ナツミとカエ

昨夜はサノちゃんが行き付けの居酒屋のお仲間５人と遊びに来てくれた

その中のナツミが失恋したと言う

彼女は昔下町のスナックで働いていた事があるらしく

いかにもオジサン受けする愛嬌のあるタイプだ

現在はエステの仕事をしているらしい

サノちゃんの仲間と何度か当店には顔を出しているが

とても気さくで忙しい時は何かと手伝ってくれる気遣いのある子だ

破局に至った経緯は聞かなかったが

相手はどんな男だったのだろうか

「アンタくらい気立ての良い女なら次もすぐ見つかるわよ」

気休めの言葉を投げかけても

失った心の穴埋めにはならない

彼女は明るく振舞っているがきっと今夜は枕ぐっしょりだろう


カラオケで店内が盛り上がっている中

鹿児島に里帰りしているカエから電話があった

「もしもし～、今ねこっちのオカマバーで飲んでるの

　○○って店なんだけど

　チーママがアナタと話したいんだって」

そう言うやいきなり声が変わって

「どうも～マサミで～す」

顔も知らない同業者だが礼儀正しくて感じも良い

東京にも居た事があるらしく、その時はまだオカマではなかったとか

カエの事だから何かと迷惑をかけてるんじゃないかと

相手のオカマに探りを入れるが

「とっても楽しく飲んでらっしゃいますよ～」

能天気なカエの様子が目に浮かぶ

その店の名前は有名で

ママさんもよくテレビで見かける

店はとっても広くて１０人のキャストが居ると言う

多分カエは帰省中ずっとこの店に入り浸るんだろう

素敵な九州男児との出会いも含めて土産話に期待しよう


電話を切って店内はナツミが懐かしいパーソンズを熱唱している

飲み仲間たちも一緒になって手拍子

彼女が愛されている事を物語っている

カエも故郷に帰って地元の友達に歓迎されただろうか

ハロウィン

土曜日の仕事が終わって小田急線に揺られ

地元駅に着いた

１１月を目前にした朝だけあって肌寒い

１０月と言うのは上旬と下旬で

街行く人の着ている物がガラッと変わる

既にコートを着た女性も目に付く様になった

そんな朝に電車を降りて後方から

突拍子もない格好の外国人が２人私を追い抜いた

片方の男が奇声を上げている

彼は映画「テルマエロマエ」の阿部寛の様なワンショルダーで

その生地もまるでシーツの様な薄さだ

腕にはタトゥーが入っている

さぞかし寒いだろうが

そのままエスカレーターで改札階に下りた

すれ違う朝練の運動部の高校生たちが笑いながら見ている

相方の外国人は白い全身タイツで

頭には加藤茶のハゲづらを乗せている

彼らは改札を抜けると違う方向へ歩いて行ったのだが

シーツを纏った彼は駅へと向かう人の目を釘付けにして

私と同じ方向へ歩いているのだ


それにしても何でこんな格好で？

歩いている内に道の両側のお店のディスプレイが

答えを教えてくれた

ハロウィンだ

彼らはきっと都心のバーで大騒ぎした帰りなのだろう

普通ならコスプレは会場の近隣のトイレなどで済ませ

パーティが終わったら着替えて帰るのだろうが

彼らはドア・ツー・ドアなのだ

そう言えば２日くらい前の朝にも

パンプキンの魔女みたいな格好の背の高い男が

ごく普通に私の前を歩いていた

その人のコスプレはまるでドラァグクイーンだった

地面を掃除する様に黒いマントを引き摺って

軽快な足取りで住宅街へ消えて行った


昨夜一番乗りで遊びに来た女装家のＲさんも

土曜日にアキバでミクシィのパーティがあった様で

デジカメの写真を見せてもらったが

アメリカから直輸入のボンデージにエナメルのニーハイ

「この格好でアキバまで行ったの？」とは怖くて聞けなかった

先週末の慌しさ

先週は比較的忙しい日々が続いた

特に週末は震災以前の活気を取り戻した様な慌しさだった


先週に引き続きヒデミがこの日まで休みだったので

ママが早い時間に出勤

既にお客様は３組だ

しかも２組は３人と４人のグループ

残りはお独りで見えた常連の男性だった

私が出勤してあられもない姿でメイク中に

彼は現れた

ママのお客様なのだが今夜は同伴ではない

その内ママも現れるだろうとメイクをしながらお相手

「オレの事は放っといて良いから早く支度しろよ」

お言葉に甘えて大急ぎで化けてる最中に

今度は女性３人組が乱入

その中の一人が常連のリサだ

数週間前に連絡があってドタキャンされたばかりだった

オカマバー初体験の友達２人とやって来た

一番乗りの男性とうまく意気投合してくれて

カラオケで盛り上がってくれている

その間に私はメイクも着替えも終えて

カウンター内のセッティングなどを済ませている


私のケータイが鳴っている

隣町のⅠさんだ

「これから４人で行くんだけどお席空けといてね」

「かしこまり～」

其処へママが早めの出勤

店内は一気に華やぐ


その後はⅠさんグループの来店に続き

お独りで見えた男性、更にはチヂマツさんがお友達とご来店

まだ開店して１時間だと言うのに既に満席である

マヤも１０時に入店して私とママの３人で接客だ

慌しくなって満足に接客できない状態だが

お客様同士が何となく仲良くなってくれている感じだ

その後一番乗りでお見えになった男性、リサ達、

英語の歌をカラオケで歌ってたお一人の男性が帰られ

新たに竹ちゃんが行きつけの店のお仲間の女性とご来店

この女性はヒデミの昔からのお客さんだ

竹ちゃんには色んなお仲間を紹介していただいている

大変気遣いのある優しい男性だ

最近よく当店をご贔屓くださっている


その後１１時にはボーイのトシが出勤

一層店内は騒々しくなって行く

明け方までお客様が途切れる事はなく

結局閉店を一時間延長して５時に終了

「明日はヒデちゃん出てくるかしら

　一応私も用意しておくけど

　出来たら早めに出欠を教えて欲しいの」

前にも書いたが自身のストイックなスローガンのため

ママは４８キロでないと出勤しない

そのためのダイエット（断食＋半身浴）が辛いのだ

なので週一の出勤が精一杯

翌日もとなると気が重いのだろう

「ママ、大丈夫よ

　一応女性で洗い物くらいなら手伝ってくれる人が居るから

　明日は私とトシで頑張るわ」

明日は必ず出ますとメールは届いているが

医者嫌いのヒデミは風邪をこじらせているだろう

アテにはならない

こちらは既に覚悟を決めている


翌日ヒデミは何とか出勤したが咳をしている

無理したら若くないので後まで響くだろう

ママは昼頃にヒデミに電話したらしい

なるべく出る様に促したのかもしれない

そしてこの夜もありがたい事に

前の晩に負けないくらい忙しくなったのである

続ヤフオクで…

前回のつづき…

ヤフオクでタグ付き新品の可愛いワンピを格安で落札した

ところが出品者からの連絡が待てど暮らせど届かない

もしやと思い出品者の評価を覗くと「非常に悪い」が１８個も付けられていた

その内容は明らかに出品者側に非があり

とにかくルーズな性格である事が判明したのだ

これまでヤフオクを通して４００回以上の取引をして来たが

今回の様なケースは初めてだ


不安な気持ちで取引をキャンセルするべきか、そのまま待つべきか逡巡していたら

落札後３週間目にしてやっと連絡があった

それによると、パソコンが壊れていたのでご案内が遅れたと言い訳が…

しかも入金先が記されておらず折り返し口座番号などを聞いたら

それには素早い反応があり私は直ちに入金を済ませ、その旨を通知した

しかし今度は入金を確認したとか発送したとかの返信はなく

またイライラの一週間が過ぎた

入金をしているのでまさかそのままトンズラ？とか不安は募る一方だった

そして２日前の午後、宅配便が届いた

紙袋を半分に折っただけの簡易包装だ

衣類の場合はよくある事なので特に気にも留めず開封したら

商品が丸めて放り込まれていたのだ

まるで慌ててクリーニングに汚れ物を持って行く時の様に…

私がこれまで取引した女性の出品者は非常に丁寧な梱包をしてくれる人ばかりで

中にはお礼のメッセージが添えられている場合も…

これまでのいきさつから今回の出品者にそれは求めてはいなかったが

送られて来た商品にガッカリだった

確かタグ付き新品となってたはずなのに明らかに２～３回着用した形跡が…

もう怒りを通り越して、ただ呆れるばかり

普通なら評価で「非常に悪い」を付けて溜飲を下げたいところだが

向こうも報復評価をして来そうなので今回は敢えて無評価とした


ヤフオクを利用する時は評価が重要である事を

今更ながら痛感させられた私なのだった

ヤフオクで

これまでヤフオクでは廃盤レコードやＣＤなどを落札していたが

最近はヅラやお洋服なども格安で手に入れる様になった

私の様に大きいサイズの場合、なかなか気に入った物が見つからないが

たまたまヤフオクで見かけた可愛いワンピースが

市販よりも格安で手に入った事もあり病み付きになった


先月の下旬にある女性が出品していたミニワンピ２点

タグ付き新品を難無く落札

通常なら出品者から取引ナビを通じて連絡があるか

ヤフーからの落札通知メールに出品者からのメッセージがあり

アクセスしてスムーズに取引が行われれば一週間前後で商品到着となる

しかし今回は相手が悪かった様だ

入札する際に出品者の評価をチェックすれば

これまでの取引履歴を確認できる

よっぽどの事がない限り「非常に良い」が基本だが

商品に難があったり、入金が遅すぎたり何らかのトラブルがあった時には

「非常に悪い」が付けられる

今回の出品者は落札者が連絡先を教えた後に入金先を通知すると言う

しかし最初にこちらからメールを送った後、何の連絡もして来ない

２週間経っても音沙汰ないので不審に思い出品者の評価を確認すると

何と「非常に悪い」が１８個もあった

その内容も明らかに出品者に非があるのだ

とにかく連絡が遅過ぎて落札者をイライラさせている

入金後の発送も遅くて取引には向かないタイプの様だ

しまった！この評価をチェックしてれば入札しなかったのに…

これまで私は４００回以上ヤフオクを利用しており

幸いな事に殆どがスムーズに取引が出来て不快な思いをした事がなかったのだ

それだけに今回はちょっと不安な気持ちで一杯だ

取引をキャンセルするべきなのか、それともひたすら待つべきなのか

以下つづく