今日は脳科学の本の紹介です。
これ、めっちゃ面白かった!
「奇跡の脳/脳科学者の脳が壊れたとき」(ジル・ボルト・テイラー著)
脳科学者のジル・ボルト・テイラーは37歳の時に脳卒中になり、左脳が機能しなくなります。
脳卒中を発症した朝のことを、ジル・テイラーは克明に記録しています。
1996年12月10日の朝、左目の奥から脳を突き刺すような激しい痛みに襲われ、ベッドから転がるようにして降り、奇妙な感覚に襲われます。
「それはあたかも、意識が、正常な現実と魔法の空間のどこかで宙づりになっているような」感覚だったといいます。
魔法の空間!
「自分を囲んでいる三次元の現実感覚を失い・・どこで自分が始まって、どこで終わっているのか、という体の境界すらはっきりわからない・・」
彼女は浴室の壁にもたれかかりますが、
「どこから自分でどこからが壁なのかわからない」というのです。
ひどく戸惑いながらも、彼女は好奇心をそそられます。
「うわ、わたしって、すごく変でびっくりしちゃう生き物」
そして、幸福な恍惚状態に宙づりになっているように感じます。
「穏やかで守られている感じで、祝福されて、幸せで、そして全知であるかのような感覚」を抱き、
「わたしは自分が流れているように感じました」
こうした感覚を彼女は「右脳マインド」と呼びます。
私たちの脳はご存じの通り、右脳と左脳に分かれ、両脳の間に脳梁という橋がかかっているわけですが、
脳卒中で左脳が機能しなくなると、それまで露わになっていなかった右脳マインドが働きはじめ、
世界が全く違って見えてくるのだといいます。
それはまるで仏教のニルヴァーナ(涅槃)のような境地だと彼女は言います。
この経験は本当に興味深い。
更に、彼女はこう考えます。
「これまでなんにんのかがくしゃが、脳の機能とそれが失われていくさまを、内がわから研究したことがあるっていうの?」
重篤な病気に見舞われながらも、彼女の科学者魂はどこまでも自分を観察しようとするのです。
右脳マインドには時間の感覚もありません。
「記憶からも置き去りにされ、現在の瞬間だけしか焦点があわず・・肉体も失われ、宇宙の中に溶け込んでいきました」
左脳に出来たゴルフボール大の血の塊を撤去するために大手術を受け、
8年かけて左脳の機能を取り戻し、彼女は完全復活します。
それこそ、奇跡的に復活を果たすのです。
ジル・ボルト・テイラーの「TED」の講演がありますので、こちらもご覧ください。
とにかく、めちゃくちゃ面白い本なのでお勧めです。
脳科学には関心のない人もぜひ。
世界の見方がちょっと変わりますよ。