ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

「奇跡の脳/脳科学者の脳が壊れたとき」

2022-05-20 11:11:54 | 

今日は脳科学の本の紹介です。

これ、めっちゃ面白かった!

「奇跡の脳/脳科学者の脳が壊れたとき」(ジル・ボルト・テイラー著)

脳科学者のジル・ボルト・テイラーは37歳の時に脳卒中になり、左脳が機能しなくなります。

脳卒中を発症した朝のことを、ジル・テイラーは克明に記録しています。

1996年12月10日の朝、左目の奥から脳を突き刺すような激しい痛みに襲われ、ベッドから転がるようにして降り、奇妙な感覚に襲われます。

「それはあたかも、意識が、正常な現実と魔法の空間のどこかで宙づりになっているような」感覚だったといいます。

魔法の空間!

「自分を囲んでいる三次元の現実感覚を失い・・どこで自分が始まって、どこで終わっているのか、という体の境界すらはっきりわからない・・」

彼女は浴室の壁にもたれかかりますが、

「どこから自分でどこからが壁なのかわからない」というのです。

ひどく戸惑いながらも、彼女は好奇心をそそられます。

「うわ、わたしって、すごく変でびっくりしちゃう生き物」

そして、幸福な恍惚状態に宙づりになっているように感じます。

「穏やかで守られている感じで、祝福されて、幸せで、そして全知であるかのような感覚」を抱き、

「わたしは自分が流れているように感じました」

こうした感覚を彼女は「右脳マインド」と呼びます。

私たちの脳はご存じの通り、右脳と左脳に分かれ、両脳の間に脳梁という橋がかかっているわけですが、

脳卒中で左脳が機能しなくなると、それまで露わになっていなかった右脳マインドが働きはじめ、

世界が全く違って見えてくるのだといいます。

それはまるで仏教のニルヴァーナ(涅槃)のような境地だと彼女は言います。

この経験は本当に興味深い。

更に、彼女はこう考えます。

「これまでなんにんのかがくしゃが、脳の機能とそれが失われていくさまを、内がわから研究したことがあるっていうの?」

重篤な病気に見舞われながらも、彼女の科学者魂はどこまでも自分を観察しようとするのです。

右脳マインドには時間の感覚もありません。

「記憶からも置き去りにされ、現在の瞬間だけしか焦点があわず・・肉体も失われ、宇宙の中に溶け込んでいきました」

左脳に出来たゴルフボール大の血の塊を撤去するために大手術を受け、

8年かけて左脳の機能を取り戻し、彼女は完全復活します。

それこそ、奇跡的に復活を果たすのです。

ジル・ボルト・テイラーの「TED」の講演がありますので、こちらもご覧ください。

とにかく、めちゃくちゃ面白い本なのでお勧めです。

脳科学には関心のない人もぜひ。

世界の見方がちょっと変わりますよ。

 

コメント
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