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腸の微生物はパーキンソン病モデルマウスの運動障害を促進する

2016-12-05 06:06:54 | 
Gut microbes promote motor deficits in a mouse model of Parkinson's disease

December 1, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/12/161201122159.htm


(Sampsonらの研究によると、腸内微生物からのシグナルはパーキンソン病のモデル動物における神経炎症応答、そして特徴的な胃腸障害ならびにα-シヌクレイン依存的な運動障害にとって必要だという

Credit: Sampson et al./Cell 2016)

遺伝的にパーキンソン病にかかりやすくしたマウスでのパーキンソン病に似た運動障害movement disordersの発症には、腸の微生物が重要な役割を演じるかもしれないということをカリフォルニア工科大学/California Institute of Technologyの研究者が12月1日にCell誌で報告した
抗生物質の投与はマウスモデルでの運動障害motor deficitならびにパーキンソン病の分子レベルでの特徴を減少させ、逆にパーキンソン病患者からの腸内微生物の移植はマウスモデルの症状を悪化させた
この研究結果はアメリカで二番目に多い神経変性疾患であるパーキンソン病の新しい治療戦略につながる可能性がある


「我々は腸の微生物叢とパーキンソン病との間の生物学的なつながりを初めて発見した
より一般的には、神経変性疾患の起源がこれまで考えられていたような脳だけでなく、腸にもあることをこの研究では明らかにした」
首席著者senior study authorのSarkis Mazmanianは言う

「微生物の変化がパーキンソン病に関与するかもしれないという今回の発見はパラダイムシフトであり、患者の治療にとって全く新しい可能性を開く」


パーキンソン病はアメリカで推定100万人、60歳を越える人口の1パーセントが罹患している
この疾患は異常な形状のα-シヌクレインというタンパク質がニューロンに蓄積することが原因であり、運動をコントロールする脳の領域に位置するドーパミン放出ニューロンに特に有害な影響を生じる
結果として患者は消耗性の/衰弱させるような症状debilitating symptoms、例えば振戦tremors、筋硬直muscle stiffness、動きの緩慢さslowness of movement、歩行障害impaired gaitなどを経験する
現在の第一選択療法first-line therapiesは脳内のドーパミンレベルを上昇させることが中心だが、そのような治療は深刻な副作用を生じることがあり、薬が有効性を失うことがしばしばである


より安全でより効果的な治療が必要とされる現状に対処すべく、カリフォルニア工科大学のMazmanianと筆頭著者first authorのTimothy Sampsonは、興味深い可能性intriguing possibilityとして腸の微生物に注目した
パーキンソン病の患者では腸の微生物叢microbiomeが変化しており、しばしば便秘constipationのような胃腸の問題が、運動障害が出る何年も前に先行して起きる
さらに、腸の微生物はニューロンの発達や認知能力、不安、うつ病、自閉症などに影響することがこれまで示されてきている
しかしながら、神経変性疾患においては、腸の微生物の役割を支持する実験的なエビデンスは欠けていた


工科大学の研究者たちは、パーキンソン病のような症状を生じるよう遺伝学的に修飾したマウスを通常の『滅菌していないケージ/non-sterile cage』か、または『無菌の環境/germ-free environment』のどちらかで飼育raiseした

すると興味深いことに、無菌状態のケージで育てたマウスは、そうでないマウスよりも運動障害が少なく、運動をコントロールする脳の領域内ではミスフォールドしたタンパク質の凝集の蓄積が少ないことが示された
事実、このマウスは様々な課題でほとんど正常なパフォーマンスを示した
課題とは例えば、棒渡りtraversing a beam、鼻から粘着材を取り除くremoving an adhesive from their nose、棒降りclimbing down a poleである

抗生物質の投与は、パーキンソン病のような障害を生じやすいマウスの運動症状の軽減に対して、無菌環境と同様の効果があった

対照的に、無菌のケージで育てられたマウスでも、細菌の代謝産物である短鎖脂肪酸を投与されたり、ヒトのパーキンソン病患者の腸内微生物を糞便で移植されると運動症状の悪化を示した

合わせて考えると、この結果が示唆しているのは腸内の微生物が運動症状を悪化させ、
そしてそれは折りたたみに失敗した/ミスフォールドしたmisfoldedタンパク質が凝集しやすい環境を作り出すことによるということである


加えて今回の研究では腸内の微生物が『特定の遺伝的要素genetic factor』と協力してパーキンソン病の発症リスクに影響したことに注目することが重要である
今回の研究ではα-シヌクレインの蓄積を通じて運動症状を再現する特定の遺伝学的マウスモデルを使ったのであって、
遺伝学的に正常なマウス、つまりパーキンソン病を発症しやすいわけではないマウスは、パーキンソン病患者から糞便移植を受けても運動症状を発症しなかったのである
他の遺伝的要因や環境的な要因、例えば殺虫剤への曝露pesticide exposureもまたパーキンソン病に関与する


今回の研究結果はプロバイオティクスprobioticsや、プロバイオティクスを促進するプレバイオティクスな治療prebiotic therapiesが、パーキンソン病の症状を軽減する能力があることを示唆する
しかしながら、抗生物質antibioticsや糞便による微生物の移植は、現時点では実現からは程遠い

「我々が今回の研究で実施したような長期間の強力な抗生物質の使用は、ヒトでは著しいリスク、例えば免疫機能や代謝機能の障害を伴う」
とSampsonは警告する

「腸内細菌は生理的に巨大な利益をもたらす
そして我々はまだ、どの細菌がパーキンソン病で有害なのか、または有益なのかを知るためのデータを持っていないのである」

したがって、どの病原性微生物がパーキンソン病リスクの上昇や総体的症状symptomatologyの重症化に寄与するのかを突き止めることが決定的に重要であり、それこそが彼らの計画している調査の方向性である
また、彼らは運動機能の低下から患者を保護する可能性のある特定の細菌の種類も探している


最後に、パーキンソン病で変化する微生物の種類や代謝産物を突き止めることは疾患のバイオマーカーとしても役立つ可能性があり、それは薬剤の標的にすらなりうる
微生物の不均衡imbalancesを修正するための介入は、このしばしば患者を消耗させる運動障害の進行を遅くするか止めるための、安全かつ効果的な治療をもたらすかもしれない

「他のあらゆる薬剤の発見プロセスと同様、この革新的な研究をマウスからヒトへと応用するには長い年月が必要になるだろう」 Mazmanianは言う

「しかし、これは我々の長期的目的へ向けた重要な初めの一歩である
つまり、我々が発見した腸と脳のつながりに関する深い機構的な洞察を活用し、
パーキンソン病の医療的、経済的、そして社会的な負荷を緩和するのを助けるための一歩である」


http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2016.11.018
Gut Microbiota Regulate Motor Deficits and Neuroinflammation in a Model of Parkinson’s Disease.



Highlights
・腸の微生物は、α-シヌクレインを介する運動障害ならびに脳の病理を促進する
・腸内細菌の枯渇は、ミクログリアの活性化を低下させる
・短鎖脂肪酸/SCFAsはミクログリアを調整modulateし、パーキンソン病の病態生理pathophysiologyを促進する
・ヒトのパーキンソン病患者の腸の微生物叢microbiotaは、マウスの運動障害motor dysfunctionの促進を誘発する


Summary
シヌクレイノパチー/synucleinopathiesはα-シヌクレイン (αSyn) の凝集が特徴であり、パーキンソン病を例とするような運動障害をしばしば引き起こす

今回我々はαSynを過剰発現するマウスを使い、運動障害motor deficits、ミクログリアの活性化、そしてαSynの病理には腸の微生物叢が必要であることを報告する

成体マウスの病態生理pathophysiologyを、抗生物質の投与は緩和し、微生物の再コロニー化は促進することから、
生後postnatalの腸と脳との間のシグナル伝達が疾患を調整modulateすることが示唆される
事実、微生物の特定の代謝産物を無菌マウスに経口投与すると、ニューロンの炎症neuroinflammationならびに運動症状が促進される

注目すべきことに、αSyn過剰発現マウスにパーキンソン病患者からの微生物叢をコロニー化させると、健康なヒトのドナーからの微生物叢の移植と比較して、肉体的な障害physical impairmentsが促進される

これらの研究結果は腸の細菌が運動障害を調節することを明らかにするものであり、
ヒトの微生物叢microbiomeの変化はパーキンソン病のリスク要因を代表することを示唆している



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