昨夜、NHKの”プロフェッショナル”という番組を見ていた。
ある弁護士の話。名前は村松健一。
会社倒産を避けるために孤軍奮闘している弁護士である。
この弁護士は、今までに100以上の会社倒産を回避させてきた。
倒産寸前の会社が、恥も外聞もかなぐり捨てて、一人の弁護士に頼る。
この弁護士の基本的スタンスは、会社倒産したら、誰も得にならないということである。
だから、再生させなければいけないと主張する。
多額の負債を抱えて倒産してもおかしくない会社に乗り込んで、会社の事情を調べ上げる。そして、再建計画を立てる。まず、手をつけるのが社内の経費の見直し。当然、給与の見直しが最優先。その後に、収益を上げる手立てを具体的に組んでいく。その計画を持って、債権者会議に臨む。
再生のプログラムはこうだ。
まず、借りた銀行の借金をかなりの額、減額してもらう。
その他の債権者に対しても、債務の減額を依頼する。
債権者は、借金が減額されることに対して、簡単に承諾はしない。
しかし、倒産すれば、元も子もなくなることを説得して、この提案を呑んでいただく。
また、最悪のシナリオも描く。
すなわち、倒産計画を描く。
この会社は倒産させ、新規会社を設立する。
これで、従業員は少なくとも助かる。
こんなシナリオを見せられたら、誰しも、借金の棒引き、あるいは、借金の返済の引き延ばしを飲まざるを得ない。
ただ、この点で大事なことは、債権者に対し正直であること、これしかないと言う。
この弁護士には2つの苦い経験を持っている。
一つは15歳の娘を死なせてしまったこと。
死因までは説明なかったが、仕事人間で家庭のこと、家族の者達を十分見ていなかったという。
もう一つは、再建のために準備していた会社の社長が自殺をしてしまったこと。
会社を倒産させることは、会社経営をしている家族だけではなく、その会社で働いている家族を路頭に迷わすことになる。だから、絶対に会社は倒産させてはいけないんだと強く主張する。
私はこの弁護士の話を聞いていて胸を打たれた。
まさにその通り。
それに引き換え、元首相の小泉のやったことは、”何なのだろうか?” と思う。
彼にこのアイデアを進言していたら、世直しの構図も変わっていたのではなかろうか?
痛みの伴う改革?
それは、一体どんな改革?
この問題を小泉だけの問題とはとらえていない。
小泉に進言した自民党の代議士、あるいは、学者どものレベルの低さだと思う。
この弁護士のように、会社倒産は人を殺すことと同じだと認識していたら、”安易な改革”はしなかったであろう。
また、やったにしても、改革に伴う中小企業の倒産を防ぐための手立ては打ったであろう。
私は、戦後いろいろな政治家を見てきたが、こんな弁護士のような心温かい人を見たことはない。
この弁護士に総理大臣になってもらいたい。
会社倒産は絶対にさせてはならない、ということを肝に銘じて欲しい。
政治家の皆さんに。
参考までにNHKのこの番組のURLはhttp://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/070111/index.html
