ぺぺの憂鬱

一週間お終わりに色々振り返ってみる

今週は月曜日から忙しくて疲れが溜まってるとか

何ヶ月か前に大喧嘩したゲストのアコちゃんとの和解

その他もろもろ

窓から入って来る涼しい夜風に吹かれながら

一つ一つ記憶の糸を手繰り寄せる

気がかりな事もある

新人ぺぺが体調を壊して入院した

数日で退院したが

最近懇意にしているある男性への不信感がつのっている

お金が介入していて

ぺぺは騙されている様にも思えるし

相手の男性の思惑が窺い知れないので悩んでいるのだ

２２歳にしては物を知っているぺぺ

相手の心理を読むのも巧みな気もするが

相手はきっと一枚も二枚も上手なのだろう

私も２度ほど会っているけれど

必要以上に気を遣うタイプで

それが決して本心からではないのは薄々感じていた

顔は笑っているが決して心からではない

それは彼が懇意にしている女性を気遣っての事だ

その女性は昔からの常連さんで

某遊技場で知り合ったらしい


たまたま仕事終わりにボーイのユウスケが

その彼と路上で偶然に会って

マンションで飲み直しみたいな流れになったそうだ

ぺぺもその際に一緒に同行し

それ以来、親身になって

ぺぺの仕事に関するアドバイスをしてくれるらしい

しかしおいしい話には必ず裏がある

面倒が起こらない事を祈りたい

急な欠勤で

昨夜は早い時間からお客様が重なりラストまで慌ただしかった

久々に金曜日らしい賑わいを見せた

数年前はママを含む６～７人でこれに対応していたが

最近はなるべく人件費を抑えつつ

お客様に楽しんでいただける様に心掛けている

週末とは言え必ずしも忙しいとは限らないので

必要最低限の人数で乗り切れる様にいつも考えている

なので急な欠勤は穴埋めに苦慮するのだ

休む方は夕方に連絡を入れて来るが

こちらは寝ている時間だ

部屋を出る１時間前に起きたらメールの着信ランプが点滅している

嫌な予感ほど的中するものだ

「ゴメンナサイ、風邪ひきました休みます」

せめて「代わりの人を探したが見つかりません」とかないものだろうか

出勤前の慌ただしさにイライラが加わる

心当たりに連絡するも当日の代打を快く引き受けてくれる人など滅多にない

部屋を出てから電車に乗ってもケータイの電話帳と首っ引き

あの子は女性だが何とかならないかしら

普段はお客さんの彼女に連絡

「そっかあ大変だね、でも私で大丈夫？」

脈ありと見たらとことん拝み倒す

「ありがとう、ホントに助かるわよ～恩に着るわ」

気軽に休むスタッフはこんな苦労など何も知らない

今夜も皆無事に出勤して来てよ～

心機一転

昨夜は２ヶ月くらい前に初来店のカヨコが一番乗り

特徴のある顔とノリなので名前を覚えてたら

「嬉しいわ～覚えててくれたんだ～？」

３回目だし覚えるっての

その後、奇遇にもカヨコ初来店時と同じ

トダちゃん、ユリ子姐が申し合わせたかの様に後から別々に来店

偶然の再会を喜び合う３人

その並びに腰掛けていたフミ子さんはまるで村八分になった様で寂しそうだったが

仲良し３人が輪の中に入れてくれてカラオケで盛り上がっていた

フミ子さんはヒデミのお客さんだったが

２ヶ月前にしこたま深酒をした挙げ句

些細な事で揉めて勝手に出て来なくなったヒデミに

何度かメールをするが返事がないので心配して来店の様だった

事のいきさつを話して、ケータイが生きてる限り

何処かよそで働いてるのだろうと言う結論に達し

ヒデミの代わりに入ったハルナやミサを見て

「彼女たちあんなに頑張ってるのね、いかにヒデミが楽してたか分かるわ」

としみじみ呟いた

この日ぺぺの代わりを努めたミサは見た目が女芸人そっくりで

女性ながら道化に徹して頑張ってたのだ

フミ子さんもそれを見たらオミズの厳しさを痛感したらしい

「これからもよろしくね」とボトルを入れて行ってくれた彼女

ヒデミの居ない寂しさに感傷的だったが

最後は笑って帰って行った

当店はずっと同じメンバーだったが

ヒデミが抜けた後、ポテンシャルの高い新人に恵まれ

活性化しているのだ

いつも同じではお客様も飽きる

ヒデミの退店はある意味心機一転のチャンスだったのかもしれない

いつも裏切られるの

雨の水曜日

夜になってもやまないで降り続ける勢いだ

こんな日は、いつもより少し早くアパートを出る

片道１５分を傘差して歩く勇気はないからだ

バス通りが見える路地に入った途端

オレンジの見慣れた横長の車体が左から右に通過した

私が舌打ちしたのは言うまでもない

何でいつもこうなのだろう

たまには停留所に着いた頃にバス到着とならないものだろうか

しかもオレンジは２台連なっていた

それぞれ行き先は別かもしれないが、たまに駅前行が芋づるの時もあるのだ

バス停前の信号が赤ならオレンジは少し足踏みして待っていてくれる

それに賭けてみた

お腹と顎の肉を震わせながら私は傘を差して走った

路地を抜けたら見事にオレンジは２台とも赤信号に足止めされていた

しかも２台目の行き先は駅前だ

車内はガラガラ

今それに乗るわよ～

声に出せない思いが傘を大きく振り回すことに

しかし運転手はバックミラーにそれを確認出来なかったか

或いは若い女性じゃなかったのでシカトしたのか

無情にも信号が青に変わって発車してしまったのだ

待ってちょうだい～

オバちゃんがなりふり構わずそうする様に

つい声を上げそうになった私

冷静になってケータイのバス運行状況サイトを開くと

次は８分後だと

雨は降り続いていたが私は１５分を覚悟して歩く事にした

それにしても、いつもこうなのは日頃の行いが良くないせい？

週明けからグッタリ

昨夜は速水パパが行きつけのクラブＳのＴママの誕生日で

私も誘っていただき

夕方６時に待ち合わせて先ずは吉祥寺の聘珍樓でお食事

Ｔママを始めキャストのアキちゃん、リサちゃんと綺麗どころが顔を揃えた

個室に次々と運ばれる料理を楽しみながらの至福のひととき

その後はクラブＳへ移動

既に先客が２組

私達のテーブルには

小さなバラをたくさん集めてハート型にしたアレンジメントが置かれていた

パパが手配した洒落たお花に加えて

パンダの形をしたケーキも運ばれて来た

こちらも彼が毎度ママさんのお誕生日に送る定番だ

シャンパンで乾杯してお祝い

私はメイクや着替えなどのため店に戻り

代わりにボーイのユウスケを送り込んだ

クラブＳのチーフの仕事ぶりを学ばせる為である

速水パパはＳの後、階上のＡにも立ち寄り

ユウスケにとってはかなり刺激になった様だ

日付が変わって速水パパご一行様が当店に到着

Ｓのアキちゃん、リサちゃん、Ａからもチーフと新人のトモミちゃん

華やかな女性達の来店で先客達も目の保養になった様だ

水商売は初めてだと言うトモミちゃん

かなり積極的にパパにサービスしていた

お友達に水商が居るとの事でアドバイスを受けたのか

それとも持っている素質なのか、まだ２０歳だと言うのにかなりのものだった

当分パパが熱を上げるのは間違いないだろう

こうして週明けから華やかな宴が催され

早くもグッタリの私なのだった