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グラム陰性細菌はアルツハイマー病の病理に影響する

2016-12-07 06:06:47 | 
Gram-negative bacteria may influence Alzheimer's disease pathology

November 30, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/11/161130114200.htm

カリフォルニア大学デイビス校(UC Davis)の研究者は、遅発性アルツハイマー病/late-onset Alzheimer's disease(LOAD)の脳内ではグラム陰性菌/Gram-negative bacteriaに対する抗体のレベルが高いことを発見した
対照群と比較してアルツハイマー病患者は『リポ多糖/lipopolysaccharide (LPS)』と、タンパク質の『E. coli K99』のレベルが高かった

加えて、LPS分子はアミロイドプラークと共に集まっていた
アミロイドプラークはアルツハイマー病の病理ならびに進行と関連する斑点状の部位である
この研究はNeurology誌の印刷版print editionで発表された

「年老いた人の脳を免疫組織化学染色immunohistochemistryで調べると、被験者18人の全てでLPSとE coli K99が検出された」
筆頭著者first authorのXinhua Zhanは言う
彼はUC Davis神経学部とMIND研究所の准研究教授associate research professorである

※MIND: マサチューセッツ総合病院-マサチューセッツ神経変性疾患総合研究所/MassGeneral Institute for Neurodegenerative Disease

「ウェスタンブロット分析によると、アルツハイマー病の脳では対照群と比較してK99が有意に増加していた
アルツハイマー病の脳の血管やアミロイドプラークではLPSがアミロイドβと共に局在していた」

研究者たちは細菌がアルツハイマー病を引き起こすのか、それともアルツハイマー病の結果として起きることなのかを確かめてはいない


グラム陰性菌の多くは病原性pathogenicであり、その中には大腸菌/E. coli、ピロリ菌/Helicobacter pylori、サルモネラ菌/salmonella、肺炎クラミジア菌/Chlamydophila pneumoniae、赤痢菌/Shigellaが含まれる

研究者たちの間では以前から感染症がアルツハイマー病のリスクを増すことが知られていた
しかしながら、アルツハイマー病患者の脳内でのグラム陰性菌への抗体や細菌分子のレベル上昇が、疾患の病理と関連することが判明したのはこれが初めてである

今回の研究は以前のSharpのラボでの動物実験の結果を元にしている
その研究では細菌のLPSと虚血/低酸素との組み合わせがアミロイドβを増大させ、アミロイドプラーク状の凝集物を作り出しうることが示されていた


今回の研究では、アルツハイマー病患者の灰白質と白質の24のサンプルを、認知機能低下のエビデンスを示さない人々から得られた18のサンプルと比較した
アルツハイマー病の診断基準としてはCERAD基準(Consortium to Establish a Registry for Alzheimer's disease criteria)を使用した

LPSとK99はどちらのグループでも観察されたが、有病率prevalenceはアルツハイマー病患者の方が高かった

ウェスタンブロット分析ではアルツハイマー病患者の灰白質中にK99が13人中9人で見られたが、対照群では10人中1人だけだった
K99レベルの上昇はアルツハイマー病患者の白質サンプルでも観察された
同様にLPSも6つのサンプル(ウェスタンブロット分析で灰白質と白質のサンプルがそれぞれ3つ)の全てで観察されたが、対照群では全く見られなかった

「脳内に細菌の分子が見つかったことには驚くが、アルツハイマー病の脳内により多く見られたことはとても驚いた」
神経学の教授で首席著者senior authorのFrank Sharpは言う

これまでも脳内に感染病原体infectious agentsが認められてきたが、細菌の分子が全ての脳内に一致して見つかったのは今回が初めてである


研究者たちは発表の前に4年を費やしてこれらの結果を確認してきた
LPSは一般に多くの試薬に見られるため、彼らは特にサンプルの汚染を心配していた
しかしながら、アルツハイマー病のサンプルと対照群との間の差differential、そしてアルツハイマー病の脳内でのそれら分子の独特な局在は、研究チームがそのような落とし穴pitfallを避けたことを示しているように思われた

これらの研究結果は、感染病原体がどのようにしてアルツハイマー病に影響するのかについてのさらなる調査への必要性に焦点を当てる

アルツハイマー病患者の脳内サンプルでLPSとK99が発見されたことは幸先が良いスタートだが、研究者たちは細菌が疾患の病理にどのように関与しているのかを研究しなければならないだろう
細菌感染とアルツハイマー病との間のつながりが証明されたことは、疾患の予防と治療のための新たな機会をもたらす可能性がある

「もしLPSが原因であるcausativeのなら、我々が通常行っているよりも強力にLPSを無効化immunizeするか、グラム陰性菌による感染を治療できる」
Sharpは言う


今回の結果は確認のためにより大規模な研究で再現される必要があるだろう
加えて、グラム陰性菌が直接疾患の進行に影響しているのか、それとも単に他のプロセスの副産物であるのかは不確かである

「我々はこれらの細菌の構成要素を年老いた被験者の脳内で検出した」
Zhanは言う

「我々の次の段階は、これがアルツハイマー病の原因なのか結果なのかを解決することだ
グラム陰性菌の分子は疾患を引き起こす原因なのか?
それともアルツハイマー病になると、より多くの細菌の分子が脳内に入り込むのか?」


http://dx.doi.org/10.1212/WNL.0000000000003391
Gram-negative bacterial molecules associate with Alzheimer disease pathology.



Abstract

目的/OBJECTIVE:
我々はグラム陰性菌の分子がアルツハイマー病の神経病理と関連するのかどうかを決定した
それは以前の研究でグラム陰性菌の大腸菌/Escherichia coliが細胞外アミロイドを形成することが実証されており、加えてグラム陰性菌が正常なヒトの脳内でも見られる支配的な細菌であると報告されていることを考慮してのことである

方法/METHODS:
アルツハイマー病患者24人と、年齢をマッチさせた対照群18人から得られた灰白質と白質の脳サンプルを調べた
リポ多糖/lipopolysaccharide (LPS) と E coli K99 pili タンパク質は、ウェスタンブロットと、免疫細胞化学immunocytochemistryによって評価した
ヒト脳サンプルは、E coliのDNAに関して評価し、その後にDNAシーケンシングで検討した

結果/RESULTS:
LPSとE coli K99は、対照群の脳と比較して脳実質parenchymaで免疫化学染色により検出された
アルツハイマー病と対照群の全ての脳実質と血管が、免疫細胞化学的に検出されている

ウェスタンブロットで計測されたK99レベルは、対照群と比べてアルツハイマー病で高かった (p < 0.01)
K99はアルツハイマー病の脳ではニューロン様細胞に局在していたが、対照群の脳ではそうではなかった

LPSレベルは、対照群と比較してアルツハイマー病で高かった
LPSはアルツハイマー病の脳内のアミロイドプラーク内ではAβ1-40/42と共に局在し、血管周囲ではAβ1-40/42と共に局在していた

DNAシーケンシングによりヒトの対照群とアルツハイマー病群の脳内でE coliのDNAを確認した

※Aβ1-40: Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-Ala-Glu-Asp-Val-Gly-Ser-Asn-Lys-Gly-Ala-Ile-Ile-Gly-Leu-Met-Val-Gly-Gly-Val-Val
DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVV

※Aβ1-42: Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-His-Asp-Ser-Gly-Tyr-Glu-Val-His-His-Gln-Lys-Leu-Val-Phe-Phe-Ala-Glu-Asp-Val-Gly-Ser-Asn-Lys-Gly-Ala-Ile-Ile-Gly-Leu-Met-Val-Gly-Gly-Val-Val-Ile-Ala
DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIA


結論/CONCLUSIONS:
E coli K99とLPSのレベルは対照群の脳よりもアルツハイマー病の脳内で高かった
LPSはアルツハイマー病の脳のアミロイドプラーク内ならびに血管周囲でAβ1-40/42と共に局在していた
このデータはグラム陰性菌の分子がアルツハイマー病の神経病理neuropathologyと関連することを示す

それらは我々の『LPS-虚血-低酸素ラットモデル』と一致する
そのモデルではミエリン凝集を生じる
この凝集はAβと共に局在し、そしてアミロイド様プラークと似ている



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