おかまのよろめき

現役おかまのお店日記&趣味のはなし

冷麺と冷やし中華

2008-12-31 14:06:42 | Weblog
“歌広”を出た私たちはお昼を食べる為に街を彷徨った

仕事明けのまま狭いカラオケBOXの中で



数時間も酒を飲んでたのだ

眩しい太陽は容赦なく酔っ払いの私たちに

有害な紫外線を浴びせかける

逃げ込むように駅ビルのレストラン街へ…

このフロアはやけに中華が多い

しかも本格的な店構えでディスプレイしてあるメニューも

本場の趣を醸している


ツバサはさっき日本酒を飲み過ぎたようで

急に具合が悪くなっていた

青白い顔をして必死でトイレを探している

さきほどの中華料理屋の横に

隠れるようにトイレがあった

彼が胃袋の悪魔を吐き出している内に

私はその入り口横に設置されてあるベンチに

腰掛けて待っていたのだ

隣に見知らぬお婆ちゃんが先に腰掛けて居て

トイレから聞こえてくるツバサの苦しそうな声に

眉をひそめていた

よく見るとお婆ちゃんはサンドイッチを広げていた

このベンチに腰掛けて今からお昼なのだろう

それなのに遠くに聞こえる耳障りな音

お婆ちゃんはひと口食べて「やだわ」と呟いた


そこへスッキリした顔をしたツバサが出て来た

「思いっきり吐いたから、また飲めるぞ」

お婆ちゃんはツバサをジロリと睨んだ

「とにかく何処か入ろうよ」

無理矢理ツバサを引っ張ってベンチから離れた


「オレ冷麺が食いたい」

「私はもっと違うモノが良いな~」

お互いに食べたいものが一致しない

天ぷらとかとんかつとか脂っこいものが食べたい私

ツバサは吐いた後なのでサッパリしたものが良いようだ

迷っている内にすっかりお昼時である

何処の店も混雑し始めた

列が出来ている店もある


取り敢えず腰かけられる場所を探す

美味しそうなメニューを並べた店を発見

「ここ冷麺やってるじゃん」

「これ違う」

お恥ずかしながら、その時まで私は

冷やし中華と冷麺は同じモノと思い込んでいたのだ

「とにかく中に入ろうよ」

乗り気じゃない彼を強引に連れ込んだ

席に着くなり周囲に聞こえるように文句タラタラ

思い出しても顔が赤くなる

「アンタの好きな冷麺じゃないの」

「コレが冷麺なのか?」

本当に穴があったら入りたい

冷麺は焼肉屋のメニューだ

ひとり焼肉が得意な私だが、冷麺は注文した事がない

なので知らなかったのだ

ツバサの前に運ばれて来たのは冷やし中華

彼はひと口だけ食べて後はプイと横を向いたきりだ

「意味わかんないよ、もう!」

店を出て私たちは駅に向かったが会話はなかった

ツバサ、今度は美味い冷麺食わせてあげるよ


そんなわけで今年も暮れて行こうとしている

今日から私は正月休みでのんびりしている

さっきサミットに食糧を買いに行った

慌てて買い込まなくても明日もこの店は営業している

取り敢えず今夜の年越し用の天ぷらなどを買った


来年もまたご贔屓下さいます様に…

どうか良いお年をお迎え下さいませ
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酔っ払いの大晦日

2008-12-30 14:39:39 | Weblog
階下の住人が大掃除を始めている

掃除機で天井をきれいにしているようだ

今日までに終えて明日の大晦日は

のんびりと過ごすのだろう

私は今夜が仕事納めなので

明日の午前中にでも簡単に済ませよう


20代前半にバイトしていた2丁目のホモバーでは

大晦日も営業をしていた

テレビで紅白歌合戦を見ながら

口の悪いオネエ達が歌手の衣装やヘアメイクを

酷評するのだ

ファッションにはうるさいオネエ

天童よしみなんて格好のターゲットだった

「歌は最高なんだけど、どう言う趣味なの」

「いいのよ、彼女はメイクや衣装は評価の対象じゃないんだから」

「だったらシンプルなものにすればイイのに

 やっぱ女が出ちゃうのよね

 中途半端に気合が入っちゃってオブスに拍車よね」

年越しの“どんべえ”をすすりながら言いたい放題だ

恐らく未だに紅白を見ながら営業する店は存在するだろう

カラオケを歌いたい客にしてみれば迷惑な話かもしれないが

大晦日まで仕事している側にとっては

せめてもの慰めなのかもしれない


何年か前の大晦日はツバサとカラオケに行った

仕事が終わり、店の近所のバーミャンで忘年会

5時を回った頃に携帯が鳴った

「こんな時間にどうしたの?」

「店はもう終わり?」

多分どこかで飲んでたのだろうが

その店も閉店になったとみえて私に連絡してきたのだろう

「もっと早く電話くれれば良かったのに…」

ブツブツ言いながらもちょっと嬉しい

「ごめんなさァ~い!ちょっと友達が迎えに来たので

 お先に失礼します」

そう言ってママや他のスタッフに挨拶した後

駅に向かった

「アンタ、この時間はもうどこもやってないよ!」

私は24時間営業のカラオケボックスしか頭に浮かばなかった

「アソコなら一応酒も飲めるし時間も気にしなくて良いじゃない」

ツバサはノンケなので女の子の店が良いに決まってるが

「5時過ぎても開いてる店なんてないわよ」と

強引に“歌広”に連れて行く


部屋に入ると2人っきりだ

ツバサは早速仕事の愚痴を始めた

いつもの事なのでフードをつまみながら聞いてあげる

バーミャンでさんざっぱら食べたのに

胃袋にはまだまだ余裕があるようだ

「そう言えば、ココ日本酒あるんだよね」

ツバサも私も日本酒が大好きだ

明日から正月休みと言う開放感もあって

2人は飲みまくった


2時間ごとにスタッフが延長するか訊きに来る

何度目かの延長を告げた時に

既に時計は11時を回っていた

ツバサのタバコが切れたと言うので

店の外の自販機まで買いに行ってあげる

眩しい!外は買い物客で溢れている

「やだ、私ったら何やってんだろう」

まだまだカラオケボックスでグズグズしたいツバサは

再延長を希望したが、私はもう帰りたくなっていた

「また今度ゆっくり来よう」

そう言って会計を済ませた


その後、何処かでご飯でも食べて別れるつもりだったのだが

またひと悶着あったのだ

続く…


















 
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帰省の思い出

2008-12-29 14:13:44 | Weblog
テレビでは帰省ラッシュのニュースが頻繁に流れている

新幹線はシステム故障とかで大幅な遅れも出ているようだ

そう言えば私も、昔は正月を田舎で過ごしたものだ


東京から四国へ帰るには飛行機を利用するのと

新幹線+船を利用するケースに分かれる

最近では低料金の深夜バスもこれに加わった

18で最初に上京した時は

盆と正月は必ず帰省していたのだが

新大阪まで新幹線に乗り

大阪南港から関西汽船というフェリーに揺られた

新幹線は早めに指定席さえ取れば

ゆっくり腰掛けて車窓の田園風景を眺めていられた

しかしフェリーはそうもいかない

親から仕送りをしてもらっている身分なので

一番安い2等客室のチケットだ

当然ザコ寝なのでスペースを確保する為に

出航時刻の2時間くらい前から列が出来る

その列はどんどん長くなって行くのだ


乗船時刻となり人々が小走りで船内に入って行く

2等客室のチケットを握り締めて

私も全速力で走った

何とか横になれるスペースを確保したが

後から入って来た男にそのスペースを半分奪われた

仰向けになって眠るのはとても不可能だ

そうかと言ってゲームコーナーや甲板で夜を明かすのは

とても我慢できない

もしかしたら展望スペースの様な所もあったのかもしれないが

新幹線で3時間も揺られたあとの身体は

横になるスペースを望んでいた


隣の男と密着するような形で横になっている私

当然寝返りなど不可能だ

この状態で朝まで我慢しなくてはならない

隣の男は30代半ばで決して嫌なタイプではなかった

しかし、こんな状況下ではそれどころではない

とにかく寝ることに専念しよう


何時間眠れたのかは不明だが

船内にアナウンスが流れていた

まもなく松山の高浜港に到着だ

この船はその後、九州の別府で終着となったはずだ

目が覚めて気付いた

身体にビッショリと汗をかいていた

冬場の重ね着と船内の暖房がきいたらしい

せめて下着だけでも着替えたいが

帰省なのでそんな用意もしていない

具合が悪くなりそうな不快感の中

隣を見ると男は既に消えていた


アレ以来、ピーク時の帰省はやめている

わざわざ混雑する時に実家に戻る理由もないのだ

のんびり部屋で過ごして日頃の疲れを癒す事にしよう

「ミラー」と言う映画も見たい

久々に劇場に足を運んでみよう

DVDもたくさんあるし、スーパーだって

正月も営業してくれる

それより、今度こそ部屋をもっと片付けよう

とにかくゴミ屋敷から脱出するのが今の目標だ

























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ミーコよ安らかに

2008-12-28 22:54:57 | Weblog
店の近所で可愛がられていた野良猫のミーコが

数日前に死んだらしい

昨日サナエさんがスナックPのママから聞いたそうだ

Pのママは八丈島出身で

道を挟んだ反対側に郷土料理店を長く続けていた

その店の勝手口にいつしか棲み付いたミーコ

オスなのに何故か可愛い名前をつけられた

人にはホントに懐かないこの子を

ママはとても可愛がっていた

店で出すトビウオなども食べ易いように

手でちぎって与えていたのだ

ママはダンボールを補強してミーコの家まで

作ったが野良の習性なのか、そこには寄り付かなかった


42年も続いたこの店は4月いっぱいでクローズ

夏前には更地になってしまった

それでもミーコはその場所に愛着があるのか

時折姿を見せては何かを待っているようだった

更地の真向かいに姉妹店のスナックPがあり

ママはそこにもミーコの小屋を作り

頻繁にエサを与えていた

このエリアには何匹かの野良がいて

いつもそのエサを狙っていた

その中にはミーコそっくりの子が居て顔も可愛い

しかしPのママや私たちは何故か

いつもビクビクしながらご飯を食べる

年老いたミーコに愛着を感じていたのだ


ウチの店の隣には居酒屋があるのだが

ある時、そこのママもエサを与え始めた

するとミーコはいつしか招き猫のように

店の前でママを待つようになったのだ

スナックPのママも、時折この居酒屋を利用していたので

仲は悪くないのだが

心情は複雑だったのではないだろうか


私が最後にミーコを見たのは先週だったように思う

店の隣がマンションの入り口になっていて

丸くなっている彼を見かけた

声をかけてやると目尻を下げて

笑ってるような表情を見せたのだ

とても穏やかなその顔を見て

“もしかしたらもう長くないのかな”と思った


サナエさんがPのママから聞いた話では

急激に気温の下がった金曜日辺りに

突然ミーコの様子がおかしくなったらしい

ママは急いで動物病院に連れて行ったが

間に合わなかったと言う事だ

お医者さんから「ミーコは15歳くらいで

野良猫にしては長生きした方だ」と

ママは慰められたらしい

もしかしたら以前は誰かに飼われていたのかもしれない

ある時、捨てられたかはぐれたかで野良となり

この近辺でエサを貰うようになったのだろう

極度の人間嫌いなのは

誰かにかなり苛められた後遺症なのだろうか


店前でキャッチしている時に

ミーコを見かけると何故か癒された

しかし、彼の姿はもう二度と見られない





















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カルーセル麻紀ディナーショー2

2008-12-27 15:39:26 | Weblog
カルーセル麻紀ディナーショー

中盤に差し掛かり、カルーセルは客席を周りながらトーク

組合の話題に花を咲かせる

「美輪さんは、この世で一番嫌いな人が2人居るの

 それは“おすぎ&ピーコ”

 オカマ、オカマってうるさいじゃない

 私も最初は大嫌いだったけど、今は仲が良いのよ」

いかにも美輪さんらしいエピソードだ

この話を店でお客さんに披露したら

「それ、前にも美輪さんが言ってたわよ

 下品な所が許せないんじゃないの」


カルーセルのトークは続く

「美川のケン坊とは昔から仲が良くて
 
 還暦祝いのパーティの時も
 
 “ねえ今日、お祝い持って来てないからさ

  ノーギャラで3曲歌うわよ~”って言って

 盛り上げてくれたのよね~」

石原裕次郎とも親交が深かったらしく

「裕さんが倒れた時に病院に駆けつけたの

 私も裕さんも同じ血液型だから

 待合室の渡哲也さんに“いつでも私の血を使って”

 と申し出たら

 “麻紀さんのを輸血したらボスがオカマになってしまう”と

 固くお断りされたわよ」

これには笑ってしまったが

天国の裕次郎にワインで乾杯して

「北の旅人」を歌った時は胸が熱くなった


ところで彼女を引き立てる3人のニューハーフ

京都カルシウムハウスの梶子ママと

店のナンバーワンのマキ

そして大阪のたく丸れい

クリスマスはお店の営業がなかったのだろうか

たく丸れいは以前からニューハーフが大勢集まる番組の常連だ

トークも面白いが、女優顔が印象的だった

全盛期はスレンダーでとても綺麗だったが

かなり太ったようだ


それにしても凄いと思ったのが

今回私たちが観たのは7時スタートの1部だったが

2部は同じホテル内の違う宴会場で行うと言う

1部を終えたらすぐに2部の会場へ移動して

同じ内容を繰り返すらしい

そうすれば関西から来た3人のニューハーフが

新幹線で帰る事が出来る

店の営業にだって出られるのだ

本人たちにはかなりハードだけれど

何たってクリスマスなのだから

店の看板が居なければ始まらないだろう


とても楽しいクリスマスの夜だった

速水のパパには大感謝




















  
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