ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

「無言館」

2022-08-28 11:16:02 | 映画

日テレの24時間テレビで放映されたドラマ

「無言館」(劇団ひとり脚本、監督作品)

がとてもよかったので紹介したいと思います。

実は、24時間テレビという番組が私は好きじゃないのですが、この「無言館」はすごくよかった。

無言館というのは、長野県上田市にある戦没画学生の絵を集めた美術館です(1997年開館)。

実際にここを訪れた友人の勧めでドラマを見てみました。

ドラマは実話を基に作られ、登場人物は実在する方々です。

ストーリー展開の緩急のテンポがよく、時にコミカルで、時に悲しく胸に迫り、観る人を惹きつけます。

主人公の窪島誠一郎(浅野忠信)は画廊経営者ですが、画家である野見山暁治(寺尾聡)に戦没画学生の話を聞き、彼らの絵を集めた美術館を造ろうと思い立ち、野見山氏と共に全国を巡って、戦没画学生の絵を収集します。

しかし、問題は山積。

お金の問題はもちろんのこと、戦没画学生の遺族を訪ねる中で、それぞれの画学生たちの無念さや遺族の思いを聞くことになります。

戦後50年あまりが過ぎても遺族の思いは変わらない。

絵を預かるにしても、これは只事ではない、責任重大だ、と窪島は思うに至ります。

美術館に展示されると聞いて、「ありがとうございます」と深々と頭を下げる遺族もいれば、何度訪ねても「やっぱりだめです」と断られたり、あるいは「あんたは戦没者の絵で金儲けをするのか」と非難されたり、二度目に訪ねた時はすでに遺族が亡くなっていたりと、

戦争の傷跡は今もなお生々しく疼いていることがよく伝わります。

家族を亡くした遺族の思いは何十年たっても変わらない、それを静かに淡々としかも時にコミカルに描く劇団ひとりの脚本力は凄いと思いました。

劇団ひとりってタダのコメディアンではなかったのね。

才能ある脚本家であり監督なのだと実感しました。

俳優陣も豪華で、大地康雄、笹野高史、由紀さおり、檀ふみ等が出演しています。

ドラマでは語られていませんが、窪島誠一郎氏の実の父親は作家水上勉だそうです。

窪島氏はまた、「『無言館』物語」で第46回産経児童出版文化賞JR賞を受賞しています。

再放送の機会があれば、ぜひご覧になることをお勧めします。

(なお、Huluで8月28日~9月27日まで限定無料配信されるそうです)

 

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