:05:56 | 免疫
Study points to a possible new pathway toward a vaccine against MRSA

Key finding of dueling bacterial toxins shows why hospital superbug is so deadly -- and its close relatives are not

September 9, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150909090623.htm

MRSAには、HA-MRSAとそれより毒性の低いCA-MRSAがある

※CA-MRSA/community-acquired-MRSA: 市中感染型MRSA


HA-MRSAとCA-MRSAはどちらも毒性の高いLUK-EDを分泌するが、
CA-MRSAはLUK-PVも分泌して、LUK-EDの作用と拮抗する


http://dx.doi.org/10.1038/ncomms9125
Counter inhibition between leukotoxins attenuates Staphylococcus aureus virulence.

白血球毒素leukotoxinsのLukSF-PVとLukEDは、お互いの細胞溶解活性と拮抗する

ヒトとマウスの赤血球に対するLukEDの溶血活性haemolytic activityのLukSF-PVによる阻害は、in vitroの細菌増殖を妨害した

LukSF-PVは、LukEDを阻害することにより、黄色ブドウ球菌S. aureusのビルレンスvirulenceとコロニー化colonizationに負の影響を与える
 

肥満細胞は悪党なだけではない

2015-09-10 06:29:31 | 免疫
A possible cure for allergies?

September 8, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/09/150908094114.htm


(スイス、日本、アメリカの科学者たちは、マスト細胞がアレルギー反応を引き起こす『悪党』であるだけではなく、『良い面』も持っていることを明らかにした
マスト細胞は制御性T細胞を作り出してアレルギー反応を抑制する)

マスト細胞はIL-2を分泌して制御性T細胞(Treg)を誘導する
Tregは気道でIL-10を分泌してアレルギー性炎症プロセスの抑制を誘導する

Tregは過剰な免疫応答とその結果として起きる炎症を鎮圧できることが以前から知られていたが、
Tregを治療として使うには大量に必要であり実現するのは容易ではなかった
血液中にTregは少なく、試験管でも作成するのは難しい

それがマスト細胞を使うことで、簡単にそして大量に作ることが可能だったという

「我々が発見したメカニズムは、アレルギーを制御する新たな方法の基盤となりうるだろう」
慶應義塾大学の森田英明は言う


http://dx.doi.org/10.1016/j.immuni.2015.06.021
An Interleukin-33-Mast Cell-Interleukin-2 Axis Suppresses Papain-Induced Allergic Inflammation by Promoting Regulatory T Cell Numbers




関連サイト
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/research/papers/post_64.php
>今回の研究成果は、マスト細胞はIL-33で活性化されると制御性T細胞だけを選択的に増やし、その結果気管支喘息を抑制する作用があることを初めて明らかにしました。


関連サイト
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25043027
>The alarmin IL-33 promotes regulatory T-cell function in the intestine.
(アラーミンのIL-33は腸において制御性T細胞の機能を促進する)
 


乳腺は適応免疫系によって形成される

2015-09-02 06:07:28 | 免疫
Mammary gland is shaped by adaptive immune system during development

August 27, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150827122046.htm

マウスの乳腺が急激に発達する間、抗原提示細胞が増殖して近くのCD4+T細胞にシグナルを送り、CD4+Tはインターフェロンγを分泌することで上皮細胞の増殖を止める

インターフェロンγを分泌するCD4+T細胞のサブ集団はTh1と呼ばれ、以前の研究でTh1の割合が高い癌患者は予後が良いことが報告されている
Th1が分泌するインターフェロンγは多くのタイプの腫瘍で細胞増殖を止めることが示されている
これらの観察は今回新たに明らかにされたCD4+T細胞の正常な発達プロセスの停止における役割によって部分的に説明されると研究者のPlaksとWerbはいう

http://dx.doi.org/10.1016/j.devcel.2015.07.015
http://www.cell.com/developmental-cell/abstract/S1534-5807(15)00488-8
Adaptive Immune Regulation of Mammary Postnatal Organogenesis

 

免疫療法がかえってT細胞を麻痺させる

2015-08-23 06:28:05 | 免疫
Early inflammatory response paralyzes T cells

Findings could have enormous implications for immunotherapy, autoimmune disorders, transplants and other aspects of immunity

August 18, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150818142605.htm

T細胞の活性化には3つのシグナルが必要(抗原提示、補助刺激、サイトカイン)

サイトカインの曝露が先行すると、T細胞は麻痺する

「免疫療法は癌と戦うかもしれないが、それは免疫を阻害して日和見感染にもつながる可能性がある」


http://dx.doi.org/10.1016/j.immuni.2015.06.023
Out-of-Sequence Signal 3 Paralyzes Primary CD4 T-Cell-Dependent Immunity.

 
Highlights
・サイトカイン上昇に前もって曝露すると、TCRによるCD4+T細胞の活性化は損なわれる

・サイトカインは直接Socs3を誘導して、IL-2シグナル伝達と増殖を抑制する

・麻痺している間の抗原との接触は、CD4+T細胞のヘルパー機能helpとメモリー応答を阻害する

・麻痺は全身的炎症の間の潜在的自己免疫から保護しうる
 

スタチンはなぜ諸刃の剣なのか

2015-08-16 08:21:08 | 免疫
Why statins should be viewed as a double-edged sword

August 12, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150812134445.htm

マクロファージは主に骨髄から生じるが、テュレーン医科大学Tulane University School of Medicineの研究によるとマクロファージは全身に存在する間葉系幹細胞/MSCsからも生じる
骨髄の幹細胞は主に血球に分化するが、MSCsはあらゆる種類の細胞(骨、軟骨、筋肉、マクロファージ)になる

今回の研究で、長期のスタチン投与はMSCsがマクロファージへ分化するのを阻害することが発見された
これは炎症を抑制して心血管疾患患者のプラーク安定性を改善するが、同時にMSCsの骨や軟骨への分化も抑制する
スタチンはMSCsの加齢と死亡率を上昇させ、DNA修復能力を低下させる

スタチンはアテローム硬化症には有効だが、幹細胞への影響のため予防法としては不適切かもしれないと研究者は記している


http://dx.doi.org/10.1152/ajpcell.00406.2014
The Impact of Statins on Biological Characteristics of Stem Cells Provides a Novel Explanation for Their Pleotropic Beneficial and Adverse Clinical Effects.
 

花粉によるアレルギーの原因となるメカニズム

2015-08-11 07:04:19 | 免疫
Study uncovers mechanism responsible for pollen-induced allergies

July 22, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150722115630.htm

通常のマウスをブタクサ花粉ragweed pollenの抽出物に曝露させると、気道へ好中球を引き寄せるケモカインの合成が促進された

研究者は次に、遺伝子操作によりケモカイン産生を引き起こす遺伝子を欠損させたマウスでブタクサ花粉への反応をテストした

その結果、このマウスはブタクサ花粉に曝露してもケモカインのレベルが増加せず、好中球やアレルギー感作も増幅されなかった

この遺伝子操作マウスにブタクサとともに好中球を繰り返し投与すると、アレルギーの感作は回復した


「今回のデータは、気道で花粉の存在に反応を強制されると体は好中球を呼び寄せ、気道に持続的な酸化ストレスの状態を誘導することを示唆する。この種の細胞ストレスはどんな原因からでもアレルギー性喘息を悪化させうる」
University of Texas Medical Branch at Galveston/UTMBのKoa Hosokiは言う

「これまで、花粉曝露後の好中球リクルートは非特異的なイベントだと考えられていた」


http://dx.doi.org/10.1165/rcmb.2015-0044OC
Pollen-induced Innate Recruitment of Neutrophils Facilitates Induction of Allergic Sensitization and Airway Inflammation.

 花粉─TLR4→CXCL→CXCR4→好中球→アレルギー感作
 


関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/37e5826c4c2cb549eed786524b6b002b
腸内の微生物の攻撃で活性化されたタイプ3の細胞は、直接タイプ2細胞に作用してその活動を阻害し、その結果タイプ2はアレルギー性の免疫応答ができなくなる
 

高血糖は免疫系の機能不全を引き起こす

2015-08-09 08:11:28 | 免疫
High blood sugar of diabetes can cause immune system malfunction, triggering infection

Scientists show how sugar-derived molecules can weaken infection-fighting antimicrobial beta-defensin peptides

August 6, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/08/150806151354.htm

ジカルボニルdicarbonyls化合物であるメチルグリオキサールmethylglyoxal (MGO) とグリオキサールglyoxal (GO) は、ヒトβ-ディフェンシン-2 (hBD-2) ペプチドの構造を変化させて、炎症ならびに感染と戦う機能を阻害する


ジカルボニルはhBD-2のいくつかのアミノ酸残基に結合し、特にhBD-2の表面近くに位置する正に帯電した2つのアルギニン残基にpositively charged arginine不可逆に結合する
タンパク質の正または負の帯電はタンパク質や抗菌ペプチドの機能に関与し、他の化合物や分子との相互作用に影響するので重要である

ジカルボニルで処理したhBD-2はグラム陰性細菌の攻撃を止める能力が大幅に低下し、
細菌の増殖を阻害して殺す能力が約50%減少し、免疫細胞を呼ぶ能力も低下した


http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0130533
Modification of β-Defensin-2 by Dicarbonyls Methylglyoxal and Glyoxal Inhibits Antibacterial and Chemotactic Function In Vitro.
ジカルボニル化合物のメチルグリオキサールならびにグリオキサールによるβ-ディフェンシン-2の修飾は、抗菌機能ならびに化学走性をin vitroで阻害する
 

1型糖尿病は4つのタンパク質の血中レベルが低い

2015-08-09 07:00:54 | 免疫
Type 1 diabetes patients have lower blood levels of four proteins that protect against immune attack

July 29, 2015

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/07/150729155243.htm

1型糖尿病の子供と健康な子供で、13のサイトカインを調べたところ、
1型ではIL-8, IL-1Ra, MCP-1, MIP-1βが低かった


MIP-1βは動物モデルでT1Dを防ぐことが示されている

IL-1Raの遺伝子組み換えrecombinant versionは既に関節リウマチで使われ、T1D/T2Dでも研究中である

新規にT1Dと診断された患者での研究では、寛解remissionに至る人はIL-1Raのレベルが高いことが示されている


サイトカイン・ケモカインは炎症を促進も抑制もする(MIP-1βは両方である)
適切な比率the proper mixは炎症が起きないようにするのを助ける
例えば、複数の種類の細胞から分泌されるIL-1Raは、炎症性サイトカインIL-1βのアンタゴニストである


http://dx.doi.org/10.1210/JC.2015-1388
Large scale discovery and validation studies demonstrate significant reductions in circulating levels of IL8, IL-1Ra, MCP-1 and MIP-1β in type-1 diabetes patients.