“歌広”を出た私たちはお昼を食べる為に街を彷徨った
仕事明けのまま狭いカラオケBOXの中で
数時間も酒を飲んでたのだ
眩しい太陽は容赦なく酔っ払いの私たちに
有害な紫外線を浴びせかける
逃げ込むように駅ビルのレストラン街へ…
このフロアはやけに中華が多い
しかも本格的な店構えでディスプレイしてあるメニューも
本場の趣を醸している
ツバサはさっき日本酒を飲み過ぎたようで
急に具合が悪くなっていた
青白い顔をして必死でトイレを探している
さきほどの中華料理屋の横に
隠れるようにトイレがあった
彼が胃袋の悪魔を吐き出している内に
私はその入り口横に設置されてあるベンチに
腰掛けて待っていたのだ
隣に見知らぬお婆ちゃんが先に腰掛けて居て
トイレから聞こえてくるツバサの苦しそうな声に
眉をひそめていた
よく見るとお婆ちゃんはサンドイッチを広げていた
このベンチに腰掛けて今からお昼なのだろう
それなのに遠くに聞こえる耳障りな音
お婆ちゃんはひと口食べて「やだわ」と呟いた
そこへスッキリした顔をしたツバサが出て来た
「思いっきり吐いたから、また飲めるぞ」
お婆ちゃんはツバサをジロリと睨んだ
「とにかく何処か入ろうよ」
無理矢理ツバサを引っ張ってベンチから離れた
「オレ冷麺が食いたい」
「私はもっと違うモノが良いな~」
お互いに食べたいものが一致しない
天ぷらとかとんかつとか脂っこいものが食べたい私
ツバサは吐いた後なのでサッパリしたものが良いようだ
迷っている内にすっかりお昼時である
何処の店も混雑し始めた
列が出来ている店もある
取り敢えず腰かけられる場所を探す
美味しそうなメニューを並べた店を発見
「ここ冷麺やってるじゃん」
「これ違う」
お恥ずかしながら、その時まで私は
冷やし中華と冷麺は同じモノと思い込んでいたのだ
「とにかく中に入ろうよ」
乗り気じゃない彼を強引に連れ込んだ
席に着くなり周囲に聞こえるように文句タラタラ
思い出しても顔が赤くなる
「アンタの好きな冷麺じゃないの」
「コレが冷麺なのか?」
本当に穴があったら入りたい
冷麺は焼肉屋のメニューだ
ひとり焼肉が得意な私だが、冷麺は注文した事がない
なので知らなかったのだ
ツバサの前に運ばれて来たのは冷やし中華
彼はひと口だけ食べて後はプイと横を向いたきりだ
「意味わかんないよ、もう!」
店を出て私たちは駅に向かったが会話はなかった
ツバサ、今度は美味い冷麺食わせてあげるよ
そんなわけで今年も暮れて行こうとしている
今日から私は正月休みでのんびりしている
さっきサミットに食糧を買いに行った
慌てて買い込まなくても明日もこの店は営業している
取り敢えず今夜の年越し用の天ぷらなどを買った
来年もまたご贔屓下さいます様に…
どうか良いお年をお迎え下さいませ
仕事明けのまま狭いカラオケBOXの中で
数時間も酒を飲んでたのだ
眩しい太陽は容赦なく酔っ払いの私たちに
有害な紫外線を浴びせかける
逃げ込むように駅ビルのレストラン街へ…
このフロアはやけに中華が多い
しかも本格的な店構えでディスプレイしてあるメニューも
本場の趣を醸している
ツバサはさっき日本酒を飲み過ぎたようで
急に具合が悪くなっていた
青白い顔をして必死でトイレを探している
さきほどの中華料理屋の横に
隠れるようにトイレがあった
彼が胃袋の悪魔を吐き出している内に
私はその入り口横に設置されてあるベンチに
腰掛けて待っていたのだ
隣に見知らぬお婆ちゃんが先に腰掛けて居て
トイレから聞こえてくるツバサの苦しそうな声に
眉をひそめていた
よく見るとお婆ちゃんはサンドイッチを広げていた
このベンチに腰掛けて今からお昼なのだろう
それなのに遠くに聞こえる耳障りな音
お婆ちゃんはひと口食べて「やだわ」と呟いた
そこへスッキリした顔をしたツバサが出て来た
「思いっきり吐いたから、また飲めるぞ」
お婆ちゃんはツバサをジロリと睨んだ
「とにかく何処か入ろうよ」
無理矢理ツバサを引っ張ってベンチから離れた
「オレ冷麺が食いたい」
「私はもっと違うモノが良いな~」
お互いに食べたいものが一致しない
天ぷらとかとんかつとか脂っこいものが食べたい私
ツバサは吐いた後なのでサッパリしたものが良いようだ
迷っている内にすっかりお昼時である
何処の店も混雑し始めた
列が出来ている店もある
取り敢えず腰かけられる場所を探す
美味しそうなメニューを並べた店を発見
「ここ冷麺やってるじゃん」
「これ違う」
お恥ずかしながら、その時まで私は
冷やし中華と冷麺は同じモノと思い込んでいたのだ
「とにかく中に入ろうよ」
乗り気じゃない彼を強引に連れ込んだ
席に着くなり周囲に聞こえるように文句タラタラ
思い出しても顔が赤くなる
「アンタの好きな冷麺じゃないの」
「コレが冷麺なのか?」
本当に穴があったら入りたい
冷麺は焼肉屋のメニューだ
ひとり焼肉が得意な私だが、冷麺は注文した事がない
なので知らなかったのだ
ツバサの前に運ばれて来たのは冷やし中華
彼はひと口だけ食べて後はプイと横を向いたきりだ
「意味わかんないよ、もう!」
店を出て私たちは駅に向かったが会話はなかった
ツバサ、今度は美味い冷麺食わせてあげるよ
そんなわけで今年も暮れて行こうとしている
今日から私は正月休みでのんびりしている
さっきサミットに食糧を買いに行った
慌てて買い込まなくても明日もこの店は営業している
取り敢えず今夜の年越し用の天ぷらなどを買った
来年もまたご贔屓下さいます様に…
どうか良いお年をお迎え下さいませ