機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

2014年5月28日

2014-05-30 22:32:16 | 

白血病と他の癌の薬剤耐性のメカニズムに関する重要な発見



急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia; AML)が抗癌剤に抵抗して再発へとつながるメカニズムが、モントリオール・ユニヴァーシティの免疫学・癌研究所(Institute for Research in Immunology and Cancer; IRIC)のキャシィ・ボーデンたちによって特定された。



ボーデン教授のチームによる以前の研究は、リバビリン(本来は抗ウイルス剤として開発された化合物)の使用が、ある種の癌患者にとって有効であることを指し示した。

しかし、彼らの最近の論文では、大部分の患者でリバビリンならびに標準的な化学療法薬のシタラビンは、最終的に癌細胞を殺す効果がなくなると研究者は記載する。



「AMLと頭頸部腫瘍の薬剤耐性癌細胞を研究することにより、我々はGLI1という遺伝子がこれらの細胞で過剰に活性化していることを発見した」、Nature論文のファースト著者、Hiba Zahreddineは説明する。

「Pharmascience社の同僚の助けを借りて、我々はGLI1が薬に対する特定の化学変化に結びついて、癌細胞への毒性を妨害することを示した」、ボーデン教授は続ける。

幸いにも、GLI1の活動を阻害する薬は現在利用できる、そして、これらの薬がリバビリン感度が高い状態へと癌細胞を切り替えることができることを科学者は示した。



「もしこの新しいアプローチが成功すれば、幅広い応用が可能だ。

リバビリンの作用様式はすべての癌の最高30%(AMLに加えて、胸部、前立腺、結腸、胃と頭頚部癌のいくつかのタイプを含む)に対して効果的でありえることを示唆するからだ。」、Pharmascience社の共創設者で取締役会長であるモリス・グッドマンは説明する。

学術誌参照:
1.ソニックヘッジホッグ・ファクターGLI1は、誘導性のグルクロン酸抱合を通して薬剤耐性を与える。

Nature、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140528132659.htm

<コメント>
ソニックヘッジホッグ・シグナルによって活性化されるGLI1(glioma-associated protein 1)という転写因子がグルクロン酸抱合(glucuronidation)を誘導して、リバビリンとシタラビン(cytarabine; cytosine arabinoside)に対する薬剤耐性が生じることが判明したという研究です。


2014年5月22日

2014-05-30 11:50:28 | 

癌に燃料を供給する代謝経路における重要なメカニズムが特定される



テキサス・ユニヴァーシティ・サザンウェスタンのChildren's Medical Center Research Institute(CRI)で、ラルフDeBerardinis医学博士の研究チームは飛躍的な発見をした。

ある種の癌は、例外的な代謝経路によって繁栄する。

そのコードの解読にとって重要な段階が突破された。これはそのような癌を打ち破るロードマップの可能性を我々に与える。



2011年のDeBerardinis博士の画期的な発見に関する追跡調査で、『逆方向に走るクレブス回路』というエネルギーを生じる一連の化学反応を引き起こすことにおいて重要な役割を果たす、引き金となるメカニズムが特定された。

「この発見で我々は、逆方向の経路が機能することを可能にする特別な酵素があるということを知った。それらの酵素は一緒に作用して、まさしく機械式時計の小さいギアのように、経路を反対方向に駆動する。」

CRI遺伝病・代謝病プログラムの責任者で、小児科学部の準教授である筆頭著者のDeBerardinis博士は言った。



脳、肺と腎臓でしばしば発見されるタイプの腫瘍は、腫瘍学者が治療するのが困難な傾向がある。

なぜならそれらの腫瘍は例外的な経路を使っており、化学療法のような既存の治療を阻止すると思われるからだ。

「この発見の以前、我々には、典型的で正常な方向に機能している経路を阻害することなく、逆方向の代謝経路をたたく方法に関して十分な情報がなかった。」

「我々は、逆方向の経路に対してきわめて重大な特定の酵素があると考えている。それは、正常な機能を損なうことなく削除することができる。

もし我々がその酵素を除去することができるならば、腫瘍が成長するための建築用ブロックの供給を奪うことが可能になるかもしれない。」

DeBerardinis博士は言った。

学術誌参照:
1.α-ケトグルタル酸の酸化は、ミトコンドリアの障害を伴う癌細胞において還元的カルボキシル化のために必要とされる。

Cell Reports、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140522141319.htm

<コメント>
ある種の急激に増殖する腫瘍のミトコンドリアでは、通常の「時計回り」のTCA回路に加えて、逆の向きの「反時計回り」の還元的カルボキシル化(reductive carboxylation)という経路が生じています。

その経路では、グルタミンからの代謝によるα-ケトグルタル酸と、その酸化によるNADHが重要だという研究です。

下図のNNTは、NADH - NADPH間のプロトン移動を触媒するNicotinamide Nucleotide Transhydrogenaseという酵素です。



関連記事には「還元的カルボキシル化」に関する2011年のNatureの論文が挙がっています。
こちらの記事では「逆向きクレブス回路(reverse Krebs cycle)」と呼ばれています。

http://www.sciencedaily.com/releases/2011/11/111122113006.htm

>For more than 70 years, biology textbooks have depicted the Krebs cycle as running clockwise in normal cells.

>UT Southwestern researchers found that in some tumors the cycle runs in reverse.

http://www.nature.com/nature/journal/v481/n7381/full/nature10642.html

>Reductive carboxylation supports growth in tumour cells with defective mitochondria.
(還元的カルボキシル化は、ミトコンドリアに異常がある腫瘍細胞の成長を支える)

>Here we show that tumour cells with defective mitochondria use glutamine-dependent reductive carboxylation rather than oxidative metabolism as the major pathway of citrate formation.

>This pathway uses mitochondrial and cytosolic isoforms of NADP+/NADPH-dependent isocitrate dehydrogenase, and subsequent metabolism of glutamine-derived citrate provides both the acetyl-coenzyme A for lipid synthesis and the four-carbon intermediates needed to produce the remaining CAC metabolites and related macromolecular precursors.


2011年2月15日

2014-05-29 05:58:09 | 

エストロゲンは乳癌において乳癌幹細胞と攻撃性を低下させる、研究は示唆する



スペインのCIC bioGUNEの研究者は、エストロゲンが乳癌のリスクを低下させる可能性を明らかにした。

彼らの研究は、エストロゲンが乳癌幹細胞の数を低下させる可能性を示す。そして、それは腫瘍のより低い攻撃性と、結果として、より良い予後の可能性を説明するかもしれない。

プロジェクトはBreast Cancer Research and Treatmentで公表され、研究チームはマドリードで開催される乳癌に関する国際会議で結果を発表する。



現在まで、癌に対する治療は、腫瘍の塊を減少させるように設計されていた。

しかし、従来の治療(例えば化学療法と放射線)は腫瘍の大部分を殺すことができる一方で、癌幹細胞は治療に抵抗する。

したがって、有効で決定的な癌の治療のためには、癌幹細胞も除去する方法を発見することが重要である。



エストロゲンは胸部の正常な発達と機能のために必須であるが、他方では、この同じホルモンはいったん乳房腫瘍が現れると癌細胞の増殖を誘導する。

すなわち、また、エストロゲンは乳癌の危険因子である。



近年、癌幹細胞の数が、腫瘍の攻撃性と相関していると提案された:

乳癌幹細胞のパーセンテージは大きいほど、攻撃性は大きく、そして、それによって、予後は悪くなる。


「驚いたことに、エストロゲンは、胸部幹細胞の比率を低下させる。そしてそれは、エストロゲン受容体を発現する腫瘍で観察される良好な予後を説明するメカニズムを意味する。

すなわち、エストロゲン受容体を発現している腫瘍は、より悪性度が低く、より十分に分化していて、したがって予後が良い」、研究チームのリーダーであるマリアVivancoが説明する。



CIC bioGUNE研究者によれば、今回の研究は、幹細胞の比率に対するエストロゲンの直接的な影響(健康な組織か癌組織かにかかわらず)についての分子的な基礎を説明する。

そして、エストロゲン受容体が優れた予後マーカーであるという事実もである。



さらに、多くの臨床観察を説明する。例えば、

閉経後患者の血液中のエストロゲンレベルの高さは、より悪性でない腫瘍と関連する;

ほとんど分化していない腫瘍はより癌幹細胞を含んでいて、それは腫瘍の程度・エストロゲン受容体の欠如・生残率の低さと関連する;

そして、観察されてきた授乳の利点。これは胸部でより大きい分化に寄与する。

学術誌参照:
1.胸部における幹細胞の比率に対するエストロゲンの影響。

Breast Cancer Research and Treatment、2010;

http://www.sciencedaily.com/releases/2011/02/110214083811.htm

<コメント>
関連記事からです。
女性ホルモンのエストロゲンの高さと、乳癌の分化の度合い、癌幹細胞の比率の低さ、生存率の高さは、すべて関連するというものです。

内容とは関係ありませんが、GUNEというのはバスク語で「地域」や「サービス拠点」という意味だそうです。


2014年5月22日

2014-05-28 20:46:15 | 

宿主の細胞をリクルートして乳癌の転移を可能にするシグナルが発見される



ある種の乳癌が2種類の正常な細胞(癌の転移のために必要とされる)をリクルートするために使う化学シグナルがマウスで発見されたことを、ジョンズ・ホプキンスの研究者は報告する。

「もしヒトで同じシグナルを妨害する薬が発見されるなら、それは現在の乳癌治療にとってさらに役立つものになる ― 特に化学療法抵抗性の腫瘍患者にとっては ― 」、研究者の1人が言う。



「マウスの腫瘍でこれらの細胞をリクルートするシグナルの1つを妨害すると、転移もしくは拡散される可能性を大幅に低下させた」、ジョンズホプキンス大学医学部の細胞エンジニアリング研究所の血管生物学プログラム教授で管理であるグレッグSemenza医学博士は言う。

Semenzaの研究グループは低酸素誘導因子1(HIF-1)と呼ばれる化学シグナルを研究している。

低酸素状況に対処するのを助けるために、細胞はHIF-1をリリースする。



研究グループは以前、HIF-1が乳房腫瘍細胞が低酸素状況を生き残るのを助けることを発見した。

乳癌細胞は低酸素においてしばしば生存し、肺のような体内の他の部分へと広がる。

「乳癌で患者を殺すのは、最初の腫瘍ではない。転移である」、Semenzaは言う。



さらにSemenzaのグループは先行研究で、HIF-1により間葉系幹細胞(MSC)が近くの乳癌細胞に対してシグナルをリリースすることを発見した。

その結果、乳癌細胞は転移する可能性が高まった。



研究者は、このコミュニケーションが(癌細胞と間葉系幹細胞という)両方の道を走る可能性があり、そしてまた、幹細胞の存在が、癌による宿主の白血球のリクルートを助けている可能性も推測した。



乳癌は転移するために、間葉系幹細胞と白血球を含む、いくつかのタイプの宿主細胞のサポートを必要とするとSemenzaは言及する。

Semenzaのチームは、乳癌細胞、間葉系幹細胞と、白血球の間を飛び交っている網の目のようなシグナルをマップするために、さまざまなタンパク質の機能を妨害する化学物質をシャーレの癌細胞に使った。

ポジティブなフィードバックループの一つが、間葉系幹細胞を乳癌細胞へと近づけた。

幹細胞と癌細胞の間の別々のシグナルループは、白血球に引き寄せる「ビーコン(標識)」を癌細胞にリリースさせた。

ウェブのすべてのシグナルの濃度は、HIF-1の存在によって増大された - そして、最終的には低酸素状況によって。



チームはその次に、遺伝的なエンジニアリングを使って乳癌細胞による細胞リクルート・シグナルのレベルを低下させ、雌のマウスへとそれらの細胞を移植した。

変更のない乳癌細胞と比較して、リクルートの能力が減少した細胞は、同様の大きさの腫瘍へと成長した、が、拡散する可能性が非常に低下した。

本研究で使われる乳癌細胞の全ては、いわゆるトリプル・ネガティブ(エストロゲン、プロゲステロンとヒトの上皮成長因子受容体2のために受容体を欠いている)であった。

トリプル・ネガティブはそれらの受容体を目標にする治療法へと反応せず、さらに、それらがより多くのHIF-1を含むので他の乳癌より致命的な傾向があるとSemenzaは言う。

「本研究は、HIF-1阻害薬が特にトリプル・ネガティブ乳癌にとって有効であるというエビデンスへと加わる」、彼は言う。

この種類のいくつかの潜在的な薬は、今、開発の早期の段階である、彼は付け加えた。

学術誌参照:
1.トリプル・ネガティブ乳癌細胞と、間葉系幹細胞の間の低酸素誘導因子依存的なシグナル伝達は、マクロファージ・リクルートを促進する。

Proceedings of the National Academy of Sciences、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140522175637.htm

<コメント>
トリプル・ネガティブ乳癌細胞(BCC; breast cancer cell)と間葉系幹細胞(MSC; mesenchymal stem cell)の間の、2つの独立した(independent)、しかし転写因子HIF(hypoxia-inducible factor)に依存的な(dependent)ケモカインのフィードフォワード・ループが、BCCによるCSF-1(macrophage colony-stimulating factor 1)の転写を誘発し、それが腫瘍関連マクロファージ(Mφ)や骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC; myeloid-derived suppressor cell)のようなストロマ細胞をリクルートして、BCCの浸潤や転移を刺激するという研究です。

トリプル・ネガティブBCCではもともとHIFの発現が高く、そして低酸素もHIFを誘導して、フィードバック・ループと相乗作用します。

Abstractによれば、2つのループとは次のようなものです。

[1st]

(BCC) CXCL16 → (MSC) CXCR6

(MSC) CXCL10 → (BCC) CXCR3

→MSCリクルート

[2nd]

(MSC) CCL5 → (BCC) CCR5

(BCC) CSF1 → (MSC) CSF1受容体

→腫瘍関連Mφ・MDSCリクルート → BCC浸潤/転移



2014年5月25日

2014-05-28 14:46:24 | 

癌細胞の浸潤を引き起こすシグナル



癌細胞は精巧に統制された方法で近くの組織に侵入するが、その能力を制御するシグナル経路がイェシーバ・ユニヴァーシティのアルバート・アインシュタイン医科大学の研究者によって発見された。この発見は、転移に関与する早期の分子イベントへの洞察を与える。

癌細胞が原発腫瘍(primary tumor)から移動するためには、まず最初に細胞外マトリックス(ECM)という周囲の結合組織を突破しなければならない。

癌細胞は一時的にinvadopodia(浸潤突起; 癌細胞が侵入するために使う足様の突出。podiaはpodiumの複数形。pod/podiaはギリシャ語で『足』)を形成することによって突破する。invadopodiaはECMを分解させる酵素を放出し、他の突出は機関車が電車を引くように癌細胞を前方へ引っぱる。

浸潤する癌細胞は、腫瘍から体の遠い部分へと運ぶ近くの血管に入るためにinvadopodium形成と消失のサイクルに依存する。



「我々はinvadopodiaがアクチンと呼ばれるタンパク質フィラメントによって引き起こされるということを以前から知っていた」、研究のリーダーでアインシュタイン医科大学の解剖構造生物学准教授のルイス・ホジソン博士は言う。

先行研究では、Rac1と呼ばれるタンパク質が癌細胞の浸潤で役割を果たすことが示唆された。Rac1レベルが上昇すると癌細胞はより浸潤性の特性を示す。しかし、invadopodiaのそのような疑わしいRac1の活動はこれまで直接に観察されず、間接的に推測されているだけだった。

このハードルを乗り越えるために、ホジソン博士とアインシュタインのGrussリッパーBiophotonicsセンターの彼の同僚は、生きている細胞の画像化と組み合わせた蛍光タンパク質バイオセンサーを考案した。それはRac1が癌細胞のどの場所でどのような時に活性化されるかについて正確に明らかにする。

アインシュタインの研究チームは齧歯動物とヒトから得られた非常に浸潤しやすい乳癌細胞でこのバイオセンサーを使って研究を行った。その結果、個々のinvadopodiumが形成されて活発にECMを分解する時のRac1レベルは低い一方、Rac1レベルの上昇はinvadopodiumの消失と同時に起こることを発見した。

「Rac1の高いレベルはECMを分解するinvadopodiaの消失を誘発する一方で、低いレベルはそれらをとどまらせる - それはRac1がinvadopodiaで行っていると考えられていたものとは完全に正反対だった」、ホジソン博士は言った。

この観察を確認するため、研究者はsiRNAを使ってRac1タンパク質を合成するRAC1遺伝子をオフにした。遺伝子が沈黙すると、ECM分解は増大した。反対に『光を使って』Rac1活動が高められると、invadopodiaは消失した。

 Rac1─┤invadopodia→ECM分解



その後の実験でアインシュタインの研究チームは浸潤する間のRac1シグナルカスケードをさらに調査し、正常な胸部上皮細胞ではこのシグナルのメカニズムが異なった調節をされていることを示した。

「浸潤性の腫瘍細胞のinvadopodiaのRac1レベルは急に上がり、そして正確に調節された間隔で、細胞の浸潤性の能力を最大にするように弱まるように見えた」、ホジソン博士は言う。

「現在、Rac1の阻害因子が開発されているが、見境なくそれらを使うことは安全ではないだろう。Rac1は免疫細胞を含む正常な細胞の重要な分子であり、したがって、このシグナル経路を癌細胞だけで止める方法を発見する必要がある。」

学術誌参照:
1.Trio-Rac1-Pak1シグナル軸は、invadopodia分解を引き起こす。

Nature Cell Biology、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140525154722.htm

<コメント>
Trio (GEF) - Rac1 - Pak1 というシグナルが、invadopodia(浸潤突起)の形成/消失に重要であることが確認されたという研究です。
Rac1の低下でinvadopodiaが形成、上昇で消失するというサイクルを引き起こすシグナル伝達経路は、正常な組織の細胞とは異なっていたとのことです。

下の電子顕微鏡写真は下の明るい領域が細胞外マトリックス(ECM)、上の暗い部分が浸潤している癌細胞で、3つのinvadopodiaが見えます。





2014年5月26日

2014-05-28 08:36:45 | 

食事の変化で癌と戦う



Breast Cancer Research and Treatmentで5月26日に公表される研究によれば、マウスの食事を制限すると、トリプル・ネガティブ・乳癌(最も悪性の種類の1つ)は、体の新しい部位へ浸潤・転移する可能性が下がる。

「食事の制限は、エピジェネティックなプログラムをオンにしてマウスを転移性疾患から保護した」、シニア著者でトーマス・ジェファーソン・ユニヴァーシティの放射線腫瘍学部の準教授のニコル・シモーン博士は言う。

実際、トリプル・ネガティブ癌のマウス・モデルの食べる量を30パーセント減らすと、食物にフリーアクセスさせたときよりも、癌細胞はマイクロRNA-17と20(miR-17/20)の産生を減少させた。

研究者はmiRのこのグループが、転移するトリプル・ネガティブ癌でしばしば増大することを発見した。



乳癌患者はしばしば、腫瘍成長を妨害するホルモン療法と、化学療法の副作用を打ち消すステロイドで治療される。

しかしながら、この二つの治療は患者の代謝の変化を引き起し、体重増加につながることがある。実際、治療を開始した女性は1年目で平均10ポンド(約4500グラム)体重が増える。

最近の研究は、あまりに体重が多いと乳癌の標準的治療の効果が低下することを示した。治療の間に体重が増える者は、癌の結果がより悪い。



以前の研究でシモーン博士と同僚は、カロリー制限が放射線治療の腫瘍殺害効果を押し上げることを示した。

本研究はどの分子経路がこの協力的な影響に関与していか調べることを意図した。

研究者はマイクロRNAに注目した。特にmiR-17と20はマウスが放射線治療とカロリー制限の両方で最も減少する。

このmiRの減少は、細胞外マトリックスの維持に関与するタンパク質の産生を増大した。

「カロリー制限は胸部組織のエピジェネティックな変化を促進して、細胞外マトリックスを強く保つ」、シモーン博士は言う。

「強いマトリックスは腫瘍周辺で一種のケージを生み出す。それは癌細胞が逃げて体内の別の部位へと広がるのを難しくする。」



理論的には、miR-17を減少させる薬は細胞外マトリックスに関してカロリー制限と同じ影響を持つ可能性がある。

しかしながら、単一の分子の経路(例えばmiR-17だけ)を目標にしても、カロリー制限と同程度の効果は期待できそうにないとシモーン博士は言う。



もしカロリー制限が動物モデルと同じくらい女性に効果的であるならば、それはおそらく遺伝子の発現パターンのひとまとまりを大きく変えるだろう。それは毒性なしに複数の目標を攻撃する。

この仮説がヒトでも正しいかをテストするため、シモーン博士は現在、患者をCaReFOR試験(Calorie Restriction for Oncology Research; 腫瘍学研究のためのカロリー制限)に登録している。

学術誌参照:
1.トリプル・ネガティブ乳癌の転移の可能性は、カロリー制限によって媒介されるmiR-17~92クラスタの減少によって減少する。

Breast Cancer Research and Treatment、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140526101503.htm

http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10549-014-2978-7

<コメント>
カロリー制限は、miR-17~92クラスター(miR-17-5p、miR-17-3p、miR-18、miR-19a、miR-19b1、miR-20、miR-92)の発現を抑制して、細胞外マトリックスを強めることで、放射線治療と相乗的に作用するという研究です。

miR-17~92クラスターの標的は、細胞外マトリックスに関連するcollagen 4 alpha 3laminin alpha 3metallopeptidase inhibitors 2metallopeptidase inhibitors 3と推測されているようです。

別の研究では、miR-17~92クラスターの標的は、アポトーシスを促進する因子のPtenとBimとされています。

http://ta4000.exblog.jp/19274036/

2014年5月20日

2014-05-26 12:23:49 | 医学

カノーラ油と他の油の中のビタミンEが、肺を負傷する



一般に健康だと信じられているビタミンEの豊富な油 ― カノーラ、ダイズ、穀物油 ― の消費の増大と、肺の炎症、そしておそらく喘息の発生率の上昇とを、新しい研究は結びつける。

良いニュースもある:
オリーブとひまわり油のビタミンEは、肺を改善する。

研究は、その種類によってビタミンEの大幅に異なる健康影響を示す:
ダイズ、カノーラとトウモロコシ油のγ-トコフェロール、
そして、オリーブとひまわり油のα-トコフェロール。



アメリカの喘息の罹患率はこの40年で上昇してきたが、それは米国の食事の切り替わりと一致した。
豚脂とバターから、ダイズ油、カノーラ油、トウモロコシ油へと。

それらは心臓のために健康であると考えられた。



他国の喘息の率を見て、喘息の著しく低い率の人たちは食事中のオリーブ油とひまわり油の量が高いとノースウェスタン大学ファインバーク医学部アレルギー/免疫学の準教授、Joan Cook-Millsは言う。

米保健社会福祉省疾病管理予防センターによって報告されるように、アメリカでは喘息有病率は2010年で8.4パーセントであった。

アメリカ人のγ-トコフェロールの平均血漿レベルは、ヒマワリ油とオリーブ油を消費するヨーロッパおよびスカンジナビア国民より4倍以上高い。



2012年の研究において彼女は、肺炎症を増大するγ-トコフェロールに関するメカニズムを特定した:

プロテインキナーゼC-アルファ。それはビタミンEの両方の種類と結合する。

α-トコフェロールはその作用を阻害し、γ-トコフェロールは作用を増大する。



研究はオンラインで見ることができる:
http://respiratory-research.com/content/pdf/1465-9921-15-31.pdf

ストーリー源:
上記のストーリーは、ノースウェスタン大学により提供される材料に基づく。

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140520220424.htm

<コメント>
γ-トコフェロールの多い油の過剰はPKC-αの作用を促進して、肺機能を低下させるという内容です。
ビタミンEの種類による違いは作用の強さぐらいだと思っていましたが、そう単純ではないようです。


2014年5月22日

2014-05-25 14:06:55 | 生命

遺伝的なコードが再設定されるのを発見する:
停止コドンは、広く異なる




地球上のすべての生体は遺伝的なコードを使う。コードはDNAに記述される言語であり、そこではタンパク質の建築計画が指定されている。

そのようなただ一つの「標準的な」コードだけがあると長く仮定されてきた。それぞれの「単語」は生体ごとに同じものを意味する。

この標準的なコードから偏向している2・3例の生物がserendipitouslyに発見されてきたが、それらは珍しい進化の特異性と広くみなされ、地球上の大部分の場所には存在せず、わずかな種を代表しているだけだと思われた。

今、このパラダイムは多数の例外の発見によって挑戦を受けている。

この発見は、サイエンス誌2014年5月23日版において、米エネルギー省ジョイント・ゲノム研究所(U.S. Department of Energy Joint Genome Institute; DOE JGI)の研究者によって公表された。




DOE JGI部長で論文のシニア著者、エディー・ルービンは言う。

「我々はずっと、生体によって使われるコードまたは用語リストが普遍的であると思ってきた。それは生命の樹の全ての枝に適用することができて、例外は無視できるくらいわずかである、と」

「我々は、そうではないことを今、確認した。」



この研究は、「微生物ダークマター」として知られる生物学的なフロンティアを調査するDOE JGIの継続的な努力の中で実施された。

これらは、研究室の中では成長することがほとんど不可能である多数の微生物の研究である。しかし彼らは、海の底、ヒトの腸、そしして熱い孔まで、ほとんど全ての環境に住みついている。

「培養できない微生物を調査するmetagenomicsと単細胞のゲノミクスを使用するこの計画で、我々は、遺伝的なコードが実際に機能する様子を見る機会を持った。

それは、どのように自然がはたらくか、どのように微生物が我々の惑星を管理するかについて、先入観のない意見を我々が得るのを助けている。」



コドンは64通り存在し、アミノ酸をコードする以外の残り3つは、タンパク質へのRNAのトランスレーションを終了する「停止コドン」である。

各々は、与えられた名前を持つ:

アンバー(UAG)、オパール(UGA)とオーカー(UAA)。



「我々が研究で見たものは、特定の生体では停止のサインが停止として翻訳処理されなかったということであった」、エディー・ルービンは言う。

特にチームの関心をつかんだ観察は、リード研究者であるDOE JGIのナターリア・イワノーワが、長さ200塩基対という非常に短い遺伝子を持つ細菌という『異常』を見つけた時であった。典型的な微生物の遺伝子は長さが約800-900塩基対である。

「標準的なコドン表を使ってこれらの細菌のシーケンスを翻訳しようと試みると、通常停止のサインとして翻訳処理されるオパールにより、細菌が信じがたいほど短い遺伝子を持つ結果になった。

ナターリアがいろいろなオパールを停止として翻訳せず、アミノ酸グリシンをコードすると仮定した用語リストを適用した場合、細菌の遺伝子は急に、正常な長さになったように見えた」、ルービンは言った。



この発見の後、彼らは、これがどのくらい自然に起こっているかを見たくなって、培養されない微生物の莫大な量のシーケンス・データにおいて同様の出来事を探した。

彼らはコンピューターでシーケンス・データ(遺伝的なコード5兆6000億文字、ほぼ2,000人のヒトゲノム相当)の「山積み」を厳密に調べた。

「我々は、自然中で空前の細菌数(環境で当時の最高10パーセント)が、これらの「停止」からアミノ酸をコードする「意味」へのコドン再指定を所有すると発見して驚いた」、ルービンは言った。



研究者がしたもう一つの観察は、細菌だけでなく、これらの再指定がファージ(細菌性細胞を襲うウイルス)でも起こっていたということであった。

ファージは細菌に感染して、細胞へのDNAを注入し、そしてより多くの自分自身のコピーを生み出すために細胞の翻訳機械を利用する。それは細菌の細胞が爆発するまで続き、より多くの子孫ファージ微粒子を放出して、隣接した細菌へと広がって、暴走する。

「この全てが起きるためには、これまで確立されたドグマによれば、ファージは宿主細胞が使うものと寸分違わぬ遺伝的なコードを使用する必要があった。さもなければ、ファージが注入するどんなDNAも、適切に翻訳はされないだろう」、ルービンは言った。

「しかし我々が観察したファージが持っていたコドン用語リストは、細菌の宿主で発見されるいずれにもマッチしなかった。宿主に何が起きているのか? 我々はこの結果に困惑した。

ドグマは、ファージは宿主と同じコードを共有する必要があることを我々に教える。しかし、細菌にはどんなアンバー(UAG)も存在しなかった。これらのファージは、何を行っていたか?」

ルービンは言う。

「そう、ドグマは間違っている。」



「ファージは、宿主のコドン使用法をまったく、本当に気にかけていない。彼らはそれを回避する方法を持つ。そして実際には、彼らはその差異を、宿主を攻撃するために使う。」

ファージはある種の分子トリック(コドン表のわずかな変化)を使う。

そして細菌の保護的なメカニズムを抑制して、細菌の『敵対的買収』を実行する。

「我々は、この戦略を『コドン戦争』と呼ぶ」、ルービンは言った。


学術誌参照:
1.自然中のストップ・コドン再指定。

Science(2014);

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140522141422.htm

<コメント>
多くの細菌はコドン表が変更されていて、さらにある種のファージはコドン表の変更を宿主の攻撃に利用するという内容です。
さすが、微生物ダークマターというだけあります。


2013年11月7日

2014-05-24 11:55:43 | 

研究者は、乳癌の新しい駆動体を発見する


UT南西部メディカル・センターの研究者は、コレステロールが代謝されるとき、乳癌の強力な刺激剤が生み出されることを発見した。

乳癌の燃料の1つはエストロゲンであるが、その代謝物はエストロゲン受容体ポジティブな乳癌を刺激する。

この研究結果は、それらの癌に対する一般的な治療戦略をくつがえすかもしれない。



研究チームは、27-ヒドロキシコレステロール(27HC)というコレステロールの代謝産物が、エストロゲンレセプター・ポジティブな乳癌で腫瘍成長を促進するということを発見した。これは乳癌で最も頻度の高い型である。

エストロゲンレセプター・ポジティブな乳癌は、女性の性ホルモンであるエストロゲンによって主に促進されると以前は考えられていた、そのため、この乳癌は一般的に、腫瘍からエストロゲンを奪う内分泌ベースの薬物を使って治療される。

乳癌のもう一つの駆動体としての27HCの発見は、内分泌物に基づく治療がなぜしばしば不成功かについて説明する可能性があり、治療のための新しい目標を提供すると研究者は言う。



乳癌患者では、癌のないコントロール群と比較して、正常な部分の胸部の27HCの量が著しく増大していた。そして、腫瘍の部分での27HCの量は更に上昇した。

27HCがなぜ腫瘍でそれほど豊富かについて説明するために、研究チームはUT南西のデービッド・ラッセル博士によるコレステロール代謝における先行研究に着目した。彼は27HCを代謝するCYP7B1と呼ばれる酵素を以前に発見していた。

彼らは腫瘍遺伝子のデータベースに問い合わせて、CYP7B1は正常な胸部と比較して乳癌で減弱することを発見した。

更なる分析で、腫瘍でCYP7B1が高い女性と比較して、CYP7B1の低下を示す女性は、総生存率が7倍以上も低いことが分かった。



先行研究は、27HCを代謝する酵素のCYP7B1をエストロゲンが上向き調節することを示した。

従って、エストロゲンの合成または作用を妨害する一般的に用いられる治療法は、この新しく発見された乳癌プロモーターの量を実際には増大させているかもしれない。


「腫瘍CYP7B1または27HCの量の測定は、乳癌の女性のための内分泌物ベースの治療をパーソナライズするために、潜在的にきわめて重大な新しい方法を提供することができる」、Shaul博士は言った。

学術誌参照:
1.27-ヒドロキシコレステロールは、細胞自律的に、ERポジティブ乳癌の成長を促進する。

Cell Reports、2013;

http://www.sciencedaily.com/releases/2013/11/131107122744.htm

<コメント>
前回の関連記事です。

閉経後のエストロゲン低下によりCYP7B1の発現が抑制され、CYP7B1による27HCの代謝が減少することで、27HCがERポジティブな乳癌の成長を促進するという内容です。
論文のDISCUSSIONでは食事によるコレステロール摂取が影響する可能性も指摘されています。

>In mice, a high-fat, high-cholesterol western diet elevates serum 27HC by 2- to 3-fold (T.I. and M.U., unpub-lished data).



理由はわかりませんが、別の研究グループによるほぼ同内容の研究がScienceにも掲載されたようです。

http://www.sciencedaily.com/releases/2013/11/131128141357.htm

コレステロールは細胞移動で重要な役割を果たす

2014-05-23 11:49:44 | 

Cholesterol plays key role in cell migration, study shows

May 21, 2014


バルセロナ・ユニヴァーシティのCarles Enrich教授によって導かれる、細胞生物学部、医学部免疫学・神経科学、そしてIDIBAPS生物医学的研究センターCELLEXの科学者たちは、コレステロールが細胞運動能と組織侵襲において重要な役割を果たすと結論した。

研究の結果は、LDLコレステロール ― 低密度リポタンパク質によって運ばれる1つ ― の細胞の蓄積が、細胞運動能の促進において重要な役割を果たす可能性を証明する。

反対に、HDLコレステロール ― 高密度リポ蛋白質によって運ばれる1つ ― の高いレベルは、細胞伝播を回避するかもしれない。

これは、癌転移(癌細胞が健康な組織に侵入するプロセス)を今よりも理解して、コレステロール値と癌発生率の関係に関する考察を促進する重要な研究である。



研究は、ニーマン-ピック病患者の細胞培養で実施された実験によって展開された。

これらの人々は細胞でコレステロール蓄積を引き起こす遺伝的な異常があり、独特な運動・神経障害を示す。



「コレステロール(我々の体で最も重要な脂質の1つ)は、血液中にあると世間一般には思われている;

しかし、ほとんどの人々は、コレステロールが細胞の中で何を行うかについては考えない」、Carles Enrichは指摘する。

「コレステロールは、細胞でいろいろな機能を果たす。膜を産生するために重要である他に、それは小胞の輸送を調節する。

今回、コレステロールが他のメカニズム(たとえば細胞運動能と伝播)の調節において重要な役割を果たすということを証明された。従ってそれは、転移における重要なファクターである。」



我々の体の大部分の細胞は、インテグリン(細胞表面にある橋として作用する分子)によって、他の細胞を結びつける。

研究者は、インテグリンが細胞で移動する方法を探究して、コレステロールの重要な役割を発見した。

Enrichは、「細胞内でコレステロールは小胞の輸送を制御しており、それは細胞表面へのインテグリンの輸送を行う」ことを指摘する。

「トランスゴルジ網のコレステロール減少は、インテグリン輸送を妨げる。そしてそれは細胞移動に関して直接的な影響を持つ。」



この研究は、転移を制御するための新しい治療的なオプションを提供する。

そしてコレステロール障害を持つ癌患者に応用される戦略を指し示す。

「コレステロールを調整するために処方される薬は、細胞の移動能力を修飾するかもしれないことを考慮しなければならない。

従って、パーソナライズされた治療における進展が、非常に重要である」、Enrichは強調する。



現在の研究者の課題は、コレステロールがなぜ細胞内にとどまるかについて理解することである。

「我々は、どんなエンドソーム膜メカニズムが細胞内のトラフィックを妨害して、コレステロールを保つか、そしてなぜ我々の健康に対してネガティブな結果を生じるかを研究したい。」、Carles Enrichは結んだ。

学術誌参照:
1.コレステロールは、トランスゴルジ網エンドソームの境界で、シンタクシン6の輸送を調節する。

Cell Reports、2014;

https://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140521094745.htm

http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2014.03.043
Cholesterol Regulates Syntaxin 6 Trafficking at trans-Golgi Network Endosomal Boundaries.


<コメント>
ニーマンピック病で起きるような細胞内のコレステロールのアンバランスが、細胞膜とゴルジ装置のコレステロールを枯渇させ、インテグリンαVβ3とα5β1のリサイクルと細胞表面への発現の減少につながって、細胞の移動と浸潤を低下させるという研究です。

関連記事にもコレステロールと癌の関係を示唆するものがいくつかあるようです。

http://www.sciencedaily.com/releases/2013/10/131009105753.htm
>Does good cholesterol increase breast cancer risk?

http://www.sciencedaily.com/releases/2013/11/131128141357.htm
>High cholesterol fuels growth, spread of breast cancer

http://www.sciencedaily.com/releases/2013/11/131107122744.htm
>Researchers discover new driver of breast cancer

http://www.sciencedaily.com/releases/2012/03/120326113713.htm
>Low LDL cholesterol is related to cancer risk

2014年5月16日

2014-05-22 06:11:23 | 

ヘルペス・ロードされた幹細胞は、脳腫瘍を殺すために使われる



癌-殺害ウイルスを使って効果的に腫瘍を殺す解決策が、マサチューセッツ総合病院のハーバード幹細胞研究所(Harvard Stem Cell Institute; HSCI)の研究者によって発見された。

研究者は、ウイルス・ロードされた幹細胞をゲルに閉じ込めて腫瘍へ適用すると多形グリア芽腫マウスでの生き残りを有意に改善したことを報告する。

多形グリア芽腫はヒトの成人では最も頻度の高い脳腫瘍で、治療が最も難しいものである。

この研究はHSCI Principal Facultyメンバーで、マサチューセッツ総合病院で分子神経治療とイメージング研究室を率いるハーリド・シャー・理学修士・博士によって主導され、ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティテュートで公表される。



癌-殺害(腫瘍崩壊)ウイルスは、脳腫瘍の多数のフェーズ1・2臨床試験で使われたが、成功は限られた。

臨床前の研究において、腫瘍崩壊単純ヘルペスウイルスは自然に感染して脳細胞を裂いたため、特に有望に見えた。

しかしながら、治療はヒトの患者に対して作用しなかった。

以前の研究者が乗り越えることができなかった問題は、ヘルペスウイルスが作用するのに十分長い間、腫瘍部位に保つ方法であった。

シャーと彼のチームは、間葉系幹細胞(MSC) ― 骨髄組織に生じる一種の幹細胞 ― に着目した。

それらは微小免疫応答を引き起こすので、腫瘍崩壊ウイルスを運ぶために利用できる魅力的なドラッグデリバリー媒体であった。

シャーと彼のチームは、ヒトのMSCの中にヘルペスウイルスをロードして、マウスで発病させたグリア芽細胞腫へ、その細胞を注入した。

複数のイメージング・マーカーを使って、それが脳腫瘍細胞の1層めへと幹細胞から、その後は腫瘍細胞の全てへと通過するウイルスを観察することが可能だった。



「それで、どのようにこれを臨床に変換するか?」、ハーバード・メディカル・スクールの准教授でもあるシャーは問う。

「我々はグリア芽細胞腫患者の70-75パーセントが腫瘍減量手術を受けることを知っている。そして、生体適合性のゲル類で封入されるMSCがこの減量手術を模倣するマウス・モデルの治療薬として使うことができることを我々は以前に示した。」

「我々はMSCに腫瘍崩壊ヘルペスウイルスを入れ、生体適合性のゲル類でこれらの細胞を封入して、減量手術後に隣接組織上へ直接にゲル類を適用した。

我々は、デバルクされた腫瘍の腔へのウイルスの直接注入に対して、ウイルス・ロードされゲル封入されたMSCの有効性をその次に比較した。」

ウイルスの癌との戦いをリアルタイムに観察するためにイメージング・タンパク質を使って、シャーのチームはゲルがより長く生きている幹細胞を保つと気がついた。

そして、それによって減量手術の間に切り離されなかったどんな残存癌細胞でも、ウイルスは複製して殺すことができた。

これは、ゲルを封入された幹細胞を投与されたマウスの、より高い生残率という結果になった。



「ウイルスは腔を満たす脳脊髄液によって外へ洗浄されないため、ウイルスは生き残った。」、シャーは言った。

「直接に切除腔にウイルスを注入した先行研究では、腔でのウイルスの運命を追跡調査しなかった。

しかしながら、我々のイメージングにより追跡した比較研究は、裸のウイルスが残存の腫瘍細胞にめったに感染しないことを示した。

これは、腫瘍崩壊ウイルス単独による臨床試験からの結果が控え目だった理由に対する洞察を我々に与える。」



研究ではまた、癌-殺害ウイルスのもう一つの弱点に焦点をあてた。そして、すべての脳腫瘍が治療に感受性があるわけではないということだ。

研究者の解決策は、腫瘍-殺害因子(TRAIL)をさらに発現する腫瘍崩壊ヘルペスウイルスを設計することであった。

彼らはグリア芽細胞腫のマウス・モデルを使って - 今度はヘルペスウイルスへ抵抗性だった脳腫瘍細胞から生み出されたものだ - 治療は、マウスの生き残りの増加という結果につながった。



「我々のアプローチは、この臨床診断法にかかわる問題を解決する可能性がある」、シャーは言った。

「この研究は、腫瘍崩壊ウイルスを使う臨床試験の設計に関して、直接的な意味を持つだろう。ただ脳腫瘍のためだけでなく、他の固形腫瘍のための。」

脳へと転移する乳癌、肺癌、皮膚癌に対してヘルペス・ロードされた幹細胞を使うためには、更に臨床前の研究が必要だろう。

シャーは、このアプローチが次の2~3年以内に臨床試験に入るだろうと予測する。

学術誌参照:
1.脳腫瘍治療のためにマルチメカニスティック腫瘍崩壊単純ヘルペスウイルス・バリアントをロードされる幹細胞。

ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140516203342.htm

http://hsci.harvard.edu/news/herpes-loaded-stem-cells-used-kill-brain-tumors

<コメント>
TRAILを発現する単純ヘルペスウイルスを組み込んだ間葉系幹細胞をゲルで包み込んで、減量手術(debulking operation)後の脳腫瘍に注入して破壊するというハーバードの研究です。

下の図は、緑が腫瘍細胞、赤がウイルス・ロード幹細胞、黄色がウイルスに感染した腫瘍細胞です。



2014年5月20日

2014-05-21 20:34:18 | 医学

出生前の妊娠第一トリメスターの食事による葉酸と他のメチル基供与体の摂取は、7歳児の喘息リスクに影響を及ぼす



2014年アメリカ胸部学会(American Thoracic Society; ATS)の国際会議で発表される新しい調査によれば、妊娠の第一トリメスター(trimester; 3ヶ月間)の食事によるメチル基供与体の母親の摂取は、7歳児の喘息の発病リスクを変化させる。

メチル基供与体はメチル化と呼ばれる生化学的プロセスに関係する栄養分である。そのプロセスにおいて、メチル基は体内でタンパク質、DNA、または他の分子と関連する。



「小児喘息に関する食事のメチル基供与体摂取の影響に関するエビデンスは、混乱していた」、筆頭著者でボストンのマサチューセッツ総合病院小児科学呼吸器科のクリニカルフェローであるミシェル・トリベディ医学博士は言った。

「米国において、食品の葉酸強化は喘息とアレルギー有病率の増大に寄与した可能性が示唆されていた。

今回、約1000組の母と小児についての研究で、我々は6つのメチル基供与体(葉酸、コリン、ベタイン、ビタミンB2、B6、B12)の母親による摂取が、小児喘息を発病する危険に関する保護的な影響を持つことを発見した。

これらの栄養分との間の相互作用は、発病リスクの大きさと方向に影響を及ぼした。」



メチル基供与体はメチル化と呼ばれる生化学的プロセスに関与する栄養分である。

このプロセスは体内で多くの重要な機能で関与しており、メチル基供与体の食事の摂取は心臓病や癌など多くの疾患の発病リスクに影響を及ぼすことが示されている。

今回の研究では、1,052組の母と小児で、1番目および2番目の3カ月間の母親の食事およびサプリメントのメチル基供与体摂取が、食物頻度アンケートで評価された。

1,052人の小児のうち、219人(20.8%)は7歳で喘息と診断された。

生下時の体重、性、人種/民族性、母乳栄養の継続、副流煙への曝露、小児の湿疹、そして母親の年齢、BMI、喘息、教育と世帯収入に関して調整された分析において、第1トリメスターのビタミンB12とコリンの食事による摂取だけが、7歳で、より低い喘息有病率と関連した。

「我々の結果は、妊娠中の葉酸と他のメチル基供与体の食事の摂取は喘息のリスクを増大させず、実際には、子供たちの喘息発病リスクを低下させるかもしれないことを示唆する」、トリベディ博士は言った。

トリベディ博士のグループは、葉酸と他のメチル基供与体がDNAのメチル化状態に影響を及ぼすメカニズムに関して更なる研究を計画している。

ストーリー源:
上記のストーリーは、アメリカ胸部学会(ATS)により提供される材料に基づく。

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140520184636.htm

<コメント>
妊娠初期の母親によるメチル基の摂取量が、子どもの喘息リスクに影響するという研究です。
実際、サイトカインの発現はメチル化により制御されていることがわかっています。

http://ta4000.exblog.jp/19093665/
http://ta4000.exblog.jp/19128687/
http://ta4000.exblog.jp/19315901/

ほかにDNAメチル化のわかりやすい例として、次のアグーチマウスの実験があります。




関連記事には、妊娠中の低脂肪ヨーグルトと、子どもの喘息/花粉症リスクの関連についてがあります。
興味深いのは、低脂肪ヨーグルトとフルーツを一緒に食べることが7歳児の喘息リスクの上昇と関連があった一方で、牛乳の摂取はリスクと関連しなかったということです。

もちろん、関連があるというだけで、因果関係があるという話ではありません。

http://www.sciencedaily.com/releases/2011/09/110918024046.htm

>Low-fat yogurt intake when pregnant linked to increased risk of child asthma and hay fever, study suggests


>The results showed that milk intake during pregnancy was not associated with increased risk of developing asthma and it actually protected against asthma development.

>However, women who ate low-fat yogurt with fruit once a day were 1.6-times more likely to have children who developed asthma by age 7, compared with children of women who reported no intake.

>They were also more likely to have allergic rhinitis and to display current asthma symptoms.

2014年5月20日

2014-05-21 15:01:19 | 医学

認知試験は、アルツハイマー病と正常な加齢を区別することができる




イリノイ大学の研究者は、記憶障害がきわめて軽度のアルツハイマー病のせいか正常な老化現象のせいかについて、より十分に判定できる新しい認知試験を開発した。

アルツハイマー病の記憶障害と他の早期の症状は、正常な加齢の影響と区別するのがしばしば困難である。そしてそれは、疾患が大幅に進行するまで医師が治療を推めることを難しくする。



先行研究は、海馬と呼ばれる脳の一部が『関係記憶』にとって重要であることを示した。

関係記憶は「さまざまなイベントのアイテムを一緒に結びつける能力」であると、イリノイ大学ポスドク助手のジム・モンティは言った。彼はイリノイのベックマン研究所に属する心理学教授ニール・コーエンと共に研究を導いた。

あなたが人名を彼または彼女の顔とつなぐことが可能であるのは、関係記憶の1つの例である。

これらの情報の2つのピースは、脳の異なる部分に保管されるが、あなたがその人をみると、海馬はそれらを「結びつける」。

そしてあなたは彼または彼女の名前を思い出す、とモンティは言った。



以前の研究では、アルツハイマー病の人々が海馬の機能でしばしば障害があることを示した。

そこで研究チームは、参加者の関係記憶の能力をテストする課題を設計した。

研究者は参加者に「円をよく見る」ように求める。その円は3つの模様のついた部分に分割されており、次に参加者は、完全に一致したものを一連の他の10個の円からピックアップさせた。

この課題は、海馬と呼ばれる脳の一部のパフォーマンスを測定する。名前と顔面を結びつけるプロセスと同様に、海馬は、円のこれらの3つのピースを一緒に結びつけるために努力する。



ごく軽度のアルツハイマー病の人々は、健康な加齢グループよりも全体的に成績が悪かった。そして健康な加齢グループは、若い成人よりも成績が悪かった。

この課題から、アルツハイマー病による認識の変化は、健康な加齢とは質的に異なることが明らかになった。

http://medicalxpress.com/news/2014-05-cognitive-differentiate-alzheimer-aging.html



<コメント>
アルツハイマーの特徴は、海馬の機能である関係記憶の障害であるという記事です。
これは一般でも簡単に使えそうですね。

ScienceDailyにはテストに使われる図形が載っていなかったので、今回は別のニュースサイトの記事を翻訳ソフトにかけてみました。
本文は全く一緒ですが。。

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140520123515.htm


2014年5月19日

2014-05-21 11:15:08 | 医学

可能性のありそうな原因、川崎病の源:
北東中国から風で運ばれる物質




日本の川崎病(KD)の原因物質は、北東中国の源から風で運ばれる物質による可能性があると国際研究チームは結論した。

KDは、冠状動脈に永久に損傷を与え得る不可解な小児期の病気で、小児における後天性の心臓病で最も一般的な原因である。

それは診断するのが困難であり、治療をしないKDの小児の25パーセントは心発作かうっ血性心不全、または最終的に突然死に結びつくかもしれない冠動脈瘤 ― 心臓血管のバルーン様の膨隆 ― を発病する。



KDの有病率は、アジア、米国と西ヨーロッパの小児の間で上昇している。

カリフォルニア大学サンディエゴ医学部のジェーンC.バーンズ博士は、この壊滅的な小児疾患の異なった季節間格差を解読するための国際的チームを組み立てた。

コンピュータモデルは、多くの日本人KD患者の位置は、KD流行の年とそれ以外の年で、北東中国で高密度の耕作地から風が生じたときだけピークに達したことを指し示した。



2011年、バルセロナ研究者は、日本に本拠地を置く航空機を準備した。それはエアゾール検体を採取するための新しく設計された大量の空中-フィルタリング・デバイスを備えていた。

サンプルから詳細なmicrobiome分析が実施され、空気で運ばれる真菌としてカンジダ属が特定された。

カンジダ属は、ヒトの真菌感染の最も一般的な原因である。



バーンズは、主要な発見を要約した:

・日本でKD患者と関連する一般的な風パターンは、北東中国へたどることができる。そしてそれは国の主要な穀類の育成地域である。

・KDは潜伏期が短い(曝露と熱発症の間が24時間未満)。これは原因が従来の感染微生物でなく、毒素であることを示唆する。おそらく菌類が起源であり、それは遺伝的に感受性のある小児で宿主免疫応答を容易に引き起こす。

・冬のKD期の日本の空気サンプリングは、対流圏の風の豊かなmicrobiomeの中で、カンジダ属の予想外に高いレベルを発見した。



「これは、シャーロックホームズ状況である」、バーンズは言った。

「データは、中国北東部の人々が第二次世界大戦以来、新しい何かを行っていることを示唆する。」

「もちろん他の源は世界中にあるが、北東中国と日本、ハワイ、そして北アメリカ西海岸の間のつながりに焦点を合わせることは、KDを理解するための最善の策である。」

学術誌参照:
1.北東中国からの対流圏の風は、その源から日本まで川崎病の病因物質を運ぶ。

PNAS;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140519160523.htm

<コメント>
川崎病の源は、中国北東部の穀倉地帯であるという記事です。

特にコメントはありません :P


2014年5月14日

2014-05-20 22:23:09 | 免疫

研究は、乳児における抗生物質の使用と、喘息との関連を説明する可能性がある



最初の誕生日の前に抗生物質を投与される小児は、喘息を発病する危険が増加する可能性があることを、Lancet Respiratory Medicineで公表される新しい研究は確認した。

しかしながら、その発見が示唆するのは、以前から考えられている抗生物質それ自体よりむしろ、ウイルス性免疫の障害と、17番染色体の領域に関する遺伝的なバリアントである。

このバリアントは、人生早期の抗生物質使用と、その後の喘息発症、その両方のリスクを増す。

重要なことに、縦断的な研究は、早期の抗生物質処方とアトピー(アレルギー疾患)の発症の関連を発見しなかった。

これは、早期の抗生物質暴露が腸フローラの変化を経て、小児の免疫系の発達を変化させる(そして後にアレルギー性喘息の感受性を増大する)という一般的な理論を否定する。



小児において、抗生物質は呼吸器の感染症、耳の感染症と気管支炎を治療するために日常的に使われる。そして、いくつかの研究では、幼児期の抗生物質の使用とその後の喘息の発症の関連が報告されてきた。

しかしながら、系統的なレビューは矛盾する結果を報告しており、決定的な答えを得るために縦断的な研究が必要となった。



本研究において、英国の研究者は、出生から11歳まで1000人の小児を追従したManchester Asthma and Allergy Study(MAAS)からのデータを調べた。

抗生処方、喘鳴と、喘息の増悪に関する情報は、医学記録からとられた。

小児がアレルゲンに感作されたかどうか示す皮膚の反応試験は、3、5、8、11歳に行われた。

11歳の時点で、抗生物質の少なくとも1つのコースを受けた小児、または、人生の1年めでどんな抗生物質も投与されなかった小児から血液が採取され、ウイルスと細菌への免疫系の細胞の反応を比較した。

・ライノウイルス(一般的な風邪の原因であるウイルス)とRSウイルス(RSV)

・インフルエンザ菌と肺炎連鎖球菌

また、遺伝子診断を実施して、17番染色体(17q21として知られる)に関する一般的な遺伝的なバリエーションと抗生処方との間の関連を見た。



人生の1年目で抗生物質を使って治療された喘鳴のある小児は、重篤な喘鳴または喘息増悪を経験して、喘息のために入院する可能性が、未治療の小児の二倍だった。

特に興味深かったのは、これらの小児がサイトカインの著しく低い誘導も示したことであった。それは一般的な風邪のようなウイルス感染に対する体の重要な防御である。

しかしながら、抗菌性の反応ではどんな差も見られなかった。

また、研究者は、17q21領域で2つの遺伝子も特定した。それは、人生早期の抗生物質処方リスクの増加と関係していた。



英国マンチェスター大学のアドナンCustovic教授によると、「早期の人生の抗生処方と、その後の喘息の可能性を増大させる隠れたファクターは、ウイルス感染への感受性の増加であると我々は推測する。

そしてそれは、抗ウイルス免疫の障害と、17q21に関する遺伝的なバリアントのためである。

しかしながら、(抗生物質の処方の結果としてではなくむしろ)免疫の障害が早期の小児期呼吸器症状の時点で存在し、抗生物質の処方に先行したことを確認するためには、更なる研究が必要だろう。」

研究に関するコメントとして、ニュージーランド・オタゴ・ユニヴァーシティのジュリアン・クレーン教授とクリスティン・ウィッキンス博士は、早期の抗生物質の使用が喘息の発症と関連づけられないということが確かかどうかを考察する。

「無作為試験が、矛盾する証拠を解決するために必要である。そして同様の問題は、喘息とパラセタモールとの関連にもあてはまる。

しかし、抗生物質の無作為の治験は可能か?

研究の必要は大きいが、倫理的に難しいだろう。

しかし、少なくとも、通常の抗生物質の処方に対して制限された処方という条件では、おそらく不可能ではない。

抗生物質の急速に弱まっている有効性に関する懸念(それは部分的には過量処方による)、ほとんどは障害を治療するために処方されているのに障害を治せないという事実、そして多くの両親が子どもの過剰治療について示す動揺、それらの観点から、無作為抽出試験の提案は、おそらく考慮に値する。」

学術誌参照:
1.人生早期の抗生物質の処方と、喘息の増悪、抗ウイルス免疫の障害、そして、17q21の遺伝的なバリアントとの関連を評価する:
人口に基づいた出生コホート研究。

ランセット呼吸医療、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140514205712.htm

http://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600(14)70096-7/abstract

<コメント>
抗生物質が喘息の発症と増悪に影響するのではなく、遺伝的バリアントとそれによる抗ウイルス免疫の障害が先行して、抗生物質投与とその後のウイルス性喘息という両方のリスクと関連するという記事です。
関連と因果関係は、やはり単純には結びつきませんね。

関連記事には、抗生物質の使用が喘息のリスクと関連するというものがあります。

http://www.sciencedaily.com/releases/2011/01/110127090152.htm