高血糖は、鬱病リスクを上げる脳変化を引き起こす
糖尿病の人々は鬱病になる傾向がある。
新しい研究によれば、1型糖尿病患者における高血糖は鬱病と関連する脳神経伝達物質のレベルを上昇させ、感情を制御する脳の領域間の接続を変更する。
この結果は、シカゴでのICE/ENDO 2014(国際内分泌学会議/内分泌学会議)で提示される。
「1型または2型糖尿病患者は、糖尿病ではない人よりも鬱病になる率が高い。これは複雑な慢性疾患を管理するストレスのためだと伝統的に考えられてきた」、ボストンのベス・イスラエル・ディーコネス・メディカル・センターのニコラスBolo博士と、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のドナルド・サイモンソンは言う。
研究者たちは、うつ病でなかった19人の成人を調べた:
1型糖尿病8人(3人の男性と5人の女性、平均年齢26)と、
健康なコントロール11人(6人の男性と5人の女性、平均年齢29)。
研究者は機能的MRIを使用して脳活性を評価し、さらにMRスペクトロスコピーによりグルタミン酸塩のレベルを評価した。高レベルのグルタミン酸塩は鬱病と関連する。
彼らの血糖値が正常だったとき(1デシリットルあたり90~110mg/dL)、そしてブドウ糖の持続点滴の後に(180~200mg/dL)、脳画像を分析した。
Boloは説明する。
血糖値の増大は自己認識と感情に関係する脳の領域間での接続の強さを急激に低下させ、その程度はコントロール群よりも糖尿病患者患者で高かった。
そして、脳のこれらの接続の強さは、長期のブドウ糖コントロールが悪い(ヘモグロビンA1cレベルがより高い)糖尿病患者患者の方が低かった。
加えて、1型糖尿病患者での血糖値の急激な上昇は、感情を制御する脳の領域で神経伝達物質グルタミン酸塩の濃度を上昇させたが、健康な個人ではそうではなかったと著者は報告した。
サイモンソンによると、脳のこれらの変化は鬱病を発病する危険を増す。
糖尿病患者患者はコントロール群よりも鬱病アンケートに関してより悪いスコアを報告したが、しかし彼らは大うつ病の範囲よりも十分に下だったと彼は強調した。
記事供給源:
上記の記事は、Endocrine Societyにより提供される材料に基づく。
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/06/140623092011.htm
<コメント>
高血糖がグルタミン酸などによりうつ病のリスクを高めるという記事です。
記事中の「感情を制御する脳の領域」は、おそらく前帯状皮質でしょう。
同様の記事がハーバードでも2013年に掲載されていました。
http://hms.harvard.edu/news/diabetes-and-depression-9-9-13
>Brain glucose levels are higher in people with type 1 diabetes.
>Glutamate is higher as well in the brains of these patients, especially in emotion centers such as the anterior cingulate cortex.
※anterior cingulate cortex:
前帯状皮質
>“High glucose levels in the brain increase glutamate in regions involved in emotional control, which means increased depression among people with type 1 diabetes,” said Bolo.
記事中では、うつ病とグルタミン酸の関与からNMDAR拮抗薬のケタミンの可能性について触れています。
>Bolo’s research may lead to specific treatments that target the glutamate pathway in the brain and, thus, offer relief for diabetes patients suffering depression.
>Studies show that one such drug, ketamine, holds promise as an antidepressant that would act by blocking the action of a key protein involved in glutamate signaling in the brain.
>Researchers say this drug could be potentially life- saving for people with depression; unlike antidepressants such as Prozac and mood stabilizers, ketamine becomes effective in hours instead of weeks.
ケタミンは最近、うつ病に即効性があることが知られるようになってきました。
http://www.riken.jp/pr/press/2014/20140108_1/
https://ds-pharma.jp/literature/psychoabstract/article/2012/06_03_04.html