北斎展(松坂屋美術館)

2012-05-22 | ◆気になるコト・モノ・ヒト


仕事先で戴いた〈北斎展〉チケットの期限が迫っていたので、
一昨日の日曜日に観に行ってきました。

北斎なんて(失礼!)もう散々見てきたから、
今更…とも思ったがよくよく考えると、
本当に当時刷られた版画や肉筆画の原画は、
まとまって見た記憶が無い。
あまりにも日常的に見かける画家なので、
ついつい当たり前に見ていた気になっているのは、
ちょっと困ったものです…

そんな訳で、日曜日につい出かけてしまったのですが、
最終日が近いという事もあり、美術館は大変混雑していました。

作品は多分、年代別に展示してあったと思います。
大多数の作品は版画が中心ですが、作品は浮世絵・挿絵・漫画だったり、
そして有名な風景画の富嶽三十六景と、あらゆるジャンルを網羅し、
更に、画風もそれぞれ描き分け、
画号(ペンネーム)も頻繁に変えていたそうです。

個人的に良かった事は、こうして系統だって観られた事で、
散らばって記憶されていた作品達が頭で整理された事と、
晩年になるほど良い仕事をしているのが分かった事です。
驚いたのは最晩年(八十歳を過ぎて)に最も力の入った作品
(掛け軸等の肉筆画)を残していた事で、
描写もかなり緻密な描込みがされていました。

常識的に考えてもこの時代、健康体で九十歳まで
生きる事だけでも凄いのに、年老いて増々描く事に
情熱を燃やす北斎にはホントに驚かされました。

もう一度、緒形拳さんの主演で撮られ、
奇才・奇人北斎を描いた映画
「北斎漫画」を観たくなりました…

あと、多くの版画は長い年月を経てきている分
色が随分あせている作品が多かったんですが、
それでも保存の良い作品は、
随分綺麗な発色を残している物もあって、
写真や現代のような印刷も無い時代に、
職人達によって作られた、
多色刷りの版画や本を手にした人々は、
それが最高の贅沢だった事が想像されました。
出来れば北斎の生きた時代に行って、
刷り上げられたばかりの作品を
手に取り見てみたいものでした。

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