Ｋちゃん

昨日今日とやや過ごしやすい

夜になると涼しい風も出てエアコンがなくてもよく眠れるだろう

私も仕事から帰ってきたら

窓を開け放してそのまま爆睡していた


昨夜はＫちゃんがまたまたご来店

今週３回目だ

健康診断で高血圧を指摘された彼は

約一ヶ月間、お酒を抜いていた

火曜日に久々顔を出した時は素面だった

ちょうど暇で、近所の小料理屋のママが

口開けをしてくれたところだった


Ｋちゃんは何度かウチの店でママと会っていて

お互い人懐っこいので意気投合していたのだ

「今度ママの店に行くよ」と約束して

早速木曜日にママの店の暖簾をくぐっていた

私も呼び出され楽しくお酒をいただいた

その時にうなぎの話になって

「あら明日は土用の丑の日じゃない

　国産のうなぎを用意しておくわ

　新米のご飯も炊いておくから来てね」

ママもぬかりがない


翌日、お礼のメールを見たＫちゃんから電話があった

「そう言えば、昨日稲穂のママと約束してたけど

　うなぎ食べに行ったの？」

Ｋちゃんは見事に忘れていたようだ

慌ててママの店に連絡を入れて

後で行くからと約束したようだ

ママから私に連絡があり

「Ｋちゃんが来たらアンタに電話するから

　お店抜け出していらっしゃい」

ちょうど店も暇だしお腹も空いていたのでラッキーだった


Ｋちゃんは自動車整備の仕事をしているが

どうやら大森の方に移動になるかもしれないと洩らした

そうなると俄然寂しくなる

誰からも好かれる人懐っこい彼は

南の島出身でとても素朴なタイプだ

子供の様な純粋な気持ちが

夜の商売で荒れた心に一服の清涼剤となっている

「Ｋちゃんが居なくなると

　私たちは誰に癒されれば良いのよ？」

稲穂のママもキャバ嬢の“もえ”も

そして私も…口を揃えて言った

どうかこの町に留まってくれる様に

神様に祈るのだった